「流された水は、非常に低濃度で、しかも量も少なくて、ま、あれはアメリカ政府からの強い要請で流れたんですけれども」平田オリザ内閣官房参与 於:5/17 ソウル
5月17日に内閣官房参与の平田オリザ氏がソウルでの講演で、先月4日、福島第1原発の低濃度放射能汚染水を海に放出したのは、アメリカからの要請だと説明した、との報道があった。
この発言について、枝野官房長官は、私は承知していないと否定しているけれど、こんな話が作り話でぽっと出るとも思えないし、官邸の一室に、アメリカ政府から派遣された「アドバイザー」なる人物が、福島第一原発事故対応の“決裁権”を、菅首相に代わって握っていたという話もあるから、あながち、真っ赤な嘘とは言い切れないように思う。
それに、国民にとって、とりわけ被災者の側からすれば、GHQだろうが何だろうが、一刻も早く事態を収束できるのなら誰でもいいという心境だろうと思われる。それは、3月23日に、ルース駐日米大使夫妻とアメリカ太平洋軍司令官のウィラード大将夫妻らが宮城県石巻市立渡波小学校の避難所を慰問に訪れた際に、大きな拍手で迎えられたことからみても容易に想像できる。
何でも、官邸へのアメリカのアドバイザー派遣は、菅政権の原発事故発生直後にオバマ政権が強く要求したもので、当初、菅首相や枝野長官は難色を示したものの、ルース駐日大使が、福島第一原発から80km圏内に居住する米国人に避難勧告を出し、横田基地から政府チャーター機で米国人を避難させるなどした上で、“受け入れなければ日本を見捨てる”と暗に圧力をかけ、最終的に、3月19日に菅首相がルース大使との会談で要求を呑んだとされている。
3月15日に菅首相は、東電本店にのりこんで、覚悟を決めろ、撤退したら東電は100%つぶれる、と怒鳴り散らしたと伝えられているけれど、その後、菅首相は官邸側近に「放置したら原子炉が溶解し、アメリカが(原発を)占領しに来るぞ」漏らしていたと言われているから、この15日より前、もしかしたら、1号機の建屋が爆発した12日の時点で、アメリカからアドバイザー派遣を強烈に要求されていたのかもしれない。
だから、アメリカからアドバイザーを派遣されるのが嫌な菅首相は、東電に乗り込んで怒鳴り散らして、もたもたしていたら、アメリカが原発を占領しに来るぞと漏らしたのではないかとさえ。
だけど、日本政府の危機管理体制がちゃんとしていて、すなわち原発事故を速やかに処理する体制とスキルを持っていれば、アメリカもそんな圧力はかけてこなかった可能性があるし、そもそも同盟国なのだから、今後、アメリカでも起こるかもしれない原発事故対応のための情報共有を目的として、アドバイザーを速やかに受け入れるという選択をしても、いくら原発が国策だとはいえ、おかしくはないと思う。
第一、世界に冠たる日本のロボットとて、瓦礫の上を走行することは想定してなかった等と、肝心なときに使えなかったとあっては、アメリカとて、圧力のひとつもかけたくなるだろう。
要するに、有事のための備えをしていなかった時点で、どうしようもないと言うほかない。これは、国防でも同じことが言えると思う。
アメリカの原子力規制委員会は、5月16日に、福島第一原発の24時間の緊急監視体制を解除すると発表しているけれど、もしも、福島第一の原発事故対応の決裁権をアメリカが持っていたとするならば、この監視体制の解除は、もう危機的状況は脱したという意味とも取れる。
本当にそうなのかどうかは、もう少し様子を見る必要があると思うけれど、アメリカが主導権を握っているのであれば、もう破滅的なことにはならないだろうと思われる。
あるいは、石棺なりなんなり、政府レベルでは、もう収束へのシナリオができているのかもしれない。
○付記
筆者は、先日明らかになった、地震翌日にはもうメルトダウンしていたということと、今になって発表されたSPEEDI等の汚染状況を踏まえた上で、改めて3月13日から20日あたりまでの記事を読み直してみましたけれども、それほど大きく外してはいなかったのではないかと思っています。ただ、相当な切迫感を持って書いていたことが、もうありありと記事から滲み出ていますね。
