「それは『信頼度』の問題だ。具体的な例を言えば、昨年度日本各地で起こったデモ、これに対する報道姿勢なんかを見ていると、我々国民は、数ある選択肢の中から、本当の情報を誰が流して誰が流さないのか、ということに気づきはじめている」元海上保安官/一色正春氏 於 2/14 東京・有楽町、日本外国特派員協会
尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で撮影された映像を「sengoku38」のハンドルネームで動画サイトYouTubeに投稿した元海上保安官の一色正春氏が、2月14日、日本外国特派員協会で講演を行った。
一色氏は、海上保安庁に入るまでの経緯や衝突事故、領土問題に触れ、「もし日本と他国の間に争いが起こったら、片方の言い分でなく、日本の言い分も聞いてほしい」と訴えていたけれど、講演での落ち着いた話しぶりといい、質問に対する受け答えといい、実に堂々たるもの。それにユーモアもある。
一色氏の眼差しには強い意志が宿り、自分が行った行為と、その結果、海上保安庁を辞職したことも静かに受け止め、聊かも後悔していないという、一種の"潔さ"さえ感じられた。
特に、外国の特派員は、一色氏に、古き良き日本人というか、"サムライ"を感じたのではないかとさえ思う。
一色氏のYOUTUBEへの投稿というあの行動については、賛否両論、いろいろな意見があるとは思うけれど、であればこそ、政府側の見解だけでなく、こうした一色氏本人の意見もきちんと知らせないと、フェアな議論にならないだろう。
だけど、あれほど、YOUTUBEへ投稿された衝突映像を、我先にと引用して流したはずのテレビは、今回の一色氏の会見を少しも報道しない。当事者本人の会見なのだから、それなりのニュースバリューがあるはずなのに、スルーしている。
大相撲の八百長問題にあれほど割く時間があるのなら、一色氏の会見なぞいくらでも流せる筈なのにそうしない。
だから、単なるテレビで報道できる時間的制約の問題とは別に、一色氏の指摘のとおり、何を報道して、何を報道しないのかといった取捨選択が行われていることは否定できない。
確かに、一色氏の今回の会見は、新聞などの紙媒体では、報道されたのかもしれないけれど、テレビで流されるのと、紙媒体でのみ報道されるのとでは、社会に対する影響力の差は歴然としている。
とりわけ、映像で一色氏の受け答えをみれば、カンペを見ながら党首討論をしていた、どこかの首相なんかとは全然違うことは誰の目にも明らか。
だから、テレビで報道されることだけが事件のすべてであるという考えは非常に危険で、その裏には映像化されない事件や、取りこぼしてされている様々な事件があることは忘れてはいけない。
その意味では、カンペを見ながらしどろもどろの討論をしていた、首相様の映像を流すのと流さないのとでは、世間が受ける印象は全然違うだろう。
真実の報道は、テレビだけにある訳じゃない。今回の一色氏の会見もテレビがスルーしても、今はネットで見られる時代。
テレビが隠す情報がネットでは大々的に流されていたり、テレビや新聞の報道の中身そのものについても、ネットで検証されたりさえする。
つまり、日本は、ある意味において、既存メディアと新しいネットメディアで情報戦争とでもいうべきものが行われており、個々人が社会に関心を持って、どの方向に如何なるアンテナを立てているかによって、キャッチできる情報に大きな差が生まれ、結果、個人の判断にも影響を与えうる状況にあるのではないかと思う。
一色氏が指摘するように、国民が、「本当の情報を誰が流して誰が流さないのか、ということに気づきはじめている」のであれば、こうした"ソース・ディバイド"による影響は、これから徐々に表面化していくだろうと思われる。
ジャーナリストの水間政憲氏は、自身のブログで"民主党隠しのテレビ番組が横行している"と警鐘を鳴らしているけれど、確かにそうした面にも注意を払わなければならない面はあるだろう。
だけど、そうしたこととて、様々な情報メディアがあり、それぞれの報道を比較して初めて気づくことができる話であることは忘れてはならないこと。
メディアが、"報道しない自由"を行使することの害悪は、最近とみに言われることではあるけれど、逆にいえば、「報道をする自由」、または、「報道しない自由」が保障されているからこそ、メディアごとに情報の差異が生まれ、情報を受け取る側での比較が可能になる。
問題は自由が与えられているにも関わらず、横並びの同じ報道しかしなかったり、逆に権力が都合の悪いことは一切報道させないように圧力をかけてしまうこと、すなわち、自らの責任を回避して自由を行使しない、または、自由を奪ってしまうこと。
