今回の浜岡原発の停止要請について、政府から中部電力へ連絡がいったのは、5月6日の菅首相の会見のたった40分前だったことが分かった。
前々回のエントリーでも、根回しなしの思いつきではないかと言ったけれど、やはりそうだったようだ。
中部電力は5月8日に、浜岡の停止要請について、担当役員らが課題ごとに検討を続けているけれど、やはり、現在、東京電力に融通している
海江田経済産業相は、東電の電力不足に備えて、中部電力を経由して、関西電力に電力融通を要請しているけれど、その関電とて、それほど余剰電力があるわけじゃない。
関電の平成23年度の電力需給計画によると、需要2956万Kwに対して、供給は3290万Kwだから、100万Kwを中部電力に回すと、残り200万Kw。これは、計画どおりにいっての話。
だけど、この200万Kwとて、更に別の電力会社への応援に回すことになる可能性がある。
というのも、実は九州電力が電力不足に陥っていて、5月に入って、中部電力から40万キロワット程度の融通、北陸電力から数万Kwの電力の融通を受けているから。
だから、中部電力が他の電力会社への融通をみんなストップしてしまって、その肩代わりを関電が行うことになれば、当然関電の電力余力も逼迫することになる。
それに関電は、発電電力量において、原発依存度が43%と高く、もしも関電の稼働中原発に何かあれば、即アウトになる危険も孕んでいる。
尤も、関電の原発依存度が高いのは、発電量であって、発電設備の割合でみると、原発は25%と下がり、その分、石油その他設備に余裕があるから、こちらを再稼働することでバックアップする可能性はあるけれど、火力発電の比率を高めれば、その分電気代にも反映されることになる。
大阪の橋本知事は、「関西の府県民、国民の総力をもって取り組めばできると思う」と電力融通について、節電で対応する考えを表明しているから、いよいよ、節電ムードが東日本のみならず、西日本にも波及するだろう。
節電と言葉で聞く分には、簡単だけれど、実際に行ってみると、その心理的影響は小さくない。関東圏では、未だに夜のネオンは消え、コンビニの照明は暗く、駅構内のエスカレーターなどは止めているものがある。そんな環境で生活していると、非常時下にあるのだ、ということをひしひしと肌で感じることになる。
本当は、東日本を助けるくらい西日本の経済活動が活発化してほしいところなのだけれど、東日本のような節電が西日本でも行われると、それもだんだん厳しくなっていくと思う。日本全体が縮み思考になってゆく可能性が高い。
政府は、今後のエネルギー政策は原発を堅持するとして、浜岡以外は停止要請しないとしているけれど、その理由として、仙谷副官房長官は、「現時点で30年以内に震度6以上の地震が起こる確率が1%以下のところがほとんどだ。特に日本海側、瀬戸内にある原発は心配ない。科学的にもそういう結論が出せる」といっている。
だけど、この発言の裏を返せば、震度6以上の地震が起こったら、原発は事故を起こすかもしれないと言うことを意味してる。
原子力保安院は、5月6日に、福島第一原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施状況の確認結果について、緊急安全対策は、適切に実施されていると報告しているけれど、今回の浜岡停止要請を受けて、マグニチュード8程度の東海地震が想定されることから、大規模な津波対策が完了するため、運転を停止するよう求めたと、付け加えている。
たとえ、浜岡の停止は、特殊ケースとして、仕方ないことだったとしても、それを補う手立てや、国の責任、見取り図をしっかり示さないと、復興もままならない。
未来を示さない上に、責任も負わず、企業や国民にすべてを押し付けるのなら、政府など必要なくなってしまう。
"歩く厄災"宰相が居座り続ければ、居座り続けるほど、日本はどんどん貧乏になってゆく。
保身しか考えない政治家など要らない。


中部電力が結論を持ち越したのは、浜岡原子力発電所の停止分を補う火力発電の手当てや政府の支援策が不透明な中で、安易に受け入れを表明すれば、株主らの反発が避けられないと判断したからだ。
今回の停止要請は、中部電にとって寝耳に水だった。6日夜の首相記者会見のわずか約40分前、海江田経済産業相から水野明久社長に電話があり、その後、対応に追われた。海江田経産相が5日、浜岡原発を視察した際も中部電には話は全くなかったという。
名古屋市内の中部電本店で7日午後1時から開かれた臨時取締役会には、水野社長、三田会長ら役員、監査役19人が出席。会議の冒頭、三田会長が「(首相の要請に対し)皆さんの意見や質問を言ってほしい」と提案。出席者が業績への影響や燃料調達の見通しなどについて自由に意見を出し合った。最後に水野社長が「いろいろな意見を持っているようなのでもう一回考えよう」と約1時間半の議論を打ち切った。
(2011年5月8日03時04分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110508-OYT1T00116.htm

