「予算委員会質疑を終えてみて、何とも言いようのない徒労感を感じました。問いには全く正面から答えようとせず、くどくどとどうでもいい経緯を説明して時間を消化し、明らかに間違っていることを指摘されても「間違っていた」とは決して認めようとしない。一言で言えば、誠意の欠片も感じられない酷い答弁でした。」石破茂自民党政調会長 於:2/1 石破 茂ブログより
遅ればせながら、2月1日の予算委員会の質疑を見た。確かに、仙谷氏が閣外に去って、菅首相が答弁する機会は増えたことは増えたのだけれど、その代りというか、それでもというか、中井洽衆院予算委員長は、質疑者が指名していない閣僚を何度も指名していた。
これまで勝手に答弁に立って、菅首相を助けていた仙谷氏が居なくなったかと思えば、今度は衆院予算委員長が助け舟を出している。
サッカーでいえば、DFの裏に完璧に抜け出して、ゴール間違いなしのと思いきや突然、オフサイド判定されたり、明らかにペナルティエリアで倒したりしたのにノーファウルだったりするようなもの。
いくら自分達のホームでも、公正中立であるべき審判があまりにも「偏った笛」を吹くのなら、観客はいつまでも黙っていない。サポーターは呆れ次々とスタジアムを後にする。
そんな中でも、やはり石破氏の質疑は目立っていたように思う。石破氏の質疑の前半部分の概要をちょっと振り返ってみる。
石破 「衆院政治倫理審査会は本人が出ないといったらおしまいだ。残る手は証人喚問しかない。国政を停滞させないというなら、なぜ党代表として『証人喚問に出ろ』と言わないのか」
菅 「クリーンでオープンな政治を公約に掲げて代表に再選された。公約に反する意見は基本方針になっていない。…政権、党の運営では小沢氏による二重権力になっていない。長い間の問題は1つの山を越えつつある」
石破 「自民党の数字を参考にして、消費税10%とおっしゃった。その後、あれはどうなりました? ・・・恒久財源も無いままに経済効果が十分発現されないものをそれを私たちはバラマキと言っているのです。・・・協議を呼びかけるのであれば、まず民主党の案をまとめるのが先でしょう」
菅 「わが党は内閣としての、その段取りを決めてはおりますけれども、もっと早い段階から、案づくりそのものの段階から、与野党で議論ができないかという認識で議論としたい。」
石破 「民主党は案を纏めない。端的にはそういうことですね。違いますか?」
与謝野「色んな意見を聞くことで、民主党も考えが煮詰まってくる。白紙から考えようとしていることを承知いただきたい。」
石破 「協議になりません。案をつくる段階から一緒にやるのであれば、それは連立以外の何ものでもありません・・・マニフェスト、国民との契約と言った。今は、契約不履行だ…無駄を省けばお金は出てくる、増税しないと言った…契約というなら。もう一度、変更するといって国民に信を問うべきだ」
与謝野「マニフェスト、民主党が理想をリアリティにしつつある。白紙撤回はむごい言葉。」
菅 「マニフェスト、今年の秋、2年目となり、見直ししたい…社会保障の案、4月をめどに社会保障の案を、6月に財源を含めた一体の案を示していきたい」
石破 「野党でないのですよ。責任与党なのですよ。…大変だからやらないのってんのなら与党じゃないでしょ?大変でもやって結論を出すのが与党でしょ?やってるよとは何事ですか?参院選後何をやっていたのか?」
玄葉 「かちっとしたものを出す前に、是非協議に応じていただきたい。」
石破 「その話にはのれない。案をつくる段階からといわないで、案を出せ。それが責任与党というものだ。纏められないんだったら党を割れ!当たり前だ。民主党は選挙互助会ではないはず。マニフェストと違う案なら国民に信を問え」
石破氏は、そこまで追求しておきながら、自民党はこうするとフリップで概要を説明している。それは次のとおり。
○政府予算のここを正す(歳入)
バラマキ施策の中止 2.8兆円
政府予算項目の総チェック 0.1兆円
公務員人件費の削減 1.0兆円
ムダ撲滅の実施 0.5兆円
一括交付金の組替え 0.5兆円
理念なき税制改正の撤回 0.3兆円
基礎年金国庫負担2分の1の財源の見直し 1.2兆円
計 6.4兆円
○自民党ならこうする(歳出)
国債発行の減額 1.0兆円
会期対策・成長戦略・地域の活性化 2.8兆円
基礎年金国庫負担2分の1の財源 1.2兆円
予備費1兆円への復元 0.2兆円
