反原発キャンペーンと侵略工作

 
5月9日、中部電力は臨時取締役会後に記者会見し、政府からの要請に応じて、浜岡原発の運転停止受入を決めた。

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中部電力の水野社長は、「総理からの要請は極めて重いと受け止めている」とし、浜岡原発4号機と5号機の運転停止と、3号機の運転再開の見送りを決定したと発表した。

筆者としては、もう少し政府にもっと詳しく理由について政府に問い質すなりして欲しかったところなのだけれど、決まってしまったものは仕方がない。中部電力は政府に対して、顧客や地域社会、株主などに過度な負担がないよう支援を要請して確認しており、浜岡を止めても、計画停電も、電気代の値上げも予定していないという。

その変わり、東電や東北電力その他への電力融通を止めることにはなるようだ。

これまで中部電力からの40万キロワット程度の電力融通を受けていると見られている九州電力は、電力供給を維持するため、定期検査で停止中の玄海原発2、3号機の運転再開に向けて地元への理解活動を続けていくという。

震災後に東電管轄内で行われた、計画停電をみてもわかるとおり、何時、どの地域が停電するか前日まで分からない計画停電は、企業の生産活動においては、テロ攻撃のようなもので、生産計画を無茶苦茶にするもの。特に厳密な温度管理が必要な発酵食品や医薬品のように、電力の安定供給があって初めて生産が成り立つような製品はまるで駄目になってしまう。

いきおいい、中部圏でも、使用電力量を抑制するための節電を呼びかけるなど、産業界的にはスレスレの生産状態を強いられるものと思われる。おそらく一部の代替可能な部品類の生産などは、海外に移さざるをえない企業も出てくるだろう。

いよいよ、更なる国難が迫ってきたように思う。

というのは、日本全土が電力不足になって、節電モードになるということは、たとえば、電車等の間引き運転などによる、物流の停滞や、人々の移動も減ることによる消費活動の低迷などを呼ぶことになるから。特に、いざ有事の際に電力不足になっていたら、それで日本を防衛できるのか。物流がストップしてしまったら、防衛活動の前に国民が先に干上がってしまう。



今回、政府の命令でもない「要請」で勝手に原発を止めて、日本のどこでも電力不足に陥らせかねない前例を作ってしまったことは後々禍根を残すと思われる。

なぜかといえば、本来やるべきである筈の、原発の事故原因の徹底調査と、安全対策および、電力不足を補うための手立てをほったらかしにしたままの停止要請であったから。

これは、すなわち、世論が原発反対で盛り上がって、政府にちょっとプレッシャーをかけるだけで、他の原発に対しても、安易に「原発停止要請」を出すことだって有り得る。特に、今の場当たり菅政権ではその危険が高い。

たとえば、九州電力は、玄海原発2、3号機の運転再開に向けて地元への理解活動を続けるというけれど、上手くいかなかったらどうするのか。そうなってしまったら、他の停止している原発だって再開できない。

もしも、日本侵略を狙う外国があったら、ここぞとばかり工作を仕掛けてくる可能性だってある。

たとえば、玄海原発でもなんでも、停止中の原発再開の動きがあれば、そこの地元に、工作員を送り込み、市民団体を装って、原発反対キャンペーンをやればいい。それをマスコミに報道させれば、もう再開なんてできなくなる。

要するに、沖縄の普天間問題のような状態にしてやれば、にっちもさっちもいかなくなるということ。

特に、マスコミに金を流して、原発推進なら支持率を下げ、脱原発なら支持率を上げさせるように工作をかけてしまえば、今の菅政権だったら、一発で転ぶ危険がある。自らの政権延命のために、それくらい平気でやりかねない。その先に日本沈没があったとしても、その自覚すらできないのではないか。

だから、ここは、何故浜岡を止めるのかの理由について徹底的に追及したほうがいい。それこそ、青山繁晴氏がいうようにアメリカからの圧力だった方が、納得はできなくても、理解はできる。

一番いけないのは、原発が事故を起こしたからって、その中身を検証せずに、丸ごと原発が駄目という発想に国民全体がなってしまうこと。これは、太平洋戦争で負けたから、戦前の日本が全部駄目なんだという発想と同じ構図。

