半径2メートルの引力と遠心力

 
「…ギリギリまで努力するが、自分だけが首相になっていればいいという思い上がりは許せるものではない・・・信のないリーダーに与野党がついていけるか。国民がついていけるか。己を知れと申し上げたい」
自民党・大島副総裁


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今国会の会議が8月末までの70日延長となった。

6月20日、岡田幹事長、枝野官房長官、安住国対委員長、仙谷官房副長官、玄葉政調会長、輿石参院議員会長の6人が首相公邸に乗り込み、第2次補正予算案や特例公債法案の成立という花道を用意した上での退陣を迫ったのだけれど、当の菅首相は「まだ、やらなければいけないことがある」と拒否。この日の菅おろしは流れた。

党の執行部が花道まで用意して、退陣時期明言を迫ったのに、平然と拒否する。やはり、どこまでも人の心が分からない御仁としかいいようがない。

翌21日の昼に、岡田幹事長は、自民党の石原伸晃、公明党の井上義久両幹事長と都内で会談し、国会延長幅50日を打診、さらに首相退陣の引き換えに、第2次補正予算案、公債発行特例法案の成立と、再生エネルギー特措法案の審議入りを要求し、自民党の石原幹事長が、首相が記者会見で退陣表明する条件を付け加えて、3党合意にこぎつけた。

ところが、菅首相は50日延長案に対して 「参院自民党がそんな合意を守ると思ってるのか」と反発したのだけれど、その日の夜、岡田幹事長と枝野官房長官が首相と会談し、会期延長を70日に拡大することでようやく折り合ったのだという。

それにしても、菅首相は、最後の最後の居座りで、自分以外の全てを敵にまわしてしまったように見える。

20日夜の民主党首脳会合で、菅首相は説得を続ける仙谷官房副長官に対して、「オレを追い落とそうとしているのか!」と面罵。仙谷氏は匙を投げ、翌日の会議を欠席。周囲には「ナントカに刃物だな…」と漏らしたという。

首脳陣から"キ印"扱いされる御仁が首相なんて、悪夢以外の何者でもない。

菅首相には、側近中の側近と呼ばれる「4人組」と呼ばれる存在がいる。福山官房副長官と、寺田前首相補佐官、加藤公一前首相補佐官、阿久津幸彦前首相補佐官の4人がそう。

民主党内からも「あの4人組だけは、菅首相と心中覚悟だろう」とまで言われていた。ところが、その中の1人がテレビ局に出かけた際、控室で「俺は菅側近じゃない!」と関係者に強弁していたという噂が永田町で流れているようだ。

この発言が本当なのかどうか。また本当だとしても、どういう経緯でそういう発言になったのか分からないけれど、少なくとも、この発言は、菅首相に近いとみられること自身が不快であるという意味になるから、その嫌われ振りは半端じゃない。

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麻生元総理は、実際に会ってみるとその魅力に虜になってしまう人が多いことから、「半径2メートルの男」という異名をもっているそうだけれど、同じ半径でも菅首相とは随分違う。

ドイツの主要週刊紙ツァイトが、この間のフランスサミット初日の5月26日に、リビア攻撃への消極姿勢や脱原発政策で、ドイツのメルケル首相がG8内で孤立する恐れがあることを表す風刺イラストを掲載したのだけれど、メルケル首相から離れた位置に7カ国首脳が集まって、親密な雰囲気で談笑している様子が描かれていた。ところが、日本の首相の顔がどうみても麻生元総理になっていて、菅首相らしき人物はどこにもない。

サミットで日本の首相の存在感がない、とはよく言われることだけれど、小泉元総理以後、日本の総理は毎年変わっているから、毎年のサミットのたびに違う人が日本国総理として出席せざるを得ない。顔を覚えてもらうだけでも大変。

だけど、ドイツ紙のイラストには、菅首相はおろか、鳩山前首相の顔もなく、その前の麻生元総理の顔になっている。このことほど、彼我の"2メートルの差"を表すものはない。

