
エモリー大学薬学部の研究チームが、マウスの学習能力や記憶力を妨げる遺伝子を特定したとサイエンス誌で発表された。
その遺伝子はRGS14(Regulator of G protein Signaling)と呼ばれる遺伝子。
実験は、このRGS14遺伝子を欠損させたマウスを作ることで行なわれた。この特定の遺伝子を欠損させる方法は「遺伝子ノックアウト(gene knockout)」と呼ばれ、1989年にマリオ・カペッキ、マーティン・エヴァンズ、オリヴァー・スミティーズらによって、世界で始めて、遺伝子がノックアウトされたマウスが作り出された。
現時点で、マウスは遺伝子ノックアウトをすることが容易な動物の中で、もっとも人間に近いことから、遺伝子ノックアウト実験に幅広く使用されていて、人間の生理機能に関連した遺伝子研究に使われるという。
ノックアウトマウスは、まず、試験管内で人工的に組み立てられたDNAを作ったのち、それを細胞培養してマウスに注入して交配させ、その子孫の中から目的の遺伝子がノックアウトされたマウスを選び出す方法で作られる。
実験は、このRGS14を欠損(ノックアウト)させたマウスを使って「モリスの水迷路:Morris water maze (MWM)」にて行なわれた。
「モリスの水迷路」とは、空間認識の記憶学習を測定するために、1981年に、モリスらがラットを対象とした技術として考案されたもので、大型の円形プールに透明な水又は不透明な液体を満たし、避難場所として水面下に隠れた足場を設置しておく。マウスがこの水面下の足場に辿り付ける経路を観察することで行なわれる。
標準的な実験方法としては、まず、マウスをプールの四方向からランダムに選択して、マウスを水面に放してやり、マウスが水面下の足場を探して、おおよそ15秒程度身を休めるのに成功したら、その足場に辿りつくまでの時間と泳いだ距離を計測する。これを3回繰り返し、計4回の試行を1ブロックとする。
もし、マウスが足場を探すのに1~2分以上かかる場合は、実験者がマウスを足場に誘導するか、直接足場に運んでやる。
1ブロックの試行が終わったあと、水面下の足場を取り除いてやり、同じくマウスを100秒程度泳がせ、さっきまで踏み台のあった場所あたりにマウスが泳ぎ着く頻度や時間を計測して、マウスが足場のあった場所を学習しているかどうかを観測する。
この実験によって、RGS14遺伝子を欠損させたマウスは足場の場所をよく学習し、記憶していることが分かった。
RGS14遺伝子は人間にもあり、主に学習と記憶を司ると考えられている海馬によく存在している。
人間の海馬は、ちょうど小指ほどの大きさで、ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンがまたがる架空の動物である"海馬"の尾に形が似ていることから、ルネサンス後期の解剖学者アランティオによって、1587年に名付けられた。
海馬は大きな細胞がある領域と、より小さな細胞のある領域の二つの主要な部位に分けることができ、大きな細胞がある領域は更にCA2、CA3に分けられ、小さな細胞のある領域CA1と呼ばれている。
RGS14遺伝子は、この中のCA2と呼ばれる、CA1とCA3の間に挟まれた領域に高濃度に存在するという。
研究グループは、RGS14遺伝子を欠損させたマウスに対して、電気的な刺激を与えて、CA2領域がどう反応するか調べたところ、通常よりもより強く、安定した神経細胞の結びつきがあることが分かった。
これらのことから、RGS14遺伝子が、学習能力を阻害している遺伝子ではないかとしたのが、今回の発表なのだけれど、研究チームの薬理学教授であるJohn Hepler博士は、まだRGS14とCA2の全体像を把握しておらず、RGS14の欠損は、まだ研究で焦点をあてていない部分に影響が出る可能性もあるとしている。
いずれにせよ、記憶や学習を"阻害"している遺伝子が発見されたことは注目に値する。なぜなら、わざわざ「忘れさせる」という機能が人間にもとから備わっていることを意味しているから。
なぜ、そんな仕組みが備わっているのかは分からないけれど、やはり脳みその大きさに限りがある以上、必然的に記憶できる情報量には限界があるであろうことは容易に想像できる。