工作する側からみれば、こんなに操りやすい状態はない。

日本経団連の米倉弘昌会長は9日の記者会見で、浜岡原発の全面停止要請について、「思考の過程がブラックボックスだ。政治の態度を疑う」と述べ、政治的なパフォーマンスだと批判しているけれど、そのとおり。

ここ最近、勢いづきそうな"反・原発"の空気は、2009年の衆院選前の政権交代に浮かれた熱にも似た匂いを感じる。

注意しないといけないと思う。


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画像中部電が浜岡原発運転停止を受け入れ、12年3月期予想を未定に2011年5月9日22時5分

 [名古屋/東京 9日 ロイター] 中部電力<9502.T>の水野明久社長は9日夕、臨時取締役会後に記者会見し、政府からの要請に応じて、浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の運転停止を受け入れることを明らかにした。

 政府の要請を重く受け止めたとした。2012年3月期の業績予想は、売上高、利益ともに「未定」に修正するとした。

 水野社長は、同日の取締役会で浜岡原発4号機と5号機の運転停止と、3号機の運転再開の見送りを決定したと述べた。「総理からの要請は極めて重いと受け止めている」と説明。東京電力<9501.T>福島第1原発の重大事故を契機に、国民の間で原子力発電に対する不安が高まっており、安全最優先という原子力事業の基本を貫くべきだとの判断を説明した。浜岡原発4、5号機は数日で停止するという。

 具体的には津波に対する安全の強化策を着実に実行し、地域社会からあらためて信頼を得ることを最優先すべきと考えたとした。その上で、前日に海江田万里経済産業相と会ったことを明らかにし、顧客や地域社会、株主などに過度な負担がないよう支援を要請し確認したとも話した。

 <12年3月期予想を「未定」に修正>

 中部電は4月28日に、2012年3月期の業績予想を発表していたが、浜岡原発の運転停止を受け「合理的に予想することが困難」だとし、売上高と利益の予想を「未定」に修正するとした。原発停止が12年3月期の利益に対し2500億円のマイナス要因になるが、中部電力は現時点で電気料金の値上げを考えていない。水野社長は、赤字になる可能性も否定できないとした。ただ、1株当たり60円とする年間配当の予想は維持したい意向だ。

 火力発電所向け燃料費などの追加費用負担が生じるため、水野社長は「最大限の経営効率化に努めるが、今回は顧客や株主に過度な負担を強いることを前提にしたものではない。負担の回避、軽減に向け国にも十分な支援を要請した」と述べた。県知事や市長など地域社会への十分な説明や交付金、雇用など地域経済への十分な配慮も要請したと述べた。

 管内の安定供給に大きな支障をきたしかねないとし「(東電・東北電力<9506.T>の)50ヘルツ地域への(電力の)融通は取りやめることにした」と語った。水野社長は、津波に対する防護と海水ポンプ予備品の確保、非常用発電機の設置を完了して原子力安全・保安院の評価確認を得た時に浜岡の全号機の運転が再開できることを確認したと述べた。

 (ロイターニュース 平田紀之;編集 吉瀬邦彦)

URL:http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201105090075.html



画像九電、原発運転再開へ地元説明に注力=浜岡停止で

 九州電力は9日、中部電力の浜岡原発全面停止を受け入れについて、「一般的に今後の電力供給は厳しくなる。相手先は言えないが(他電力会社から)40万キロワット程度の電力融通を受けている」とした上で、定期検査で停止中の「玄海原発2、3号機の運転再開に向けて地元への理解活動を続けていく」としている。(2011/05/09-21:47)

URL:http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011050900913



画像「パフォーマンスだ」経団連会長、首相要請批判

 日本経団連の米倉弘昌会長は9日の記者会見で、菅首相が中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことについて、「思考の過程がブラックボックスだ。政治の態度を疑う」と述べ、政府での検討過程を明らかにしないまま停止を要請したことを「政治的なパフォーマンスだ」と批判した。

 米倉会長は「総理の(運転停止の要請)発表は停止命令に近い発言として受け止められる」と指摘。30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が起きる可能性を87%とみて要請した点についても「唐突感は否めない」などと述べた。

