「私のこの2週間の発言、記者会見の内容はすべてホームページで現時点でも公開している。私は今申し上げたようなことは、申し上げたことはないと思っている。その都度、あらゆる可能性や現状、その時点において『今、何をしなければならないか』ということについて、その時点における状況を踏まえながら、それぞれの時点における政府の判断を申し上げてきている。今、ご指摘いただいたような内容の発言はしていないと私は思っている」枝野官房長官 於:3/25 記者会見
25日、政府はようやく原発から30Km圏内に住む住民に対して、自主的に避難することを勧告した。ただし、避難指示ではなくて、自主避難という形。
その理由として、自主避難を希望することが増加するとともに、商業、物流等に停滞が生じ社会生活の維持継続が困難、ということらしいのだけれど、同時に「放射線量が増大し、避難指示を出す可能性も否定できない」ともいている。
これまで屋内退避で十分とされたいた、20kmから30kmの範囲でも危なくなる可能性を示唆したということ。
まぁ、筆者は、これまで避難区域を拡大すべきだと言ってきたから、たとえ、自主的避難勧告であっても、避難区域の拡大そのものは、評価している。
23日に、原子力安全委員会は、原発付近住民の被曝量や放射性物質が降る範囲を予測する、SPEEDI(スピーディ)と呼ばれるシステムで試算した結果を始めて公表した。
それによると、原発から北西と南の方向に放射性ヨウ素が飛散し、最も影響を受けるケースだと、30キロ圏外でも12日間で100ミリシーベルトを上回る甲状腺の内部被曝を起こす可能性があるとの結果になっていた。
SPEEDIは、施設から出てくる放射能を含んだ煙や水蒸気が、どの方向に拡散して、どの程度の被曝量があるのかの予測値を提供する目的で、日本原子力研究所が、風洞実験や野外実験などを繰り返して開発したシステム。
運用開始は、昭和61年からと古く、既に幾つかの道府県で防災訓練でも使われているし、訓練時に実際の風を使って、実況でやろうというケースもあるようだ。
SPEEDIは、経済産業省や原子力安全委員会、気象協会やいくつかの道府県とネットワーク接続されていて、気象庁の数値予報データと、現地の風向・風速等の気象観測データがオンラインで入力され、また、どのような核種の放射線がいつから、いつまで、どの程度(Bq/h)放出されるかといったデータを入力することで、計算される。
実際の緊急時には、文部科学省から緊急時モードとして起動するよう指示が降り、その予測計算結果は文部科学省、経済産業省、原子力安全委員会、そして、当該自治体の監視センターなどに予測結果として送信される。
予測は、6時間後の拡散予測と24時間後の拡散予測の2通りあって、その計算処理時間は驚くほど速く、6時間後予測では、データ入力後およそ15分後、24時間後予測でも30分くらいで計算できるという。
6時間予測と24時間予測のどちらを使用するかは、各自治体で変わっているようなのだけれど、平成17年度の訓練では、福島県や宮城県などは6時間予測。青森、新潟、静岡などは、24時間予測を採用していたようだ。
今回の福島原発では、事故発生後、毎日1日中屋外で過ごすことを仮定した場合に、被曝線量が100ミリシーベルト以上となる地域を試算したとのことだけれど、それによると、拡散範囲の半分くらいは海で、陸地では原発から北西、福島市の方向、飯館村あたりまでと、海沿いに南下していわき市のあたりまで広く拡散している。
だけど、これほどの結果が、しかもデータ入力後30分あれば出てくるものを何故、もっと早く、発表して、住民避難に役立てなかったのか。
何でも、河野太郎議員によれば、事故直後から自民党の対策本部として政府に公表を求めていたそうなのだけれど、23日まで全く開示されることなく、また何処が公表に関する権限を持っているのかも把握できていなかったようだ。緊急時に使えなくていったい何の"緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム"なのか。
これが早くから出されていれば、半径何キロとかいったものではなくて、市町村単位での避難指示だってできたはず。
25日の記者会見で、枝野官房長官は、記者から、「大丈夫」「安心」と言い続けてきたが訂正したらどうか、と問われ、「そのようなことは発言していない」と答えた。
確かに、いくら"問題ない”とか、"健康に影響しない"とか言っていたとしても、その頭に枕詞として「ただちに」をつければ、大丈夫とか安心などと言ってない、ことにはなるかもしれないけれど、ちょっと言い訳のように聞こえる。
であれば、「ただちに」の示す範囲を1週間だとか1ヶ月だとか期限を区切っていうべきであって、今更こんなことを言われたら、住民の不安や不信感は募るばかりだろう。
実際に、20km~30km圏内の自治体担当者からは「判断が遅い」「言いっ放しは無責任」と、政府を批判する声が相次いでいる。