中部電力は8日、菅直人首相からの浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止要請について、担当役員らが課題ごとに検討を続けた。現在、東京電力に融通している100万キロワットの電力や火力発電所向け燃料の液化天然ガス(LNG)供給は、中部電管内の発電余力が逼迫(ひっぱく)するため停止せざるをえないと判断している。中部電は一両日中にも臨時取締役会を再度開き、要請受け入れの最終結論を出す見通しだ。
浜岡原発の全原子炉を停止した場合の夏場の電力供給確保は、既存の火力発電所の能力増強のための燃料調達が大きな障害になっている。7日には中部電の三田敏雄会長が中東カタールに向かった。同社の火力燃料の主力であるLNGの追加確保のためカタール政府関係者と交渉し、増産などを要請。関西電力から電力を融通してもらう余地があるかについても協議を続ける。
また、停止に伴う燃料費など年約2500億円の経費増で決算の赤字転落が避けられないため、株主から経営責任を問われる可能性も弁護士を交えて協議。電気料金の引き上げで顧客に一定の負担を求めることの検討にも着手した。【丸山進】
URL:http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110509k0000m040075000c.html

九州電力が5月に入り、電力の供給不足に対応するため中部電力から40万キロワット程度(一般家庭15万戸分相当)の電力の融通支援を受けていることが7日、分かった。中部電力は、政府による浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止要請を受け入れれば供給余力が一転して逼迫(ひっぱく)するため、九電への融通継続が難しくなることが確実。原発3基が同時停止する九州の電力不足への懸念がさらに強まることになる。
関係者によると、福島第1原発事故を受け、九電は定期検査のため停止した玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の運転再開を3-4月に予定していたが延期。一方で夏場の電力最需要期を控え、石油などの代替燃料の量的確保が見通せず、少しでも燃料の使用を抑えるため、5月初めから当面1カ月の期間で余力のある中部電力などと契約した。北陸電力からも数万キロワットの融通を受けているもよう。
中部電力は東日本大震災後、東京電力への融通を始め、現在も続けている。だが突然の浜岡原発停止要請を受け、中部電力は「全面停止すれば供給力が不足し、一般論として他社への融通は難しくなる」(広報部)として中止する方針。九電への融通も予定通り続けるのは困難な情勢だ。
政府は関西電力に中部電力への供給支援を要請したが、関西電力も美浜原発(福井県美浜町)などの運転再開のめどが立っておらず「むしろ需給は逼迫しており、支援する余裕はない状態」(電力業界関係者)といい、電力各社で供給不足が連鎖的に拡大する様相を呈している。
九電は玄海2基に続き、今月10日から川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)も定期検査に入るため、原発6基中3基が停止する見通し。佐賀県などに再開の理解を求めるのと併せ、大口需要家などに大幅な節電要請を行う検討を本格化する。
=2011/05/08付 西日本新聞朝刊=
URL:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/240874

海江田万里経済産業相は8日、民放番組で「大阪から中部を経由して東京に送っていただくことになる」などと述べ、関西電力に東京電力向けの電力融通を要請していたことを明らかにした。経産相が関電の八木誠社長に電話で要請した。
福島第1原子力発電所事故に伴い東電は中部電から電力融通を受けているが、中部電の浜岡原発が停止すれば「中部電から東電に来るのは無理になる」(海江田経産相)ため。日本では東電と中部電の間を境に供給する電気の周波数が異なり、東西で融通できる電力は100万キロワットにとどまっている。
URL:http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E2EAE2E3998DE2EAE2E7E0E2E3E39797EAE2E2E2;at=ALL

