民主党とヴァルプルギスの夜

 
昨日のエントリーの続きです。
 「文部科学省は1から20ミリシーベルトを暫定的な目安として、今後できる限り児童生徒等が受ける線量を減らしていくことが適切であるという考え方にたっているのであって、20ミリシーベルトまでの被爆を許容しているものではないので、そこは小佐古先生がおっしゃっていること自体が認識というか誤解に基づいている。決して20ミリシーベルトに達するような環境、あるいはそういう事態に達するような学校環境のもとで、お子さんたちに学校生活を営んでいただくということはまったく今回の指針は想定していない」
枝野官房長官 於:4/30 記者会見
  
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小佐古氏の参与辞任に関して、政府がどう説明したかといえば、ご存知のとおり、菅首相の「場当たり的ではない」発言と枝野官房長官の「小佐古氏の誤解だ」発言に集約されるだろう。

だけど、そうした政府の答弁が本当なのかについては、実際にやっていることを比較してみれば、直ぐ分る。

たとえば、「小佐古氏の誤解だ」発言についていえば、その理由は、"今後、線量を減らす努力が適切であるという考えに立っていて、20ミリシーベルトまでの被爆を許容しているわけではない。"というものだから、それが本当であれば、その"線量を減らす努力"なるものを政府がきちんとやらなければならない。

では、その"線量を減らす努力"とは一体何かと言われると、まだ、具体的な方針は示されていない。ただ、"線量を減らす努力"の言葉自体は、4月30日の衆院予算委員会でも菅首相が同じく発言しており、時事通信は「基準を厳しくする方向で見直す考えを表明した」と報道している。

まぁ、確かに、基準を厳しくすれば、それなりの対応を求められることになるから、必然的に"線量を減らす努力"をすることになる。その意味では、若干間接的ではあるけれど、基準を厳しくすることは、"線量を減らす努力を促す方針"を示すことになるといえばなる。

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だけど、5月2日、福島県の内堀雅雄副知事と首相官邸で会談した菅首相は、この年20ミリシーベルト以下の校庭利用基準の見直しについて、「国としての考え方がある。きちっと県民や国民に伝える努力をしなければならない」と見直しを拒否した。

だから、基準を厳しくするという意味での、"線量を減らす努力"はしていない。本当に国としての考え方をきちんと県民や国民に伝える努力をするのであれば、少なくとも20ミリシーベルトにした根拠を明確にしなければならないはずなのだけれど、文部科学省から基準値への助言を求められた原子力安全委員会が正式が委員会も召集せず、わずか2時間後に20ミリが妥当だという回答をしたことが分かっている。しかもその議事録すら作っていないというから、一体どうやって、何を説明するのか。

いつものことだけれど、この御仁は、口ばっかりで、その場を取り繕って逃げるだけ。正に「場当たり」という表現がふさわしい。

また、郡山市が行った、校庭の表土を剥がすことについては、剥がした後の線量がぐっと下がったことをみても、十分に"線量を減らす努力"に値するものだと思うけれど、枝野官房長官は5月1日の会見で、剥がした表土を"放射性廃棄物"だと認めた上で、文科省から示した指針に基づけば、除去する必要はないとコメントしている。

放射性廃棄物なのに、除去する必要はないという。

わけがわからないよ。

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また、枝野氏は4月30日の会見で、「小佐古先生は原子炉が主に専門とうかがっている」と発言し、5月1日の会見では、小佐古氏が「牛乳や飲料水の安全基準値について、放射性ヨウ素の場合3000ベクレル(1キロ当たり)でいい」と提言を受けたことを明らかにし、安全委員会等の判断で300ベクレルが基準となった、と批判している。

まぁ、これだけ聞けば、なんだ、小佐古氏は専門外についてあれこれいっていただけか、と思わなくもないのだけれど、元外交官の佐藤優氏は、誤解しているのは、枝野氏のほうではないか、と痛烈に批判している。

勿論、小佐古氏は放射線の人体に対する影響が専門で、件の佐藤氏の記事によれば、ICRPの委員を12年務め、例の1~20mSvの基準を10年かけて決めてきた経緯を全て知っているそうだから、その意味では、これほど参与に相応しい人物はいなかったと思われる。

その小佐古氏に対して、誤解だとし、しかも表土を剥がすという校庭の線量を下げる努力は必要ないというのが今の菅政権の姿勢。

だから、やはり、小中学校の屋外活動基準に関する政府の対応は、「場当たり的」であるし「誤解しているのは政府」だと言わざるを得ない。

事故から1ヶ月半。半減期が短い放射性ヨウ素ならいざ知らず、30年と長い半減期を持つ放射性セシウムをも放出されている以上、校庭にはヨウ素と一緒にセシウムも積もっていると考えるべきで、その意味では、いくら待っても、線量は減らない可能性が高い。