今回は、避難指示ではなくて、自主避難要請の形をとっているけれど、それについて菅首相は、「原子力安全委員会の専門家の判断を尊重した対応」と言った。
これは、去年の尖閣沖衝突事件で中国漁船の船長を釈放したことについて、検察側の判断を尊重した、と責任を検察になすりつけたのと同じやり方で、まったく変わっていない。
尤も、なすりつけられる方の原子力安全委員会も、それはご免とばかり、「先に判断したのは官邸」とへ反撃しているけれど、これは事態が収拾したあと、問題になるだろう。
今回の震災と救援活動を見る限り、民主党が主張していた、地方主権だなんだといって、地方自治体にすべてを丸投げするやり方には無理があることが明らかになったように思われる。
地方主権もダメ、子ども手当も尻つぼみ。被災者救助や原発事故対応には、副官房長官が"暴力装置"と呼んだ自衛隊や、前首相が方便と呼んだ海兵隊や米軍に頼らざるをえない現実。
現実が民主党のマニフェストを否定している。
今は、与野党関係なく、国難に当たらなければならないことは言うまでもないけれど、政権選択選挙で、如何なる政治家や政党を選択するかの責任の重さについて、今回の震災で国民は嫌というほど知ったと思うし、それに加担したマスコミの責任も重い。
尤も、マスコミ自身も今回の震災で、それに対する反作用というか、手痛いしっぺ返しを食らっているのだけれど、それについては、また改めて記事にしてみたい。


--枝野幸男官房長官は「大丈夫」「安心」と言い続けてきたが訂正したらどうか
「私のこの2週間の発言、記者会見の内容はすべてホームページで現時点でも公開している。私は今申し上げたようなことは、申し上げたことはないと思っている。その都度、あらゆる可能性や現状、その時点において『今、何をしなければならないか』ということについて、その時点における状況を踏まえながら、それぞれの時点における政府の判断を申し上げてきている。今、ご指摘いただいたような内容の発言はしていないと私は思っている」
--「人体に影響が出ることはない」と言ったが
「その時点で出ているさまざまな状況からは、現時点で出ることではない。ただし、今後の見通しについて、私は断定的なことはこの間、申し上げてきていないし、現時点においても、今後の状況については、あらゆる可能性を想定して、今よりも当然、原発の状況が良くなることを期待して、その最大限の努力を政府としてもしているが、状況が悪化して必要があれば、そのことについての情報データの公開は常に続けるが、必要があれば、その指示を今後とも政府としてしっかりやっていく。こういう立場だ」
--放射能の数値は4日目に一番大きかったが
「具体的にそれぞれの時点のさまざまな発表と、それから客観的なその時点での事実関係との違いについて、改めてご指摘いただければ、それについてはしっかりと専門家の認識を含めてご回答申し上げる。できれば文書で具体的にご質問いただければと思う」
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110325/plc11032518580033-n1.htm

東京電力福島第1原発から20~30キロ圏内に対する自主避難要請は24日夜、首相官邸の主導で対象の9市町村に伝えられたうえで、枝野幸男官房長官が25日の記者会見で発表した。原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく避難指示を出せば、放射性物質による汚染拡大を政府が正式に認定することになり、周辺住民の不安に拍車をかけかねない。一方、屋内退避の長期化で不自由な生活への不満が住民側に強まっていたため、超法規的な「要請」によって政府批判の緩和を狙った。
自主避難の要請は24日夜、官邸から経済産業省原子力安全・保安院に設置された災害対策本部と現地の対策本部を通じ、20~30キロ圏内にある9市町村に伝えられた。原発事故の対応を超えた政治判断は保安院にはできないため、25日に原子力安全委員会の臨時会を開き、放射線のモニタリング結果などを理由に、自主避難が「望ましい」と助言する形をとった。
原災法に基づく避難指示は「異常な水準の放射線量」の検出が前提となる。自主避難を自治体に要請する根拠法はなく、実際に住民を避難させるかどうかの判断は各市町村に委ねられた。避難先の確保や移動手段なども市町村が考えなければならず、野党からは「中途半端」などの批判がかえって強まっている。
菅直人首相は25日夜、避難指示に切り替えなかったことについて「原子力安全委員会の専門家の判断を尊重した対応」と強調した。しかし、保安院の関係者は「先に判断したのは官邸。避難指示は放射線量が高いまま下がらない場合などに検討する」と語り、官邸指示に従った苦肉の策だと認めた。【青木純】
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110326-00000006-maip-pol

