全てを敵に回した「歩く厄災」宰相
28日に行われた民主党の両院議員総会は、なんとも煮え切らない結末だった。
菅首相に対する代表解任動議でもでるのかと思いきや、党執行部に対する不満が出ただけ。菅首相は平然と「エネ政策が次期国政選挙最大の争点」とのたまい、これまでの3条件に「原子力行政に禍根を残さない方向性を出したい」などと付け加えた。
そして、あろうことかそのまま途中退席。
先日の元・自民党の浜田氏を政務官に起用して、野党にケンカを売ったかと思いきや、両院総会では、味方まで敵に回した。
「半径2メートルの引力と遠心力」のエントリーで菅首相は、自分以外の全てを敵にまわしてしまったのではないかといったけれど、それが明確化した。
第2次補正予算案、再生エネルギー特別措置法案、特例公債法案の退陣3条件とて、野党の協力なしに成立できるはずもないのに、わざわざ、浜田氏をポストで一本釣りして、自民党の態度を硬化させてから、 「全部通さないなら辞めない」と居直る。要するに辞めないと言っていると同じ。
急に力説しだした再生エネルギー法案だって、これはもともと、2009年の民主党マニフェストに明記されていたもので、鳩山前首相時代から進められてきたもので、そして、3月11日の午前に閣議決定され、そのあとあの震災があって、手つかずになっていた。
法案の内容は、太陽光発電や風力発電など自然エネルギーによる電力を、電力会社に国が定めた固定価格で買い取るよう義務づけるもので、 発電事業者の新規投資を促すのが目的。必ずしも「脱・原発」のための法案というわけじゃない。
それでも、一見、自然エネルギーの買取制度によって、それが普及すればいいじゃないかと見えるけれど、たとえば、太陽光発電でいえば、「太陽光パネル1000万戸設置構想について」 で指摘したとおり、仮に一般家庭用で今の買い取り金額、すなわち、1kWあたり4万8千円程度では25年から30年かけないと元が取れない。
しかも、太陽光パネルの寿命は20年くらいだし、何よりこの買い取り制度は2020年で打ち切りになる。つまりあと10年くらいしか買い取ってくれない。
だから、よっぽど高額で買い取ってくれない限り、太陽光発電を設置した人は赤字になるし、赤字にならないくらいの額で買い取るとなると、電力会社は買い取り費用を捻出するため、その分電気料金を上乗せすることになるし、法案ではそれを認めている。
だから、この法案のまま実施されてしまうと、却って利用者負担を増やす結果となる可能性が高いし、経団連の米倉会長も「性急な導入が電力価格の上昇をもたらすことになれば、地域経済の弱体化や雇用喪失につながりかねず、国民生活に及ぼす影響は計りしれない」と反対している。
だから、この法案には与党内に反対論もあって、まともに審議すれば、70日の延長期間を使っても成立まで、かなり難航することが予想される。
そんな状態で、菅首相は自民党にケンカを売ったのだから、わざと話を拗らせて、成立させないように仕向けているとしか思えない。
そこへきて、両院議員総会で「エネルギー政策は、次期国政選挙最大の争点」という発言をしたことからみると、やはり、噂されているように、「脱原発解散」を狙っているのではないか。
まぁ、表向きは「脱原発」とは一切言わないで、なんとなくそうだというムードをつくっていくだろうと思うけれど、いざ解散するとなると、党内の猛烈な反対が予想される。そのまま独裁者然として押し切るのか。
この状況では、野党が参院問責は当然として、衆院でも再度の不信任案提出か否決を狙った信任案の提出をしてくる可能性はあるのだけれど、28日の民主党の両院議員総会の体たらくをみる限り、不信任に賛成するのかどうか分からない。
「歩く厄災」宰相を止めるのは誰なのか。
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「次期総選挙 エネルギー政策は最大争点」 菅首相 2011.6.28 17:32
菅直人首相は28日午後の民主党両院議員総会で、「エネルギー政策をどのような方向に持っていくのか、次期衆院選でも最大の争点になる」と述べ、「脱原発」を掲げて衆院解散・総選挙に打って出る可能性を示唆した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110628/stt11062817320010-n1.htm
菅首相、質問求める怒声振り切り退席…両院総会
菅首相は28日夕開かれた民主党両院議員総会で、エネルギー政策の見直しが「次期国政選挙でも最大の争点になると思っている」と述べた。
