菅政権という最大不幸を食い止める力

 
「とにかく、みんなで船縁(ふなべり)をたたいて、一斉に「辞めろ」といわなきゃだめですよ。国会議員は自分を一度、捨てなきゃだめです。民主党議員も、次の選挙がどうなるかとか、今のポストがどうなるかというんじゃなくて、今の日本をどうするかを考えるべきだ。そうじゃなければ、政治家になった意味がないでしょう。」
西岡武夫参院議長

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民主党の横粂勝仁衆院議員が、菅直人首相の政権運営や、内部対立が続く党の現状を不満として離党届を提出していたことが明らかになった。

これは、横粂議員が、支援者向けに「本日、民主党に離党届を提出しました」との文書を20日付で発送したことが発端で公になり、菅政権について「党利党略、私利私欲の政治に耐えられず」などと記されているようだ。

ただ、肝心の離党届は岡田幹事長が受理せずに慰留され、持ち帰ったようだけれど、ここまで公に離党宣言したから、民主党に籍があったとしても、世間は離党したものとして扱うだろう。これはすなわち、内閣不信任案に同調したとしても筋を通していることになるし、横粂議員の離脱で、先日の愛知補選の敗北で割り込んだ衆院2/3が更に減ってしまうことになるから、野党の協力なしに法案は全く通らないことになる。

それなのに、菅首相は菅おろしを封じるために、会期延長なしの国会閉会を目論んでいて、ここ数日、野党各党から、2次補正を出すべきだと反発を招いている。

自民党は、2次補正について、秋では遅すぎるとして「震災後の経済戦略に関する特命委員会」を立ち上げ、6月上旬をめどに第2次補正予算案の対案づくりの議論を始めているけれど、谷垣自民党総裁は、2次補正について「かなりの規模」を成立させる必要があるとしているし、2次補正を出さないのなら不信任案を出すとし、公明も同調している。

こうした動きに観念したのか菅首相は、参院予算委員会で、今国会での2次補正提出も有り得ると参院予算委員会で述べた。

それでも、その2次補正について、菅首相は、必要性と緊急性を判断して進めると呑気なことを言っている。そもそも1次補正は3626億円の仮設住宅整備費や、道路、港湾の修復などの公共事業といった災害復旧のための最低限のものでしかなく、復興には程遠いもの。

未だに満足に仮設住宅にも入れない被災者を考えると、平時の国会審議などで到底間に合うはずもなく、2倍、3倍のスピードで審議をすすめなくちゃいけない。

だから、復興を進めるためには、2次補正も相当な予算と法案を通さないといけなくなるのは当然のことで、それこそ一部で指摘のあるように通年国会も考えるべきことだと思われる。



それにしても、自民党の不信任提出までの根回しというか段取りというか、聊か慎重に過ぎるきらいがあるように見える。これは、たぶん谷垣総裁の性格にも拠るところが大きいだろうと思われるけれど、不信任案を出すにしても、震災対応が一段落したころを見計らって、世論を見ながら、粛々と提出する、なんて王道を進もうとしているように見えなくもない。

まぁ、これは、毎日新聞が5月14日から15日にかけて行なった、世論調査で、首相の交代時期について、「復興対策が一段落するまで」が50%、「できるだけ早くやめてほしい」が25%になっていることからみても、復興対策が一段落した時期であれば、不信任提出しても世論の支持が得られるであろうことを裏打ちしているし、谷垣総裁もそのあたりを勘案しているかもしれない。

だけど、「復興対策が一段落すれば、首相交代だ」ということは、逆にいえば、復興対策を「一段落させなければ」、いつまで経っても首相を交代しなくてもよくなるわけで、国民の苦しみなんぞ知ったことではない、首相の座にしがみつくことだけを考えれば、わざと復興させないという、"人でなし"としか言い様のない行動だって可能性としては有り得る。

たとえ、自民党が内閣不信任案を出すにしても、民主党から80人程度の同調者がいなければ成立しないから、事はそう簡単じゃない。

なぜなら、そうした同調の動きに対して、菅首相は「俺を引きずり降ろすなら、解散するぞ」とばかり、解散権をちらつかせて牽制する可能性が高いから。同調を考えていた民主党議員とて、次の総選挙で自分の身が危ういとなれば、管おろしにも躊躇するかもしれない。もちろん、既に民主党自体が泥船で、横粂議員のように離党して逃げ出した方が得策だという考えもあるけれど、衆院小選挙区で、無所属で当選する望みは低いから、みんなの党や減税日本などの他党へ移ることも考える必要が出てくる。いずれにしても、次の総選挙が相当厳しいことには変わりない。

