萌え商品が生みだす創造性
萌え商品、アニメのタイアップ商品があちこちで見られるようになってきた。
萌え商品とは、地方の土産物や特産品などのパッケージに、流行りの"萌え絵"をつけたもの。少し昔にお米の"あきたこまち"パッケージに萌え絵を印刷したところ爆発的に売れたなんて話があったけれど、今や、お酒やら、豆腐やら、お菓子やら、もう付けられるものならなんでもとばかり氾濫しているようだ。
中には、コミケなどのイベントと地元企業がコラボレーションした“萌え”商品を開発・販売して、町おこしに繋げようとする動きもある。
たとえば、2010年3月に水戸市で行われた「コみケッとスペシャル 5 in 水戸」では、コミケでまちおこしをテーマにして、開催地を公募したところ、北海道から九州まで20団体の応募があり、海外からも問い合わせがあった。
開催地の選定にあたって、重要視されたのは、「コみケッとスペシャルがそこで開かれたら面白いか?」というものだったのだけれど、応募してきた団体が提示した会場の多くは、スポーツ施設との複合展示施設で、立地的に、駅からも遠く交通の便も悪いことから、「まちおこし」にはつながらない懸念があった。その中で、水戸は、市街地にあって閉鎖された廃ビルを復活させるという提案であり、それが決め手になったという。
「コミケでまちおこし」というテーマが決まった当初から、各参加サークルの協力を仰ぎ、地元企業とのコラボレーション商品を作ることが企画されていて、いろいろな企業に呼びかけ、“萌え”商品の開発、販売が行われた。
出品・販売された、“萌え”商品は、萌えメイドをパッケージにあしらった「納豆カレー」や、若きイケメンな黄門様をラベルにした芋焼酎「若き日の黄門さま」、など全部で15種類。
パッケージの"萌え絵"は、コミケに参加したサークルの作家達の手によるもの、つまり、同人作家が描いたものなのだけれど、その完成度は高く、プロが描いたものと見まごうばかり。
「コみケッとスペシャル 5 in 水戸」の入場者数は僅か2日間の開催ながら、のべ3万3千人に及び、萌え商品の売れ行きも上々で、中には早々に売り切れてしまったものもあるという。
また、2010年10月には秋葉原で「萌酒サミット」なるものが開催されたのだけれど、こちらで出品されている"萌酒"は単純にパッケージに萌え絵を付けたものとは一味違っている。
この萌酒を開発販売している株式会社飛夢(とむ)は、ラベルに萌えキャラを貼るだけではなくて、キャラクターを先にデザインし、その設定とイメージに合う味の日本酒を作り、更に、そのキャラクターに声優による声をつけているのが大きな特徴。
飛夢が販売した、日本酒の萌酒シリーズは、予想以上の売り上げを見せ、第2、第3弾と販売、更には、梅酒へと拡大しているという。
こうした、萌え絵やアニメキャラとタイアップした商品は、もうそれだけで、半ば「ブランド化」する傾向を見せ、経済効果さえ生み出すのだから凄いもの。
最近では、人気アニメ「けいおん」のキャラクターストラップをオマケにつけた十六茶を、コンビニで販売したところ、瞬く間に売り切れ続出しているというから凄まじい。もうお茶なんでどうでもよくて、「けいおん」のキャラクターストラップ目当てなのだろうけれど、それだけでこれだけ売れるのだから、いかに「ブランド」というものが価値を生むのか分かろうというもの。
ただ、こうした"萌え"がウケるのも、何十年も前から漫画やアニメの文化的下敷きがあればこそ。庶民が文化にお金を出せるということは凄いこと。
漫画やアニメが、今や漫画の枠から飛び出して、お菓子やお酒といった市場にまで拡大している。それだけの厚みのある市場が日本に生まれつつあることは、実は、稀有なことなのではないかとさえ思ったりしている。
特に、飛夢の萌酒シリーズのように、萌キャラが先にきて、それに合わせて商品を作るという試みは、聞けば、なんだそれだけのことか、と思うかもしれないけれど、出来たものに対して、萌キャラを貼るのと、キャラに合わせて商品を作るのとでは、イメージに合わせて、仕込みの段階から、様々な工夫やこだわりがなされる分、より一段と質の高い、また、ラベルによく調和した商品が出来上がる余地があるのではないかと思う。
