政権交代という翼は錆びていた

 
民主党が揺れている。

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1.噴出する退陣論

菅首相の退陣を求める声がどんどん起こっている。

19日に民主党は、全国政調会長会議を党本部で開いたけれど、玄葉政調会長は党内の混乱に対する陳謝に追われ、青森県連からは、菅首相に政治的決断をお願いしたい、と退陣の声が上がった。

民主党内でも、菅氏と小沢氏の間の、いわゆる中間派と目される、樽床基本政策委員長は、平塚市での講演で、「あとはリーダーがいかに決断するかで、菅政権を守ることがわれわれの仕事ではない」と公然と退陣に言及した。

つくづく、16人の造反が民主党崩壊の引き金になったことがじわじわと明らかになってきた。

自民党の大島副総裁は、16人の造反について、「もはや遠心分離器が動きだした。流れを逆流させるのは不可能に近い」と述べていて、平成23年度予算案の衆院採決については、小沢氏の証人喚問が実現しない限り応じられない、と今の菅政権では、出来っこない要求をつきつけ、更に、首相退陣と引き換えに予算関連法案を飲むかどうかについても、これを否定している。

要するに、解散総選挙に追い込もうというスタンスを取っている。

そして、また、国会会期の半ばで、内閣不信任案を提出するという"奇策"も取り沙汰されている。

その狙いはもちろん、民主党に不信任案を否決させて、菅内閣をわざと信任させることで、その後の総辞職をやらせなくすること。つまり、貴方達は今の内閣を信任したくせに、首相の首を挿げ替えるのか、ということ。

だけど、この方法は、世間一般の"常識"が通じる相手こそ、有効な方法であって、恥も外聞もモラルもない菅政権に有効であるとは限らない。なんとなれば、内閣不信任案を否決しておいて、知らぬ顔で内閣総辞職する可能性だってある。

だから、今国会で内閣不信任案を出す効果があるとすれば、総辞職封じというよりは、むしろ、造反16人議員はもちろんのこと、民主党に対する踏み絵的意味合いが大きいだろうと思われる。

すなわち、「菅首相を支持するのかしないのかはっきりしろ」と迫ることで、民主党内の分裂を加速させるということ。まぁ、筆者的には、もう現時点で民主党は分裂崩壊過程に入っていると思われることと、分裂を加速するにしても、不信任案をいつ提出すれば、それが可能になるのか、といったタイミングの難しさを考えると、本当にやってくるのか少々疑問が残るところではある。

そもそも、そんな案が報道されて、相手にバレてしまった時点で、"奇策"でもなんでもなくなっているから、単なるブラフかもしれない。




2.錆びた翼

仮に菅首相が、追い込まれる、若しくはやけくそになって、解散に打って出た場合、気になるのは、何を争点にして、解散が行われるのかということ。

連戦連敗を続ける地方選挙、とりわけ、愛知県のトリプル選挙で、河村氏、大村氏の圧勝を見ると、世論は、鳩山・菅政権の政権運営の酷さに対する、憎悪にも似た"心理的拒否感"と、TPPや増税路線への反発といった、"政策に対する否定"の2つの面があるように思われる。

もしも、今の、20%を割り込んだ内閣支持率の低迷や、不支持率の高さが、単純な"心理的拒否感"だけであれば、首相の首をすげかえて、「クリーンで、まじめで、実力のある」人物を首相として押し出せば、まだなんとかなる可能性はあったのだろうけれど、そこに"政策に対する否定"が加わると、事はそう単純ではなくなる。

なぜなら、これまでの民主党の路線を真っ向から否定せざるを得なくなるから。

もっとも、既に衆院選のマニフェストの見直しに言及し、これまでの民主党の路線を変更して、多少は現実路線に舵を切っているから、すでに民主党は自分で自分の否定を始めている。