一色氏は、今回の衝突事件の映像を機密にあたるものではないと、自身で判断して、リークし、その結果に対して、職を辞するという形で責任を取った。
そして一色氏は、「ウィキリークス」に関する見解を尋ねられ、「私とは主張などが違う。ウィキリークスについては『すべての秘密を明らかにせよ』という主張だと受け止めている。私は政府の側で働いていて、隠さないといけない秘密があることを理解している」と答えているのだけれど、これはとても重要な点だと思う。
どこまでが許されて、どこからが許されないのか、また、それを誰がどうやって判断するのか。
一色氏の今回の行動は、我々国民に、「自由と責任」という意味において、重いテーゼを示したように思えてならない。


沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、国家公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検され、起訴猶予処分となった一色正春・元海上保安官(44)=依願退職=の講演会が14日午後0時32分、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で始まった。
《一色元海上保安官はリラックスした様子で壇上のイスに座る。一色元海上保安官のテーブル上には、近く出版される事件に関する著作が聴衆に見えるように立てかけられ、一色元海上保安官は講演開始の直前に本を手に持ち写真撮影に応じた。聴衆の中には石原慎太郎都知事の姿もある》
《冒頭に司会者が英語で事件の概要を説明し、一色元海上保安官は隣に座る女性通訳の言葉にうなずきながら耳を傾ける。説明終了後、司会者に促されて一色元海上保安官は立ち上がり、講演を始める》
一色元海上保安官はまず「お忙しい中、集まり頂き、ありがとうございます」と挨拶し、「石原知事まで来られ、少し緊張している。こういう席は結婚式以来」と会場の笑いを誘った。そして表情を引き締め、「聞かれたことに正直に応えたい」と続けた。
尖閣ビデオ流出事件について講演を続ける一色正春・元海上保安官(44)は、事件の背景にあった漁船衝突事件に関し、「尖閣諸島に領土問題をつくろうという動きが出てきている」と語った。
一色元保安官は海上保安庁の業務について「日本は国土が狭いが、排他的経済水域は広く、これを守っているのが海上保安庁。当然、国境警備隊の仕事も兼ねている」と説明。
さらに、日本の現状に関して、「現在、日本はいくつもの領土問題を抱えています。最近はそれに加え、尖閣諸島にもそういう問題をつくろうという動きが出てきている」と指摘した。
中国は名指しせず、“その国”と表現し、「“その国”は南シナ海で行った方法で日本に侵略を開始したとも受け取れる行動を取り始めた。その一環が、昨年9月に起こったことで、私が11月に流したビデオを見ていただければ分かる」と話した。
尖閣ビデオ流出事件について講演する一色正春・元海上保安官(44)は漁船衝突事件に関して、「「私の考え得る限り、漁船がああいう衝突をすることは考えられない」と述べた。
また、「私の個人的な考えを述べさせていただく」と前置きした上で、「21世紀という時代を迎え、国際紛争を武力で解決しようという動きが出ている」と指摘した。
一色元保安官は「尖閣諸島が自国の領土であると思うなら、証拠に基づき言論で争うべき」と強調し、「私は多くの日本人が平和的な方法で解決したいと思っている。その半面、諸外国、日本周辺の動きを見ていると、力には力で対決しようという人が増えている。私は個人的にそういう解決法を望まない」と述べた。
そして、報道陣に向けて、「もし日本と他国の間に争いが起こったら、片方の言い分でなく、日本の言い分も聞いてほしい」と訴えた。
尖閣ビデオ流出事件について講演する一色正春・元海上保安官(44)は事件に絡んだ国内メディアの報道について「昨年、日本各地で起こった(尖閣衝突事件に絡んだ)デモへの報道姿勢で、国民は数ある選択肢の中から誰が本当の情報を流し、誰が流さないか気づき始めている」と述べた。デモに関する国内の報道が少ないという趣旨の発言とみられる。
その上で「なぜビデオが秘密になったのか。なぜビデオが誰の手によって公開されなかったのか。そういうことを皆が知りたがっている」と訴えた。
さらに「最後になるが、一つお願いがある。尖閣で起きる出来事を、第三者の目で公平、客観的に、事実をぜひ全世界に向けて報道してほしい」と講演を締めくくった。
《一色元海上保安官の講演が終わり、聴衆との質疑応答に移る》
