「信」と「けものへん」の差は果てしなく大きい

 
「小泉さんがやったことは政策的には全然間違いだが、首相のリーダーシップは自ら結論を出してまっしぐらに突き進まなきゃいかん。首相はもうちょっとリーダーシップを発揮したほうがいい」
亀井静香


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8月解散総選挙の噂が日増しに高まっている。マスコミ各社もぱらぱら解散について触れ始めた。

報道では、菅首相は、8月末までの延長国会期間中に、再生可能エネルギー促進法案の成立を目指しながら、世間に法案の必要性を訴え、「世論が味方に付くのを待つ」考えではないかと見られている。

だけど、会期の延長にしても、元々の50日延長の3党合意を反故にして、70日延長で強行してしまったから、自公の協力は望めないし、与党で、衆院2/3も割り込んでいるから、衆院再可決も難しい。だから、法案成立も相当骨が折れるはず。

事実、23日には、輿石参院議員会長が記者会見で、特例公債法案の成立について、「今の状況では、なかなか難しい」と、再可決のための3分の2の議員を確保することの困難な状況を述べている。

それに、世論そのものだって、菅首相の長期続投には批判的。時事通信社が10日~13日に実施した世論調査によると、菅直人首相の進退について「直ちに退陣すべきだ」が31.1%。東日本大震災への「対応に一区切りつけたら退陣」が50.6%と、合わせて81.7%にも上っている。

だから、いよいよ行き詰ったら、本当に解散に打って出る可能性があるし、民主党内の若手議員の間には「衆院解散に打って出るつもりではないか」との疑心暗鬼が広がりつつあるという。

菅首相は、23日、沖縄の戦没者追悼式に出席した後、延長国会について「燃え尽きる覚悟で取り組んでいきたい」と述べている。

 

まぁ、燃え尽きるのは菅首相の勝手だけれど、そもそも、こんな状況で法案を成立させられるか、という疑問がある。

冒頭の亀井氏の言葉のように、リーダーシップを発揮したほうがいい、なんて首相になってから1年経ってもまだ言われているのに、今日、明日で急にリーダーシップが発揮できるとも思えない。

これまでの菅首相の政治をみている限り、自民党の谷垣総裁が指摘するように独裁的であり、菅首相自身も「議会制民主主義というのは期限を切ったあるレベルの独裁を認めることだ」と述べている。

民主党内の一部には、菅首相のことをリビアの独裁者カダフィ氏になぞらえて、"カンダフィ"とも揶揄して呼ぶ声もあるそうなのだけれど、独裁のくせにリーダーシップがないとはなんとも珍しい。

独裁でリーダーシップがないというのは、「権限を全部一人で握って、自分は何もしない」ということと同じ。これでは、震災復興はおろか、復旧など何も進まなくて当たり前。もし、復旧が進んでいるとするのなら、それはもっぱら現場の人達の努力の賜物だろう。

結局、菅首相は、存在そのものが政治空白になっている。

噂される8月の解散総選挙は、脱・原発のワンフレーズ解散で、かつての郵政選挙を意識したものだと言われているし、密かに菅首相も、小泉元総理を意識しているとの声もある。仮に、菅首相が小泉元総理を意識し、それに比肩しようとしているとしても、やはり決定的な違いがある。それは、行動原理。



筆者は、新しい総理就任時に、その性格というか行動原理を漢字一文字でそのイメージを表してみたりしているけれど、小泉元総理の一字は、やはり「信」。小泉元総理は、自分が言ったことはやる。とにかくやった。郵政民営化しかり。自民党をぶっ壊すしかり。それがゆえに、小泉元総理の言葉には「信」があった。

それに対して、菅首相の一字は、漢字一文字ではなく、部首である「けものへん」。けものへんを持つ漢字が実にそのイメージにぴったり。昨年の菅首相就任当時に、筆者は菅首相を表すイメージは「けものへん」の漢字であり、その在任は"「狡」から「狙」そして「独」へ"の道を歩むだろう、と予測したのだけれど、まさにそのとおりの道を歩んでいる。

