東日本復興への未来ビジョン

 
今日は、少し放談めいたエントリーかもしれませんけれども、復興への未来ビジョンについて考えてみたいと思います。

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1.復興計画にはコンセプトが必要

4月14日から、政府の肝入りで東日本大震災の復興構想会議の第一回が開かれました。6月頃を目途に第1次提言を取りまとめるようですけれども、基本方針には、「単なる復興でなく、創造的復興を期す」「明日の日本への希望となる青写真を描く」というものがあるので、単に原状復帰ではない構想を目指しているようです。

6月の提言がどんなものになるのかは分かりませんけれども、私なりに素人構想を述べてみたいと思います。

まず、復興のコンセプトです。

確かに、政府の基本方針にある、「単なる復興でなく、創造的復興を期す」や「明日の日本への希望となる青写真を描く」などは方針としてはよいのかもしれませんけれども、私にはもうひとつ足りないものがあるように思うのです。

それは、復興が目指すもの、復興した先にあるもの、すなわち、コンセプトが明確になっていないと思うのですね。"創造的復興"だとか"明日への日本の希望"だとかは、言葉としては綺麗に聞こえるのですけれども、何を持って創造的なのか、何が日本の希望なのか。いまひとつよくわからない。

まぁ、6月の提言が出てくれば、それが明らかになるのかもしれませんけれども、コンセプトが曖昧なまま会議を続けても、話が発散するだけで、はっきりとした方向性は中々見えてこないのではないかと思います。

復興会議の委員でもある各知事の方の発表資料を見ても、まぁ始まったばかりですから当たり前なのかもしれませんけれども、県の被災状況と、それらを如何に原状復帰させるかを中心に記されたものが多く、地元レベルでは、元の生活を送れるようにしたいというのが切々と述べられています。

ですから、普通に復興構想を進めるだけでは、元の生活に少し味付けを変えただけの復興になってしまう可能性があるのですね。

まぁ、それでもいいといえばいいですし、それこそが最優先で行うべきものだとは思うのですけれども、折角であれば、それに更にプラスアルファした構想を描きたいものだと思います。

そのためにも、もう一段、明確なコンセプトがあってもいいと思うのです。

では、そのコンセプトとは何か。




2.100年先を見据えたプランを

私なりに、構想としてあげたいのがあるとすれば、「100年先のまちづくり」というところでしょうか。たんなる現状復帰ではなくて、100年先の日本、つまり2100年の東北がどうなっているかをイメージして、そのための復興計画を立てるということです。

1923年の関東大震災後に設置された帝都復興院の総裁に就任した、後藤新平は、被災地を全て一旦国が買い取る提案や、100m道路の建設、大規模な区画整理、公園の設置、ライフラインの共同溝化など、革新的な近代都市計画を打ち上げています。復興予算として挙げた額は、当時の国家予算1年分にあたる13億円。いまなら90兆円規模にあたります。

実際は、当時の経済・政治状況から予算は半分になってしまいましたけれども、90年近く前に、これほどの構想を立てていた後藤新平の先見性は流石だと言わざるを得ません。

ですから、やはり東北の復興計画も、100年先を見据えたまちづくりを掲げてもおかしくないと思うのです。

では、100年先の東北はどうなっているか、になるのですけれども、それは、地元の人々のイメージは元より、国が国家として、東北地方を如何にデザインするか、という構想が大きく関わってきます。

国が、これまでのように、東北地方を一大穀倉地帯や漁業の町として考えるのか、それとも、更に別のコンセプトを持たせるのか。そうした構想によって、復興計画は全然違ったものになる筈です。

ただ、今回の東日本大震災は、これまでの震災とは大きく違う面があります。それは、原状復帰そのものが困難になっている、ということです。

具体的には、福島原発事故による放射能汚染によって、居住不適な地域が出来ていることと、将来的な電力の問題や土壌汚染による農作物および海洋汚染による海産物といった食糧問題が起こる可能性があるということです。

ですから、復興計画は、出来うるならば、これらの問題もセットで考慮した上での復興計画であるべきではないかと思います。

では、どんな復興計画が考えられるのか。

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3.「クリーン東北2100」構想

それは、もう、一言でいえば、クリーン技術の開発と普及、それらのモデルとしての東北。そうしたものがあってもいいと思います。

残念ながら、今の日本には、福島第一原発事故と放射能漏れによる周囲環境の汚染があり、そして、原発推進の停滞による電力不足が将来の問題として目の前に横たわっています。

これらを解決しないと今以上の発展は望めない。

ならば、復興計画そのものに、今後抱えるであろう問題解決手段を織り込んでしまえばいい。そうすることで、復興と課題と一緒に解決する。そうしたビジョンを示すことで、被災者の方々に、故郷に戻れるかもしれないという希望を持っていただく。そうしたことが大事だと思うのですね。

