前原外相辞任の意味と余波
前原外相が、7日、政治資金規正法が禁止している外国人からの献金を受けていた問題で、辞任を表明した。
辞任にあたっては、菅首相が2時間近くかけて慰留をしたのだけれど、本人の意思は固く、辞任となった。前原氏の周辺からは、前原氏は、3日に違法献金問題を参院予算委員会で取り上げられることを察知した時点で、事態の深刻さを認識し、辞意を固めていたとの噂がある。
一方、前原氏は、今回の違法献金問題だけではなくて、別の献金や朝鮮総連との関係も取り沙汰されていて、そこを突かれたらとても持たない事が分かっていたので、その前に辞任したのだ、という観測もある。
本当のところはどうなのかは分からないけれど、少なくとも、今回の献金だけをとっても、政治資金規正法に違反している可能性が極めて高く、もしも、違反が確定すれば、5年間の公民権停止となるから、事の重大さを鑑みれば、辞任も止む無しというところ。
それでも、責任をちっとも取らない民主党にあって、曲りなりとも責任を取る姿勢を示す人がいたことだけは評価できる。ただ、これで、前原氏の後継首相の目が無くなったのは確実で、しばらくは大人しくしている他ない。
同時に、民主党は、菅首相から前原氏にスイッチして、政権を延命させるという選択肢も失ったことになる。
というのも、前原氏以外に後継首相に名が挙がる可能性のあった、岡田幹事長は度重なる地方選でボロボロになっていて、春の統一地方選での惨敗が予想されていることから、岡田氏を後継首相に押す声は聞こえてこないし、また、選挙管理内閣として一時名前の挙がった、野田財務相にしても献金問題を抱えているから擁立しにくい。
今や、民主党は、首相を張れるような人材が払底している。いわば、"そして誰も居なくなった"の世界に入りつつある。荒野の真ん中に菅首相がぽつんと立っているような状態に近い、と言った方がよいかもしれない
もしかしたら、菅首相は「どうして誰も俺を支えないんだ」と思っているかもしれないけれど、これまでの菅氏言動を鑑みれば、自業自得とでもいうべきもの。
自らの責任を取ることもなく、ましてや泥をかぶることもなく、都合が悪くなると逃げ回り、他人に丸投げするばかり。これでは、一度求心力を失ったら、取り戻すのは難しい。
それにしても、後継の外相に、枝野官房長官を充てるとはどういうことなのか。官邸を離れることができない官房長官を外相なんて、外国に対して、日本は外交しませんよ、と言っているようなもの。
事実、枝野官房長官が「官房長官が臨時代理として海外に出るのは基本的に難しい」といっているから、まず機能しないのは明らか。
尤も、後任人事にあたっては、参院予算委員会のまっただ中で、新大臣が答弁に向けた勉強を行う余裕もなく、また、支持率が低迷している泥舟内閣に乗る人もいない、という事情に加え、後任をできるだけ早く選ぶとの菅首相の意向で、止む無く、暫定で枝野氏の外相兼任となったようなのだけれど、泥縄の印象は拭えない。
もっぱら、松本剛明外務副大臣の昇格を軸に後任の調整を進めているとのことだけれど、泥舟と化した菅政権に乗っかってくれるかどうかは分からない。
こんな状態では、海外も、日本との外交はしばらく棚上げにするだろうと思われる。いつ倒れるか分からない内閣を相手に外交交渉したところで、当てにはならないから。
むしろ、外交不全に陥った日本をいいことに、自国に有利なようにどんどん既成事実を積み上げてくる可能性が高い。
事実、ロシアの北方領土への対艦・対空ミサイル配備に見られる実効支配の強化や、中国の沖縄の琉球自治区宣言など、着々と既成事実を積み上げようとしている。
だから、菅首相が政権にしがみつけば、しがみつくほど、日本の領土が侵食され、奪われる可能性が高まってゆく。
最早、事態の打開の為には、解散か総辞職かの選択しかなくなってきた。
だけど、前原氏が脱落した今、ここでもし、菅首相が、内閣総辞職を選択したら、党の実権が鳩山-小沢ラインに渡る可能性がある。菅首相がそれを否とするなら、残るは自爆解散しかない。
このままズルズルと政権にしがみついたとしても、野党が国会で、政治と金の問題を追及して、閣僚の辞任ドミノを狙ってくるだろうし、更には、首相問責決議案を出すことだって考えられるから、いつまでも、このままでいられるとは思えない。
前原氏は、「文芸春秋」4月号のインタビューで、今年中の衆院解散・総選挙の可能性を問われ、「あった方が日本のためになるかもしれない。菅首相が日本の国益を基軸に決断すべき事柄だ」と答えているし、岡田幹事長は、自民党の石原幹事長に対して、「追い詰めていくとあの人は解散しちゃいますよ」と話したというから、もう、民主党幹部からして解散やむなしの認識でいる。
もしも、菅首相が、今後のビジョンもなく、首相でいること自身が目的と化しているのであれば、これ以上首相でいても、日本は現状維持すら出来なくなる。
