激変するアラブ諸国
チュニジアのジャスミン革命がもたらした民主化運動は、中東全域に拡大している。
チュニジア、エジプトは既に政権打倒され、リビア、イエメン、バーレーンでは政権と反政府運動が全面対決。そして、モーリタニア、アルジェリア、ヨルダン、イランでもデモが続いている。
民主化ドミノどころか、ちゃぶ台を返す勢いで民主化運動が沸き起こっている。
中東アラブ諸国といっても、その政体は様々。次に、アラブ諸国の政体の一覧を示す。
これを見る限り、王制あり、議院内閣制あり、大統領制ありと実に多様に富んでいる。だから単純に政権を打倒して、暫定政府を樹立したからといって、そこに現われる"民主化"した政府は、どの国も一様に同じになるとは限らない。
例えば、チュニジアのジャスミン革命では、ベン=アリー大統領がサウジアラビアに亡命して、政権が崩壊し、後を継いだガンヌーシ首相がフアド・メバザを暫定大統領に任命して暫定政権を発足したのだけれど、ガンヌーシ首相、メバザ暫定大統領共に、亡命したベン=アリー前大統領と同じ立憲民主連合のメンバーであることから、ベン=アリー氏出国後も旧政権関係者の完全排除を求めるデモが続いている。
また、エジプトでは、ムバラク大統領の辞任後、エジプト軍最高評議会が全権を掌握して憲法を停止。半年以内の憲法改正と大統領ならびに議会の選挙を行うとしているけれど、具体的にどんな形になるかは、今の時点では分からない。
2月23日には、サウジアラビアのアブドラ国王が、バーレーンの反体制デモがサウジアラビアに波及するのを警戒して、バーレーンのハマド国王と湾岸情勢を協議したのだけれど、身内であるサウジアラビアのワリード・ビンタラール王子は、ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、「アラブ諸国の政策決定は常に少数の人々に限定されており、抜本的に政策を変える必要がある」と指摘している。サウジ王家内でも民主化運動の波に揺れている。
もしも、サウジアラビアやバーレーンのように、政党が禁止され、行政権と立法権が国王に帰する国で、民主化革命が成功したとしても、その姿が、大統領制なのか、議院内閣制になるのか、いかなる"民主化"なのかは定かじゃない。
要するに、中東アラブ諸国の民主化といっても、何を持って"民主化"というのかまだ固まっていない状況。
まだまだ、中東の混乱はこれからだと言っていい。
中東アラブ諸国には、チュニジア、レバノン、エジプト、サウジアラビア、バーレーンなど親米国家があるのだけれど、今回の中東民主化運動で、大きな事件はなんといっても、エジプトの親米ムバラク政権が打倒されたこと。
これは、色んな方が指摘していることだけれど、エジプトの親米政権であるかないかは、即、イスラエルの安全保障に直結する。
イスラエルは、北をレバノン、シリア、東をヨルダン、南から西はエジプトに囲まれたところに位置しているのだけれど、レバノン南部を支配するヒズボラはイランの支援を受ける反イスラエル勢力だし、シリアは1967年の第三次中東戦争でイスラエルにゴラン高原を奪われて以来、国交は回復していない。
また、東のヨルダンは、同じく第三次中東戦争で、ヨルダン川西岸地区を失い、大量のパレスチナ人が流入した過去があり、今や、ヨルダン国民の半数余りはパレスチナ難民として流入した人々とその子孫となっているという。
一応、イスラエルとヨルダンとの間には、1994年に平和条約が結ばれているのだけれど、実は、ヨルダンに対して、アメリカがイスラエルと和平を結ぶなら、借金をすべて帳消しにするという約束をして、和平への圧力をかけたという背景があり、ヨルダン国民の大半はイスラエルを「敵」とみなしているともいわれている。
そこへ、今回のエジプトの政変。もしも、親米だったムバラク政権のあとに出来るのが、反米・反イスラエルの政権だったとしたら、イスラエルは周囲を敵対国家に囲まれることになり、安全保障上の危機に直面する。
溜池通信のかんべえ氏によれば、これまでイスラエルは、"エジプトは脅威ではない”との前提で国防計画を組んできたそうで、イスラエルの安全保障環境が根底から崩れるかもしれないと指摘している。
その一方、エジプト軍は長年アメリカの支援を受けてきて、アメリカナイズが進んでおり、アメリカの支援無しで戦争の継続はできないことから、今すぐにイスラエルの敵となることはないだろうとの観測もある。
とはいえ、エジプトが、親米国家でなくなり、親アラブとは言わないまでも、中立の態度を取るだけで、イスラエルにとっては脅威になる。
なぜなら、反イスラエル国の軍隊の領内通過を黙認することだって有り得るから。
事実22日には、イラン軍のフリゲート艦と補給艦が、エジプト暫定政権の許可を得て、スエズ運河を通過して、地中海に入り、シリア沖での訓練に向かっている。
イスラエルはこの動きを「挑発行為だ」として、静観する構えだけれど、いずれにせよ、イスラエルに対する包囲網という意味では、確実に狭まったことには変わりなく、今後の動きによっては、また戦争が起こらないとも限らない。