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は、引き続き行われた聴衆との質疑応答の中で映像流出時に使用したハンドルネーム「sengoku38」の意味について質問され、「一貫して秘密にしている。捜査当局、家族、弁護士にも言っていない。発表の予定もない」と答えた。
さらにその理由について「一つぐらい秘密が残った方が、事件は忘れられないという気持ちもある」と付け加えた。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は事件の報道に関して質問をされ、「この事件までメディアは常に正しい報道をしていると思ったが、推測、憶測で書いたり、発言したりしている」と批判した。
その上で「最初のころは反論を考えたが、面倒になった。具体的に何があったのかは、この本を読んでもらえれば分かる」と述べ、近く出版される著作をPRした。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は質疑応答で、編集前の映像について「編集されていたのは、ある目的で編集されていたと思う。編集前のものがあればそれを使用したと思うが、残念ながら私の手元にありませんでした」と述べた。
公開されなかった部分の映像については、「はっきりいって私は知りません。知っていてもこの場でしゃべると身に危険が及ぶので知らないということにしておく」と話し、会場の笑いを誘った。
また、未公開の映像の内容について「私の聞いた噂」と前置きした上で、「(中国人の船長らが)激しく抵抗したシーンが写っていたということが1つ。おとなしく捕まったというのが1つ。その2つの説を聞いているが真相は定かではない」と話した。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)の質疑応答で、石原慎太郎東京都知事が「魚釣島に国会議員が上陸するという提案があれば海上保安庁は協力するか」と質問し、一色元保安官は「船に乗っている者はぜひ協力すると思う」と述べた。
質疑に立った石原知事は「あなたの愛国的行動に国民を代表して、心から敬意と感謝を表する。退職されて残念な結果、極めて遺憾」とあいさつ。
そして「もし起訴されたら発表するビデオがあると言っていたが、どういう内容なのか」「尖閣諸島の魚釣島に国会議員が上陸するという提案があれば海上保安庁は協力するか」と2つの質問をした。
一色元保安官は1つ目の質問に「退職というのは組織のルールを破ったけじめ、後悔はしていない」と述べた上で、「起訴ではなく、逮捕されればビデオが出るという話だった。内容は大阪の読売テレビで放送されている。私が出頭する前に受けたインタビューで、逮捕されれば私の真の声が届かなくなるとインタビューを受けた」と話した。
また、2つ目の質問に絡み、尖閣諸島周辺について「領土とか領海ではなく、(あの海域では)数年前に数万トンの船が座礁している。そのとき、灯台をつくるチャンスだった」と説明。
そして、魚釣島上陸計画については、「海上保安庁にもいろんな考えがある。本部、保安部、船に乗る者は必ずしも一致していない。船に乗っている者はぜひ協力すると思う」と述べ、「もし海上保安庁が協力しないというのであれば、防衛省というのもある。なにより都知事であれば都の船がたくさんあると思う。いずれにせよ行く方法はたくさんある、あとは行こうという気持ちだけ」と語った。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は質疑応答で中国政府に対して言いたいことを問われ、「日本政府にビデオを公開するよう圧力をかけてほしい」と述べた。
一色元保安官は講演中に中国を“その国”と表現したことを問われ、「“その国”とあえて言ったのは、想像力で考えていただきたかった」と説明。
中国が日本のGDP(国内総生産)を抜いて2位になったことについては「特に個人として関心がない。物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさがあると思う。2位だとか3位だとかに特に感想はない」と話した。
また、中国政府に意見できるならば、「中国政府から日本政府に圧力かけて、あのビデオを公開しなさいと(言ってほしい)。中国政府も『船長が殴られた』と言っているので真実が明らかになればいい」と語った。
また、「『sengoku38』は『悪いヤツは仙谷さんや』と京都弁で言っているのではないか」との報道陣の問いには「ご想像にお任せします」と答えた。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は、質疑応答で動画投稿サイト「ユーチューブ」で映像を公開した理由を問われ、「見る人見る人で感想、考えが違う、それこそがいいことだ」と語った。