最初で最後の、"自ら身を切る"決断を求む。
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前原辞任―まだある自民党に握られてる献金話 2011/3/ 7 15:07
「この問題だけなら乗り切れるんだけど、まだ………(点々々)があるのですよ」(田崎史郎・時事通信解説委員)
ポスト菅の有力候補と見られていた外相の前原が6日夜(2011年3月)に辞任した。法律で禁止されている外国からの献金問題を参院予算委員会で追及されてから2日後の電撃辞任だが、裏にどんな「………」があるのか。
支援企業と訪朝2回
キャスターの小倉智昭は外相辞任を納得しかねる表情だ。
「自分では献金を知らなかったと言っているし、前原さんと焼肉屋のおばちゃんの関係を考えると、このことで辞める必要があったのといいう意見が一部で伝えられています」
これに田崎は「5、6日の午前中まで総理周辺で取材したが、この問題だけでなら乗り切れるが、もう一つというか、二つ別の問題がある」と言い出した。
「前原さんは1992年と99年の2回北朝鮮を訪れた。とくに99年には地元(京都1区)の支援企業と一緒に訪れており、その関係で何かあるとか、全く別の献金があるという材料を自民党が握っている。この問題が表に出たらもう持たないと判断した」
閣僚のドミノ辞任
小沢元代表の党員資格を停止して再スタートを切ったはずの菅内閣だが、専業主婦の年金救済策に関する課長通達を細川厚労相が知らなかったりして、閣僚のドミノ辞任につながりかねない状況に追い込まれてしまっている。
IT会社社長の夏野剛「(菅首相の)リーダーシップが感じられない。このまま進むと大変なことになりと思う」
田崎「『政治とカネ』『政治主導』の金看板の2つが傷ついてしまって、政権はますます厳しくなるということでしょう」
小倉が「日々どんどん悪くなってしまう気がしてしょうがないんですが、どうなるんでしょうか」
URL:http://www.j-cast.com/tv/2011/03/07089778.html
前原辞任、実は「泥舟から逃げた!」暴力団絡みの疑惑も浮上 2011.03.07
「ポスト菅」の筆頭格だった前原誠司外相(48)が、政治資金規正法が禁止している外国人からの献金を受けていた問題の責任を取り、辞任を表明した。菅直人首相(64)による2時間近くの慰留も固辞した。「国会情勢を踏まえ、外交の空白をつくらないことも考慮した」などと語っているが、実は、自民党などの野党やマスコミが、新たな疑惑・問題を追及する直前の辞表提出だった。
週明け7日の参院予算委員会。野党各党は前原氏を徹底追及する構えだった。4日に違法献金を暴露した、自民党の「新爆弾男」こと西田昌司参院議員も「朝鮮総連との関係を含めていろいろある。そこをやる予定だったが、勝手に自爆して…」と、二の矢、三の矢があったことをチラつかせた。
新聞や週刊誌もツメを研いでいた。自民党ベテラン議員は語る。
「某大手新聞で先週、前原氏の新たな疑惑掲載について、政治部と社会部が大バトルを展開したようだ。政治部は『有望な政治家を潰すべきじゃない』という主張で、社会部は『新聞は取材した事実を書くべき。それで報道機関を名乗れるのか!』などと反発したらしい」
まさか、某大手新聞が筆を曲げたとは思いたくないが、他の新聞や週刊誌も、暴力団関係者による献金疑惑や北朝鮮との不透明な関係などに迫っていたのは事実。「前原氏の父方、母方の家系を4代さかのぼって徹底調査したメディアもあった」(同)
そもそも、前原氏の「献金を知らなかった」という釈明・弁明は信じられるのか。多くの国会議員は、お中元やお歳暮、バレンタインのチョコレートに至るまで、誰に何をもらったかを一覧表にしている。会った時にお礼を言うためだ。献金者をチェックしないのは非常識といえる。
国籍の確認についても、自民党の河野太郎衆院議員は自身のブログに「献金をいただく際に、お送りする資料の中で、日本国籍をお持ちですかと注意を促している。ご住所が外国であったり、お名前がジョンソンさんとかスミスさんという場合には、重ねて日本国籍をお持ちですかと確認させていただいている」と記している。これが普通の政治家なのだ。
前原氏は6日午後、都内のホテルで、自身が率いるグループ「凌雲会」幹部らと対応策を協議した。この席で「続けるべきだ」という慰留論とともに、「あっさり辞めた方が傷は浅くて済む」「問責決議までいったら致命的だ」という意見もあったという。
違法献金発覚から、わずか3日での辞任表明について、民主党内では「泥舟の菅内閣から逃げ出した」(参院幹部)、「暴力団絡みの疑惑噴出を恐れたのだろう」(小沢一郎元代表周辺)といった見方も広がっている。
URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110307/plt1103071135000-n1.htm