菅首相が4人組にまで、裏切られ始めたともなれば、やはり、自分以外の全てから見放されつつあるとみていいように思われる。

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少しも辞める素振りさえ見せない菅首相に対して、マスコミは、自民に無力感だの、民主の「菅おろし」に望みつなぐだの書いているけれど、筆者的には、「菅vs仙谷」のエントリーで述べたように、連立をチラつかせることで、菅首相退陣へのボールを民主党に預けて、高見の見物ができるいいポジションについたとみているし、20日時点での50日延長の3党合意で、石原幹事長が3党合意を文書で交わし、更に、ちゃっかりと「首相が記者会見で退陣表明する」という条件をつけたことは中々にしたたかだったと思う。

もちろん、最終的にきまった70日の延長は、自民、公明の反対にも関わらず、議決を強行して決まったものだから、延長国会は自民・公明の反発が予想される。特に、野党が多数を占める参院は荒れるだろうと思われる。場合によっては、問責決議が出されるかもしれない。

これで一応、形式上は、8月退陣の流れはほぼ確定したことになるのだけれど、合意文書の原案では3次補正は"新しい首相で"、となっていたのを、"新しい体制で"と直させているから、またぞろ、なんだかんだいって、9月以降の続投を狙っているようにも見えるし、その可能性は十分ある。ペテン師のいうことは何もかも信用ならない。

もしも、会期延長の条件となった2次補正や公債発行特例法案がこの2ヶ月で成立しないようであれば、もしかしたら、一部で噂される、8月15日の終戦記念日に「脱原発」を演説して、脱原発・解散に打って出るかもしれない。

まかり間違って、民主党が勝つようなことがあれば、菅氏はまた首相で居られるから、退陣不可避ともなれば、一か八かで解散することも有り得る。自分以外全て敵なら、誰に気兼ねすることもない。

とりあえず、7月、8月の動きには注意を要する。




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画像民主執行部「菅降ろし」また失敗 配信元:2011/06/21 08:10更新

 菅直人首相の早期退陣に向けた攻防が最終段階に入った。しかし、「死に体」だったはずの首相に、民主党執行部は引導を渡すことができない。

 20日夜、首相公邸に前夜と同じ政府・民主党幹部が顔をそろえた。

 岡田克也幹事長、枝野幸男官房長官、安住淳国対委員長、仙谷由人官房副長官、玄葉光一郎政調会長、輿石東参院議員会長…。6人は首相に「花道」を説いた。具体的には、平成23年度第2次補正予算案や特例公債法案の成立と引き換えの退陣だ。説得は約2時間にもわたった。

 しかし、首相は最後まで首を縦に振らなかった。

 この日午前には、官邸に乗り込んだ岡田氏が首相に直談判していた。

 「このままでは、党内も国民世論ももちませんよ。退いてもらえませんか」

 疲労とプレッシャーから、その目はいつにも増して充血していた。

 首相は余裕たっぷりに応じた。「まだ、やらなければいけないことがある」。そう言って早期退陣要求を拒否した。

 岡田氏らは焦っていた。なぜなら、野党が首相退陣を会期延長の前提条件としているからだ。

 この日夕、国会内の常任委員長室で行われた与野党幹事長会談。岡田氏は首相の早期退陣を求める野党側の集中砲火にさらされ、いらだち気味に押し返した。

 「首相がいつ辞めるかは民主党内部の話だ」

 安住淳国対委員長も同日、首相が3次補正予算案の編成を視野に入れていることについて「そんな先の話は人類がどうなっているかすら分からない。まだまだ先だ」とぼやいた。

 居座りで腹を固めた首相と、目先の対応に汲々とする党執行部。勝負はほぼ見えている。

 執行部が想定する延長幅は約120日で、延長後の会期末は10月中旬。この間に本格的復興に向けた3次補正の成立まで何としてもこぎ着けたい。

 このために設定した首相の退陣時期は3つ。一つは、特例公債法案成立との引き換え退陣で7月上旬。それがだめなら、2次補正の成立を受けての7月下旬の退陣。ここまでなら、何とか会期延長に向けた野党の納得も得られるだろう。

