「ポケモンは基本的には「キュ」と「キュキュキュ」しか喋ることはありません。しかしそれでも間違いなく世界中でちゃんと通じる」麻生太郎元総理 於:6月8日 北京「アニメ・フェスティバル」
6月8日、北京で始まった、「ジャパン・フィルム&テレビ・ウィーク」と「アニメ・フェスティバル」に首相特使として訪れ、挨拶をした。
これは、昨年5月に温家宝総理来日の際に日中首脳会談の席で、温家宝総理から提案があり、合意したもので、日中双方のビジネスの拡大と両国の相互理解を進めるものだと期待されている。
ピカチュウがキュッキュッとしか言わないかどうかは知らないけれど、「ピカチュウ」とか「ぴかー?」とか、ピカという文字を色々アレンジしたセリフを喋るだけで、別に意味ある言葉を話すわけじゃない。だけど、感情はきちんと伝わる。
尤も、巷では、その微妙なセリフの違いによって、ピカチュウ語ともいうべき共通理解なるものがあるようだ。たとえば、こんな感じ。
「ピカピー」 (サトシ!)
「ピッピカチュウ!」 (ゲットだぜ!)
「ピカピカチュ~」 (おはよう!)
「ピカピカピー」 (エイエイオー)
「ピーカピカ!」 (見ーつけた!)
「ピーカー」 (あーあ)
「ピカ!?」 (!?)
「ピィ?」 (あれ?)
「ピカッ」 (ムカッ)
「ピカァ?」 (何?)
「ビガー」 (呆れた~)
「ピィカ・・・」 (どうしよう)
「ピピピ~!」 (トゲピー)
「ピカッチュ」 (ケチャップ)
「ピッカピカチュウ~」 (いっただっきま~す)
※「ピカ、ピカチュウ!」 (ぼく、ピカチュウ)
【状態を表す時の鳴き声】
「ピィカァ~チュ~ウ!」 (電撃食らわす時)
「ピカ!」 (危険が迫った時など)
「ビガジュー」 (機嫌が悪い時など)
「ピカ!(怒)」 (かなり怒ってる時)「ヤフー智慧袋」より引用
更に、こちらのサイトには、ピカチュウ語の辞書みたいなものを作ろうというコーナーまである。
有名な話だと思うけれど、ピカチュウは物語が進むにつれて、セリフを喋らせる予定だったところ、ピカチュウの声を担当する声優の大谷育江さんの、"ピカチュウ"だけの表現力が余りにも素晴らしかったため、そのままセリフなしで進めることになったといわれている。
今では、ポケモンは世界中に知られ、楽しまれているし、ポケモン映画がアメリカでも公開されている。
一般には、邦画アニメを海外上映するときには、英語吹き替えするのが普通なのだけれど、やはりというか、なんというか、ピカチュウだけは、吹き替えをすることなく、大谷育江さんの声のままで上映されたというから、確かに文化交流は言葉じゃないというのはそのとおりだと思う。
それにしても面白いのは、言葉も文化も違っているアメリカでも、ピカチュウを吹き替えしなかったということは、こと感情表現に限っては、言葉でなく、それ以外の声のトーンや、映像表現だけでも十分伝わるだろうと判断されているということ。
これは、意思とまではいかなくとも、感情レベルであれば、全く異なる文化圏の人でもコミュニケーションできる可能性を示してる。
このことを傍証する実験がある。
これは「メラビアンの実験」と呼ばれるもので、カリフォルニア大学の心理学者A・メラビアン教授が、「プリーズ」などの好悪どちらにも取れる中間的な単語を使い、それぞれ声の調子や顔の表情などの「印象を与える要素」を変えると、相手の印象はどう変わるかを実験したもの。
まず、「好意」「中間(どちらでもない)」「嫌悪」のニュアンスを表す言葉をそれぞれ3つずつ選びだし、その9つの言葉を、「好意」「中間」「嫌悪」の声色でテープレコーダーに録音する。
そして、それとは別に、「好意」「中間」「嫌悪」の表情をした顔写真を1枚ずつ用意し、たとえば、「怒った」写真を見せられながら、「悔しそうな」声音で「好き」という言葉を聞かされた被験者は、その言葉を発した人間がどういう感情であったかを記録していくという具合に、言葉と声色と写真の示す「好意」「中間」「嫌悪」がそれぞれ矛盾したものを提示したときに、提示した側がどんな感情であるかを、記録して、統計をとっていった。
その結果は、表情・身振り・手振りなどの影響が55%、声やトーンなどが33%で、話す内容や言葉は僅か7%だった。
これだけ見ると、言葉よりもボディランゲージが大事なんだ、なんて捉えられがちであり、実際、一部では、メラビアンの実験結果から「見た目が一番重要」あるいは「話の内容よりも喋り方のテクニックが重要」という解釈がなされることもあるようだ。
だけど、筆者としては、この実験は、口にする言葉と本当の気持ちが異なる、たとえば「ツンデレ」をした場合、それを受けた側は何を持って、それが"ツンデレ"だと判断するのかを確認する実験をした、と捉えたほうがよいように思う。
確かに、マンガやアニメなんかでの、ツンデレ表現は、セリフと表情、喋り方のズレに対して、受け手はセリフよりも表情や喋り方を重視して、出し手の感情を忖度するから、その意味では、このメラビアンの実験結果は、ツンデレを実験的に証明したのだといえなくもない。
昨年の秋、ネット上では、「日本鬼子(和名:ひのもと おにこ)」という萌えキャラを使っての中国人の反日感情をセーブしようとした動きもあった。
全く、互いの意思や感情が伝わらないより、伝えるよすががあったほうが、いきなりドンパチを始めるより、まだ救いがある。
まぁ、感情が伝わるだけで、文化交流が進むかどうかまでは、中々難しいかもしれないけれど、日本のアニメによって、中国が文化的に日本の影響を受けるのは、そう悪いことではないように思う。
←人気ブログランキングへ
総理特使で麻生元総理をアニメ・フェスに派遣
総理時代にアニメや漫画、映画などを展示する「アニメ美術館」の建設を打ち出したこともあり、アニメ通で知られる麻生太郎元総理が、8日、北京で開催される予定の日中映像交流事業「映画・テレビ週間」「アニメ・フェスティバル」に総理特使として派遣される。
麻生太郎元首相。 アニメに造詣の深い麻生氏が最も適任という判断のよう。外務省によると、この事業は昨年5月に温家宝総理来日の際に日中首脳会談の席で、温家宝総理から提案があり、合意したものという。
外務省では「映画、テレビ、アニメなどの映像分野の交流」を通してビジネスの拡大とともに「日中映像分野での両国の相互理解が深まり、両国関係の強固な基礎を築くことが期待される」と成果に期待を寄せている。
URL:http://jp.ibtimes.com/articles/19431/20110607/1307448000.htm
この記事へのコメント