科学実験で用いられる器具に、長時間温度を一定に保つ「恒温器(インキュベーター)」というのがあるけれど、福島県各所の校庭は、もうすでに一定の線量を保つ、「放射線恒温器」のような状態になっていると思う。

もしも政府が、それを放置して、"悪い事だとは思ってもいない"のだとしたら、どうかしている。

わけがわからないよ。

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ようやく公表されたSPEEDIの試算結果によると、3月12日から4月6日までの、1歳児を対象にした、内部被曝臓器等価線量の積算線量は、福島県浪江町、飯館村、南相馬市などが、もう100mSvを超えてしまっている。それなのに、飯舘村、浪江町、葛尾村、川俣町と南相馬市の一部地域に対する、計画的避難指示が出されたのが4月22日

同じ恒温器(インキュベーター)でも、赤ん坊が入る保育器ならともかく、"放射線のインキュベーター"に入れられるなんて堪らない。

菅政権とは「人間の価値・倫理観が理解出来ない異質な思考」を持った、メフィストの集団なのか。

国民は、2009年の衆院選で、政権を委ねるという"契約"を結んでしまった。

だけど、そんな民主党マニフェストというささやかな「願い事」のために、肉体を奪われ、魂を封じこめられるのは許容できない。

ヴァルプルギスの夜はいつまでも続かない。

SPEEDIの予測値で明らかなように、飯館村には、累積被曝量は相当な量に上っている。放射能という"赤い筋"が首についている。

一刻も早く、そんな牢獄から避難しないといけない。飯館村の人々をマルガレーテにしてはいけない。

つねによい目的を見失わずに努力をつづける限り、最後には必ず救われる。





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画像枝野官房長官「校庭汚染土は放射性廃棄物」

 枝野幸男官房長官は1日の会見で、福島県郡山市が放射性物質を含むとして除去した小学校や保育所の土について「原発以外のところで発生する放射性廃棄物ということになる」と述べ、東京電力福島第1原発事故により放射性物質に汚染された廃棄物とみなした上で、処分のあり方を検討する考えを示した。一方で「文部科学省から示した指針に基づいて対応をいただければ(校庭の土を)除去する必要はない」との見解も示した。【影山哲也】

URL:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110502k0000m010067000c.html


画像20ミリシーベルト基準問題 首相見直しを拒否「国としての考え方がある」 2011.5.3 00:44

 菅直人首相は2日、福島県の内堀雅雄副知事と首相官邸で会談し、文部科学省が定めた「年間被曝(ひばく)線量20ミリシーベルト以下」の校庭利用基準の見直しを拒否した。

 内堀氏は「政府関係者でいろんな考え方があり、県民は非常に不安に思っている」と訴えたが、首相は「国としての考え方がある。きちっと県民や国民に伝える努力をしなければならない」と述べ、現行基準への理解を求めた。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110503/plc11050300460004-n1.htm



画像審議2時間で「妥当」判断 原子力安全委、学校基準で

 福島第1原発事故で、文部科学省から小中学校などの屋外活動を制限する基準値への助言を求められた国の原子力安全委員会(班目春樹委員長)が、正式な委員会を招集せず、助言要請から約2時間後には「妥当だ」との助言をまとめ、回答していたことが30日、関係者の話で分かった。

 安全委事務局は「臨機応変の対応だった」と反論するが、正式な委員会が開かれなかったため議事録も作られておらず、助言までに至る議論の内容が確認できないことも判明。審議の検証ができなくなった異例の事態に「国の政策を追認しただけだ」と批判の声が上がっている。

 国は、目安を一般人の年間許容限度の20倍という高さの年間20ミリシーベルトとした根拠について国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に準拠したとしているが、子どもに高い放射線量の被ばくを認めることになるため、内外の専門家から批判が続出。29日、内閣官房参与の小佐古敏荘・東大大学院教授が辞任する一因ともなった。

 関係者によると、文科省などが「年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するかどうかを目安とし、毎時3・8マイクロシーベルトを学校での屋外活動の基準とする」との原案への助言を安全委に求めたのは19日午後2時ごろ。安全委側は正式な委員会を開かず「委員会内部で検討し」(関係者)、午後4時ごろに「妥当だ」と回答した。だが、議事録が残っていないため、安全委内部でどのような議論が行われたかは明らかではないという。

