5月6日、菅首相は記者会見で、浜岡原発の停止要請を行ったことを明らかにした。
具体的には、点検停止中の3号機と稼働中の4、5号機を全面停止を要請するもので、1~2号機は運転終了しているから、要するに、浜岡原発の全面停止。
記者会見では、菅首相は「国民の皆様の安全と安心を考えてのこと」と言っているけれど、それだけではなくて、政権の支持率回復を狙っているという見方もある。
自民党の山本一太政審会長は、「菅首相は内閣支持率を上げたいという一心で、 行き当たりばったりで動いているとしか映らない」と批判しているし、石破自民党政調会長「その決断をダメだとはいわないが、要請するからには根拠をきちんと示してくれ。それが政府の責任だ。」とコメントしている。
一方、福島社民党党首や、穀田共産党国対委員長は、停止要請を評価している。
確かに安全を考えて、中長期対策の完了まで止めるという判断そのものは間違ったことではないと思うけれど、電力の供給不足など、その後の対応をどうするか含めて、地元や中部電力と調整した形跡はなく、やはり、行き当たりばったり感は否めない。
実際、地元の御前崎市には、全く根回しされていなかったらしく、地元は「事前連絡なく寝耳に水」「国策なら全原発止めるべきだ」と反発しているし、中部電力の水野社長は、「最終的返答は保留させていただきたい」と政府に回答している。
また、経済産業省でも、原発の緊急安全対策を進めて、2030~50年には「世界最高レベルの安全性に支えられた原子力」を3本柱の一つとする内部文書が出されていたという。
今回の発表について、首相周辺は「会見直前に決めた」と打ち明け、経済産業省幹部も「まったく知らなかった」とこぼしていたそうだから、本当に根回ししないで発表したのだろう。
たとえ、良い案を思いついたとしても、それをきちんと実現までに持っていくだけの実務能力がないと、いたずらに混乱を招いてしまう。
記者会見での質問で電力の受給不足について問われると、菅首相は、「多少の不足が生じる可能性がありますけれども、この地域をはじめとする全国民のみなさまの理解と協力があれば、そうした夏場の電力需要に対して十分、対応ができる」と言っているから、要するに、計画停電なりなんなりして電気がなくても我慢しろ、と言っているように聞こえる。
その一方、どういう法的根拠で停止させるのか問われると、「要請であって、指示ではない」と逃げる。中部電力が断ったらどうするのかと重ねて問われると「説得する」というだけ。
それでも、形の上では、政治判断として浜岡原発の停止を決めたことになるから、この判断を世論が支持するしないは、そのまま、浜岡原発の運転継続を望んでいるかいないかを計るリトマス試験紙になる。
海江田経済産業相は、関西電力の八木誠社長に対して電話で直接、中部電力への電力融通の支援を要請したそうなのだけれど、関西電力もそれほど余剰電力があるわけでもなく、あまり支援にならない可能性がある。それに、これまで、東京電力に融通していた中部電力からの電力も止まるだろうから、東京電力管内でまた、計画停電をすることになるかもしれない。
またぞろ、計画停電ともなれば、東北、関東、中部に工場をおく企業の生産に支障をきたすから、結果的に、経済へ大きな打撃を与えることは容易に予想される。
どうも、民主党は、そのあたりの経済的影響に関して無頓着というかあまり気を配っていない。日本全部等しく不幸になりましょう、という方向に向かっているように思えてならない。
安全対策のために浜岡原発を止めるという判断を是としたとしても、そのための根回しや、電力供給不足対策といった実際の手当を十分にしないのであれば、やはり政治としては無責任だし、直ぐに手当ができないのであれば、それに対する説明と将来プランを提示しないといけないと思う。
宰相不幸社会。
ただ、こうした、世論受けとパフォーマンスに終始する最低最悪宰相は、日本国民に自分の政治意識の程度を気づかせてくれるという面があると思う。なぜなら、世論に阿った政策を優先して行う宰相であることを意味するから。
だけど、そんなやり方は、国民の多くが、政治経済および国際情勢を知悉していて、国家運営の大局的判断ができるくらいの見識があるのなら兎も角、言い方は悪いけれど、自分の身の回りくらいしか目が行き届かない国民が大勢を占める場合には、国家判断を誤る危険がある。
