東日本大震災復興構想会議が纏める「主な意見の中間整理案」の内容が明らかになったとの報道されていますけれども、これについて。
中間整理案の内容については、21日の会合で公表の可否を判断するようなのですけれども、報道されている範囲では、地利用規制の緩和や、「復興特区」創設などが盛り込まれているものの、復興財源やその他の項目でも意見が分かれ、取り纏めは難航しそうだと見られています。何やら、船頭多くして、船山に上っている気配もします。
具体的な内容については、その中間整理案をみないとなんともいえないのですけれども、復興会議メンバーでもある岩手、宮城、福島3県の知事の第4回、第5回会合での提案資料をもとに各県の要望を一言で言えば、大よそ次の内容になるかと思います。
岩手:市街地整備に住宅確保と水産業の再生
宮城:首都機能のバックアップと水産業国営化
福島:原子力災害の対応・保障と地域再生
まぁ、各地域の特性と被害状況を踏まえた上での提言だと思います。
筆者は4月26日のエントリー「東日本復興への未来ビジョン」にて、東北の復興について「クリーン東北2100」構想として、次のように述べたことがあります。
・副首都及び研究学園都市建設
・放射能汚染除去技術開発
・クリーンエネルギー開発
これと、先の岩手、宮城、福島3県の知事の提案を比較しますと、首都機能のバックアップと原子力災害対応の2点については、そこそこカバーしているのではないかと思われます。福島と宮城の要望がそうですね。
そこで、残りのカバーしていない部分、すなわち、市街地整備、住宅確保と水産業の再生について考えてみたいと思います。
まず、岩手、宮城の2県の被災状況について、特に岩手がそうなのですけれども、沿岸部の主な市街地が大規模に被災して、個人はおろか、地方自治体の力でも、復興が困難な状況にあるのですね。特に岩手は、災害公営住宅の整備や避難ビルの建設支援を提案していますし、水産業に至っては、宮城も含めて、養殖業・水産加工業などが壊滅的被害にあっているようです。
そうした事情もあって、住宅支援と水産業の再生にむけて国家的支援の要望があがっています。
今、被災者の住宅支援については、夏までに仮設住宅を建設する云々と政府は言っているようですけれども、被災後2か月たっても仮設住宅の建設が遅々として進まず、半年かけてようやくというのは、流石に遅すぎるように思いますね。
実際、始めは東北3県で7万2千戸必要だった仮設住宅ですけれども、被災者が、民間の賃貸に入居する動きが相次いでいたこともあって、5月に国土交通省が必要戸数を見直したところ、5万2200戸にまで減っているそうですから、夏までには、もっと減るかもしれません。
それに、いまどき、1年、2年あれば、立派なマンションが建つのですから、スピード命の仮設住宅で半年かかるようであれば、いっそのこと、多機能型の高層マンションでも建てて、被災者支援と復興をセットにすすめればよいと思います。
たとえば、戸数1000戸クラスの高層マンションを50本くらい建ててやれば、それだけで仮設住宅戸数分は賄えますし、今の技術であれば、地上50階クラスのマンションでも2、3年で建てられる筈です。仮設住宅に半年もかかるようなら、もう「本番」住宅を大々的に建設したほうがいいと思いますね。
そうした高層マンションを建てて、低層部には、スーパーや病院などをいれ、更に、野菜工場や好適環境水を使った魚工場などを併設してやって、そこに被災者に極低家賃で入居していただく。そうした、生産と生活をセットにした都市機能をセットに盛り込んだマンション群を建てることで、住宅支援と復興を同時に解決する。
耐震・耐津波対策をしたマンションであれば、港の近くに建てることだってできますし、高台に移転しなくてもよくなるわけです。
そして、そこに入居した被災者には、併設している野菜工場や魚工場で働くこともできるよう便宜を計れば、生活支援と復興が同時に出来ることになります。特にこれから、野菜や魚などの放射能汚染が問題になる可能性がありますから、尚の事、植物工場や野菜工場での生産を推し進める意味は軽くないはずです。
このような生活と生産、および都市機能をコンパクトにまとめた高層マンション群を、福島、宮城、岩手の要所に作って、それらをリニアで東京と繋いでやる。そして更に、それらに首都のバックアップ機能を持たせて、放射能汚染除去技術開発やクリーンエネルギー開発を進める研究施設も加えていけば、相当なことができると思いますね。
ここまですれば、逆に東北に行きたいと思う人だって出てくると思いますし、海外から優秀な研究者だって呼ぶことだってできるかもしれません。
大きな希望を描いたプランであれば、復興債を出すにしても資金の集まりが違うと思いますし、未来技術開発をプランに入れ込んでおけば、海外からの資金だって呼び込めると思いますね。
やはり、同じプランにしても、希望の未来を描いているかどうかというのは大事だと思うのです。
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臨時増税や自然エネルギー拡大提案 復興会議中間整理案 2011年5月15日3時2分
菅政権の復興構想会議(議長・五百旗頭〈いおきべ〉真防衛大学校長)がまとめた「主な意見の中間的整理」案が明らかになった。復興財源として消費税や所得税、法人税など臨時増税の検討を求める姿勢を前面に掲げている。太陽光や風力など再生可能な自然エネルギーの利用拡大も促し、菅直人首相の意向を色濃く反映した内容だ。
首相は当面の復興財源として「復興再生債」を発行し、数年間に限った消費増税で償還することを検討。東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に再生可能エネルギーの利用を拡大する方針も表明した。構想会議の提言をテコに与野党に広がる異論を抑え、議論を主導したい考えだ。
中間整理案は14日の構想会議の第5回会合に五百旗頭議長が提出し、協議された。「復興の基本理念」「まちづくり・地域づくり」など8項目ごとに具体策を列挙。復興財源について「臨時的増税として所得税、法人税、消費税、化石燃料に対する課税など多角的に検討すべきだ」と指摘し、税目は一つに絞らず考えることも提案している。
復興税のような新税導入に慎重な姿勢を示す一方、「復興債を発行する場合にはその償還財源も明記すべきだ」と提言し、国債発行だけに頼る姿勢とは一線を画した。消費増税と社会保障の一体改革について「喫緊の課題であり、震災対応との整合性を確保すべきだ」と両立を唱えている。
原発事故については「原因究明や事故対応の妥当性の検証を、国際的な信認を得られるよう徹底的に行う」と要望。事故を契機にエネルギー政策を抜本的に見直すよう求めた。具体的には「太陽光、風力、水力など自然エネルギーの開発・利用によるエコ社会の実現、低炭素型社会への回帰をめざす」と促した。
「福島県の復興プロセスは他の被災地より長期的に見すえる」とも強調。原発関係の雇用吸収先として自然エネルギー関連産業の振興などを提案している。
被災地復興の具体策としては「津波対策として基本的に高台に移転」することを提起。自然エネルギーを活用した地域づくり(エコタウン化)や産業振興のほか、規制緩和や税財政の支援措置をパッケージで行う「復興特区制度」の検討も盛り込んだ。
構想会議は中間整理案を14日は公表せず、次回21日にも正式決定する。その後は柱立ての整理や具体策を掘り下げ、6月下旬に第1次提言としてまとめる。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0514/TKY201105140553.html?ref=goo
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せみまる