風評とマスコミと正しい情報

 
「テレビ局は地震が発生した場合、災害の予防、被害を抑える報道をしないといけない」
早河洋・テレビ朝日社長 於:3月29日 定例会見

画像


テレビ朝日は3月29日の定例会見で、東日本大震災発生後、CMをなくして放送した報道特番は約74時間で、20億円弱の減収になるとコメントした。

これは、震災特番でCMを無くしたことによるスポンサーへのCM出稿料の返還が発生したことと、近頃の自粛ムードに大口スポンサーがCMを自粛していることも関係している。

スポンサーがCMを辞退した場合、その穴埋めに使われるのがエーシー、旧称"公共広告機構"。震災後、何度もACの広告が流され、耳にタコがポポポポーンとできるくらい聞かされている。最近でこそ、少し減ってきたものの、東京都にある民法キー局が地震後にCM放送を再開してから3月16日早朝までに放送した8173本のCMのうち、77%がACの広告で占められたそうだ。

先のテレビ朝日の例では、震災特番を74時間流したとのことだけれど、3月11日から29日までの18日間で74時間流したと仮定すると、一日あたり4.1時間。それで20億円の減収ということだから、一日あたり1.1億円分の損失を出し続けたことになる。これは馬鹿にならない額。

ACとは様々なメディアを通した公共広告により啓発活動を行っている経済産業省所管の特例社団法人で、正式名称はACジャパン。2008年にそれまでの公共広告機構から名称を変更した。

ACは放送局やスポンサーの大手企業など1200社以上の会員からなっていて、その会員から集めた資金で運営されている。

だから、テレビ局がいくらACのCMを流しても、スポンサー料がテレビ局に入ることもなく、ACがテレビ局からお金を受け取るわけでもない。

また、CMを再開した企業に対しても、不謹慎だとクレームが殺到するような状態で、中々以前のようなCMは出しにくい状態が続いている。

したがって、ACのCMが流れれば流れるほど、スポンサーがCMを自粛していることを意味していて、裏を返せば、その分だけテレビ局は減収の憂き目にあうことになる。震災被害による自粛ムードの影響がこんなところにも及んでいる。

だから、震災からの復興が遅れれば遅れるほど、自粛ムードが明けることはなく、マスコミ各社の赤字が膨らんでゆくことになる。

だから、マスコミはこの悪循環から脱しようと思えば、いち早く復興に踏み出して、それを加速してゆく手助けとなるような報道をしていかなければならない筈なのだけれど、lこれまで散々"日本は遅れてる"だとか、"海外を見習え"だとか、日本をネガティブにみる報道が多く、日本の凄いところや、なぜ凄いのかという部分に光を当ててこなかったから、いざ日本を励まそうと思っても、「日本は強い国だ」とか「きっと立ち直れる」とか、精神論的な報道しかできなくなっているように思う。

まぁ、それでも、日本をネガティブに報道する姿勢は、ますます国民を萎縮させ、自粛ムードを後押しすることにしかならないから、いままでの報道姿勢と真逆の方向に持っていかなければならなくなった、という意味では、マスコミもお灸を据えられているともいえる。



また、今回の震災は、メディアの在り方を根本的に問い直す切っ掛けとなっているように思う。

震災後、ある民放番組では、アナウンサーが被災現場に入って、亡くなった家族のことを被災者から聞き出しては泣かせる映像ばかりとっていたけれど、そんな演出は要らない、もっと必要な情報を流せ、と苦情の声が上がっているというし、福島原発のレポートにしても、地震発生直後は、原発は安全だ、安全だと言っているうちに、建屋が爆発して、放射能が漏れていても、大丈夫だ、大丈夫だとしかいわず、後になってどんどん、事態が悪化するばかり。

政府の発表も、「ただちに問題ない」との言葉を呪文のように繰り返し、あとから、あとから、事態の悪化を後追いするように、避難区域を広げてきた。そして、野菜から放射性物質が検出されて出荷停止を指示したかと思えば、今度は海洋汚染。

もう、国民も何を信じていいのか分からなくなっている。特に、リスクを大き目にとって、大げさに避難指示や規制をしておいて、後で様子を見ながら徐々に解除してゆくのなら兎も角、始めは緩くしておいて、後から状況が悪くなったから、と後追いでどんどん追加措置を取るものだから、一体、いつになったら終わるのか、と不安になってしまう。