だから、こうしたものに対抗する武器があるとすれば、冒頭の西岡参院議長ではないけれど、一度自分を「捨てる」必要があって、自分の地位だのなんだのを擲つ気持ち、無私の心が、この「立てば国難、座れば人災、歩く姿は風評被害」という国政史上最悪の宰相を排除する力になる。

今後の動きに注目したい。

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画像民主・横粂氏が離党届=「党利党略に耐えられず」

 民主党の横粂勝仁衆院議員(比例南関東ブロック選出)が、菅直人首相の政権運営や、内部対立が続く党の現状を不満として離党届を提出していたことが22日、分かった。
 同党神奈川県連関係者によると、横粂氏は20日、岡田克也幹事長に離党届を提出した。受理されていないが、「横粂氏の意志は固い」(関係者)とされ、23日に地元の同県横須賀市内で支持者向けの報告会を開く。
 横粂氏は離党届提出後、後援会関係者に文書で「党利党略・私利私欲の政治に耐えられず、政党政治ひいては議院内閣制の限界も感じた」と説明。自身のブログでも、菅政権の東日本大震災への対応などに批判を繰り返している。 
 横粂氏は弁護士出身。2009年8月の衆院選で神奈川11区から立候補し、自民党の小泉進次郎氏に敗れたが、比例代表で復活当選した。昨年9月の党代表選では菅首相を支持した。(2011/05/22-11:59)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011052200055&j4



画像西岡武夫参院議長 菅首相延命が「最大不幸」 2011年5月18日(水)08:00

 東京電力福島第1原発事故への菅直人政権の対応には、東日本大震災発生の翌日から不信を持っていましたが、メルトダウン(全炉心溶融)が起きていたことなど、政府が当時、秘密にしていたことがだんだん明らかになってきた。十分で迅速な対応ができていないという前に、国民に本当のことを教えていないのです。

 ◆すべてが先送り

 菅首相の政治手法は「こうする」とか「検討する」とか言うだけ。「いつまでにやる」「いつからやる」というのをほとんど聞いたことがない。すべてが先延ばし、先送りです。これだけの国難の中で一国の最高責任者として、国民に語るべきことを語っていないのは、首相としての資質に欠けます。

 震災から2カ月が経過したのに大きなビジョンが示されていない。復興構想会議に任せるのは大きな間違い。ビジョンはやっぱり首相が決めなければいけません。ビジョンなしに、平成23年度第2次補正予算案は組めないでしょう? 政権延命のため、やるべきことをやらずにずるずると来ている。国会を延長しないというのは、野党が言うように明らかな延命策です。菅政権はもうここら辺が限度ではないでしょうか。

 「『急流で馬を乗り換えるな』という言葉があるが、急流を渡れず流されているのであれば、馬を乗り換えなければならない」と申し上げたが、菅さんは急流を泳いでいない。馬に乗っているのは国民全員ですよ。このまま行けば菅さんと一緒に日本の国がおかしくなっちゃう。

 とにかく、菅さんはダメですからね。だいたい「最小不幸社会」なんてスローガンはないですよ。不幸を前提にしているわけでしょ? あれに菅さんの政治姿勢が象徴されているんじゃないですか。「戦後最大の国難に菅さんが首相でいることが最大の不幸だ」と言われているそうですが、その通りでしょうね。

 ただ、辞める前に私が「後」をどうしたらいいかを言ったら戦(いくさ)にならない。それは自民党さんも、民主党の心ある人も考えているでしょう。とにかく、みんなで船縁(ふなべり)をたたいて、一斉に「辞めろ」といわなきゃだめですよ。

 国会議員は自分を一度、捨てなきゃだめです。民主党議員も、次の選挙がどうなるかとか、今のポストがどうなるかというんじゃなくて、今の日本をどうするかを考えるべきだ。そうじゃなければ、政治家になった意味がないでしょう。

 小沢(一郎元民主党代表)さんが内閣不信任案への同調者を集めているとさかんに報じられていますが、皆さんが小沢さんを特別な存在にしているだけです。普通の国会議員なら、小沢さんのように考えるんじゃないですか。

 参院での首相への問責決議案ですか? 閣僚と首相の問責決議はちょっと違うんです。菅さんのことですから、可決でダメージは受けるだろうけど居座りますわね。だから衆院での不信任案可決しかないんです。

 ◆不信任案提出を

 衆院で民主党が3分の2近くを占めている中で、野党が不信任案の提出時期で悩むのは分かりますよ。しかし、意思を示さなきゃいかんと思いますね。会期末に不信任案を出したって何にもならないですよ。それでは遅すぎます。