さらに「原子力行政の方向性を示すことができればと考えている」と語った。
また、第2次補正予算案、公債特例法案の成立などを取り上げて「残された時間を完全燃焼する覚悟で三つの課題に取り組む」と述べた。
菅首相は総会開始から約55分後、質問を要求する出席者の怒声を振り切って途中退席した。
(2011年6月28日18時04分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110628-OYT1T00892.htm?from=tw
輿石氏「一本釣りが全ての障害」=参院民主から首相批判相次ぐ
菅直人首相が自民党の浜田和幸参院議員を総務政務官に起用したことをめぐり、28日の民主党参院常任役員会で批判が相次いだ。輿石東参院議員会長は「浜田氏の一本釣りが全ての障害になっていることは事実だ」と述べ、自民党が反発して法案審議が停滞していることに懸念を表明。人事に関わった北沢俊美防衛相や石井一選対委員長に対しても「一年生議員のように『知らなかった』では許されない」と述べた。
また、民主党の羽田雄一郎参院国対委員長は「野党から『信頼を持てない』と言われ、協力関係が危うくなっている」と指摘。谷岡郁子氏も「ライバル会社の新入社員を部長にするような話。私たちはばかだとレッテルを貼られたようなものだ」と不満を示した。
これに関連し、平田健二参院幹事長は同日の記者会見で「野党から連れてくるのは常識的には考えられない」と首相の人事を強く批判。浜田氏が「綱領のない民主党にはくみしない」と発言したことについては、「ポストで釣られた無節操な人はお断りだ」と語った。(2011/06/28-16:35)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011062800653
谷垣氏「首相は暴走」と対決姿勢鮮明に 公明・山口氏も 産経新聞6月28日(火)12時5分
自民党は28日午前の役員会で、菅直人首相が同党にいた浜田和幸参院議員を東日本大震災の復興対策を担当する総務政務官に「一本釣り」したことを受けて、徹底的に対峙(たいじ)していく方針を確認した。
谷垣禎一総裁は役員会で、「首相は(政権運営には)行き詰まり、暴走を始めた。自民党の協力は一切、いらないということだ」と厳しく批判。国会対応も対決姿勢を強める考えを表明した。
石原伸晃幹事長も役員会後の記者会見で「自民党、民主党執行部との信頼関係をズタズタにした」と指摘した。
浜田氏に対しては「政党人として本当に許されない行為だ。自民党の支援者、同僚議員の協力で議席を得たにもかかわらず、目の前にぶら下げられたニンジンに飛びつくさもしい人だ」と非難した。
公明党の山口那津男代表も記者会見で「他党の議員を閣内に引っこ抜くという禁じ手を使うのは、協調的な機運をぶちこわしていると言わざるを得ない。自民党として不快な気持ちを持つのはもっともだ」と述べた。
URL:http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0628/san_110628_6139746217.html
みんな江田氏「法案成立しなければ、首相は永遠に居座りか」 2011.6.28 17:42
みんなの党の江田憲司幹事長は28日の記者会見で、菅直人首相が退陣条件として再生エネルギー特別措置法案など3案の成立を示したことに対し、「首相は退陣時期は明示しなかった。法案が成立しなければ永遠に居座ると受け取られかねない説明だ」と警戒感を示した。
また、自民党に離党届を提出した浜田和幸参院議員の総務政務官起用については「あえて自民党の神経を逆なでして、同法案を通さないことで、自らの延命を図るつもりか」と皮肉った。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110628/stt11062817440012-n1.htm
菅“挑発人事”は小泉のサル真似だ!「脱原発解散」一直線 2011.06.28
菅直人首相が強行した内閣人事に、与野党だけでなく、閣内からも怒りの炎が立ち上がった。菅首相は第2次補正予算案と公債発行特例法案、再生エネルギー特別措置法案の成立に意欲を見せるが、野党第1党の自民党だけでなく、民主党執行部にもケンカを売るような人事で、とても政策実現につながらない。卑劣な政権延命工作。被災地を無視し、与野党対立を激化させた先にあるのは、「脱原発」を掲げた解散・総選挙なのか。
「国会審議を考えると、野党の態度硬化は非常に厳しい状況だ。正面玄関に立って頭を下げて協力をお願いするのが筋だ」