特に、平時ならいざ知らず、天災や戦争などの有事に当たっては、リーダーの判断が国家の命運を左右してしまうことさえある。
それを食い止めるためには、適切な教育と情報開示、そして、国民各々が広く議論できる場を醸成しておくことが必要なのだけれど、民主党はそれらを用意しているのか。とてもそうは思えない。
この機会に、国民が一段と政治に対する意識を高めることを望みたい。


菅首相が6日、中部電力浜岡原子力発電所の全面停止要請という異例の措置に踏み切ったのは、国民の原発に対する不安感を軽減し、東日本大震災の対応の不備で失墜した政権の信頼回復につなげる狙いがある。
ただ、政府内で十分に検討された形跡はなく、支持率低迷に苦しむ政権が反転攻勢のために繰り出した苦肉の策との見方も出ている。
首相の指示で原発事故対応にあたっている細野豪志首相補佐官は6日夜、首相官邸で記者団に「首相は4月の初めあたりから浜岡原発を非常に意識していた。
難しい判断だったが、国民の安全をないがしろにできない。相当、悩んだ上での判断だった」と述べ、停止要請が首相自身の強い意思だったことを明らかにした。
首相は数週間前から、政府関係者を通じ、浜岡原発を止めた場合に世論がどう反応するかを含め、具体的な影響を慎重に探ってきた。
(2011年5月6日22時55分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110506-OYT1T00866.htm

菅直人首相が中部電力浜岡原子力発電所の全面停止を唐突に打ち出した。実は原発差し止め訴訟によるダメージを恐れただけのようだが、東京電力福島第1原発事故の対応批判で「菅降ろし」に弾みをつけようとした民主党の鳩山由紀夫前首相や小沢一郎元代表は機先を制せられた。首相の保身術は思わぬ「クセ球」を生むようだ。(加納宏幸、山本雄史)
「国民のみなさまに重要なお知らせがあります。私は首相として…」
緊急記者会見でこう切り出した首相はいつになく生気に満ちていた。「首相として」を何度も繰り返し、自らの決断を強調した。
だが、首相が事務レベルと協議した形跡はない。首相周辺は「会見直前に決めた」と打ち明け、経済産業省幹部も「まったく知らなかった」とこぼした。
そもそも浜岡原発に関心があったわけではない。2日に福島瑞穂社民党党首から「ぜひ浜岡原発を止めてくださいね」と迫られた際は「ヒャッハッハッ…」と笑ってごまかした。
だが、首相は同日夕、福島氏から弁護士グループが浜岡原発差し止め訴訟を準備していることを電話で知らされる。「次のターゲットは浜岡原発だ」。やっと気付いた首相は、海江田万里経産相に浜岡視察を命じ原発停止に動き出した。
一方、反首相勢力は、小佐古敏荘東大教授の内閣官房参与辞任後、原発事故を「菅降ろし」の軸に据えつつあった。
「水による冷却を続けている限り放射能流出は止めようがない。首相は『時間がかかる』と私の言うやり方にしなかった…」
鳩山氏は6日、滞在先の北京市内のホテルで記者団に、自らが提案した原発の冷却方式を首相に拒否されたことへの怒りをぶちまけた。首相が「想定外」を連発したことにも「そういう言葉を政治家は使うべきではない。あらゆる状況で国民の命を守るのが政治家の責務だ」と非難した。
小沢氏も6日に珍しく記者団のぶら下がり取材に応じ、「海に陸に空に地下に放射能を垂れ流している。手をこまねいて済む問題ではない。原発が制御不能に陥っている責任は政治家として重い」と断じた。
ただ、「訴訟怖さ」からの決断が「けがの功名」となり、小沢氏らは戦略見直しを迫られた。
首相は6日夜、仙谷由人官房副長官と都内のホテルで中華料理に舌鼓を打った。夜の外食は東日本大震災後初めて。浜岡停止により政府は原発政策の見直しを根底から迫られかねないが、首相がそこまで先を読んだようには見えない。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110507/plc11050701110001-n1.htm

中部電力は6日、菅直人首相の原発停止要請の発表に先立ち、津波によって原発敷地が海抜で15メートル浸水するという初の想定を公表した。国の東海地震の想定に基づき中部電は敷地前の砂丘で浸水は防止できるとして原発敷地の浸水は「0メートル」と想定していた。しかし、東日本大震災で東京電力福島第1原発を直撃した津波の高さが14~15メートルだったとされていることから初の浸水想定に踏み切った。
