2011年度予算案衆院通過
2011年度予算案が、3月1日未明の衆院本会議で、民主、国民新両党などの賛成多数で可決、衆院をどうにかこうにか通過した。
もちろん、すんなりといったわけではなくて、通過したのは、予算案のみで、関連法案は予算案と切り離して、別途提出する見込み。更には、本会議の採決では、先日、民主党会派から離脱を宣言した造反16人組が欠席したから、予算関連法案については、衆院再可決の見込みは、ほぼ断たれたことになる。
採決にあたっては、民主党の国体幹部が造反16人組に対して、「絶対に反対だけはするな」と説得を続けていたそうなのだけれど、16人組の一人は、「『神の声』があれば出るのですが……」と、涙声で答えたという。
まぁ、造反16人組にとって、誰が『神の声』になるのかは、言うまでもないだろうけれど、起訴されて尚、そこまで影響力を残している御仁を完全に敵に回してしまっている時点で、菅首相の統治能力の限界が垣間見える。
今や、菅首相の政権運営に対する疑問の声は与党幹部にも及び、民主党の最高顧問である、渡部恒三氏は、2月26日に、「予算を通すことを、民主党より菅君よりも何よりも最優先に考えなければならない」と、菅首相の退陣も選択肢になりうると発言しているし、予算案を関連法案と切り離して採決したことに対して反発を強める野党に配慮したのか、西岡参院議長は2011年度予算案の受理を「2日」とした。
一応、予算案は、参院受理日当日を含めて、30日以内に議決されなければ自然成立する、となっているから、31日ある3月であれば、2日の受理となっても、予算案はギリギリで年度内に自然成立する。
だけど、これまで、予算案は衆院通過と参院の受理を同じ日とするのが慣例で、日付が異なったことは前代未聞で、これが通用してしまうと、今後参院側で受理を意図的に遅らせて、予算成立を引き延ばすことができるようになるから、あとあと禍根を残すことになると思われる。
今後、もし、民主党が野党に転落したとき、民主党が参院で第1党の議席を持っていたら、今回と同様に、受理を遅らせて自然成立を妨げることも有り得る。
だから、どの党が与党になったとしても、ねじれ国会での政権運営は、より難しいものになると思う。
さて、予算案は参院で受理されたものの、関連法案は成立の目途が立っておらず、予算案の衆院での可決の際に欠席した造反16人組に対して、枝野官房長官あたりは、厳正な処分を行うと息巻いていたのだけれど、蓋を開けてみれば、6か月間の「党員資格停止」処分や「厳重注意」という措置という大甘裁定。
党内では、「甘すぎる」との見方も出ているようで、連戦連敗を続ける地方選といい、岡田幹事長に対する風当たりも強くなるだろう。
もう、内閣も、執行部もボロボロ。
民主党の安住国対委員長は3月2日に、自民党は必ずしも野党の代表ではない、として、各委員会で自民党以外の野党との交渉を重視するよう指示したそうなのだけれど、国対委員長が野党との交渉をやらずに、委員会に丸投げするなんて、自分の仕事を放棄するようなもの。終わっている。
なぜこうも、民主党は、野党に配慮できない人ばかり、ポストに就けるのか。その意味では、予算案受理を一日遅らせるという前代未聞の対応をした、西岡参院議長が非常にマトモに映ってしまうくらい。
菅内閣は、なんとか公明党を取り込もうと、子ども手当法案で、公明党の案を丸飲みするという大幅譲歩の策も上がっているようなのだけれど、肝心の公明党は、子ども手当法案の修正協議に応じない方針を固めている。
その理由は、公明党の案を軸に協議をしたとしても、今度は民主党がその線で纏まることはないと判断したからだという。つまり、迂闊に協議に応じて民主党内の造反で否決されたら、今度は公明党の信頼が損なわれるからだ、と。
つまるところ、菅政権が行き詰っているのは、党内に反対分子を抱えて、民主党が一枚岩になっていないことが原因で、それが野党の協力を得る際の最大の障害になっている。
だけど、それもこれも、菅首相が党内に敵を作って、それを叩くことで、自らの立場を守ったやり方に起因していて、結局は自分へのブーメランに苦しまされている。
菅首相が、見苦しく首相の座に齧り付けば齧り付くほど、民主党は崩壊してゆく。菅政権、持って瞑すべし。
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この記事へのコメント
八目山人
衆議院と参議院が同じ選挙制度になってしまっている現在、衆参が捩じれて議会が機能不全となる事を憲法は想定していない。
今の政治体制を考えれば、捩じれ現象がこれから続出するものと考えられる。
よって早急に憲法を改正して、衆参がねじれた場合でも重要法案を通す事が出来る様に制度を変える必要がある。
almanos
sdi
「法律の条文に『やってはいけない』と書かれてないことはやっていい」という民主党らしいやり口ですね。民主党シンパの方々は「予算案が通ってよかった」と囀ってますが、確かに衆院採決と1日ずらしの受理で「一度も」参院で予算審議しなくても予算案は3/31に自然成立しますね。しかし、関連法案も同じ手口で成立させるつもりなんだろうか。