30日、国際原子力機関(IAEA)が、福島県の飯舘村の土壌から検出された放射性物質の数値が、IAEAの定める避難基準を上回ったとして、住民に避難勧告を出すよう日本政府に伝えたとコメントした。
飯館村は、福島第1原発の北西40kmに位置していて、30km圏の避難区域外にある。避難区域外なのに高濃度に放射能汚染されているかというと、やはり風向きによって、放射性物質が飛んだという見方が有力で、福島第一原発から北西方向が汚染度が高いというのは、先日政府が公表したSPEEDIでも同じシミュレーション結果が出ている。
IAEAによると、3月18~26日に原発から25~58キロ圏で土壌のヨウ素131とセシウム137の量を調べていて、飯舘村は土壌1平方メートル当たり約200万ベクレルというIAEAの避難基準の約2倍の値になったとしている。
ただ、飯館村の測定値は1カ所のみで測られた散発的なデータで、あくまで初期的な評価だということなのだけれど、文部科学省が、3月23日から7日間に渡って、原発から約30~45キロの範囲にある4地点中、北西30キロの浪江町で7490マイクロ・シーベルト、同じく、北西30キロの飯館村で4449マイクロ・シーベルト、そして、西北西約30キロの浪江町で3428マイクロ・シーベルトと高い放射線量を記録している。
また、厚生労働省の放射線モニタリングでは、19日の検査で、飯館村産の原乳から放射性ヨウ素で5200Bq/Kg、放射性セシウムで210Bq/Kg検出されているし、28日の検査では、同じく飯館村の農場から採取したブロッコリーから放射性ヨウ素で4400Bq/kg、放射性セシウム134で5200Bq/Kg検出されている。これは、暫定基準の10倍以上の値。
飯館村の野菜からこの値の放射性物質が検出されたということは、牧草も同じく汚染されているわけで、それを食べる牛の原乳も汚染されているのも当然だと言える。
また、福島県産の牛肉から食品衛生法の暫定基準値を上回る放射性物質が検出されたとの報道もあるから、人間にとっても、たとえ、30km圏外の区域であっても、高濃度に汚染された地区に住み続けることは、被曝リスクが極めて高いことになる。
既に、飯館村は、政府の調査でも3mSv以上の被曝が認められているし、IAEAからも避難勧告が出ている。福島原発の収束の見通しが立たない現状では、被曝リスクが早期に減少するとは考えにくい。
特に飯館村のブロッコリーから、放射性セシウムが高濃度に検出されたということは、その半減期の長さを考えると、なんらかの手を打たない限り、長期間に渡って、汚染が続くとみるべきで、やはりIAEAの勧告に従って、避難指示を出すべきだと思う。
文部科学省の福島原発周辺のモニタリング結果をみても、原発から北西の30kmの放射線量は、31日の時点でもおよそ30uSv/h、50kmの地点でも1~4uSv/hある。
一時間に30uSvの放射線量というのはは、1日で7.92mSv、1ヶ月で237mSvになる。これは医学的に健康被害が認められるとされる100mSvの倍以上。実際は24時間外にはいないからと差っ引いたところで、何か月もいるのは非常に危険。
また、仮に、1時間あたり4uSvで計算しても、1ヶ月で28.8mSv、1年で345mSvになってしまうから、50km圏であっても、これくらいの放射線量がある場所では、"ただちに"ではなくても、1年もいれば危険になる。
だから、筆者がこれまでせめて50km圏あたりまで避難区域を拡大すべきだというのも、住民の健康を考えるとそれほど無茶なことではないと考える。
枝野官房長官は、「長期間そうした土壌の地域にいると、その蓄積で健康被害の可能性が生じる性質のものなので、しっかり把握し対処していかなければならない」と、飯館村に対して、避難指示をせず、民主党お得意の"見守る"姿勢。
今は原発から北西方向が高濃度汚染されているけれど、風向きが変われば、別の場所が同じように汚染されてしまう可能性だってある。
政府の動きが、IAEAの避難指示勧告をうけてなお、”ただちに”避難指示をしないのであれば、国民自身がそれぞれの判断で自衛に走るしかないだろう。


福島第1原発の事故で、IAEA(国際原子力機関)は、福島・飯舘村で、高濃度の放射性物質が検出されたとして、住民に避難勧告を出すよう日本政府に伝えた。
IAEAのフローリー事務次長は、30日の会見で、第1原発の北西40kmにある飯舘村の土壌から検出された放射性物質の数値が、IAEAの定める避難基準を上回ったと指摘し、日本側に、住民の避難を勧告するよう伝えた。
フローリー氏は、風雨や地形の影響で高い数値が出た可能性があるとしている。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20110331-00000379-fnn-int

枝野幸男官房長官は31日午前の記者会見で、国際原子力機関(IAEA)が福島県飯舘村内の土壌から高濃度の放射性物質が検出されたとして、状況を慎重に見定めるよう日本政府に求めたことについて、「直ちにそうしたもの(状況)ではない」との認識を示した。その一方で「長期間そうした土壌の地域にいると、その蓄積で健康被害の可能性が生じる性質のものなので、しっかり把握し対処していかなければならない」と述べ、周辺地域での放射線量調査を強化していく考えを示した。
同村の大半は、福島第1原発から30キロ以上離れており、半径20キロ圏内の避難区域には含まれていない。枝野長官は「(土壌汚染が)人体に影響を及ぼす可能性のある長期間になれば、退避などを検討しなければならない。その必要が生じた時にタイミングが遅れないように万全を期したい」と強調した。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110331-00000048-jij-pol

福島第一原発事故の影響を継続して調査している文部科学省は31日、福島県内の大気中の放射線量などの測定結果を公表した。
同省は原発から20キロ圏の外側で積算の放射線量も計測している。3月23日正午過ぎから7日間計測できた、原発から約30~45キロの4地点中、3地点で、7490マイクロ・シーベルト(北西約30キロ、浪江町)、4449マイクロ・シーベルト(北西約30キロ、飯舘村)、3428マイクロ・シーベルト(西北西約30キロ、浪江町)を記録、自然界や医療行為以外で人が浴びてよいとされる年間許容量1000マイクロ・シーベルトを超えた。一般に健康に影響が出るのは最大値の約13倍、100ミリ・シーベルト以上とされる。
(2011年3月31日20時34分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110331-OYT1T00833.htm

厚生労働省は31日、福島県産の牛肉から食品衛生法の暫定基準値を上回る放射性物質が検出されたと発表した。茨城、千葉、栃木の各県産のホウレンソウからも検出された。茨城ではパセリからも出たが、いずれも前回検査から大幅に低下した。千葉はシュンギクとパセリからも検出。栃木で基準値を超えたのはホウレンソウだけだった。
URL:http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2011033101001309/1.htm
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
> を出すよう日本政府に伝えたとコメントした。
政府に伝えるのは良いが, 外国の機関が勝手にマスコミに
発表するのは止めて欲しいものですな.
政府が信用できんと言うなら自民党もあるし, 勝手に
国内をかき回すのはテロリズムだという認識が必要..