特に、3月16日の記事「国難レベル6 SeeVisionS!」では、菅首相ではもう対応できないから、別の人に代わるべきだといい、19日の「祈りの彼方」のコメント欄で、"目いっぱいやっているのは分かりますけれど、それと、適切な対応ができるのとは別です。ならば、一時的にでも適切な指示ができる人に全権を委ねるのも手です"と述べていますけれども、本当に19日に原発事故対応の決裁権がアメリカに渡ったのであれば、やはり、この時期がターニングポイントだったというわけです。


内閣官房参与で劇作家の平田オリザ氏が17日のソウルでの講演で、東京電力が先月に福島第1原発の低濃度放射能汚染水を海に放出したことを取り上げ「流された水は低濃度で量も少なく、米国からの強い要請で流れた」と説明していたことが18日、分かった。日韓関係筋が明らかにした。平田氏の説明が事実なら、「外圧」で汚染水を放出したことになり、国際社会で波紋を呼びそうだ。
東電が低濃度汚染水を海に流し始めたのは4月4日。各国への事前通告が間に合わず、韓国やロシアなどから批判を浴びた。
平田氏の発言について、枝野幸男官房長官は18日午前の記者会見で、「私は承知していないし、放出について米国に事前に通告したとも聞いていない」と否定した。その上で、「どういう文脈で話したか、後ほど確認したい」と述べ、平田氏から事情を聴く考えを示した。(2011/05/18-12:52)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011051800365

焼け野原からの戦後復興に大震災の復興計画を重ね合わせる菅直人・首相は、屈辱の歴史までも真似ようとするのか。GHQ(連合国軍総司令部)に主権を奪われ、自主憲法さえ作れなかったあの時代は、この国の在り方に大きな禍根を残している。だが、菅政権はこの震災対応の中、国の主権を米国に売り払うことで、自らの権力を守り切ろうとしている――。
この国の政府は震災発生以来、「第2の進駐」を受けている。首相官邸ではそれを如実に物語る光景が繰り広げられていた。
菅首相や枝野幸男・官房長官、各首相補佐官らの執務室が並ぶ官邸の4、5階は記者の立ち入りが禁止されているが、そこでは細野豪志・首相補佐官、福山哲郎・官房副長官らがある部屋に頻繁に出入りしていた。部屋の主は、米国政府から派遣された「アドバイザー」で、名前も身分も一切明らかにされていない。
官邸の事務方スタッフは、その素性と役割についてこう説明する。
「その人物は米原子力規制委員会(NRC)のスタッフとされ、官邸に専用の部屋が与えられ、細野補佐官とともに原発事故対応の日米連絡調整会議の立ち上げ作業にあたった。常駐していたのは原発対応のために横田基地で待機していた米海兵隊の特殊兵器対処部隊(CBIRF)が帰国した4月20日頃までだが、その後も官邸に顔を出している。福島第一原発の水素爆発を防ぐために実行された窒素封入や、格納容器の水棺作戦などは、そのアドバイザーとの協議を経て方針が決められた」
原発事故対策統合本部長を務める菅首相に代わって、“決裁権”を握っていたというのだ。
官邸へのアドバイザー派遣は、菅政権の原発事故発生直後にオバマ政権が強く要求したものだった。当初、菅首相や枝野長官は難色を示したが、ルース駐日大使は福島第一原発から80km圏内に居住する米国人に避難勧告を出し、横田基地から政府チャーター機で米国人を避難させるなどして、“受け入れなければ日本を見捨てる”と暗に圧力をかけた。菅首相は3月19日、ルース大使との会談で要求を呑んだとされる。
外国の政府関係者を官邸に入れてその指示を受けるなど、国家の主権を放棄したも同然であり、GHQ占領下と変わらない。
しかも、その人物は「ただの原子力の専門家」ではなかったと見られている。
米国は震災直後にNRCの専門家約30人を日本に派遣して政府と東電の対策統合本部に送り込み、大使館内にもタスクフォースを設置した。3月22日に発足した日米連絡調整会議(非公開)にはルース大使やNRCのヤツコ委員長といった大物が出席し、その下に「放射性物質遮蔽」「核燃料棒処理」「原発廃炉」「医療・生活支援」の4チームを編成して専門家が具体的な対応策を練っている。