東海地震の津波の高さは国が想定するが、原発敷地内への浸水想定は中部電が独自に決めた。浜岡原発の3、4号機は海抜9メートル、5号機は海抜7メートルの高さに位置しており、この想定を基にすれば、原子炉建屋は6~8メートル浸水することになるという。
これをふまえて、中部電は地面から高さ6~8メートル以内にある空調用排気口計8カ所を上方へ移動し、壁を貫通している配管計378カ所に浸水防止の止水材などを追加する新たな津波対策に着手。防水性能向上のため、建屋の搬入口や扉をパネルや鋼板で補強することにした。これらの対策は今月中に完了する見込みだ。
URL:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110507/dst11050701420002-n1.htm

石原伸晃自民党幹事長「電力供給はどうなるか、今後のエネルギー政策も含めて総合的に判断したのか。国会で十分な説明を求めたい」
石破茂自民党政調会長「唐突な感じがする。いかなる権限で首相が原発停止を要請できるというのか。その決断をダメだとはいわないが、要請するからには根拠をきちんと示してくれ。それが政府の責任だ。とにかく止めろといわれても中部電力も困ってしまうだろう。このままではあちこちの原発を止めろという話にもなる」
東順治公明党副代表「東海大地震の危険性は前々から指摘されていることだが、なぜ今なのか。いきなりすぎる。信じられない。東西日本の電力周波数の統一など他の手だては十分なのか。復興に向けて立ち上がろうとしているときに十分な検討を加えた上でのことなのか」
福島瑞穂社民党党首「首相の英断を高く評価する。脱原発の未来を切り開く大きな一歩となる。東海地震が起きる前に決断してくれて良かった」
穀田恵二共産党国対委員長「浜岡原発は活断層の上にあり、停止要請は当然だ。これを機に『安全神話』との完全な決別が必要だ」
細野豪志首相補佐官「首相は4月初旬から浜岡原発を非常に意識していろいろな見解を聞いてくるような指示があった。中部圏の経済に与える影響が最大の懸念だった。非常に難しい判断だと思う」
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110507/stt11050700540002-n1.htm

菅直人首相の要請を受け、中部電力浜岡原子力発電所の運転を全面停止した場合、同社の今夏のピーク時の電力は余力がほとんどない状態に陥る。中部電から東京電力管内への融通電力が途絶える可能性や、全国の原発の安全確保に伴う運転停止に加え、政府は関西電力にも融通電力を要請しており、全国的な電力不足が発生する恐れがある。
海江田万里経済産業相は中部電の原発の運転停止に合わせ、関西電力に電力融通を要請したことを明らかにした。浜岡原発の停止分の電力供給を補うためだ。
中部電が保有する原発は、浜岡原発の3~5号機のみ。同社の電力供給力約3263万キロワットのうち、約11%の約350万キロワットを占めるが、石油火力発電所などと違って24時間運転するため、発電電力量は全体の14%(平成21年度実績)に当たる。現在、3号機が定期検査で停止中で、4、5号機とも止まると、原発からの電力供給はゼロになる。
中部電の昨夏の最大電力需要は2621万キロワット。予期しない電力需要の伸びに備え、8~10%程度の余裕を持っておく必要もあり、需給は逼迫(ひっぱく)する。
これまで供給力不足に陥っている東電に電力融通をしてきたが、これを自社管内に回す必要が出てくれば、首都圏の電力供給も不安定さを増す。
産業界は、電力不足の東日本での節電を徹底するとともに、事業拠点や生産活動を西日本へシフトする動きを強めている。今回の浜岡原発の停止は、津波対策の強化などに必要な「おおむね2年程度」(経済産業省原子力安全・保安院)の見通しだが、首都圏の供給不足とともに、中部、西日本の安定供給にも不安が生じる。
中部地方は、トヨタ自動車を頂点に、自動車関連産業が集積する。三菱重工業の城下町でもある。関電から中部電への電力融通が行われれば、電力不足に対する不安が日本全体を覆うことになり、経済活動への影響は深刻だ。