中部電力浜岡原発の全原子炉の運転停止を政府が要請したことにより、運転停止中の原発再開に難色を示す声が強まるとみられる。11基の原発を持つ関西電力の経営にも様々な影響が出そうだ。
直近の課題は、夏場の電力供給の余力不足への懸念が増すことだ。関電の2011年度の供給計画によると、供給力3290万キロ・ワットに対し、夏場の最大電力需要は2956万キロ・ワットで300万キロ・ワット強の余力があると見込んでいた。
関電の原発は現在、3基が定期検査で運転停止中だが、東日本大震災を受けた安全対策の見直しで、運転再開のめどが立っていない。残る原発も順次、定期検査の時期を迎えることから、このまま運転再開ができなければ夏場には計300万キロ・ワット以上が供給できなくなり、供給余力はほとんど無くなる計算となる。
関電は「万難を排して供給確保する」(八木誠社長)としている。中長期的には、休止中の火力発電所を再開するなどの手段もあり、ただちに利用者に影響が及ぶわけではない。
また、稼働中の原発まで停止されることで、原発に対する世論が厳しくなるのは確実だ。関電は福井県内に11基の原発を持ち、自社発電量に占める原発の割合が54%と、原発を持たない沖縄電力を除く9電力の中で最も高い。中長期的な経営への影響は、中部電以上に大きいとも言える。
廃炉・新設を検討している美浜原発1号機(福井県美浜町)の新型機への置き換えにも影響が出そうだ。今夏にも高浜原発4号機(同県高浜町)で開始したい意向だったウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電も計画の見直しを迫られる可能性がある。
(2011年5月7日 読売新聞)
URL:http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110507-OYO1T00292.htm

大阪府の橋下徹知事は8日、菅直人首相が中部電力に要請した浜岡原発の全炉停止に関連して、報道陣に「(関西で消費電力の)ワット数をカットできるなら(その分を)中部に回してもいい」と述べ、電力の安定供給のために政府に協力する考えを示した。今後、府として節電目標を具体的に検討する方針。
橋下氏は「産業の抑制やライトアップ中止など都市の魅力低下につながることはしないが、現代社会では浪費している電気はたくさんある」と指摘。浜岡原発の停止で不足する可能性のある電力を節電で補う考えを示し、「関西の府県民、国民の総力をもって取り組めばできると思う」と述べた。中部電力などへの融通方法について、海江田万里経済産業相と今後協議したいという意向も示した。
橋下氏は、菅首相の浜岡原発停止要請を「大英断」と評価した一方、停止に必要な節電量などが示されていないとして「行政の詰めが甘い」とも指摘した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0508/OSK201105080045.html

菅直人首相は8日、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の稼働停止要請に関連し、同原発以外にも運転停止を求める可能性について「それはありません。浜岡は特別なケースとの位置付けだ」と言明した。中部電が停止要請への結論を持ち越したことに関しては「しっかり話をして、理解をしてもらいたい」と述べ、要請受け入れに期待を示した。都内で記者団の質問に答えた。
関係者によると、首相は7日、大村秀章愛知県知事に電話し、浜岡原発の全面停止に理解を求めた。知事が他の原発への波及や県内経済への影響に懸念を示したのに対し、首相は「(浜岡は)特別だ。(中部電管内の)電力需給バランスには万全を期す」と伝えた。
一方、仙谷由人官房副長官は8日のNHK番組で、浜岡以外の原発停止を求めない理由について「現時点で30年以内に震度6以上の地震が起こる確率が1%以下のところがほとんどだ。特に日本海側、瀬戸内にある原発は心配ない。科学的にもそういう結論が出せる」と説明。その上で「私どものエネルギー戦略、政策は原発を堅持する」と強調した。(2011/05/08-16:59)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2011050800062
この記事へのコメント
almanos
通りすがりです
もしかして勘違いされてるのかもと思ったのですが、中部電力が100万kw融通しているのではなく、現在もこれは、西日本の各電力会社からの合計ですので…
ちび・むぎ・みみ・はな
回避したいから策略をめぐらす. これで民主主義の
伝統がなかったらスターリンと同じ. 日本で良かった.
民主主義の世の中では, やはり, 役立たずの存在.
> 保身しか考えない政治家など要らない
せめてパチンコだけでもは廃止させたいものだ.
日比野
>中部電力が100万kw融通しているのではなく、現在もこれは、西日本の各電力会社からの合計ですので…
ご指摘ありがとうございます。訂正します。
もーすけ
ということは、東電に供給しなければお互い融通しあえば供給不足にならないんだね。
西日本は西日本で融通しあえばいいということだね。
もともと東電は足りないんですよ。
なんで今なんでしょうか?
主相が決めたんじゃなく、社民党の質問に答えただけだし、もともとアメリカの提案だったんでしょ。
主相は正直に言うべきです。
それから、全国でという話にしてほしいですね。