校庭を除染せよ

  
「衝撃的だったのは、日本政府が福島の子供たちの許容被ばく線量の基準を高く設定したことだ」
アイラ・ヘルファンド医学博士 於:ワシントン

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4月27日、福島県郡山市で、放射線対策として、小学校などの校庭の土を取り除く作業を実施した。

筆者がニュースでこれを見たときは、民主党もやるときはやるのだな、と思っていたのだけれど、どうやらこれは、保護者の要望にこたえて郡山市独自の判断で行ったもののようだ。

これは、福島県などの事前調査の結果、表土を1~2cm除去すると、放射性物質が約9割除去されることから、今回表土を削るという対策を取ったという。

具体的には、福島県が4月5日から7日にかけて行った放射線量測定値の結果を基に、小中学校15校及び13公立保育所において、校庭の表面の土を厚さ3センチほど重機を使って除去したところ、放射線量は除去前のおよそ6分の1になったというから、効果は十分にあったといっていいだろう。

除去した土は、郡山市内の埋立処分場に埋め立てられるようだけれど、出来うるならば、県全体として、埋め立て地を確保して、汚染された土を一ヶ所に纏められればベストなのだろうけれど、市独自判断ともなれば致し方ない。



文部科学省は、小中学校などの屋外での活動制限の基準を3.8uSv/hを出しているのだけれど、これは、1年間では33.288mSv/yとなる値で、ICRPの一般線量基準はおろか、政府の出している年間20mSvをも上回る値。

尤も、この文部科学省の基準は、保育所、幼稚園、小学校は50㎝高さ、中学校は1m高さの空間線量率で判断するとされており、背丈が低い子供に配慮した基準だと思われる。

だけど、郡山市は、表土を除去する基準として、この高さではなく、もっと安全面を重視して、すべて1cm高さで判断している。

しかも、小中学校については、文科省と同じく3.8uSv/hを採用するものの、保育所等については、郡山市独自に3.0uSv/hを適用したという。

実際、市内の校庭の線量がどれくらいあるかについては、郡山市のHPで公表されているけれど、次に一部引用する。

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これは、4月5日から7日にかけて調査された結果なのだけれど、見て分かるとおり、2~5uSv/hと高い値を示している。だけど、これらの表土を削るだけで、線量が1/6になるということは、1uSv/h以下になるということだから、大いにやるべきだと思う。

実は、郡山市にある市立橘小学校は、独自に構内の放射線量を測定していて、4月22日の記事で「現在計測される放射線は、空気中に漂う放射性物質から放出されているものより、地面に付着した放射性物質から直線的に放出されるものの方が、かなり多いのではないかということです。」とコメントしているから、やはり表土の除去は相当に有効ではないかと思われる。だけど、残念なことにこの橘小学校の線量測定については、インターネット等での測定値の発表はしないようにと圧力らしきものがあり、現在公開は中断されている。

だけど、文部科学省はこの郡山市の動きに対して、「市としての独自判断だと思うが、事実関係を確認したい」と述べ、ほかの地域にある学校での表土除去の必要性について「その都度放射線量を計測して、基準以下であれば必要はない」としている。これはすなわち、子供達の年間被曝線量が20mSvでも問題ないという表明に等しい。

では、それほど言うのであれば、この20mSv/yという基準が問題ないのかということになるのだけれど、この基準を定めた根拠について、4月21日に福島老朽原発を考える会など3団体が、文部科学省と内閣府原子力安全委員会に対する基準値撤回交渉で質している。

その結果は驚くべきことに、交渉に出席した、文科省と原子力安全委員会の担当者は、労働基準法上18歳以下が働いてはいけないと決められている放射線管理区域の線量が年間5mSv以下であることすら知らず、20mSv/yが内部被曝を考慮していない値であったことなどが報告されている。

ただ、この交渉とは別に、原子力安全委員会の代谷誠治委員が、子供の被曝線量は、「成人の半分に当たる年10ミリシーベルト以下の被ばくに抑えるべきだ」と4月13日の記者会見で述べていたのだけれど、高木文部科学相は15日の閣議後会見で「委員の発言は、安全委全体の見解ではない。」として、20mSv/yの目標をそのままにしている。

だけど、文部科学省が20mSv/yという値の意味を知らずに基準を決めているのであれば大問題で、線量の高い小中学校の児童を疎開させないのであれば、対象の小中学校全てに対して、郡山市のように表土の除去を行うべき。郡山市の判断は全く正しい。




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画像【原発】“基準値超え”校庭の土の除去作業始まる(04/27 11:49)