電力融通に協力する方針の関電も、発電電力量の45%を原発に頼っている。美浜原発1~3号機など、運転開始から40年前後たつ古い原発を抱える。
西川一誠福井県知事は6日、関西電力美浜原発1号機など県内にある定期検査中の原発の再起動について、現時点では認められないとする談話を発表した。電力供給力が一気に低下するのは避けられず、全国的な需給逼迫が、現実味を帯びてきた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/life/news/110507/trd11050701140003-n1.htm

関西電力は6日、政府の要請に基づき、中部電力に対して電力融通などの支援を検討する方針を固めた。しかし、関西電力も定期検査中の原発で運転再開のめどが立たないなど、夏の電力供給に対する懸念があるため、難しい対応を迫られそうだ。
海江田万里経済産業相が、関西電力の八木誠社長に対し直接、中部電力への支援を電話で要請したという。
関西電力、中部電力とも周波数60ヘルツの電流を送電しているため「システム的には電力融通は可能」(関西電力広報)だ。しかし、融通はあくまでも自社管内の電力安定供給を確保した上での予備電力を利用するのが大前提となる。
関西電力では現在、定検中の原発3基について運転再開のめどが立っていない。同社の供給計画では8月の需要を2956万キロワットと想定し、供給能力を3290万キロワットと見込んでいる。だが、3基が再開できなければ供給能力は約3千万キロワットとなり、適正な予備電力を確保できなくなるという厳しい状況だ。
関西電力は「(首相が)浜岡原発の全面停止を突然、要請したことで驚いている。詳しい内容が分からず、中部電力がどのように対応するかも聞いていないことから、当社としてのコメントはご容赦いただきたい」としている。
URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110507/biz11050700240000-n1.htm

政府からの突然の浜岡原発停止要請は、地元の静岡県に波紋を広げた。
海江田万里経済産業相が5日に浜岡原発を視察した際、「中部電の津波対策は不十分」と指摘した川勝平太知事は6日夜、「福島第一原発の事故を受けて安全確保に対する地元の要望を最優先した菅直人首相と海江田経産相の英断に敬意を表する」と談話で発表。
知事は「国は地元経済への影響にも適切に対応しなければならない。県は省電力、省エネルギー対策にこれまで以上に取り組み、安全な代替エネルギーの確保を加速するように全力を挙げて取り組む」と訴えた。
同県の小林佐登志・危機管理監は、原子力安全・保安院に静岡に来て要請の真意を説明するよう求めるとともに、「原子力政策は国策。国から要請があれば受け入れるのは当たり前。地元交付金の問題をはじめ国に要望したいことも出てくるだろうから、国には対応していただきたい」と国に丁寧な対応を求めた。
一方、浜岡原発地元の御前崎市の石原茂雄市長は「昨日(5日)、海江田大臣が来て地元の意見を聞いてから3号機の稼働を判断するといっていた翌日にこの発表。愛情がない。40年余り国のエネルギー政策に協力してきたのは何のためだったか。国策というなら国内の全原発を止めるべきだ」と反発した。
同市原子力対策室の男性担当者は「首相の会見を聞いて市役所に飛んできた。寝耳に水だ。事前に(地元には)連絡はまったくなかった」と当惑した様子。地元関係者の中には、「(菅首相には)展望がないのではないか。原発関係者が納得するわけがない」との声も出ている。
URL:http://sankei.jp.msn.com/life/news/110507/trd11050700260000-n1.htm

菅直人首相は6日夜、首相官邸で記者会見を開き、静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所の運転停止を要請したことを明らかにし、「東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切だ」と述べた。記者会見の詳報は以下の通り。