たとえば、福島まで東京からリニアを引いて、福島に、副首都を兼ねた大規模な研究学園都市を作る。そこで、太陽光、風力、地熱といった、クリーンエネルギーを研究開発したり、放射能汚染された土壌や海水をクリーンにする技術の実用化を国が全面的にバックアップして進めるのです。

それこそ、もう50兆や100兆くらいドーンと予算をつけて、各地の研究者を招いて、エネルギー問題や放射能汚染を解決するための研究と実用化を進めて貰えばいいと思いますね。

放射能であれば、大気中や土壌、海水の放射能を除去する装置を3年なら3年、5年なら5年で造ると計画する。政府も「日本はコスモクリーナーDを今後5年で開発します。福島を元のクリーンな大地に甦らせます」と、宣言してやられせばいいと思いますね。そして、放射能を除去する装置が出来れば、今度は、海外に原発とセットでそれを売り込むことだってできるわけです。

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また、エネルギー問題にしても、太陽光、風力もそうですけれども、100年先を見据えるならば、SPS(宇宙太陽光発電衛星)だってあります。宇宙太陽光であれば、天候を気にすることもありませんし、安定した電力供給が期待できます。

更に、副次効果として、SPSの開発を進めるということは、同時に宇宙開発を行うということですから、軍事的に転用が可能であることも考えると国防も一緒にやれるという利点もあります。

政府は、復興予算を捻出するために、増税やら何かや考えているようですけれども、そんな"しみったれた"ことを言わずに、100年先の国益を見据えて、超長期の無利子国債でも出せばいいと思いますね。

政府は、今回の地震と津波が、やれ100年に一度の災害だ、1000年に一度の天災だなんて言っているようですけれども、そこまで言うのであれば、日銀にでも買い取らせて、100年かけて償還する「100年国債」だってあっていいと思うんですね。

それに、こうしたクリーン技術の開発ができれば、他国にいくらでも売り込むことができ、50兆や100兆くらい簡単に儲けられると思うし、投資に見合った回収ができればよいわけです。仮に日本が放射能除去技術やSPS技術を開発すれば、世界から引く手数多の筈ですね。

それでも、国債は嫌だというのなら、これらニュークリーン技術開発計画をぶち上げて、海外から投資を募ってもいいと思います。投資してくれた国には、共同研究の権利を与えるとか、優先的に技術提供するとか、いろいろあると思います。

特に、今は、世界各国で原発見直しの動きがありますから、そこに、日本が放射能除去装置の開発に乗り出す、なんて言ったら、そのインパクトは相当なものになると思われます。

それくらいの構想を持って、復興計画を立てるのであれば、確かに創造的で、未来の日本への希望となるビジョンになると思いますね。

復興増税だなんだ、気にするものよいですけれども、未来に向かって大きく考えて構想を練るのも国家として大事だと思うのです。




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この記事へのコメント

  • 白なまず

    日本は、いや地球はガミラス星に成りたいのか?または、イスカンダル星に成りたいのか、それとも違う世界に成りたいのか?
    神のみぞ知るところでしょう。
    しかし、日本人は将来どの様な世界で暮らしたいか。
    今までのような暮らしが本当に暮らし良かったのか?
    正直な所分かりません。

    ・ほぼ万能な電気でお湯を沸かしたり保温したりする勿体ない使い方や
    便利だからと言って電気の使用量が増え続ける世界を続けたいのか?
    その為に発電源の増強を強いられている。電気でなくても出来る事は電気を使わない方法も有るのではないか?

    ・資本主義の元で一部の成金の思惑で将来の世界を決めるのが良いのか?
    その先には恐らくガミラス星のような世界が待っているだろうし。
    お金の尺度だけでは間違える。お金だけではなく、別の指標も導入すべきでは?

    ・イスカンダルの様な美しい自然で暮らしたいいと思うだろうが、何故か人は居なくなっている。
    水清くして魚すまず。。。人間の居ない世界が美しい世界なのだろうか?

    ・地球を生命体と捉えると、人間は細菌くらいの大きさで現代人はほぼ悪玉菌の現実。
    人間は体内の細菌バランスを取るために様々な食品等
    2015年08月10日 16:46
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    安心して住める町造りと信頼できる交通網
    の整備が重要課題です.

    理想主義と言うのは得てしてピントがずれて
    しまうものなので, それ以上は東北日本海側
    三県で決めるのがよい.
    今回のように反応生成物が直接に降り注いだ
    わけではない場合には放射能は以外と早く
    消えるものだと思う. 広島・長崎から
    学ぶべきことはこのことでしょう.

    だから, 基本コンセプトは
    「1000年に一度の災害にも耐える安心の東北.」

    1000年だとコンクリートの堤防を作って終り
    と言う訳には行かないので, 土木工学の目標
    としては非常に挑戦的. 他地域への波及効果
    も大きいと思う.
    2015年08月10日 16:46

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