中部大学の武田邦彦教授は「『風評』は情報操作などによって発生する正しい社会の反応なのです」と述べているけれど、全くそのとおり。

買占め騒動にしても、いくら買占めをしないで下さいといっていても、後になって、「水道水に放射性物質が混ざっていました、でも基準値以下だから安全です」、なんて言われても、福島原発周囲の避難区域を後になってどんどん拡大していったように、後になって、どんどん基準値そのものを緩和しては"大丈夫"と言い続けるのではないかと不安に思う人だっていると思う。

風評は情報の隠蔽や操作をしているのではないか、と疑われているからこそ起こるのであって、政府はまず信頼できる情報開示をするべき。

たとえば、福島県産の野菜にしても、SPEEDIの結果を毎日公開して、福島のこの市町村産のものは、放射性物質の飛散がほとんどないので、安全と判断し、市場に出している。また、この地域のものは放射性物質が検出されているので、一時的に出荷停止措置を取っている、という具合に、きちんと裏付けを持って対応すれば、買う方も納得して買うことができる。

4月1日から、東京有楽町で『買い控えを吹き飛ばせ!福島・茨城の農家を応援しよう』キャンペーンを行われているのだけれど、会場にはガイガーカウンターが用意されていて、放射線反応がないことを確認することができるようにしているそうだ。

放射線反応がないことを確認して安心した人は、喜んで野菜を購入し、売れ行きは上々でほぼ完売しているという。

このように、安心できる材料さえ、きちんと提供できれば、国民は個人の判断で、リスクを取れるようになる。

今回の風評被害が拡大したり長引いたりするようなら、もしかしたら、普通のスーパーでも、ガイガーカウンターを設置して、お客が自分で買う野菜の放射線量を確認できるようにするかもしれない。

画像



画像 ←人気ブログランキングへ


画像テレ朝、CMなし震災特番放送で20億円弱減収

 テレビ朝日の早河洋社長(67)が29日、都内の同局で定例会見を行い、東日本大震災発生後、CMをなくして放送した報道特番は約74時間で、20億円弱の減収になる見通しを示した。「集計はできていませんが、(減収は)10億円台後半になりそうです。ただ、テレビ局は地震が発生した場合、災害の予防、被害を抑える報道をしないといけない」と同社長。公共広告(AC)から通常広告に切り替わるタイミングは「まだ時間がかかると思う」。

 また、3月いっぱいでテレビとラジオの出演を休止するジャーナリストの池上彰氏(60)が出演する「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(水曜・後8時)を16日から4週連続で3時間特番で放送中だが、4月13日も災害生特番で池上氏が出演する予定という。

URL:http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20110330-OHT1T00013.htm



画像チキンレースを我慢できなくなった民放キー局 2011年3月19日(土)10時0分配信 日刊ゲンダイ 

 テレビ東京に続いてキー局が順次、通常放送に切り替えているが、この未曽有の事態にはテレビ局も真っ青。悲鳴を上げている。

「民放は地震が発生した3月11日から13日まで一切CMを入れず放映しました。14日からCMを入れましたが、それも微々たるもの。資生堂、トヨタ、パナソニックなどの大口スポンサーはCMを放送することに違和感を覚え、自主的に放送をやめています。テレビ局にとっては本当に厳しい状況です」(関係者)

 地震特番などで放送できなかったCMの出稿料に関しては当然ながらテレビ局に返還義務が生じるという。後に代理店の手数料を差し引いた額をスポンサーに返還することになる。

 現在、ゴールデン・プライム(GP帯)では1本当たりのCMは2000万~3000万円。全日帯なども入れると1日当たり数億円の利益が吹っ飛ぶことになる。

 震災特番の制作費もバカにならない。ヘリコプターを1台飛ばすと1日100万円かかる。ほかにスタッフの人件費、危険手当、弁当、宿泊費などは大変な金額だ。また、原発の爆発などで放射能が漏れ、記者やスタッフが被曝している可能性も出てきて、その補償を協議する必要も出てくる。ちなみに、現在のペースなら、1局あたり1カ月に数億円規模の制作費がかかる計算だ。また、追い打ちをかけているのが放送が見送られているバラエティー番組の制作費だ。OAされてもされなくてもタレントのギャラや人件費、技術費は支払わなければならない。

「特番を打ち切り、どの局が最初にバラエティーなど通常編成に戻すか腹の探り合いになっていました。視聴率やCM収入も大事だが、震災報道で視聴者の声に応えないといけないし、仮に最初に降りたら降りたらで上層部から何を言われるかわからない。まさにチキンレースみたいになっていた」(キー局編成マン)