「ポスト菅」目前 痛恨の退場 2011.3.7 01:01
前原誠司外相(48)にとって外国人からの違法献金発覚による今回の辞任劇は、平成18年に「偽メール事件」で民主党代表を辞任したのに続く2度目の大きな挫折となった。しかも今回は「ポスト菅」の最右翼の呼び声が高い中での辞任だけに、ダメージは計り知れない。
偽メール事件当時、辞任まで約1月半かかった往生際の悪さと比べ、今回は潔さが目立った。前原氏は違法献金が4日の参院予算委員会で取り上げられることを3日に把握した。事態が深刻であることを覚悟したようで、周辺は「この時点で辞意を固めていた」と証言する。
前原氏の性格は「熱が入ると冷静さを失い、けんか腰で相手を責める短気さがある」と指摘されてきたが、4日の答弁では淡々と献金の事実を認めた。
偽メール事件のときはメールそのものの真偽が疑われていた段階でも、前原氏は「(国会での)明日の議論を楽しみにしていただきたい」と大見えを切った。結局メールは偽物と判明、代表を辞任する脇の甘さを露呈した。
だが、痛手は今回の方がむしろ大きい。偽メール事件当時は43歳で、「若さ」を理由にすることができた。今回は政権の重要閣僚を務め、報道機関の世論調査で「首相にふさわしい政治家」として、トップにまで上り詰めていた矢先のことだった。
「早く辞めたほうが将来のある身なのでよかった」(側近)との声もあるが、「1度ならず2度までも」という印象は強く残る。再起をはかる今後の道のりは険しいものになりそうだ。 (酒井充)
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110307/stt11030701010002-n1.htm
後任は枝野氏が当面、臨時代理 人材不足に加え、泥舟内閣になり手なく 2011.3.7 09:27
政治資金規正法が禁じる外国人からの政治献金を受けていた問題の責任をとり辞任した前原誠司外相の後任人事について、菅直人首相は7日、枝野幸男官房長官に当面、臨時代理を務めさせることを決めた。
菅首相は6日深夜に岡田克也幹事長と会談し、前原氏の後任人事について意見交換した。松本剛明外務副大臣の昇格や岡田氏の再登板も取りざたされたが、枝野氏の兼務で落ち着いた。
参院予算委員会のまっただ中で、新大臣が答弁に向けた事前勉強を行う時間的余裕はない上、「人材不足に加え、あえて泥舟内閣に乗り込もうという党幹部はいない」(民主党幹部)ことも影響している。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110307/stt11030709270005-n1.htm
枝野氏「私は海外に行けない。首相は『後任できるだけ早く』と…」2011.3.7 11:49
前原外相の辞任を受け、外相臨時代理となった枝野幸男官房長官は7日の記者会見で、「首相からは『後任をできるだけ早く選ぶ』との話だった。官房長官が臨時代理として海外に出るのは基本的に難しい」と述べた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110307/stt11030711500008-n1.htm
岡田氏が解散の可能性に言及…自民・石原幹事長
自民党の石原幹事長は4日、神奈川県藤沢市での党の会合で、「民主党の岡田幹事長から『追い詰めていくとあの人(菅首相)は解散しちゃいますよ』と言われた」と述べ、岡田氏が同日、衆院解散・総選挙の可能性に言及したことを明らかにした。
石原氏によると、岡田氏はまた、赤字国債発行のための特例公債法案について「なんとか賛成してもらえないか」として、成立への協力を求めたという。
(2011年3月4日21時13分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110304-OYT1T01044.htm?from=nwla
前原氏、文春に解散「あった方が日本のため…」
民主党の前原誠司前外相が10日発売の月刊誌「文芸春秋」4月号のインタビューで、今年中の衆院解散・総選挙の可能性を問われ、「あった方が日本のためになるかもしれない。菅首相が日本の国益を基軸に決断すべき事柄だ」と述べていることが分かった。
前原氏は菅首相の政権運営について「小泉元首相は郵政解散の時、『殺されてもいい』と言い切った。菅首相も、何にこだわりを持って首相を続けていくのか、『殺されてもいい』ぐらいの気概で語れるかにすべてはかかっている」と語った。
(2011年3月7日23時24分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110307-OYT1T01082.htm
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