 最悪のケースは3次補正と関連法案の成立を受けての退陣で10月中旬。首相は念願の訪米さえも可能だ。

 首相は20日の参院東日本大震災復興特別委員会で、3次補正成立までの続投を念頭に「与野党を超えて全体が機能する態勢をつくることがリーダーシップの一番重要な要件だ」と強調した。指導力不足の指摘など他人事だ。

 これでは野党からの「居座り」批判は避けられない。

 だからこそ、枝野氏は20日の記者会見で「延長と首相が言った『(退陣の)めど』は全く相関関係はない」と繰り返し強調した。

 この日、ひとり気を吐いたのは「政界の水戸黄門」こと渡部恒三最高顧問だった。

 「『(菅)内閣は辞めるべきだ』という世論が多ければ、私は菅くんに辞めるように言うつもりだ」

 ただ、渡部氏の言葉も首相には届かないだろう。首相周辺はつぶやいた。

 「9回裏なのに、まだ4回裏で、4回ぐらい打席に立てると首相は思ってるんだよな」。(小島優)

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/513507/



画像首相退陣で自公に成立確約要求へ 2次補正と公債、エネ法

 菅直人首相と民主党の岡田克也幹事長ら政権幹部は20日夜、首相公邸で協議し、自民、公明両党に対して、首相退陣と引き換えに2011年度第2次補正予算案、公債発行特例法案、再生エネルギー特別措置法案の成立を文書で確約するよう求める方針で一致した。ただ自公がこれに応じるかは見通せない。

 民主党は公邸協議に先立つ与野党幹事長会談で、22日に会期末となる今国会について、東日本大震災の本格復興に向けた第3次補正予算案を成立させるため、首相続投を前提としない形で、10月20日ごろまでの約120日間の延長を提案した。

2011/06/21 02:05 【共同通信】

URL:http://www.47news.jp/CN/201106/CN2011062001000555.html



画像俺は側近じゃない!菅支える“鼻つまみ”4人組…裏切りか? 2011.06.21

. 菅直人首相が四面楚歌になりつつある。女房役の枝野幸男官房長官や仙谷由人官房副長官、民主党の岡田克也幹事長にまで「退陣時期の明言」を迫られ、総スカン状態なのだ。こうしたなか、側近の「4人組」だけは、最後まで菅首相を支えるとみられていた。ところが、最近になって“裏切り情報”が流れてきた。

 政権延命のためには、同僚議員に「ペテン師」呼ばわりされても、合意文書になかった再生エネルギー法案を退陣条件に加えても平気の平左という菅首相。さすがに、これまで菅政権を支えてきた政府・与党の有力議員らも距離を置き始めている。

 ただ、福山哲郎官房副長官と、寺田学、加藤公一、阿久津幸彦の前首相補佐官3人を合わせた4人は、菅首相の信頼も厚く、「あの4人組だけは、菅首相と心中覚悟だろう」(民主党中堅)といわれてきた。

 福山氏は職務上の理由もあり、菅首相と最もひんぱんに会っている国会議員。昨年6月の就任以来、公式だけで600回以上も面会している。支持率回復のためか、官邸で19日午後に行われたインターネットによる国民オープン対話にも同席した。

 寺田氏は、菅首相の30歳年下だが最側近。「最大のピンチ」といわれた2日の内閣不信任決議案の採決直前、産経新聞のインタビューに応じ、「不信任案が可決されたら(中略)私は衆院を解散して総選挙すべきだと思う」と発言し、党内外の「反菅」勢力をけん制した。