「ポスト菅」の有力候補である野田佳彦財務相は28日午前の記者会見で、菅首相を激しく批判した。温厚で知られる野田氏を激怒させたのは、菅首相が、自民党の浜田和幸参院議員を「一本釣り」して総務政務官に起用したため。
国会運営を仕切る安住淳国対委員長も27日の役員会で、「ふざけないでもらいたい! 与野党協調でやろうとしているのに、こんな話が出てきたら国会の運営はできない」とブチ切れた。
衆参ねじれの中、党執行部は苦しい国会運営を迫られている。民主、国民新両党を合わせた参院与党勢力は、事実上の過半数である121議席に12議席も足りない。法案成立には野党の協力が不可欠だ。
ところが、菅首相は野党陣営を挑発し続けている。
先の国会延長問題でも、菅首相の異常さは際だった。民主、自民、公明党3党の幹事長は「通常国会を50日間延長したうえで、重要法案を早急に成立させ、第3次補正予算案編成は『新首相のもとで』検討を本格化させる」と明記した確認書を交わすことで大筋合意していた。
だが、菅首相は70日間延長で一歩も譲らず、3次補正の扱いも「新体制のもとで」と修正するよう強硬に要求。これに自公両党は態度を硬化させ、3党合意は破綻した。その余波が収まらないうちに、今度は「おきて破り」といえる自民党議員の一本釣りだ。
自民党は28日午前の役員会で、菅政権と徹底対決していく方針を確認。谷垣禎一総裁は「(菅首相は)切羽詰まって暴走を始めた。自民党の協力は一切要らないということだ」と突き放した。
バカにされた自民党だけでなく、野党との関係改善に動いていた民主党執行部の顔にも泥を塗る行為で、とても、被災地のために与野党が協力して政策を実現するムードではなくなったが、民主党ベテランは「これこそ、菅首相の思うつぼだろう」と言い切る。
「記者会見で、『3法案が成立しなかった場合、9月以降も続投するのか?』と聞かれ、菅首相は否定しなかった。野党が法案に協力しなければ、それだけ菅政権は延命する。さらに与野党対立が激化して、法案審議が進まなければ、菅首相は『野党が被災地復興に協力しない』『再生エネルギー法案にも反対だ』などと一方的に対立構図をアピールして、解散・総選挙になだれ込む気では。万が一、勝てればさらに延命できる」
夕刊フジは17日付の最終版で、菅首相が画策している「脱原発」解散について報じた。広島、長崎「原爆の日」の8月6日か9日に、菅首相が全世界に向けて「脱原発」をアピールし、小泉純一郎元首相が仕掛けた郵政総選挙のように、1点突破で解散・総選挙になだれ込むという驚愕シナリオだ。
東北の被災地では、8月25日に岩手県知事選が告示(9月11日投開票)され、8月28日には仙台市議選も投開票される。「国会の70日延長」「自民党議員一本釣りで与野党対立激化」という菅戦略は、政権延命のための「脱原発」解散に向けて、一直線に進んでいるようにも見える。
政治評論家の小林吉弥氏は「菅首相は政治の常識から外れたことばかりして、暴君と化しつつある。野党も被災地のためには第2次補正は通すだろうが、それ以外は無理だ。党内不満も極限に達している。暴君となって解散・総選挙を狙えば、座敷牢に入れられかねない。参院問責決議は8月下旬ではなく、2次補正後の7月に出てくるのではないか。党内一致しての退陣要求や、慣例破りの2度目の不信任案も考えられる」という。
被災地復興のため与野党協力して政策実現にあたるべき時に、不必要な対立を煽っているのは、やはり菅首相自身であることがはっきりした。
URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110628/plt1106281618004-n1.htm
この記事へのコメント
八目山人
安倍さんや麻生さんの時の、狂ったような叩き方は異常でした。
今テレビを見ていると、菅さんや民主党は慣れないから少しヘマもやるし、復興は遅れているけど、一生懸命何とかしようとやってると思わせるような報道がなされています。
それで菅内閣の支持率が30%弱あるのでしょう。
sdi
「悪いことは全部自分たち以外の誰かの責任。良いことは全部自分たちの手柄」
「法律に『やってはいけない』と書いてないことはやっていい」
という彼らの行動原理を忠実に守ってさまざまな言動を本国会会期中に繰り広げることになるのでしょうね。
またもや古い話になりますが、自民党の領袖だった故三木武夫氏の「総理総裁は国会議員100人分の権力をもっている」という台詞を当てはめるなら、菅首相はたった一人でも国会議員100人を味方にしているということになります。そして恐らく菅首相本人が、今そのことを実感しているのではないでしょうか?