「国民の皆様に重要なお知らせがあります。本日、私は内閣総理大臣として海江田(万里)経済産業大臣を通じて、浜岡原子力発電所の全ての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請しました。その理由は何と言っても国民の皆様の安全と安心を考えてのことです。同時にこの浜岡原発で重大な事故が発生した場合の日本社会全体に(与える)甚大な影響も合わせて考慮した結果です。文部科学省の地震調査研究推進本部によれば、これから30年以内にマグニチュード8程度の想定の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫しています。こうした浜岡原子力発電所の置かれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分対応できるよう防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが大切です。国民の安全と安心を守るためにはこうした中長期対策が完成するまでの間、現在、定期検査中で停止中の3号機のみならず運転中のものも含めて全ての原子炉の運転を停止すべきと私は判断しました。浜岡原発では従来から活断層の上に立地する危険性などが指摘されてきましたが、先の震災とそれに伴う原子力事故に直面して私自身、浜岡原発の安全性についてさまざまな意見を聞いて参りました。その中で、海江田経済産業大臣とともに熟慮を重ねた上で、内閣総理大臣として本日の決定をいたした次第です」
「浜岡原子力発電所が運転停止をしたときに、中部電力管内の電力需給バランスに大きな支障が生じないように、政府としても最大限の対策を講じて参ります。電力不足のリスクはこの地域の住民の皆様をはじめとする全国民の皆様がより一層、省電力、省エネルギー、この推進をしていただけることで、必ず乗り越えていけると私は確信をいたしております。国民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます」
--中部電力は東海地震の揺れが起きても安全性の問題がないとし、国も容認してきた。なぜ浜岡原発だけなのか。夏場を迎え原子炉すべてを止めれば、電力需要よりも供給量が下回ると思うが対策はどうか
「只今、申し上げましたように浜岡原子力発電所が所在する地域を震源とする、想定される東海地震が、この30年以内にマグニチュード8程度で発生する、そういう可能性が87%と文科省、関係機関から示されております。そういう浜岡原発にとって特有といいますか、その事情を勘案をして、国民の安全安心を考えた結果の判断、決断であります。また、電力不足についてのご質問でありますけれども、私は、これまでの予定の中で言えば、多少の不足が生じる可能性がありますけれども、この地域をはじめとする全国民のみなさまの理解と協力があれば、そうした夏場の電力需要に対して十分、対応ができる、そういう形が取り得るとこのように考えているところです」
--浜岡原発だが、どういった法律のどういう根拠に基づく要請なのか。法的な担保がない場合、中部電力が断ったらどうするつもりか
「この要請に関して後ほど、海江田経済産業大臣から詳しくご報告をさせていただきますけれども、基本的にはこの私が今日申し上げたのは、中部電力に対する要請であります。法律的にいろいろな規定はありますけれども、指示とか命令という形は現在の法制度では決まっておりません。そういった意味で、要請をさせていただいたということであります。もう1点は?」
--中電が断ったらどうするつもりか
「ここは十分にご理解をいただけるように説得をしてまいりたい。このように考えております」
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110506/plc11050620080011-n1.htm

原発の緊急安全対策を進めて「安全宣言」を早期に行うことで既設の原発からの電力供給を確保し、2030~50年には「世界最高レベルの安全性に支えられた原子力」を3本柱の一つとするとした、経済産業省の今後のエネルギー政策に関する内部文書が6日、明らかになった。
14基の原発の新増設を盛り込んだエネルギー基本計画を含め、菅直人首相が政策の白紙からの見直しを表明、中部電力浜岡原発の停止を要請するなど、これまでにない政策を進める中、従来の原発重視を堅持する方針を早々に打ち出したことには今後、各方面から批判が出るのは確実だ。