 決議案否決後の5日夜、寺田、加藤、阿久津3氏は公邸を訪れ、菅首相と2時間半も語り合っている。

 さて、最後に残った4人組だが、最近、こんな情報が飛び込んできた。

 「4人組の1人が某テレビ局に出かけた際、控室で『俺は菅側近じゃない!』と関係者に強弁していたらしい。完全な裏切り会話。こういう情報は永田町で伝わるのは早い。菅周辺も『反菅』勢力も、『アイツは信用ならない』とささやいている」(民主党中堅)

 菅首相の足元が揺らぎ始めているようだ。

URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110621/plt1106211147001-n1.htm



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迷走民主“土壇場決着” 首相と執行部、痛み分け

 民主党は21日夜、今国会会期の延長幅や菅直人首相の退陣時期をめぐり大筋合意した。再生エネルギー特別措置法案の成立などに意欲を燃やす首相と、早期退陣を求める執行部の対立で迷走を続けてきたが、22日の会期末を翌日に控えて土壇場で決着にこぎ着けた。首相は退陣を事実上認め、執行部は首相の要望を取り入れて歩み寄る“痛み分け”の形となった。

 ▽半値

 「首相以外のオール民主党執行部は50日延長で一致している。説得する自信はある」

 21日昼。民主党の岡田克也幹事長は、自民党の石原伸晃、公明党の井上義久両幹事長と都内で会談し、国会延長幅50日を打診した。

 岡田氏はさらに首相退陣の引き換えに、2011年度第2次補正予算案、公債発行特例法案の成立と、再生エネルギー特措法案の審議入りを求めるとの内容の文書を示した。自民党が文書でと要求し、20日夜から幹部間で修正を重ねて作ったものだった。

 50日は、前日の与野党幹事長会談で示された120日間程度に比べれば「半値以下」の数字。早期退陣を望む自公両党に大幅に譲歩した形で、願ってもない数字だ。

 石原氏は、首相が記者会見で退陣表明する条件も付け加えて「了とする」と受諾の意向を表明した。

 ▽難色

 しかし「3党合意」は、断続的に官邸で実施された、首相と岡田氏、輿石東参院議員会長、安住淳国対委員長ら幹部との協議で一蹴された。

 「参院自民党がそんな合意を守ると思ってるのか」

 首相は岡田氏から野党との協議内容を聞くと不快感をあらわにした。幹部が入れ替わりで説得に努めたが、首相は再生エネルギー特措法案の成立に加え、一度はあきらめていた3次補正の編成にも意欲を示した。

 首相にとって、退陣しても自公両党が公債法案成立に協力するのか疑念が残る。加えて消費税率引き上げ、環太平洋連携協定(TPP)、社会保障と税の一体改革、大連立構想など歴史に名を残そうと取り組んだ政策課題で成果は挙がっておらず、東日本大震災や福島第1原発事故対応の失敗を背負わされる形で辞任に追い込まれるのは耐えがたい。再生エネルギー特措法案や3次補正で実績を残したいのが本音だった。

 ▽急転

 午後2時前。石原氏の携帯電話が鳴る。「首相をまだ説得できていない。(国会延長幅の説明を予定していた)与野党幹事長会談を流会にしてほしい」。疲れ切った電話の声の主は岡田氏だった。石原氏は「岡田さんを信じていたのに」とぼやいた。

 執行部の首相への不満は高まった。20日まで政府・民主首脳会議に参加していた仙谷由人代表代行は21日、この日の会議への出席を断り、官邸を抜け出すと古川元久代表代行補佐や樽床伸二元国対委員長らとの会合に合流した。