鉄道・運輸支援機構の剰余金の活用 1.2兆円
計6.4兆円
概要ながら額を出している。
石破氏が、予算委員会の質疑で民主党に案を出せと追及していることを考え合わせると、自民党は、予算についておおよそのところ迄は、それなりに詰めた上で、概要を提示しているのではないかと思われる。
つまり、自民党は、予算の議論については準備が整っているということ。それに対して、民主党は、案を作る段階から参加してくれというばかり。
4月とか6月とかに案を出すなんて、何を呑気なことを言っているのか。国会が終わる6月頃にのこのこ案を出しても、審議する時間なんてあるわけがない。いつまでもそんなことをいうのなら、民主党は予算を作る能力がないのではないかという疑問さえ抱いてしまう。
これでは、民主党は国会で議論したくないのだと思われても仕方がない。菅首相は「熟議の国会にしたい」といっていたけれど、自分でそれを否定している。やはり口だけ。
仮に、民主党内の考えがバラバラで、とても党内を纏められないという事情があったとしても、そうした中でも案を出せなければ、与党である必要はない。石破氏の指摘のとおり。
野党に抱きついて予算をつくれば、国会を通すことができるからという理由もあるのだろうけれど、自分で案を出さずに済ませようとする態度は政権与党としては情けない事この上ない。
なぜなら、与党として、国をどうしてゆくかというビジョンを持たないということを白状したも同然だから。
予算ほど政府の考え方が明らかになるものはない。
いくら、首相や政府がこうしたい、と思っていたとしても、そのための予算がなければ、現実は動かない。予算は政府のビジョンを具体化したもの。
菅首相は、「最少不幸社会」を作るとかなんとか言っているけれど、であれば、それを可能とする予算案を提示してしかるべき。本気でそうしたいのなら、そのビジョンを反映した予算案を提示して徹底的に議論すればいい。
内閣改造して、わずかに回復した内閣支持率は早くも20%台に戻ってきている。
今や、野党は対決・解散モードに軸足を移している。だから、菅首相が、野党に抱き着いてやり過ごそうと今でも思っているのであれば、それは「夢想」ともいうべきであって、無駄に時間を費やすだけ。
本音では、それが狙いなのかもしれないけれど、それで日本が良くなることはない。
石破無双と菅夢想。
二つの「ムソウ」を国民は知る。
←人気ブログランキングへ
自民、中井予算委員長の解任決議検討「品格疑う」 審議中に携帯も 2011.2.2 10:18
自民党の佐藤勉国対委員長代理は2日の記者会見で、中井洽(ひろし)衆院予算委員長に対する解任決議案を提出する検討に入ったと表明した。
佐藤氏によると、中井氏は1日の基本的質疑で、質疑者が指名しない閣僚を度々指名したほか、審議中に委員長席で携帯電話を操作していた。また、「質疑者をバカにする発言があった」としている。
佐藤氏は「誰が見ていても公平、公正な立場にある委員長といえず、品格を疑う」と指摘した。
中井氏は1日、自民党の塩崎恭久元官房長官の質疑終了を告げる際、「これにて塩崎教授の陳述は終わります」とちゃかした発言をした。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110202/stt11020210190002-n1.htm
2011年2月 1日 (火) 予算委員会質疑を終えて
石破 茂 です。
予算委員会質疑を終えてみて、何とも言いようのない徒労感を感じました。
問いには全く正面から答えようとせず、くどくどとどうでもいい経緯を説明して時間を消化し、明らかに間違っていることを指摘されても「間違っていた」とは決して認めようとしない。一言で言えば、誠意の欠片も感じられない酷い答弁でした。
予算委員長の不真面目、横暴な委員会運営も目に余るものがありました。
解散権は総理が持っており、いかに国民が愛想を尽かし、たとえ支持率が一桁に下がろうとも、内閣総辞職か解散・総選挙まで今の内閣が続きます(これは我々自民党も反省しなくてはならない点です)。
私は民主党内閣には全く賛同しませんが、今の内閣が続く限り、少しでもまともな政策を実行するならばこれを支援する責任があると思ってきました。
しかし、何を指摘しても全くこれに応えようとしないのなら、もはやどうしようもありません。
あらゆる手段を行使し、一日も早く総選挙に持ち込む、考えてみればこれが本来の野党の姿です。