アラブ諸国及びイスラエルに激変の波が訪れている。
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サウジ国王が緊急帰国 バーレーンでデモ、自国波及を警戒 2011.2.24 10:04
【カイロ=黒沢潤】サウジアラビアのアブドラ国王が23日、療養先のモロッコから緊急帰国した。隣国バーレーンの王制を揺るがす反体制デモの波が自国に波及するのを防ぐため、テコ入れを図る。サウジにはバーレーンのハマド国王も訪問、アブドラ国王と湾岸情勢を協議した。
バーレーンに近いサウジ東部カティフ近郊では17日、イスラム教シーア派住民による小規模デモが起きた。裁判もなく住民が投獄されたためで、25キロの海上橋架で結ばれたバーレーンのシーア派住民のデモに触発された形だ。立憲君主制のバーレーンに対し、絶対君主制のサウジでデモが起きるのは珍しい。
サウジ東部はアルホバルなど油田地帯が多く存在する同国の生命線だ。
サウジでは今月上旬、当局の禁止措置にもかかわらず、弁護士ら9人が政党を創設すると発表するなど、民主化要求の動きが表面化した。女性の権利拡大を求める小規模デモも起きた。
アブドラ国王は諸改革に取り組むものの、伝統と宗教のしがらみで遅々として進まないのが現状。国王は23日、住宅や教育、社会保障関連の予算増額を発表したが、国民の不満を十分吸収できるとはかぎらない。
86歳とされるアブドラ国王の後継者は、がんを患っていると伝えられる83歳前後のスルタン皇太子だ。椎間板(ついかんばん)ヘルニア手術を受けたアブドラ国王は体調が万全でない中、国の“礎”として帰還を余儀なくされた。
イスラム教スンニ派で最も戒律が厳しいワッハーブ派を奉じるサウジは、同じスンニ派王家のバーレーンに対し、周辺のアブサファ油田開発に共同で取り組むなど、積極的に手を差し伸べてきた。
ハマド国王を23日、サウジに招いたのは、同日、政治犯ら約250人の釈放を始めるなど、デモ隊への譲歩を繰り返すものの混乱が続くバーレーンを支援するだけでなく、自国へのデモ波及を抑える策を見いだしたいからでもある。
サウジ王家は巨額の石油収入に支えられ、宗教界からの後押しも受ける。王家の基盤は簡単には揺るがないが、少なくとも危機感は募らせているもようだ。
URL:http://sankei.jp.msn.com/world/news/110224/mds11022410060009-n1.htm
アラブ諸国に変革要求 サウジ王子、米紙寄稿 2011.2.27 23:41
サウジアラビアのワリード・ビンタラール王子が27日までに米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、アラブ諸国の「政策決定は常に少数の人々に限定され、その結果はたいてい自己の利益に資するよう」意図されていると言明。多くのアラブ諸国は「抜本的に政策を変えなければ」市民社会の反発に直面する可能性が高いと指摘した。
絶対君主制であるサウジ政府の従来の政策を公然と批判したとも受け取れる内容。サウジ王室内部からこうした批判が出るのは異例だ。
王子は、アラブ諸国の政治制度は「時代遅れ」で「国民が何もせずに服従していると決め込むことはもはやできない」と主張。国民の政治参加や政治の透明性確保、女性や若者の権利拡大が不可欠だと指摘した。(共同)
URL:http://sankei.jp.msn.com/world/news/110227/mds11022723460017-n1.htm
この記事へのコメント
白なまず
一言で言えば、神が行う人間の品種改良です。
人が民草とすれば、地球は畑であり、神は民草を育てる為に水をやり、日光を充てる働きで全て歓喜を元にする。
随分大昔から神の畑で民草を育て、品種改良を続けてきた神。すでに過去7回も畑の改良、日光の改良、水の改良を行い、愈々8回目の畑、水、光の環境を変える段階に来た。
また、7回目の環境に於ける民草は、病気(思い病)に掛かり悪事で心を満たしている状態の者が数多くおり、健康な民草を害している。そこで、まずは健康な民草と悪病の民草を選別し、8回目の畑では健康な民草を育てたい。
悪病の民草はもう一度品種改良する為に過去の1~7までの環境の何処で栽培するのが相応しいか検討しそこで品種改良をやり直す。
8回目の環境では、民草のDNAは完全体にするので、今まで2本だった連鏈を4本にする。神のDNAを追加する。これで病気にならず、寿命も尽きない民草となり、神と同じ時間空間を意識せず魂の善なる八栄を経験する精神向上の道場へと進む。
そして、弥勒の世の終わりが来た時節、最後の道場である9回目の畑、水、光を構築し、9
ちび・むぎ・みみ・はな
不満が高じて暴れ回る内は良いが, 新しい国を
作るのは非常に困難.
多分, 多くの国ではイスラムを中心とした国家体制
を目指すのだろうが, イランがこれだし.
今のアラブであれば, 部族の共同体としての国家
と言う形でしか安定しないだろう.