 平田健二参院幹事長は記者会見で、再生エネルギー特措法案にこだわる首相について「予算が執行できないのに何が再生だ。ちょっと筋違いじゃないか」と酷評した。

 こうした危機的な状況が急転したのは21日夜。岡田氏は首相や枝野幸男官房長官と公邸で会談し、延長期間を「50日」から「70日」に拡大することでようやく折り合った。

 会談後、枝野氏は記者団に「首相との考え方は一致している」と強調。岡田氏は石原氏に「首相がどうしても70日にしてほしいと言っている」と伝え、理解を求めた。

URL:http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201106220058.html





政局:首相退陣、3条件で調整…政府・民主党

 政府・民主党は20日夜、菅直人首相と岡田克也幹事長ら幹部が首相公邸で約2時間にわたって協議し、首相の退陣時期について、11年度第2次補正予算案と赤字国債を発行するための特例公債法案、再生可能エネルギー固定価格買い取り法案の成立後とする方向で最終調整に入った。22日に会期末を迎える通常国会の延長に野党側の協力を得るためで、首相が21日にも表明する。岡田氏は20日の与野党幹事長・書記局長会談で10月中旬まで120日程度の大幅延長を提案。一方、野党側は退陣の条件として再生エネルギー法案成立まで含めることに反発し、与野党の駆け引きが続いている。

 ◇2次補正・公債法・再生エネ法
 政府・民主党の幹部協議には枝野幸男官房長官、仙谷由人代表代行、輿石東参院議員会長、玄葉光一郎政調会長、安住淳国対委員長が出席した。協議後、枝野氏は記者団に「円満な会期延長ができるように幹事長のもとでギリギリまで野党と相談するということだ」と説明。会期延長が決まれば、21日中に首相が記者会見することも検討している。

 ◇会期延長120日程度提案
 これに先立ち、与野党は国会内で幹事長・書記局長会談を開き、岡田氏は「第3次補正予算案を視野にかなり長い延長をお願いしたい」と述べ、復興対策を盛り込む3次補正を成立させるため120日程度の延長を提案。3次補正の提出は8月下旬か9月上旬になるとの見通しを示した。併せて「菅首相は2次補正の編成、特例公債法案と再生エネルギー法案の成立に強い関心を持っている。このことと会期延長は関係しない」と表明した。

 自民党の石原伸晃幹事長は「(会期延長後)4カ月間、菅首相の延命に手を貸すことはできない」と述べ、退陣時期とそれまでに処理する法案を明確にするよう要求。3次補正提出前に閉会して民主党代表選を行い、改めて臨時国会を開くことも提案。社民党とたちあがれ日本も3次補正前の閉会を求めた。

 公明、共産両党などは大幅延長には理解を示したが、公明党の井上義久幹事長は「首相の退陣時期をめぐって民主党内が混乱し、事実上の政治空白で国益を損ねている」と首相の早期退陣を要求。21日の衆院本会議で延長期間を決めるため、同日午前に改めて与野党幹事長・書記局長会談を開くことになった。

 菅首相は2日に「一定のめど」で退陣する意向を表明して以降、退陣時期をあいまいにしてきた。自民党側には大幅な会期延長が首相の延命につながるとの警戒感が強い。再生エネルギー法案の成立に意欲を示す首相の言動が疑心暗鬼を招き、会期延長をめぐる与野党調整が会期末の前日までもつれ込んだ。【野口武則、念佛明奈】

毎日新聞 2011年6月21日 2時35分(最終更新 6月21日 2時58分)

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110621k0000m010142000c.html




首相の粘り勝ち 根負けした岡田氏 面罵された仙谷氏「ナントカに刃物…」2011.6.22 01:16

 最後は菅直人首相の粘り勝ちだった。岡田克也幹事長との最終会談は21日午後9時すぎにもつれ込んだが、時間はわずか15分。同席した枝野幸男官房長官は「こんな早く終わると思わなかった」と胸をなで下ろした。

 実は岡田氏は会談前から根負けしていた。いまさら首相は50日間延長には応じないだろう。かといって120日延長では野党が納得しない。8月31日まで延長すれば首相は平成23年度第3次補正予算案の編成作業にも携わることができる。落としどころはこれしかない。岡田氏は党本部で会食した民主党3回生議員にこう漏らした。