だからこそ、造反16人や、鳩山前首相、小沢氏らのように、"政権交代の原点に戻る"という声が出てくるようになる。

とはいえ、仙谷氏が「言い過ぎだった」と漏らしたように、衆院選のマニフェスト自身が嘘だったことが明らかになった以上、そのけじめをつけない限り、これからも何度も自分達のやりたい放題にやってくることは容易に予想される。だから、この辺りを考慮しない限り、民主党に対する逆風は止むことはないだろう。

もしも、先の参院選で、民主党が勝手、過半数を取っていたら、それこそ、菅独裁政治が行われていたかもしれないことを考えると、つくづく、2010年の参院選は日本の将来にとってのターニングポイントだったといえる。

昨年夏の参院選後の8月6日のエントリー「空を見上げる瞳に映る日本」で、日本人の潜在意識下で物凄い葛藤と対立が沸き起こっているように感じていると、して次のように述べた。次に引用する。

民主党政権が樹立するに至って、今まで、日本が日本であるなんて、当たり前だと思っていたことが、実は全然当たり前ではなかったのだと、皆が知るところとなった。

当たり前の日本が、崩落して地に落下するかどうかの瀬戸際にいるのだと知った。



今、それを、目の当たりにして、日本人の心の中で、疑問と葛藤が渦巻いている。

参院選で与野党が逆転して、ねじれ国会になった以上、これまでのように簡単に法案は通せない。

法案を通したければ、その法案についてしっかりと審議して、何故それを行なうのかについて、国民にちゃんと説明しないといけない。その時に、サヨクの思惑は暴かれ、晒される。そして、それに対する批判も。

だからもう、強行採決なんかをやって、国民世論の声、国民の望みを無視することなんて出来なくなった。

国民の願いが決定的な重みを持つようになった。

・・・

私達が何を望み、どんな未来を拓きたいのか。

自分の心で、意思で、何を守りたいのか。

その想いの強さが、未来を決める。

日比野庵本館 2010.8.6 「空を見上げる瞳に映る日本

参院選から半年。サヨクの思惑は暴かれ、晒された。そして、国民の批判が、地方選挙の敗北と支持率の低下という形で現れた。政権交代という翼は錆びていた。錆びた翼で空は飛べない。

日本をもう一度取戻し、立て直す日が近づいてきている。




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この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > "政権交代の原点に戻る"

    何だろう. マニフェストに戻るのか, 政策インデックス
    2010 に戻るのか, 生活が第一に戻るのか, それとも,
    自分達が売日党であったと言う現点に戻ってドサクサに
    国土の安売りをするのか. 選挙互助会と言う原点に
    戻っても何もない.
    2015年08月10日 16:47
  • クマのプータロー

    民主党の中の菅首相に近い議員達ですら、菅内閣の存続が自らの政治生命を脅かし始めたことにやっと気がついたと言うことでしょうか。菅内閣と仙石以外には「宰相不幸社会」が現実味を帯びてきたと言うことでしょう。
    2015年08月10日 16:47
  • almanos

    内閣不信任案可決となっても、総辞職して解散はせずという展開もあり得ますからね。ま、空き管に仙石氏が何らかの保証を与え、なおかつそれを空き管が信じた場合のみ成立しますけど。どちらも人を欺いて何が悪いという頭の持ち主ですからそもそも成立しないですが。こうなると解散が民意であるというサインが必要になる。解散総選挙を求めるデモといった永田町の意志ではない民意のサインが。解散をデモで要求されるのは戦後無かったはずですからね。デモの後に内閣不信任案が提出されたら民主党議員でも「俺は民意に従いましたから次もお願いしますと言える」から不信任案に賛成するでしょうし。そうなったら空き管は「じゃあ道連れだ! 」となるでしょうし。何よりも、自分の後がまを虎視眈々と狙っている連中も道連れに出来る。責任を押し付けられて押し込められる事もない。デモがあるなら参加したい。そういう心境です。
    2015年08月10日 16:47

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