 政府の原発事故対応は世界各国の皆さんも見ている。菅さんが5月26、27両日の主要国首脳会議(仏ドービル・サミット)に行って、何を訴えるというんですか? やはりサミット前に不信任案を出すのが常道だと思いますよ。菅さんがサミットの場で恥をかくというよりも、世界から(底の浅さを)見透かされるのが嫌ですね。(原川貴郎)

URL:http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20110518092.html



画像毎日新聞世論調査:浜岡停止「評価」66% 他の原発停止「不要」54%

 ◇内閣支持、微増27%
 毎日新聞は14、15両日、全国世論調査を実施した。菅直人首相の要請を受けて、中部電力が受け入れた浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の運転停止について「評価する」が66%に上り、「評価しない」(25%)を大きく上回った。一方で、浜岡原発以外の原発については「停止する必要はない」が54%に上り、「停止すべきだ」は34%にとどまった。内閣支持率は4月の前回調査比5ポイント増の27%にとどまり、不支持率は前回調査と同じ54%と高止まりしている。

 日本の電力の3割を原発でまかなってきた日本のエネルギー政策について引き続き聞いたところ、「原発は減らすべきだ」(47%)が前回より6ポイント増えた。「やむを得ない」は、9ポイント減って31%。東京電力福島第1原発事故の深刻な状況が続く中で、原発縮小を求める回答が拡大している。「原発は全て廃止すべきだ」は12%(前回13%)にとどまった。

 浜岡原発の運転停止については、内閣支持層の78%、不支持層でも61%が評価した。支持政党別にみると、民主党支持層の79%が評価したほか、自民党支持層でも58%、公明党支持層でも55%がそれぞれ評価し、与野党の支持層を問わず、一定の評価を得ている。

 一方、首相の交代時期については「復興対策が一段落するまで」が前回比3ポイント減の50%で、最も多かった。「できるだけ早くやめてほしい」もほぼ横ばいの25%に上り、首相に対する厳しい評価は変わっていない。内閣不支持の理由では、「指導力に期待できないから」が昨年6月の菅内閣発足以来、最多の54%に上った。

 福島第1原発の放射性物質に関する政府の発表については「信用している」が26%と、前回比6ポイント減った。「信用していない」は同6ポイント増えて64%と大きく上回った。復興財源を確保するための増税に「賛成」の回答は前回比10ポイント減の48%、「反対」は41%で同8ポイント増え、拮抗(きっこう)している。

 被災地に対する政府の支援や復興の取り組みについては「大いに評価する」(4%)、「ある程度評価する」(46%)と合わせて50%が評価。一方、「あまり評価しない」(33%)、「全く評価しない」(11%)と合わせ、評価しないも44%に上り、判断が割れている。【野口武則】

    ◇

 東日本大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の一部地域は今回の調査対象に含まれておりません。

毎日新聞 2011年5月16日 東京朝刊

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110516ddm001010062000c.html

この記事へのコメント

  • グー

    民主党、ほとんど黒いですが、岡田幹事長は黒の引き継ぎ狙いのどす黒さが目立ちます。どこにも社会正義が見当たらないものなー。
    2015年08月10日 15:27
  • ス内パー

    小泉純一郎のように段取り無視の拙速は格好良いですが副作用も大きいんですよねぇ。特にメディアがアウェーのままだと。

    段取り踏むと実際は最速であっても遅く感じるというのは問題かもですなー。
    2015年08月10日 15:27
  • almanos

    一段落してからと言うのは王道なのでしょうが、それはあくまでも政府がまともに一段落をつけようとしている場合です。空き管は一段落させないで延命をと考えているのは明らかですから。ならば二択を迫るしかない。民意かバッジか?という二択を。ふしんにん可決なら空き管は解散を強行するでしょう。当然次のバッジはあり得ない。そもそも党公認が取れるかすら怪しい。逆に言うと不信任案可決に回った民主党議員の方が生き残る確率は上がる。空き管いらないという民意に従って、議席を失う危険を敢えて冒した事を訴えられるから。我が身を賭けたというのは充分売りとなる。ただ、これは小沢氏には最悪の展開でしょう。彼抜きで状況が進むのだから。被告人である彼も道連れだと言わんばかりに立候補妨害に出かねないのが今の党中枢ですからね。今週の不信任案可決で解散総選挙が、一段落させる為に一番マシな展開ではないか? そう思います。そうしないと空き管は居座る為に被災者を犠牲にし続けかねないのですから。
    2015年08月10日 15:27
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    谷垣役立たず氏は何で国民に直接語りかけないのか?
    国民の支持があっての議員ではないか.

    不思議だ.

    彼ら全学連世代の頭からは「国民」と言う言葉が
    抜けているのではないか?
    2015年08月10日 15:27

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