一色元保安官は「ユーチューブは自分1人で最初から最後までできる」とユーチューブで公開した理由を説明。「メディアに持ち込んでしまえばある程度、他人にネタを預ける形になる。一度(CNN東京支局で)試したがダメだという結論に達した」と語った。
また、「テレビ局では(映像を)44分間まるまる流すことは難しかったと思う」と「あのような形で漠然とビデオを流すことで、『これが本物か』と客観的な目で見ることになる」と述べた。
さらに、「テレビ局だとどうしても解説者が解説する。(ユーチューブでの公開は)見る人見る人で感想、考えが違う、それこそがいいことだ。理由はまだあるが結果的には(公開して)よかったと思う」と語った。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は自身がインターネットの動画サイト「ユーチューブ」に投稿した衝突映像が拡散した様子に関して、「スピードは予想したより速かった。でも本物だから、1週間、2週間すれば拡がると思った」と語った。
さらに「万が一、失敗した場合について次の策を考えていた」と打ち明けたが、その方法については「それはマネをする人がでたら困るので言いません」と明言を避けた。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は民間の内部告発サイト「ウィキリークス」に関する見解を尋ねられ、「私とは主張などが違う。ウィキリークスについては『すべての秘密を明らかにせよ』という主張だと受け止めている。私は政府の側で働いていて、隠さないといけない秘密があることを理解している」と述べ、自身とウィキリークスとの違いを強調した。
その上で「明らかにすべき情報」と「隠すべき秘密」の境目について「(線引きは)非常に難しいと思う。ただ今回の件(衝突映像)はボーダーラインを遙かに(明らかにすべき情報へ)越えていたと私が勝手に判断していた」と説明した。
尖閣ビデオ流出事件について講演した一色正春・元海上保安官(44)は質疑応答の終盤、質問者から「英雄」「ヒーロー」とたたえられ、「英雄とかヒーローとか言われるのは間違っている。むしろ当たり前のことと受け止められるように日本がなっていけばいいと思う」と切り返した。
一色元海上保安官は「昔は日本人がそういう考え方をしていた。それが最近失われていることを心配している。以上です」と質疑応答を締めくくり、会場から拍手がわいた。講演会は午後2時5分に終了した。
=おわり
URL:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110214/crm11021412530009-n1.htm
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
[1] A. W. Astin, What Matters in College? --
Four Critical Years Revisited. Jossey-Bass, 1993.
[2] E. T. Pascarella and P. T. Terenzini,
How College Affects Students, Vol. 2, A
Third Decade of Research. Wiley, 2005.
almanos
白なまず
ろ 2012(夏マケ)辰の年はよき年となりてゐるのざぞ
は 2013(秋マケ)秋が立ちたち、この道ひらくかた出て来るから、
【いろは歌 鳥啼歌(とりなくうた)
とりなくこゑす ゆめさませ
みよあけわたる ひんかしを
そらいろはえて おきつへに
ほふねむれゐぬ もやのうち
鳥啼く声す 夢覚ませ <<<< いろはに泣く時来るぞ
見よ明け渡る 東を
空色栄えて 沖つ辺に
帆船群れゐぬ 靄の中
明治36年に万朝報という新聞で、新しいいろは歌(国音の歌)が募集された。通常のいろはに、「ん」を含んだ48文字という条件で作成されたものである。一位には、坂本百次郎の以下の歌が選ばれ、「とりな順」として、戦前には「いろは順」とともに使用されていた。
ス内パー
離党しないのは政党助成金の絡みでしょうがなかなか面白い手を打ってきますね小沢は。離党しないから選挙の際は金や人を出さざるをえない(出さずに負けたら大辛いな自民党に席を取られる+マスコミに叩かれる)辺り嫌らしい。基本的には菅の抱きつき戦法と同じなので突き放すのが最善手ですがそれが出来ないのを見越してます。