菅首相の延命ネタが尽きるとき

 
「バトンゾーンの中ならどこでも許容範囲だ。そこをはみ出して100日も120日も、半年も1年もやると失格だと国民から思われ、トップランナーを譲ってしまう」
輿石東・参院議員会長

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6月26日放送の新報道2001の世論調査で興味深い結果が出ていた

まず、その結果を次に引用する。
【問1】菅首相の退陣時期をめぐる混乱で与野党の対立は深まっています。この責任はどこにあると思いますか。

菅首相 37.2%
民主党執行部 26.6%
執行部以外の民主党 9.2%
自民党 14.0%
その他の政党 4.4%
(その他・わからない) 8.6%


【問2】菅首相は、風力や太陽光などの自然エネルギーを、一定期間、通常の電気料金より高い価格で電力会社が買い取ることなどを柱とした、“再生可能エネルギー法案”の成立を目指しています。あなたは、この法案の成立を急ぐべきだと思いますか。

はい 45.8%
いいえ 50.8%
(その他・わからない) 3.4%


【問3】現在、菅首相の退陣時期が不明確ですが、いつ退陣すべきだと思いますか。

今すぐ 32.8%
8/31までの会期内 26.0%
8/31の会期末後から年内 14.4%
来年9月の任期満了時 22.6%
(その他・わからない) 4.2%

【問4】あなたは次の衆院選でどの党の候補に投票したいですか。

民主党 15.0%(↓)
みんなの党 6.6%(↓)
自民党 27.8%(↑)
たちあがれ日本 0.2%(↓)
公明党 3.2%(↓)
新党改革 0.2%(↑)
共産党 2.6%(↓)
社民党 0.8%(―)
国民新党 0.4%(↓)
新党日本 0.2%(↓)
無所属・その他 6.0%
棄権する 6.8%
(まだきめていない) 30.2%

【問5】あなたは菅内閣を支持しますか。
支持する 24.0%
支持しない 72.6%
(その他・わからない) 3.4%


筆者が興味深いと思ったのは問1~問3で、退任をめぐる混乱が菅首相と民主党執行部に責任があること、菅首相の退陣時期は8/31の会期末まであること、そして、再生可能エネルギー法案の可決を急ぐべきではないとの回答がそれぞれ過半数を超えていること。

尤も、その1週間前の同じく新報道2001の世論調査で、先達ての大幅会期延長を打ち出した姿勢を評価しない事や、それが菅首相の延命行為だ、と思う人が5割を超えているから、今回の結果もある程度予想されたことなのかもしれないけれど、ようやくにして、民主党自身の政治責任が問われるフェーズにきたとも言える。

また、問4の「あなたは次の衆院選でどの党の候補に投票したいですか」に至っては、民主党へ投票するとの答えが、先週が20.0%だったのに、今回が15%へと急落している。ただ、この次の衆院選でどの党に投票するかについて、新報道2001の世論調査を少し過去まで追いかけていくと面白い傾向が浮かび上がってくる。

次に、新報道2001での世論調査における「あなたは次の衆院選でどの党の候補に投票したいですか」の5月からの結果をプロットしたグラフを記してみる。

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これを見ると、民主党以外の各党については、大体同じ程度の割合をキープしていて、大体5%内外に収まっているのに対して、民主党は5/22の11.6%を最低として、6/5の25%まで大きく変動している。

しかも、この民主党への支持は、「まだ決めていない」層が少ないときには高く、反対に「まだ決めていない」層が多いときには少なく出ていて、民主党への支持と「まだ決めていない」層の率の動きは、丁度正反対の動きをしている。

今現在、「どの政党へ投票するかを決めていない層」というのは、いわゆる「無党派層」が多数を占めていると考えられるから、民主党への支持が、無党派層の支持と正反対の動きをするということは、要するに、民主党は、無党派層の支持に、かなりの部分が支えられていることを意味してる。

これについては、2010年4月18日のエントリー「2010参院選について検討する その3」で、民主党が07年の参院選、09年の衆院選で大勝したのも、風のお蔭、いわゆる無党派層の支持を集めたからではないかと述べていたけれど、今もって、この構造は変わっていないように見える。

無党派層の支持を取り込めるかどうかが、選挙における民主党の命運を分けるということは、逆にいえば、無党派層にウケる政策なり、発言をするということを意味するから、言葉は悪いけれど、それだけ「大衆迎合的」になり易いとも言える。

今後、もしも、脱原発総選挙をやることになったとしても、それはおそらく、無党派が民主党を支持するかどうかに大きく影響される可能性がある。

6月2日の不信任案否決騒動後、一旦は持ち直したかに見えた内閣支持率も、ひと月も経たずに下落した。混乱の責任は、菅首相と民主党執行部にある、と過半数の人が思っている以上、ここが解決しない限り、民主党とて総選挙はやりたくないはず。脱原発で、無党派の支持が集まるのかどうか。集まらなければ、別の支持を集める何かを打ち出すのか。そこに注目すべきだとは思うけれど、民主党は、これまで嘘をつきまくってきたから、発言そのものの信頼がどんどん落ちている。