「原発事故対応のスペシャリスト」だというなら、統合対策本部や連絡調整会議に参加する方が、情報収集という意味でも効率的な働きができるはずだ。にもかかわらず、その後1か月間も官邸に常駐する必要があったのは、原発対応以外の「特別の任務」を帯びていたからだろう。
米民主党のブレーンから興味深い証言を得た。
「ホワイトハウスが、菅政権に原発事故の対処策を講じる能力があるかどうかを疑っているのは間違いない。だが、すでに原発処理についてはいち早くフランスのサルコジ大統領が訪日したことで、同国の原子力企業アレバ社が請け負う方向で話が進んでいる。
むしろ米国が懸念しているのは、これから震災復興を手掛ける菅政権が危うい状態にあること。オバマ大統領は、普天間基地移設をはじめ、日米間の懸案を解決すると約束した菅政権が続くことを望んでいる。
そのため、ホワイトハウスでは国家安全保障会議などが中心になって、日米関係を悪化させることがないように指導するオペレーションを震災後から展開している。“特別な専門家”の派遣もそのひとつと考えていい」
菅政権は米国の指導の下、国会では震災復興より米国への“貢ぎ物”を優先させた。3月末に年間1880億円の在日米軍への思いやり予算を5年間にわたって負担する「在日米軍駐留経費負担特別協定」を国会承認し、4月28日には、日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行(JBIC)を独立させる法案を成立させた。
JBICは米軍のグアム移転費用を低利融資する窓口になっているが、法改正によってこれまでは途上国向けに限られていたインフラ輸出への融資を拡大し、先進国も対象にできることになった。
経産省幹部はこう指摘する。
「菅政権は米国への新幹線輸出を進めているが、JBIC独立により、その資金を日本が拠出できることになる。アメリカも満足だろう」
※週刊ポスト2011年5月20日号
URL:http://www.news-postseven.com/archives/20110509_19848.html

アメリカの原子力規制委員会は、16日、東京電力福島第一原子力発電所について、「状況が徐々に安定してきている」として、原発事故発生以降続けてきた24時間の緊急監視体制を解除すると発表しました。
原子力規制委員会の発表によりますと、24時間体制を解除する理由について、「原子炉の状態が、徐々にではあるが安定してきており、日本側も回復に向けた対応を続けていることを踏まえ、われわれもそれに呼応して、体制を見直す時期になったと判断した」としています。ただ、通常の監視体制は続けるほか、日本に派遣している専門家チームもそのまま残り、政府機関や産業界との調整役としての役割を果たしていくとしています。一方、アメリカ国務省は16日、日本に滞在するアメリカ人に対し、福島第一原発から半径80キロ圏内に立ち入らないようにとする勧告そのものは維持しつつも、調査の結果、80キロ圏内を通過する東北新幹線と東北自動車道は、利用しても安全上問題がないという結論に至ったと発表しました。
URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110517/t10015937861000.html
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
あり得ない話. 自民党時代には, 秘密をばらす時,
皆は社会的生命も計りにかけた上で決断していたと
思う. 鳥合の衆というのはこう言うことを言うのか.
ウン十年生きてきたが, 始めて眼のあたりにした.
> アメリカが主導権を握っているのであれば、
> もう破滅的なことにはならないだろうと思われる。
米国なら信用する....お互い様, 情けないですな.
しかし, 炉心損傷における内閣の責任はきちんと
しておかなければいけない. 東電に第一責任が
あるのだろうか?
y16a
クマのプータロー
一劇作家風情が国際政治に関わるって、情報管理に関して特別の訓練が必要だと思うのですが…。
白なまず