だから、わざわざ脳みそに忘れさせる機能を持たせることで、脳みそがオーバーフローしないようにしているのかもしれない。
また、この忘れるという機能には、もうひとつ利点がある。それは、学習した知識や情報の"取捨選択"を促すということ。
人が生きていくうえで、必要な知識や智慧を身につけるためには、何が自分にとって大切か大切でないかを判断して、大切なものを選び取る作業が必要不可欠。
だから、脳みそが、そのままでは、自然と忘れていってしまう機能を持っていること自体が、逆に、忘れてはいけない情報は絶えず学習して覚えておくことを余儀なくさせる。
そうすることで、自分にとって大切だと判断して選び取った情報が記憶されてゆく。それが本人の学習であり、智慧。
仮に、もし脳みそが、何でもかんでも、覚えてしまって、決してそれを忘れないように出来ていたとするならば、本人にとって重要な情報もそうでない情報も、皆等しく記憶されてしまうだけで、物事を積極的に選び取ってゆくという働きは相対的に重要でなくなってしまう。
それは必然的に、価値判断を必要としない世界であり、個人が自分の判断で、物事を峻別し、理解する働きをも弱めてしまうことにも繋がりかねない。
要するに、忘れることができない脳みそは、「価値判断ができない脳みそ」になってしまう懸念があるということ。
だから、脳みそは物事を自然と忘れる仕組みを持っていて、そうであるが故に、覚えて置かなければならないことを、繰り返し学習して、本当に大切なものを記憶していけるようになっているのだとさえ。
そうしてみると、人の脳は非常に深遠かつ上手く出来ており、そこには、無限の成長が約束されているように思えてならない。
たとえ、万巻の書、十万三千冊の書籍の内容をすべて記憶できたとしても、その中から本当に大切なものを自ら選び取れ、という隠された意図を、このRGS14遺伝子は担っているのかもしれない。


物忘れとは永久にオサラバ!
スペインの科学者たちがスゴい発見をしたそうですよ。なんでも目で見たモノのことを決して忘れられないようにしてくれる恐るべき記憶力向上に役立つ薬が完成する可能性も高いんですって。もしやこれを飲めば超天才に?
学術雑誌のScience(サイエンス)に「Role of Layer 6 of V2 Visual Cortex in Object-Recognition Memory」として発表された今回の研究成果によると、上に図示された「RGS-14」として知られるタンパク質がネズミの脳内の視覚野に影響を及ぼすと、視覚を通じた記憶力の驚くべき向上が確認されたんだとか。通常は1時間しか見たモノを記憶できなかったネズミが、なななんと最長で2か月間経っても覚えていられるように進化を遂げてしまったということですよ。
つまり、このRGS-14を人間の脳の視覚野にも作用させられれば、もう目から入ってくる記憶を簡単には忘れられなくなるってことでしょうかね。ちょっと本当に副作用とかがないのかなどの詳しい検証も必要になるでしょうけど、RGS-14ベースの薬を飲んで挑めば、だれでも飛躍的な記憶力アップを体感できるようになるのかもしれませんね~
URL:http://news.ameba.jp/20110309-26/
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
と, 皆言うでしょうな.
白なまず
『超巨大「宇宙文明」の真相』の本には、アカシック・レコードと思われる記述があります。、、、、このサイコスフィアは明らかにアカシック・レコードのことです。
東洋的に言えば、虚空蔵のことです。
【天才へ導くバイブレーション 】
http://plaza.rakuten.co.jp/sinkuro/diary/200806290000/
ス内パー
白なまず様
虚空求聞持法や記憶術は基本的に脳内の整理整頓及び一時記憶容量の拡張(パソコンでいうデフラグとメモリの最適化)の術なんでこの遺伝子を直接無効化するわけじゃないですね。
なお記憶というものは基本的に関連づけの浅いもの=無用なものとして優先的に消去される傾向にあるので関連づけを強化するというのが記憶術の基本原理です。