 福島県郡山市の小学校などでは、放射線対策として校庭の土を取り除く作業が始まりました。小学校では、地表から高さ50センチのところの放射線量が国の暫定基準3.8マイクロシーベルトを超えています。そのため、表面の土を厚さ3センチほど重機を使って除去しています。

 対象となるのは、郡山市が独自に定めた放射線量の基準を上回る市内28カ所の小中学校や保育所のグラウンドです。このうち、放射線量が国の暫定基準とされる毎時3.8マイクロシーベルトを上回り、屋外活動が制限されている小学校では、児童の登校が終わった27日午前9時から作業が始まりました。郡山市では、独自に土の除去を始めた理由について、事前調査の結果、放射線量の減少が期待できるためとしています。取り除かれた土は市内の埋め立て処分場に埋められ、来月上旬にはすべての作業を終える予定です。

URL:http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/210427017.html



画像郡山市 校庭の土取り除く作業始まる

 保護者の要望にこたえて、子どもの安全のために実施に踏み切りました。福島県の放射量の調査で数値が高かった学校について、郡山市は独自に校庭の土を取り除く作業を始めました。

 校庭の土を取り除くことになったのは、福島県の調査で放射線量の高かった郡山市内の28か所の小中学校や保育所です。27日は、外での活動が制限されている薫小学校で、重機などを使って土の表面を3センチ程度削り取る作業が行われました。

 「困った状態が続いていたけど、いち早く対応してもらい、ありがたい」(郡山市立薫小学校 森山道明校長)

 表面の土を取り除いた後、放射線量を計測したところ、およそ6分の1に下がるという結果が出ました。

 郡山市では連休明けにはすべての作業を終わらせたいとし、取り除いた土は処分場に埋められる予定だということです。(27日17:52)

URL:http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4711168.html



画像文科相、福島・郡山の小中学・表土除去に「事実関係確認したい」 2011.4.26 13:21

 高木義明文部科学相は26日の記者会見で、原発事故を受けた放射線対策として、福島県郡山市が小中学校の校庭などの表土を取り除く方針を示したことについて「市としての独自判断だと思うが、事実関係を確認したい」と述べ、取り除いた土の処分方法なども含め、福島県を通じて詳しく事情を聴く意向を示した。

 また高木氏は、ほかの地域にある学校での表土除去の必要性について「その都度放射線量を計測して、基準以下であれば必要はない」と述べた。

URL:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110426/dst11042613220023-n1.htm



画像【原発】「子供の許容被ばく線量高すぎる」と疑問(04/27 11:51)

 ノーベル賞も受賞した国際的な医師の団体がワシントンで会見し、文部科学省が子供の1年間の許容被ばく線量の目安を「20ミリシーベルト」に設定したことに疑問を呈しました。

 アイラ・ヘルファンド医学博士:「衝撃的だったのは、日本政府が福島の子供たちの許容被ばく線量の基準を高く設定したことだ」
 ヘルファンド博士は、「子供の場合、がんになるリスクが成人よりも2倍から3倍高くなる」と指摘して、許容される被ばく線量の基準を引き下げるよう求めました。アメリカでは、原子力関連施設で働く人の1年間の許容量の平均的な上限が年間20ミリシーベルトとされています。

URL:http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/210427018.html



画像「子どもは半分」、文科相が否定=原子力安全委員表明の被ばく量

 福島県内の学校の安全基準をめぐり、原子力安全委員会の代谷誠治委員が「成人の半分に当たる年10ミリシーベルト以下の被ばくに抑えるべきだ」と述べたことを受け、高木義明文部科学相は15日の閣議後会見で「委員の発言は、安全委全体の見解ではない。目標は20ミリシーベルトで、(基準厳格化により)学校を頻繁に移動させることはできない」と話し、考慮の対象としない考えを示した。
 政府は大気中の放射線量による被ばくが年20ミリシーベルトに達する恐れがある地域を「計画的避難区域」とし避難を求める方針。代谷委員は13日の記者会見で、授業再開の目安について「少なくとも半分ぐらいとすべきだ」と述べた。しかし、文科相が14日の参院文教科学委員会で「基準は20ミリ」と答弁すると、代谷委員は同日の会見で「委員会決定ではなく、私個人の考えだった」と発言した。
 文科相は発言の修正は求めていないとしたが、安全委事務局を兼任する加藤重治文科省審議官が代谷委員の会見に同席し、「文科省が主体的に判断すべきこと」と強調する場面もあった。
 文科相はまた、文科省と経済産業省資源エネルギー庁が共同発行している小中学生向けの副読本に「大きな津波が襲ってきても、原発の機能が損なわれないよう設計している」などの記述があるとして、内容の見直しを表明した。(2011/04/15-13:37)

URL:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011041500243



画像2011-04-23福島の怒り、炸裂! ! ! ・・・・21日、文部科学省との交渉 政治 | 17:45 |

すごい!