 その結果、原発が最悪なのに、バラエティーやドラマを放送する事態。国と同じで民放も場当たりのそしりを免れない。

(日刊ゲンダイ2011年3月16日掲載)

URL:http://news.nifty.com/cs/entame/showbizddetail/gendai-000140352/1.htm



画像CM再開したっていいじゃない? 2011年3月26日(土)10時0分配信 日刊ゲンダイ 

 元日本代表監督のオシムや女優の仁科亜季子が独占していたCM放送が、ようやく変わってきた。

 CM総合研究所の最新調査によると、震災後にキー局でオンエアされたCMのうち、ACジャパンのものが76.6%も占めた。この“勢力図”が少しずつ平常時に戻ろうとしている。

「バイク王」で知られるアイケイコーポレーションは17日から東北エリア以外でCMを再開した。生活用品のライオンは22日から始めている。

 武田薬品工業は、19日から名古屋から西の一部で通常CMを始めた。

「地区によって無期限自粛していますが、おとなしく、商品を全面的に押し出していない」(宣伝担当者)

 22日から全国(東北の一部エリア除く)でCMを再開したのは、ファミレスの「ガスト」だ。運営する、すかいらーくグループの広報担当者は、「経済活動を活性化していかないと、支援もできませんし、復興にもつながらないと考えています」と言った。

 ある医薬品製造販売会社の広報担当者も「商いを回復することは支援につながると思います」と言う。

 ただ、CM再開企業にはクレームも殺到していて、「不謹慎だとお叱りを受けている」(ある企業)という。それを恐れてか、パナソニック、シャープ、資生堂、ドコモといった大手企業は二の足を踏んでいる。トヨタのように「工場再開もしていないので」という事情もあるかもしれないが、CM自粛で消費が落ち込めば、日本全体が沈んでしまうのではないか。企業を萎縮させれば、復興は遠のくばかりだ。

 同志社大教授の浜矩子氏(国際経済学)はこう言う。

「見る側が、被災地の状況を考えたCMだと分かれば、その企業の評価は逆に高まることもあります。しかるべきものであれば、ひんしゅくは買いません。企業は、良識、見識、知恵を持ってCM作りをすべきです」

 企業の誠意が伝われば、CM再開の時期など問題ではないのだ。

(日刊ゲンダイ2011年3月23日掲載)

URL:http://news.nifty.com/cs/headline/detail/gendai-000140851/1.htm



画像民放テレビ 被災者を泣かせる過剰演出はもう止めての声出る 2011.03.22 16:00

「NHKは必要だが民放は要らない」という声をよく聞く震災報道。作家・五感生活研究所の山下柚実氏がメディアの語源からテレビ報道の在り方を問う。

* * *

被災現場でどれだけメディア、とりわけテレビ局は現場の方たちの力になれているのでしょうか。被災者たちの今だ多くが、「連絡がとれない」「安否確認ができない」と不安の声を挙げています。

しかしたとえば、ある民放番組では、アナウンサーが被災現場に入って、亡くなった家族のことを被災者から聞き出しては泣かせる、といった現場レポートをしていました。今回の激甚災害の過酷さを、視聴者はすでに直感的に理解しています。これ以上、余分な強調や増幅はいりません。被災者に水をむけて泣かせようというのは、テレビ局自身のための演出行為に見えてしまいます。

その一方で、やはり民放ですが、被災者にボードを渡してメッセージを書いてもらい、それを映しながらマイクで言いたいことを話してもらう、という番組もありました。

いわば、テレビが、被災者同士をつなぐ「広域伝言板」に徹しています。「メディア」の語源は「ミディアム」=「間に入る」「媒介」という意味です。まさしく「媒介」役を果たしていました。電話などの通信網が寸断されている今こそ、原点に立ち返るなら、自ずとメディアの果たすべき役割が見えてくる気がします。

URL:http://www.news-postseven.com/archives/20110322_15626.html



画像連日完売! 福島・茨城の農産物販売「買いたくても買えなかった」

2011年4月1日、東京有楽町の交通会館で福島県と茨城県の農家・農業団体等が中心となり、『買い控えを吹き飛ばせ!福島・茨城の農家を応援しよう』キャンペーンを開始した。開催最初の週末となった2日は好天に恵まれ、会場の有楽町駅前交通会館マルシェにはたくさんの人で溢れた。

当初、出荷自粛制限のあった農作物以外の買い控えが、流通業界に広がったこともあって、開催について主催者側でも激しい議論が行われたという。「かえって生産者を傷つけることになりはしないか」との声もあり、消費者の反応が懸念された。