今回、もしも、脱原発・自然エネルギーを旗印に解散したとしても、小泉元総理の郵政解散とは、まったく異なる。

小泉元総理は、総理になるずっと前から郵政民営化を主張していたし、みんなもそれを知っていた。だから、小泉元総理の「郵政解散」とて説得力があった。

だけど、菅首相の自然エネルギーなんて、ここ1、2ヶ月でぽっと出てきた言葉。本人がいくら30年前から言っていたと主張したとしても、そんなこと誰も知らない。

菅首相は、その場その場の人気取りで、発言がころころ変わる。そんなことは、もうとっくに国民は知っている。自分が言った事は兎に角やった小泉元総理と、自分が言った事は兎に角ウソばかりで全然やらない菅首相。ここまで綺麗に対比できる例はないくらい、見事に違っている。

郵政解散も"脱原発解散"も、どちらも見た目は綺麗な包み紙で包装されているのだけれど、包み紙を開けた中身は全く正反対。片方には「真(まこと)」が詰まっていて、もう片方には「ウソ」が詰まっている。

だから、"脱原発解散"があるとするならば、それは、国民が「ウソか真か」を見抜いているかどうかが試される選挙になる。この違いをきっちり見ている人が、どれだけいるかが明暗を分ける。

「信」と「けものへん」の差は果てしなく大きい


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画像首相孤立も続投探る=エネ法てこ、世論に期待

 菅直人首相は、通常国会の延長をめぐる政権内の協議の過程で、民主党執行部から「早期辞任」を突き付けられた。四面楚歌(そか)ともいえる状況だが、首相は、延長国会で太陽光などの再生可能エネルギー促進法案について成立の機運を高め、続投の道をなお探る構えだ。
 「野党と折衝することを首相と折衝していた。アナーキーだ」。国民新党の亀井静香代表は22日の記者会見で、民主党の岡田克也幹事長ら執行部のこの間の動きを厳しく批判した。
 会期延長をめぐる首相と党執行部の協議では、仙谷由人代表代行(官房副長官)が早期退陣を公然と要求。岡田氏も退陣時期を明確にするよう首相に迫った。自らを支える立場の政権幹部の「反乱」に首相が不信感を強めたのは確実で、「今や首相が話を聞くのは、亀井氏と北沢俊美防衛相の2人だけ」(官邸筋)との見方も出ている。
 8月末までの延長国会で、首相は再生可能エネルギー促進法案の成立を目指しながら、「世論が味方に付くのを待つ」(側近)考え。自身のブログで何度も同法案の意義をアピールしたり、週末ごとに自然エネルギーに関してインターネットを通じて国民との対話に精を出したりしているのは、世論形成のためだ。
 22日には、関係閣僚によるエネルギー・環境会議の初会合も開かれ、首相は「自然エネルギー分野を成長のバネにしていくことを期待している」と訴えた。
 こうした首相の動きに、党内には「衆院解散に打って出るつもりではないか」(若手議員)と疑心暗鬼が広がりつつある。枝野幸男官房長官は22日の会見で、菅首相による解散の可能性を問われ、「首相から何の指示も受けていない」とかわしたが、「今の段階で」と付け加えざるを得なかった。(2011/06/22-21:16)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011062200940



画像8月31日まで延長 菅首相「燃え尽きる覚悟で」

 菅直人首相は23日午後、8月31日まで延長された今国会の課題に関し「東日本大震災の復旧・復興、福島第1原発事故の収束に全力を挙げ、私自身、燃え尽きる覚悟で取り組んでいきたい」と強調した。沖縄全戦没者追悼式に出席した後、沖縄県糸満市内で記者団の質問に答えた。

 自らの退陣時期を明言しないことに批判が強まっていることを受け、退陣の可能性に自ら言及することで8月までの続投に理解を求めたとみられる。

[ 2011年6月23日 16:16 ]

URL:http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/06/23/kiji/K20110623001073560.html

 