「創造性」と「調和性」の融合。もしかしたら、これからの商品のトレンドになるのかもしれない。
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「コみケッとスペシャル 5 in 水戸」、萌え商品で地元企業活性化も 2010年02月16日 16時11分 更新
開催まで約1カ月に迫った「コみケッとスペシャル 5 in 水戸」では、イベントと地元企業がコラボレーションした“萌え”商品を15種類用意。地元企業の活性化につなげる。
「コミケでまちおこし」をテーマにした同人誌即売会「コみケッとスペシャル 5 in 水戸」が3月21~22日に水戸市で開催される。同人誌の即売会に加え、地元の企業と組んだコラボレーション商品も販売する。
コミケットスペシャルは、夏と冬の年2回開かれる通常のコミケとは別に、テーマを決めて5年に1回、春に開かれる“特別版”だ。コミケでまちおこしをテーマにした今回は、開催地を公募。自治体や観光協会などに誘致を呼び掛けた結果、北海道から九州まで20団体の応募があり、海外からも問い合わせがあったという。
JR水戸駅から徒歩約15分の「伊勢甚泉町北ビル」(旧京成百貨店)で同人誌即売会を開くほか、水戸芸術館広場など中心市街地にある施設でコスプレイベンイベントを実施。「コンテンツビジネスと地域振興」をテーマにしたシンポジウムや、小説家・漫画家が参加するトークライブも開催する。
目玉の1つが、地元企業とコラボレーションして開発した“萌え”商品だ。萌えメイドをパッケージにあしらった「納豆カレー」や、若いころのイケメンな水戸黄門をラベルにデザインした芋焼酎「若き日の黄門さま」、イラストレーターのなかじまゆかさんのイラストとサインが入った水戸の伝統工芸品「水府提灯」など15製品を用意。同市の南町自由広場などで販売する。
納豆メーカーダルマ食品の納豆カレー。イラストレーターの介錯さんがパッケージをデザインした
清酒や焼酎の製造・販売を行う明利酒類が発売する梅酒・うめ物語(左)と、芋焼酎・若き日の黄門さま。若き日の黄門さまのラベルには若いころのイケメンな水戸黄門が描かれている
アミューズメント施設の企画運営などを行うプレビは、水戸の伝統工芸・水府提灯を限定販売。Webサイトでの先行販売分は、約1分で完売したという。5個の提灯を現地で提供する
JTB関東は、早朝から並ぶであろう参加者のニーズに合わせて時間を設定した臨時電車・バスツアーを実施
「ただ本を買うだけでなく、1日遊んでもらえれば」(コミックマーケット準備会の安田かほるさん)と、ご当地ヒーロー「時空戦士イバライガー」が登場する中夜祭や、食品を販売する屋台村も開く。開催に先駆け、2月20日からは西又葵さんなどがスタンプのデザインを担当したスタンプラリーも実施する。
主催するのは水戸市役所の若手職員などで構成する「コミケでまちおこし・みと実行委員会」とコミックマーケット準備会。準備会が同市を選んだのは、「通常のコミックマーケットは市街地と切り離された展示場で開催するが、旧京成百貨店を使い、中心市街地で実施するという提案が通常のコミケとは真逆で面白かった」(安田さん)からだという。
同実行委事務局の須藤文彦さんは、「イベントでの集客を一過性のものにしないために、コラボレーション商品の開発に力を入れた」と話す。全国に求心力がある製品を作り、広く通信販売などを行うことで地元企業の活性化につなげる狙いだ。「今回のイベントには70社弱の企業が参加した。従来交流のなかった異業種の企業同士が結びつき、企業間の交流にもつながる」と期待している。
URL:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1002/16/news065.html
この記事へのコメント
白なまず
ちび・むぎ・みみ・はな
なのだろうが, 日本の伝統が敗戦で断絶しつつある
ということをひしひしと感じる.
明るいのは結構だが, 力強さが....