 「50日でも70日でも一緒なんだよ…」

   × × ×

 21日の首相執務室には、岡田氏や輿(こし)石(いし)東(あずま)参院議員会長らが入れ代わり立ち代わり足を運んだが、仙谷由人官房副長官の姿はなかった。20日夜の政府・民主党首脳会合で首相に「オレを追い落とそうとしているのか!」と面罵されたからだ。すっかりさじを投げた仙谷氏は周囲にこう漏らした。

 「ナントカに刃物だな…」

 ギリギリまで話がこじれたのは、岡田氏が首相の意向を確かめずに野党側と話をつけ外堀を埋めようとしたことが大きい。

 21日午前、都内で行われた民自公の3党幹事長会談でも、岡田氏は自民党の石原伸晃、公明党の井上義久両幹事長に50日間延長し、特例公債法案と第2次補正予算案を成立させた上で8月上旬に首相が退陣するシナリオを自信満々に提示。確認書を交わすことも明言した。

 「これで本当に首相は納得するんですか?」

 不安を感じた石原氏が念を押すと岡田氏はいきなり弱気になった。「打診してみます…」。

 案の定、岡田氏が首相官邸に3党幹事長会談の合意内容を報告すると首相は色をなした。

 「ダメだ! 俺は絶対認めないぞ!」

 延長幅が50日では再生エネルギー特別措置法案の成立がかなわないというのがその理由だが、額面通り受け取る人は誰もいない。

 なぜ首相は9月までの延長にこだわったのか。理由はいくつもある。

 東日本大震災の被災地の首長選や地方議会選の延期期限は9月22日。これを過ぎれば首相の解散権はフリーハンドになる。加えて小沢一郎元代表の政治資金規正法違反事件の公判が始まる公算が大きい。訪米すれば支持率回復も期待できる。

 「9月まで持ちこたえれば攻守逆転できる」との首相の思惑を読み取った西岡武夫参院議長は警戒感を露わにした。

 「首相の延命のための延長に国会が手を貸すのか。首相は目先の問題も処理しないまま脱原発を掲げて解散しかねない。だまされてはいけない」

   × × ×

 50日間延長案を首相にもろくも崩された岡田氏は21日夜、石原氏に70日延長案を電話で伝えたが、延長国会で自民、公明両党が協力姿勢に転じることはもはや期待できない。

 民主党内にもしらけムードが漂う。21日の衆院議運委員会理事会で民主党理事が「政党間協議調わず、本日の本会議は開かないことにしたい」と提案すると民主党の川端達夫議運委員長は自嘲気味に言い放った。

 「どこの協議や…。どこの協議が調わんと言うとんのや!」

     (坂井広志)

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110622/stt11062201180002-n1.htm

この記事へのコメント

  • ス内パー

    早速内閣改造して「これで新体制だ」と続投すると明言したとか。
    改造に付き合える人材が残っているのかというところから疑問ですが(孫正義以上に胡散臭い輩がハイエナしに入る可能性はあり)やめる気はかけらもありませんね。

    そういえば50日じゃダメで70日ならOKなのは70日(8月末日)なら来年度予算のシーリングが始まるから「予算編成の邪魔をする気か!」と怒鳴り散らして居座る気だとか。
    2015年08月10日 15:27
  • とおる

    民主党の国会議員が、いくら管首相を批判しても、民主党の衆議院議員の皆さんが一致協力して信任した首相です。
    管首相と民主党の国会議員は、一蓮托生。
    嫌なら、管首相を引きずり下ろすか(精神病院にでも強制入院させて、「首相が欠けた状態」を作るべし)、民主党を離党すべき。
    2015年08月10日 15:27
  • グー

    長らく無政府状態のままで、こんなものはもう政治でも国会でもないです。政党は国会議員と名乗る就職先の斡旋互助会。議員は生産性もなく、仕事に期限も設定できない、税金にたかるだけの無能者の集まりになってしまいました。
    2015年08月10日 15:27

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