しかし、初日から客足は好調で、各店舗とも連日完売。なかには、「野菜を買いたいと思っていたのに、スーパーになくて困っていた」という人さえいた。

福島県白河市のJA東西しらかわの総合企画室長後藤さんは、「多くの人に安全であることを、知ってもらえただけでもありがたい」と安堵の表情を浮かべた。

このキャンペーンは、株式会社東京交通会館と銀座農園株式会社によるもの。震災・原発事故の影響で、野菜の買い控えが広がっている福島、茨城の農家と農業団体等が中心となって開催。直接消費者に正確な情報を伝えながら東北関東の農作物を見直すきっかけを提供したいという思いから、約1カ月の日程で行うこととなった。

初日から会場には大勢の客が詰めかけ、最初の週末の2~3日は予想を上回る勢いで商品が売れた。両日とも11時からの販売開始であったが、午後になると棚から物が消え、終了時間を迎える前にほぼ完売。

会場に用意されていた放射線測定器(ガイガーカウンター)で、放射線反応がないことを確認した人たちは、安心安全を自ら確かめることができ、喜んで野菜を購入して行ったのである。

出店について、後藤さんは「消費者の皆さんに伝わる情報は、とても限られていると思います。本当はもっと安全であることを知ってもらいたい。この2日間で、本当に多くの人に足を運んで頂き嬉しいです。より多くの人に来て見て頂きたいですね」と語った。ちなみに3日は、福島県白河郡出身のプロ野球解説者の中畑清さんが駆けつけ、販売に協力。出店者を激励し、野菜の安全を訴えた。

今回の開催について、主催者の間で「ある懸念」があったという。それは、もしも警戒感が強かった場合に生産者が傷付く可能性があったからだ。実際、農家の方も参加前には戸惑いがあったそうだ。しかし最終的に多くの方が主旨に賛同。「安全を訴えかけるために、一生懸命で野菜を届けて頂いている」と、銀座農園株式会社の飯村社長は言う。

「私ども主催者の間でも、激しい議論になりました。しかし、今、安全であることを伝えるために、やるべきだと思ったんです」と、開催への決意について振り返っている。

そして迎えた週末、予想以上の客足に恵まれ、消費者に温かく迎えられた。「来ていただいた方から、野菜を買いたいのにスーパーで買えなかったと声を頂きました」と、当初の不安を吹き飛ばす言葉を受け取った。

風評被害の源泉は一体どこから来ているのだろうか? このようなときにこそ、生産者と消費者の間にあるものを考えさせられてしまう。なお、JA東西しらかわは4日まで会場での販売を行う予定だ。近くを通りかかった人は、ぜひ立ち寄ってみてほしい。野菜について知りたいことは、直接販売されている農家の皆さんに聞いてみると良いだろう。

■買い控えを吹き飛ばせ! 福島・茨城の農家を応援しよう
日程: 4月1日~5月8日
時間: 12:00~18:00(月~金曜日)  11:00~17:00(土・日)
場所: 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館ビル1階ピロティ部分
主催: 株式会社東京交通会館 企画・運営:銀座農園株式会社

URL:http://rocketnews24.com/?p=85256&utm_source=feedburner&utm_medium=feed

この記事へのコメント

  • とおる

    国民の代弁者面して、首相などにインタビューをしてきた大手マスコミは、原発事故が起こっても、「安全です」・「直ちに健康に被害はありません」と風評を撒き散らしてきた政権への「お友達・仲良し・談合」記者会見で、国民が知りたい事を聞かずに、大本営発表に加担したことを、決して忘れない。
    2015年08月10日 16:46
  • almanos

    悪いところを見つけてネタにするのは簡単です。が、そうではなく悪いところと良いところを両方見てそこからとなると頭が必要になります。が、現政権与党の民主党もマスコミで威張っている人々も、そこらへんはレッテル貼って叫ぶ事とけなしたり揚げ足取ったり以外した事以外をやらないでうん十年。つまり、それ以上の頭を要求される事に対応する能力がない。要するに無能なのでしょう。サヨクとは「声だけが大きい無能」だという事を、そしてうまく使えばまだそれなりに使えるマスメディアというツールを駄目にしているマスゴミ人達も然り。
     無能が無能さを責められずにいられた状況があだになってしまってますね。事ここにいたっては政界もマスゴミも無能な人たちを力づくで追い出さないといけない。そういう状況だと思います。
    2015年08月10日 16:46

この記事へのトラックバック