福島老朽原発を考える会をはじめ3団体の呼びかけで21日、文部科学省との交渉が行なわれた、そのyou tubeです。



社民党が関係しているようですが、ぜんぜん政党くささがなくて、なんか、すごい完成度の高い、迫力ある演劇を見ているような・・・

必見。

若々しい二十代か三十代のエリート官僚たちは、うつむいてペーパーばかりめくりながら、早くも言い抜け術はマスター。

かわいそうではあるが、これじゃあ、将来の姿は見えてる。


以下は、you tube 投稿者の解説です。

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福島老朽原発を考える会をはじめ3団体の呼びかけで21日、文部科学省が児童の放射線許容量を年間20ミリシーベルトとする安全基準を出したことに関して、その数値を撤回­するよう交渉を行った。出席した文部科学省と内閣府原子力安全委員会の担当者は、ほとんどの質問に対して回答することができず、子どもの安全基準の根拠が不透明であり、き­ちんとしたプロセスがとられていない可能性があることが明らかとなった。



交渉に出席したのは、文部省のスポーツ青少年局学校健康教育課や原子力安全委員会事務局などの係長クラス4人。文部省の担当者に対して、主催者側から「20ミリシーベルト­が放射線管理区域よりはるかに上回るレベルであることを理解しているか」との質問に対し、「個人的に、放射線管理区域は存じていない」と回答。管理区域の線量レベルが年間­5ミリシーベルトであり、労働基準法上18歳以下が働いてはいけないことになっていることや、20ミリシーベルトは原発労働者が白血病になった際、労災認定されるレベルで­あることなどを知らなかったことから、会場からは「そんなことを知らずに決めていたのか」との声があがり騒然とした。

  

また、20ミリシーベルトという安全基準を誰が決めたのかとの質問に対し、内閣府原子力安全委員会の事務局担当者は、19日に内閣府原子力安全委員会が「問題なし」と決定­し、助言したと回答。しかし、5人の委員が会合を開いた事実はなく、また議事録も見たことがないという。更に、国の設定した20ミリシーベルトには食物などや土ホコリなど­による内部被ばくなどは含まれてないことがも判明し、再び会場は騒然とした。

 

1時間半近くにわたる政府交渉の結果、市民からは、子どもたちは既に校庭で遊び初めており、一刻も猶予がないとして、(1)20ミリシーベルトの基準を撤回して欲しい(2­)少なくとも、20ミリシーベルトを安全とする根拠や審議の過程等が示されるまでは、20ミリシーベルトを撤回して欲しい、との提起がなされた。これに対し、政府交渉の調­整にあたった福島瑞穂事務所は、すぐに入手可能な回答は今日21日の夕方までに、また新たに検討すべき回答は明日22日の午前10時までに回答を得るようにすると確約、政­府交渉は終了した。

 

OurPlanetTVがこの模様をUSTREAM中継をしたところ1300人が視聴。出席した担当者がほとんど回答できないことに対して怒りのツイートが相次いだ。また­、若い担当者しか出席しなかったことに対し、「なぜ責任者がこないのか」といった声が殺到。OurPlanetTVの事務所にも、「なぜ、文部科学省は責任者をよこさない­のか」と怒りの電話が入った。

  

学校などの放射能汚染に関しては、原発震災復興・福島会議が福島県に対して、0.6μSV/h以上の学校の授業中止と学童疎開を求めて要望書を提出している。

  

子どもの安全基準、根拠不透明~市民の追及で明らかに(後編)

http://www.youtube.com/watch?v=DUhlamqSQXg

http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/svh-652a.html

福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

http://homepage3.nifty.com/fukurou-no-kai/

グリーン・アクション

http://www.greenaction-japan.org/

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)

http://www.jca.apc.org/mihama/

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上記の動画掲載ブログは、



http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1012

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このブログ自体も面白そうですね。

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URL:http://d.hatena.ne.jp/amadamu/20110423/1303548320

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    原子力安全委員会! 東大の先生ばかりではないかな.

    いずれにしても, 政府・官庁の痴呆化が想像以上に
    進んでいる. TPPや復興税も痴呆性徘徊の一種か?
    原子炉緊急事態に責任者をUターンさせたりもしているし.

    「官僚性脳硬直症」-- 嘘付党が原因菌です.
    2015年08月10日 16:46

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