海賊の身柄引き渡しとウラン・ロード
3月5日、アラビア海北部、オマーン東方沖約740キロを航行中の商船三井が運航するバハマ船籍のタンカー「グアナバラ」が海賊とみられる小型船に襲撃された。
救難信号をうけ、急行した米海軍によって、海賊4人は拘束されたのだけれど、米海軍から海賊4人の身柄引き渡しを受け、日本に移送する方針で調整している。
海賊は、2009年7月に施行された海賊対処法に基づいて処分されることになるのだけれど、政府は身柄引き渡しに備えて、海上自衛隊の護衛艦が停泊しているオマーンに、東京地方検察庁の検事や通訳あわせて数人を派遣する。日本の関係船舶を狙った海賊の拘束は今回が初めてになる。
拘束した海賊の国籍が何処なのかについては、情報がなく分からないのだけれど、仮にソマリア人だったとすると、捕まえた後の処遇が少々厄介になる。
というのも、一般的に、海賊を拘束、逮捕した場合は、沿岸国や当事国の治安機関、警察等に身柄を引渡して、捜査、裁判となるのだけれど、ソマリアは、暫定政府はあるものの、事実上無政府状態に近く、海賊の身柄を引き渡しても、これを裁く力もなく、野放しになっているのが現実。
そこで、EU、米国、カナダ、デンマーク、中国、英国などが、自身の艦船が捕まえた海賊を、ソマリアの隣国であるケニアで裁判にかけ、有罪になった海賊をケニア内の刑務所で刑に服させることをケニア政府と合意している。
ケニア政府は、海賊身柄引き受けの見返りに、国連機関から計100万ドルの支援を受け取ってきたのだけれど、手続きの遅れが問題になっている裁判制度や、過密状態の刑務所を抱え、2010年に身柄引き受けをギブアップ。海賊の受け入れを拒否するようになった。
その結果、どの国も海賊の身柄を引き受けたあとの処置に腐心している。
今年の1月に、韓国の船が海賊に乗っ取られた事件があったけれど、拘束した海賊5人の処罰に関しては韓国政府は頭を抱えた。当初、ケニアやオマーンに海賊を引き渡して処罰してもらうことも検討したようなのだけれど、ケニア、オマーンが、裁判と処罰に伴う費用と政治的な負担から難色を示し、結局韓国本国に移送することになった。
まぁ、少しも減らない海賊に関して、ソマリアの周辺国が費用やイザコザの面倒を見るのはもう嫌だと投げ出す気持ちも分からないではないけれど、遠くアラビア海から、日本や韓国に身柄を拘束した海賊を運んでくるのもタダではできない。
一度や二度ならともかく、こうした海賊の襲撃が毎週のように行われ、そのたびに拘束しては本国に連れてくるなんて、それこそ堪ったもんじゃない。
だから、もし襲撃を受けたとしても、船に乗り込ませることなく、追い払うことができたら、そのほうがいい筈なのだけれど、そこは商船の悲しさ。武装もしていなければ、タンカーなどは足が遅いから海賊からは絶好のカモ。
したがって、今後ますます、アラビア海沿岸を航行する船をいかに護衛するかが大事になってくると思われる。
その一方で、やはりというか、シーレーン以外の輸送ルートを模索する動きも出てきている。
たとえば、中央アジアやカザフスタンで採掘したウランをロシアで濃縮し燃料化したあと、シベリア鉄道を使って、日本に輸送するルートの開発が進んでいる。
この計画は日本政府が電力会社や核燃料加工会社などと共同で進めているもので、カザフスタン産のウラン鉱石を、ロシアのシベリア南東部アンガルスクにある国営ウラン燃料会社の濃縮工場で燃料化してからシベリア鉄道でナホトカ港に輸送し、船に積み替えて日本に運ぶもので、今秋に輸送試験を計画している。
もし、このルートが開発されれば、これまで、フランスや英国などの濃縮工場に運ばれてから燃料化された後、中東のホルムズ海峡やインド洋経由で約2か月かけて船で運ばれているところが、約1か月で届くようになるという。
これは、まさしく「サブマリンレーンとシベリア新幹線」で指摘した内容に極めて近い。ウランが運べるのなら、天然ガスや石油だって運べないことはない。
今は、ロシアとの関係が拗れているというところもあるのだけれど、こうした部分については、粘り強くすすめ、ルートを開発してほしい。
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オマーン沖のアラビア海で、日本の海運会社が運航するタンカーが海賊に襲撃された事件で、検察当局は、アメリカ軍が拘束した海賊の身柄が日本側に引き渡された場合に備えて、8日にも東京地方検察庁の検事をオマーンに派遣することを決めました。
この事件は、今月5日、オマーン沖のアラビア海で、商船三井が運航するタンカー「GUANABARA(5万7462トン)」に海賊4人が乗り込み、駆けつけたアメリカ海軍の部隊に身柄を拘束されたものです。政府関係者によりますと、アメリカ海軍から、この海賊4人の身柄を引き受けられないかという打診があり、海賊対処法に基づいて処罰するため、日本に移送する方法について検討を始めているということです。このため、検察当局は、身柄が引き渡された場合に備えて、海賊対策のため海上自衛隊の護衛艦が停泊しているオマーンに、8日にも東京地方検察庁の検事や通訳あわせて数人を派遣することを決めました。検事らは、現地で海上保安庁と協力し、乗組員ら関係者から事情を聴いたり、タンカーの損傷状況を調べたりするものとみられます。
URL:http://www.nhk.or.jp/news/html/20110308/t10014522431000.html
カザフ産ウラン輸入で新ルート=ロシア極東経由、輸送試験へ-海賊などのリスク回避
【モスクワ時事】中央アジア・カザフスタンで採掘したウランをロシアで濃縮し燃料化、ロシア極東経由で日本に輸入する新ルートを開拓するため、日本政府が電力会社や核燃料加工会社などと共同で今秋に輸送試験を計画していることが分かった。関係者が3日、明らかにした。
カザフ産ウランは現在、英国やフランスなどで燃料化し、スエズ運河経由などで日本に海上輸送されているが、海賊やテロのほか、緊迫する中東情勢の影響も懸念される。ロシア極東経由の新ルートが開設されれば、こうしたリスクが回避され、ウラン燃料確保に役立つ。
日本側は、ロシア国営原子力企業テフスナブエクスポートの協力を得て新ルートの事業化調査を行い、極東沿海地方のナホトカ、ボストチヌイ、ボリショイカーメニの3港が利用可能との結論が2月末にまとまった。(2011/03/03-20:01)
URL:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201103/2011030300929
この記事へのコメント
almanos
クマのプータロー
白なまず
ひふみ神示 第29巻 秋の巻 第十五帖
何程 世界の為ぢゃ、人類の為ぢゃと申しても、その心が、我が強いから、一方しか見えんから、世界のためにならん。人類の為にならんぞ。洗濯ぢゃ洗濯ぢゃ。自分が生んだもの、自分から湧き出るものは、いくら他に与へてもなくならんぞ。与へよ、与へよ、与へてなくなるものは自分のものでないと申してあろう。無くなると思ふのは形のみ見てゐるからぢゃ。カラのみ見るからぢゃぞ。本質は無限に拡がるぞ。与へる程よりよく、神から与へられるぞ。井戸の水のようなもんぢゃ。汲めば汲むほどよくなる仕組。
ちび・むぎ・みみ・はな
ここは少し無理がある. エネルギの体積比率が違うので,
ガスや石油ではパイプラインが必要.
しかし, それはそれで面白いかも知れない.