(2011年5月9日21時23分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110509-OYT1T00983.htm?from=navr



画像経団連会長、菅政権は「思考過程がブラックボックス」 浜岡停止要請で批判 2011/5/9 19:49

 日本経団連の米倉弘昌会長は9日の記者会見で、菅直人首相が中部電力に対し、浜岡原子力発電所の全面停止を要請したことについて、「電力不足の中、今後30年間に87%の可能性で東海大地震が起こるという確率論だけで本当にそういうことが言えるのか」と指摘。「民主党政権は結論に至る思考の過程がブラックボックス。唐突感は否めない」と批判した。

 菅首相の停止要請について「非常に重みがある。停止命令に近い発言」としたうえで、「だれがどう議論したのか。詳しく国民に根拠を示し説明すべきだ」と語った。

 福島の原発事故の政府対応についても「極めて拙劣」としたうえで、「政府の責任をもっと明確に示すべきだ」と強調。「政府がこれほど無責任だと、企業内行動の倫理観にも影響する」と苦言を呈した。

URL:http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E2EBE2E2E08DE2EBE2E7E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

この記事へのコメント

  • hiro

    初めまして。
    ブログ拝見させていただきました。私が感じている危惧と同じような事が綴られていて、大変共感いたしました。

    現在の日本において流れている「反原発」と言う「ムード」。ここに問題の根底があるのではないかと思っております。
    思えば2009年夏に起きた「政権交代」も、ムードが生み出したものでした。小泉郵政選挙もそうでしたし、構造改革も規制緩和もみんな「ムード」が動かしたと言えます。いずれにも共通するのが貴殿が文中に記された「分析」が欠落していることです。
    極めて闇雲な形で「反原発ムード」が広まり日本各地で電力不足が慢性化したとき、日本中にはストレスが蔓延するでしょう。さらにはご指摘されているような経済への打撃ははかりしれません。そう言った部分にまでしっかりと踏み込んだ話は残念ながら反原発を謳う方々からは聞こえてきません。
    正鵠を得たご見解ありがとうございます。長文失礼いたしました。
    2015年08月10日 15:27
  • せみまる

    浜岡はよい決定であった。もちろん経営判断だが、放射性物質がまき散らされ、東海道が分断されたら、それこそ、日本防衛がおぼつかなくなる。また、原発停止で電力不足になり、だから経済活動が打撃を受ける。これは、「だから、原発を稼働し続けるべきだ」と主張に循環し、論理性に欠ける。放射能避難で住民がいなくなれば、経済活動も何もなくなる。何年も、かの地に戻れない。そして、彼ら、避難住民は失業し、貯金を食いつぶし、結局、消費が衰え、地域経済は崩壊する。どうも、まだ、わかっていない人が多い。特に財界のトップがメディアでふざけた発言をしている。彼らは全く浮世離れしている。完全な場所にいるからだろうか。3月12日以降、原発が安全だと思っている人は、一人もいない。安全だというのなら、福島第一で作業してくるとよい。人手が足りないそうだ。菅おろしに熱中する民主党議員、菅を批判するものも、原発問題よりも、菅おろしや菅批判の方が大事な浮世離れした人たちである。
     「一番いけないのは、原発が事故を起こしたからって、その中身を検証せずに、丸ごと原発が駄目という発想に国民全体がなってしまうこと。これは、太平洋戦争で負けた
    2015年08月10日 15:27
  • つまらない、ブログ。

    タイトルが陳腐です。

    もう少し、気の利いたタイトル希望いたします。
    2015年08月10日 15:27
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    水野社長は若手の期待株のようだが, 団塊の世代
    の米倉日本経団連会長の方がまともなことを言う.
    結局, 指摘されてきた危険性に頬かむりしてきた
    という弱みを付かれた. 現在のトップは危機に弱い
    という共通性を抱えているようだ.

    弱いと言えば, 自民党の首脳部もそうだ.
    日本経団連会長が反対しているのだから, やり様が
    あると思うのだが, どうした谷垣!

    「谷垣では駄目」というのが若い人達のもっぱらの
    意見のようだ.

    日本最大の危険物を除去できない自民党が危機拡大
    を助けている. 鍵は自民党にある.
    2015年08月10日 15:27

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