文書は、東日本大震災を受けた現行のエネルギー政策の課題に関するもの。事故で「原子力の安全確保に大きな疑問符」がついたとの判断から、「原因の徹底究明と安全規制の抜本見直しを進め、将来のエネルギーとしての適格性を判断する」としながらも「今後のエネルギーのベストミックス」の一つとして「安全性を最大限追求した原子力」を掲げた。
その上で、30~50年に向けた長期的なエネルギー政策の3本柱の一つとして、太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡大、ライフスタイルや産業構造の改革による省エネルギーの実現とともに「世界最高レベルの安全性に支えられた原子力」を据える考え方を示している。
また、定期検査で停止した原発が再稼働できない状態が続くと、今後1年間で全国すべての原発が停止して地震直前に比べて3千万キロワット以上の供給力が失われると電力危機を強調。「緊急安全対策の徹底(安全宣言)により、既設炉からの電力供給を担保」するとの方針を示した。
再生可能エネルギーについては今後拡大する方針を示したものの「太陽光発電のコストは原子力の約7倍」「電力の安定化対策として蓄電池の大量導入など年間数千億円が必要」など、これまでの評価の記述をほぼ踏襲している。
(共同)
URL:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011050601000829.html
この記事へのコメント
クマのプータロー
原発を「止める」事に何ら危機感がないので、また基準を満たしたら運転再開となると思っている人が多いようです。しかし、そのような「基準」は存在せず、誰が、どのような基準で判断するのか、それはどのような見地に立ったもので、公平、公正、安全が確保されるのか、判断する人または機関が存在しません。従って、運転再開も政治的意図によって決まるのでしょう。
釈迦に説法かもしれませんが、中部電力管内にはトヨタ自動車をはじめとする自動車産業、三菱重工をはじめとする航空機産業、三菱電機をはじめとする電機産業、エプソンをはじめとする精密機械工業の他木材、製紙、製鉄、造船、楽器、半導体いろいろあり、ここの操業にキャップが掛けられることになります。この地域の代替は他の日本の地域では代替は効きません。大企業の判断によっては安価な電力を求めて海外シフトが進むでしょうし、保障がまとまってもその方向性はやはり海外逃避へと向かうでしょう。明日から、東海、東南海、南海地震が立て続けに起こり、30メートル級の津波が押し寄せると言う想像は出
杜都
丸山光三
白なまず
津波は最大200m 級に対応出来なければ防波堤など無意味だと思っています。(海の平均水深を200mと想定すると)
河川での津波の遡上では500mに達する形跡もあるので、海側だけではなく施設を一周するように隔離しないとどうやっても津波を完全に防げないと思います。フランスが将来の原発として海中に施設を作る案をチラッと見たことがありますが、この考え方の方が巨大堤防を作るよりマシに思えるのはどうしてでしょう。
ス内パー
という分析みて納得した自分がいます。確かに水力やクリーンエネルギーが原子力の穴を埋めるよりはよほど現実的で、それゆえに皆が懸念するでしょうな。小国がまとめて日本を恨む日がくるとかいやな分析ですが
せみまる
sdi
「要請」した菅首相側が中部電力(および国内輿論)に対してデータとそれに基づいた説得力のある「浜岡原発を停止しても電力供給に問題はない」というステートメントを提示できていればこんなことにはならない。それができなかったから中部電力に下駄を預けて責任も押し付けることになったのではないだろうか?。そういう点、GW中に発表して週明けから動き出す「菅降ろし」をけん制し、併せて支持率回復の人気取りにつなげるための「要請」という推測に私は賛成する。ス内パー殿も指摘していたが、この「要請」は日本のエネルギー政策を転換し、世界各地で激化している石油・天然ガス資源獲得競争に今まで以上に首を突っ込む、と海外は受け取るだろう。その場合、関係諸国に事前交渉しておくのと何もせずいきなり「要請」をやらかすのではどちらが正しく日本の意思が伝わるだろうか。