福島第1原発の半径20~30キロ圏内の住民たちへの避難指示を政府が検討していることが明らかになった25日、圏内の自治体担当者からは「判断が遅い」「言いっ放しは無責任」と、政府を批判する声が相次いだ。
「これまで屋内退避という無責任な指示しか出さず、決断が遅い」というのは福島県川内村の井出寿一総務課長(57)。屋内退避指示後「物資が届かなくなり、避難住民の世話もできずにじっとしているしかなかった」。15日夜、政府の判断を待たずに、富岡町と一緒に郡山市に避難することを決めた。
南相馬市は24日に圏外避難についての住民説明会を開いたばかり。担当者は「不安があっても残りたいという人が大半だった。国はどのような手だてを取るかも示さず、言いっ放しであまりにも無責任な発言だ」と憤る。
URL:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110325/dst11032513430042-n1.htm

◇残る市民
「放射線量はそれほどでもないのに、自主避難と言われても……」。福島第1原発から20~30キロ圏内の住民に自主避難が勧告されて一夜明けた26日、福島県南相馬市では依然、約1万人が圏内で日常生活を続けている。深刻な物資不足が続く中、残った人たちの政府への不信感は深まる一方だ。【平野光芳、阿部周一、平川昌範】
◇ガソリン、食料不足が切実
「若くはないし、あきらめの気持ち。いざという時に避難できるよう、とにかくガソリンがほしい」。市内で縫製業を営む男性(57)は午前4時過ぎ、近所のガソリンスタンドに向かった。しかし50台ほどが列を作っていて、給油できたのは同9時半。「普段は給油するのは月1、2回。皆、避難に備えてガソリンを蓄えているのか」と、ため息をついた。
原発の建屋で爆発があった後、1週間ほどは福島市内の避難所や親類宅に身を寄せた。しかし居心地が悪く、放射線量も比較的低かったことから19日に帰宅した。「国や東京電力は、20~30キロ圏内の住民に本当に補償をしてくれるのだろうか」
「政府の対応がちぐはぐだ」と憤るのは、市役所近くで営業するスーパー「サイヤ」の西野茂樹社長(53)。自主避難が勧告された25日は「商品をたくさん並べて、残っている人たちを安心させたい」と、営業を再開した。26日も午後2時まで店を開いた。閉店時刻を迎えても、レジには野菜や総菜を買い求める客が消えない。ガソリン不足で仕入れには不安が残るが、これからも「立ち退けと言われるまで、営業を続けて、住民を励ます」と意気込んだ。
市内のアルバイト、三島博光さん(68)は「地元が好きだから逃げたくない。ガソリンがないから自転車で移動するしかない。実情を知らない政府の言うことは信じられない」と話した。地元ラジオ局の放送で放射線量をチェックする毎日だ。
政府方針に右往左往するのは地元の行政も同じだ。南相馬市は24日、自主避難の説明会を開催していた。市内9会場に約1600人が集まったが、希望者は166人。自主避難の勧告のニュースが流れたのは、希望者がバス5台に分乗して群馬県草津町に向かったのとほぼ同時刻だった。
市の広報担当者は「国の方針転換をもっと早く知っていたら、避難を希望する住民は増えたかもしれない。しかし、26日になっても市民から避難の問い合わせはほとんどなく、緊急避難を希望している人が多いとは思えない」。市には政府から事前に連絡もなかったという。職員は災害対応で忙しくてテレビを見るひますらない。「本当に必要な情報が入ってこないんです」と嘆いた。
URL:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110327ddm041040080000c.html
この記事へのコメント
白なまず
世の元の大神(かみ)の仕組といふものは、神々にも分らん仕組であるぞ、この仕組 分りてはならず分らねばならず、なかなかに六ヶ敷い仕組であるぞ、知らしてやりたいなれど、知らしてならん仕組ぞ。外国がいくら攻めて来るとも、世界の神々がいくら寄せて来るとも、ぎりぎりになりたら神の元の神の神力出して岩戸開いて一つの王で治める神のまことの世に致すのであるから、神は心配ないなれど、ついて来れる臣民少ないから、早う掃除して呉れと申すのぞ、掃除すれば何事も、ハッキリと映りて楽なことになるから、早う神の申すやうして呉れよ。今度はとことはに変らぬ世に致すのざから、世の元の大神でないと分らん仕組ざ。洗濯できた臣民から手柄立てさしてうれしうれしの世に致すから、神が臣民にお礼申すから、一切ごもく捨てて、早う神の申すこと聞いて呉れよ。
ちび・むぎ・みみ・はな
これは傑作.
民主党政府で動いているのは数少ないというのは本当ですな.
放射能の問題は通商に大きく響いてきそうです.
三井の船が上海に入港を断られたとか.
外国商船が東京湾に入ってこないとか.
全て風評被害を心配してのこと.
日本製品も暫くは放射能検査を受けることになりますな.