だから、取り得るべき選択肢は非常に狭まっている。嘘フェストは2度は使えないから、もう"脱原発"くらいしか、ネタはないのではないかとさえ。

だけど、言葉遊びも限界。菅首相の延命のネタもそろそろ尽きてきた感がある。

本当は、与党の強みを生かして、被災地の復旧と復興を速やかに行って、与党の力を示すのが、一番の支持を集める近道の筈なのだけれど、悲しいかな、それだけの力がないから、あれやこれやと国民ウケするネタを披露しては、延命を図っているようにしかみえない。

民主党が、果たして、与党としての責務をきちんと果たせる党なのかどうかを示せるのかどうか。その時間はあと2ヶ月しか残されていない。




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画像菅首相は今国会中に退陣を=民主・輿石氏

 民主党の輿石東参院議員会長は25日、宇都宮市で記者会見し、菅直人首相の退陣時期に関し「(今国会は)70日という延長幅を決めたから、(その間に)次の党代表にバトンタッチをスムーズにしてもらうのがいい。そのバトンゾーンが70日で、有終の美を飾ってもらえばいい」と述べ、8月31日の会期末までに退陣すべきだとの考えを示した。
 輿石氏は「バトンゾーンの中ならどこでも許容範囲だ。そこをはみ出して100日も120日も、半年も1年もやると失格だと国民から思われ、トップランナーを(野党に)譲ってしまう」とも指摘した。 
 国民新党の亀井静香代表が大幅な内閣改造を求めていることに関しては「時間がない」と否定的な見解を示した。(2011/06/25-19:23)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011062500292



画像“菅首相 会期末前に退陣も” 6月26日 11時20分

民主党の岡田幹事長は、東京都内で記者団に対し、今年度の第2次補正予算案と公債特例法案を成立させ、再生可能エネルギー買い取り法案を採決すれば、8月末の延長国会の会期末を待たずに菅総理大臣が退陣することもありえるという見方を示しました。

この中で、岡田幹事長は菅総理大臣の退陣のめどについて、「第2次補正予算案と公債特例法案を成立させ、再生可能エネルギー買い取り法案を採決すれば、総理大臣としてなすべきことは一区切りつくと理解している。70日間の会期延長と菅総理大臣がいつ替わるかは直接リンクしない」と述べ、8月末の延長国会の会期末を待たずに退陣することもありえるという見方を示しました。また、岡田氏は、第3次補正予算案の本格的な編成は新しい総理大臣の下で行われるという認識を示すとともに、再生可能エネルギー買い取り法案が否決された場合に菅総理大臣が衆議院の解散・総選挙に踏み切る可能性について、「まともに取り上げる気にならない。今、政治がやるべきことはもっとたくさんある」と述べ、否定的な考えを示しました。

URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110626/t10013770821000.html



画像石原自民幹事長、8月末に解散「ゼロではない」 2011/6/25 18:58

 自民党の石原伸晃幹事長は25日、福井市で講演し、菅直人首相が8月末に「脱原発」を争点として衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方について「可能性としてはゼロではない」との認識を示した。東日本大震災の被災地で首長選などが実施されることを挙げ「選挙がやれることが明らかになると、菅さんが(解散を)やってくる可能性がある」と述べた。

URL:http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0E7E2E0EA8DE0E7E2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2;at=DGXZZO0195166008122009000000

この記事へのコメント

  • とおる

    > 退任をめぐる混乱が菅首相と民主党執行部に責任があること、菅首相の退陣時期は8/31の会期末まであること

    民主党応援番組かのような「新報道2001」でも、散々な状況を操作しにくいのでしょうか。
    多くのマスコミが、「急流で馬を変えるな!」とか「この状況で、不信任を出す自民党はけしからん!」というような世論操作をしても、この有り様とは、マスコミの信用度にも傷がついているのでしょうか。
    3月11日以降に信用のおける情報源の世論調査結果を見てみたい気がします。(管政権・原子力安全委員会・保安院・東京電力・新聞・テレビなどを対象に)
    2015年08月10日 15:27
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    嘘付党には20%の磐石の支持層があり, 何も
    なければ必ず20%以上の支持率に戻るようだ.
    支持政党なしの層が嘘付党支持と相反するのは
    彼らが心情的に民主党支持だと言うことだろう.
    そう考えると, 民主党には40%近い潜在的支持層
    があり得ることになり,脱原発選挙は危険なもの
    になり得る.

    この状況を打開するには, 自民党はメディアの
    消極的反対を乗り越ええられる一手を打つ必要
    がある. メディアが注目せざるを得ない手を
    打てるか. 谷垣総裁の手椀が厳しく問われる.
    2015年08月10日 15:27

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