 安全委事務局は「9日ごろに文科省から相談したいとの依頼があり、委員らが複数回議論、その都度結果を文科省に口頭で連絡していた。正式な会議は開かなかったが、意思統一ができれば助言はできる」とコメント。「(検討時間の)妥当性については発言する立場にない」としている。

 基準の撤回を求めている環境保護団体、FoE(地球の友)ジャパンの満田夏花さんは「独立した規制機関であるはずの安全委が、ほとんど議論もせずに国の政策を追認したことは明らかだ」と指摘。「子どもの健康を守るという重要な責務も、社会への説明責任もまったく果たしていない」と批判している。

2011/04/30 21:57 【共同通信】

URL:http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011043001000786.html



画像東日本大震災:福島第1原発事故 枝野官房長官「校庭汚染土は放射性廃棄物」

 枝野幸男官房長官は1日の会見で、福島県郡山市が放射性物質を含むとして除去した小学校や保育所の土について「原発以外のところで発生する放射性廃棄物ということになる」と述べ、東京電力福島第1原発事故により放射性物質に汚染された廃棄物とみなした上で、処分のあり方を検討する考えを示した。一方で「文部科学省から示した指針に基づいて対応をいただければ(校庭の土を)除去する必要はない」との見解も示した。【影山哲也】

URL:http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110502ddm003040124000c.html



画像小佐古氏も甘い提言=枝野長官が暗に批判

 枝野幸男官房長官は1日午後の記者会見で、福島第1原発事故の政府対応を批判して内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大大学院教授から、「牛乳や飲料水の安全基準値について、放射性ヨウ素の場合3000ベクレル(1キロ当たり)でいい」と3月下旬に提言を受けたことを明らかにした。その上で、枝野長官は「(原子力)安全委員会等の判断で300ベクレルが基準となった。専門家の意見もいろいろある」と小佐古氏を暗に批判した。(2011/05/01-18:42)

URL:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201105/2011050100164&rel=m&g=soc



画像「拡散予測」を全公表へ=1カ月で工程表検証も―福島第1原発・統合本部. 2011年05月02日22時15分 提供:時事通信社 

福島第1原発事故で、国と東京電力の事故対策統合本部は2日、気象条件などから放射性物質の拡散を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」について、未公表だったデータ約5000件を3日以降明らかにすると発表した。原子力安全委員会などのホームページで順次公表する。

 同システムのデータは一部を除き、非公表が続いていた。統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官は「放射性物質の放出源などが不確かで、信頼性がなく、公開で国民がパニックになる懸念があるとの説明を受けた」とした上で、「公表が遅れ、心からおわびする」と謝罪。事故から約50日後の公表で、国の情報公開の姿勢が改めて問われそうだ。

 統合本部によると、未公表のデータは主に、各地の放射線量のモニタリング結果を基に、福島第1原発から出た放射性ヨウ素131などの放射性物質の量を逆算し、どのように拡散したかを試算。約5000件のうち原子力安全委員会のデータが約3900件に上るという。

 データの中には、福島第1原発の放射性物質が全量放出された場合の拡散予測も含まれているという。統合本部は「こうした現実ではあり得ない想定もあるため公表を控えた」などと釈明。一方で、細野首相補佐官は同システムの運用のあり方について「今回の原発事故検証の一部に含まれると思う」との認識を示した。

 また、統合本部は今月17日、原子炉の安定冷却に向けた作業の「工程表」の公表から1カ月を機に記者会見し、検証結果を発表することも明らかにした。汚染水処理や冷却機能復旧の進捗(しんちょく)が焦点になるという。 

URL:http://news.livedoor.com/article/detail/5532167/

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    いろんな分野では特徴付けという操作が大事.
    その特徴づけは分かり易い方が良い.

    ここに来て, 民主党は小沢・鳩山・菅仙谷・枝野で
    完全に表現されることが明らかになった.

    共通点は, 金に汚く, 国を売る, 歴史を知らなく,
    嘘を空気を吐くようにつく.

    目的は誤魔化すことだけだから, 彼らの言うデータ
    の論理性など議論するだけ無駄. その意味では
    枝野氏がスポークスマンなのは正に嘘付党としての
    適材適所.

    政務官などに話しの分かりそうな人がいるようだが,
    小沢・鳩山・菅仙谷・枝野のお仲間と言う時点でその
    本性知れた. 彼らは後世の笑いものになるだろう.

    小沢・鳩山・菅仙谷・枝野の嘘付達とその仲間の時代.
    2015年08月10日 16:46

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