画像ファイル:「小泉元首相、見習うべきだ」 亀井氏、菅首相に進言

 国民新党の亀井静香代表=似顔絵=は22日の会見で、菅直人首相に「首相としての政治手法は小泉(純一郎元首相)さんを見習うべきだ」と進言していると語った。

 亀井氏は「小泉さんがやったことは政策的には全然間違いだが、首相のリーダーシップは自ら結論を出してまっしぐらに突き進まなきゃいかん。首相はもうちょっとリーダーシップを発揮したほうがいい」と菅首相に話しているという。

 亀井氏は小泉氏が進めた郵政民営化に反発して自民党を離党し、「ヒトラー以上」と批判したこともある。しかし、菅政権の実行力のなさに業を煮やし、仇敵(きゅうてき)のリーダーシップを再評価したようだ。

毎日新聞 2011年6月23日 東京朝刊

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110623ddm005010159000c.html



画像枝野官房長官、「新首相で3次補正」発言を撤回

 枝野官房長官は22日午後の記者会見で、今通常国会の会期延長などをめぐる民主、自民、公明3党の合意文書案のうち、「新たな体制の下で、復興実現のための(2011年度第3次補正)予算の検討を本格化させる」とした文言に関連し、3次補正は新首相の下で編成されるとの認識を示した自らの発言を撤回した。

 枝野氏は会見で「申し上げる立場でないのに申し上げたことについては、撤回といえば撤回だ」と述べた。

(2011年6月23日08時37分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110623-OYT1T00109.htm



画像首相の長期続投、8割望まず=内閣支持、横ばい22%-時事世論調査

 時事通信社が10日~13日に実施した世論調査によると、菅直人首相の進退について「直ちに退陣すべきだ」が31.1%で前月(15.3%)から倍増した。東日本大震災への「対応に一区切りつけたら退陣」(50.6%)と合わせると、81.7%に達しており、有権者の圧倒的多数が首相の長期間の続投を望んでいない実態が明らかになった。
 首相は今月2日、震災対応に「一定のめど」が付いた段階での退陣を表明したが、その後も辞任の時期を明確にせず、続投に意欲をみせている。
「引き続き政権運営に当たるべきだ」は14.2%で、前月の24.5%から大幅に減少した。
 政府の震災や福島第1原発事故対応を聞いたところ、「評価できない」「あまり評価できない」が計72.6%。「評価できる」「ある程度評価できる」は計25.0%。衆院解散に関しては、「復旧・復興するまですべきでない」が55.5%で、「首相はいつでも解散できる」34.7%を上回った。一方、社会保障財源に充てるための消費税引き上げについては、「必要だ」との容認派が53.4%で、「必要だと思わない」は41.3%。
 菅内閣の6月の支持率は前月と同じ21.9%、不支持率は前月比0.1ポイント増の59.6%だった。(2011/06/17-15:34)

URL:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011061700519



画像衆院再可決「難しい」=民主・輿石氏

 民主党の輿石東参院議員会長は23日の記者会見で、衆院で再可決して特例公債法案の成立を図ることに関し「今の状況では、なかなか難しい」と述べ、否定的な考えを明らかにした。求心力が大きく低下した菅政権下では、再可決に必要な3分の2以上の勢力を確保するのは困難との認識からとみられる。
 その上で、輿石氏は「未曽有の大震災の対応が第一。そのことは与野党問わず、十分お分かりいただいている」と述べ、野党の協力取り付けに全力を挙げる考えを示した。 (2011/06/23-16:17)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011062300597&m=rss

この記事へのコメント

  • sdi

    小泉元総理の主導した「郵政選挙」はWWI終戦直後の英国でロイド・ジョージの行った「クーポン選挙」の手法をモデルにしたと言われています。
    もし、空き缶殿が同じように「原発否定」をクーポンにしたクーポン選挙を実施するなら真夏の8月では遅すぎます。今年が平年以下の冷夏になるという保証はどこにもないのですから。今日、一気に電力消費が上がってしまったことからも判ります。本当に原発をネタにしたクーポン選挙をやるなら今月中ではないでしょうか。
    2015年08月10日 15:27

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