新政権を担う際の自民党の方針も、ほとんど固まりつつありますが、この作業を一層加速させてまいります。
URL:http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-22c9.html
脱「仙谷頼み」迫られる…政府答弁様変わり
野党の質問が始まった衆院予算委員会は1日、菅首相が答弁に立つ姿がぐんと目立った。
昨年までは、当時の仙谷由人官房長官が外交から内政まで一手に答弁を引き受けたが、再改造で閣外に去ったことで、首相は“仙谷頼み”からの脱却を迫られている。
昨年の臨時国会では、答弁で立ち往生しかけた首相に仙谷氏がたびたび助け舟を出し、強引に答弁に立つこともあった。
野党からは「質問している相手は首相だ」と頻繁に抗議を受け、「牛若丸の前に立つ弁慶のようだ」(自民党の谷垣総裁)と皮肉られた。
仙谷氏の後を継いだ枝野官房長官はそこまで手広くない。担当する社会保障分野の答弁は率先して行ったが、その他は、法令の解釈などを答える程度。
1日の予算委では、民主党の年金改革案を首相に問いただす自民党の鴨下一郎氏への答弁を買って出た。「社会保障と税の一体改革の統括を担当しているので、私から」とよどみなく説明し、民主党席から拍手を浴びたものの、質問者の指名以外で答弁に立ったのはこのテーマだけだった。
(2011年2月2日09時12分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110202-OYT1T00189.htm?from=rss&ref=rssad
小沢元代表「辞職を」56%…読売緊急調査
読売新聞社は、小沢一郎民主党元代表が政治資金規正法違反で強制起訴されたことを受けて、1~2日に緊急全国世論調査(電話方式)を実施した。
小沢元代表はどのように対応すべきだと思うかを聞いたところ、「衆院議員を辞職する」56%が最も多く、「議員は辞職しないで離党する」20%が続き、「辞職も離党もする必要はない」は17%だった。
この問題で菅首相が指導力を発揮しているとは思わない人は79%を占めた。菅内閣の支持率は27%で、再改造で上昇した前回調査(1月14~15日実施)の34%から7ポイント下落し、不支持率は61%(前回55%)に達した。
内閣支持率は、発足以来最低だった昨年12月調査の25%に次いで低く、再び30%を割り込んだ。
(2011年2月2日22時22分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110202-OYT1T01011.htm
この記事へのコメント
グー
とおる
詐欺師を相手に、まともに議論しても、無駄のような気がします。
嘘をついてもいいような国会で、「熟議の国会」とは、悪い冗談です。
・国会での虚偽答弁の責任は「内容次第」 政府答弁書が無責任に…
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110111/plc11011119180175-n1.htm
・森雅子氏の質問主意書
質問: http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/176/syuh/s176170.htm
答弁: http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/176/touh/t176170.htm
・政府、「国会での虚偽答弁容認」の答弁書撤回せず
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110204/plc11020410450008-n1.htm
ちび・むぎ・みみ・はな
確かに追求は他の議員よりは厳しいけれど, 日本の
独立と言う面では彼も批判のあった身, 予算でしか
民主党を追求できないというという気がする. このまま
では全面対決に持っていけないのではないか. 普通なら
もう審議拒否でおかしくないのだが.
技術的には民主党では勤まらないのは明らか. しかし,
自民党政権時代にあった不愉快な事の思い出はまだ国民の
間から消えない. 自民党が変わったと言う目で見て分かる
サインを国民は求めているのだと思う. その意味では
自民党にも責任があるのでは.
almanos