外交危機を迎える日本
ダッチロールを続ける菅政権。特に、外交ではそれが著しい。
アメリカは、菅首相が普天間に続いて、TPPの参加についても判断を先延ばしにしていることに対して猛反発をしているという。
ホワイトハウス高官は、先送りについて「喜ばしい決定ではない」とし、日本政府関係者に対して、日本とEUの間のEPAや、日中韓自由貿易協定(FTA)は進んでいるのに、なぜTPPは動かないのかと不快感を露わにしているようだ。
尤も、筆者的にはTPPは色々と問題があり、急いでやるべきではないと思っているのだけれど、このタイミングでアメリカがこうした態度を明らかにすることは外交的に重要な意味があるし、インパクトも勿論ある。
アメリカは昨年5月の辺野古移設について、菅政権がほったらかしにしていたことに不満をためていて、今年の春頃には、菅政権に辺野古移設は無理と半ば見限っているらしく、自民党の閣僚経験者によれば、今年の3月に行なわれた、国際エネルギー機関(IEA)の次期事務局長選挙で、現職の田中伸男事務局長が落選したことが、その象徴的出来事で、米国の「民主党政権は信用できない」というメッセージなのだという。
そこへ来て、震災対応にTPP先送り。そして、6月2日には菅首相は辞任表明をしている。菅首相の訪米は9月に先送りになった。
確かに、アメリカとて、日本がこんな状態では、とても会う気にはならないだろうけれど、わざわざ、このタイミングでTPPの不満感を表明するところは、もう外交的には、「菅首相とは会う気はない。新しい首相をつれて来い」というメッセージに見えて仕方がない。
日米関係が怪しくなると、今の日本の国防状況および政府の対応を考えると非常に危うい。
中国人民解放軍の陳炳徳総参謀長は、香港メディアに対して自国の空母建造について「建造中だが、まだ完成していない」と軍高官が空母建造を公に認める発言をして、中国国内の軍事系サイトなどは大騒ぎになっているようだ。何でも、「列強にいじめられた時代はこれで完全に歴史となった」とか、「頑張れ!世界の新覇者」とか言っているようで、覇権意識丸出し。
空母建設で、中国国民だけが騒いでいるかといえば、そんなことはもちろんない。
今月8、9日には、中国海軍のミサイル駆逐艦やフリゲート艦など計11隻が3グループに分かれて、沖縄本島と宮古島の間を通過する示威行動を行なった。この11隻というのは大した数で、簡単に押し留められるような数ではなく、艦隊といってもいいから、示威行為としては物凄く大きな意味を持つ。何かあったら、艦隊を送ってでも邪魔はさせないというメッセージだと見えなくもない。
それに、南シナ海でも、中国とベトナムとの間で紛争が激化している。
フィリピン軍及びフィリピン政府によれば、今年3月に、中国の船舶2隻によってフィリピンの石油探査船の活動が妨害され、また、フィリピン漁船が中国海軍から発砲されたと発表している。
さらには、中国の漁船が中国海軍の援護の下に、ベトナム国営石油会社ペトロベトナムの探査船が使っているケーブルを切断までしたそうだ。
この、漁船がケーブルを切断するのに、海軍が援護するということは、邪魔するのなら撃つぞといっているようなもの。しかも何故、漁船がケーブルを切断しなければならないのか。
もちろん、周辺海域の領有をアピールするためであることは言うまでもないことなのだけれど、わざわざ漁船にそれをやらせることで、民間がやっていることだ、とバレバレの言い訳を用意した上での示威行為とみていいと思われる。でなれば、海軍が護衛につくはずがない。
このように、今の紛争は、いきなり軍艦同士が打ち合うわけではなくて、漁船同士のいざこざや、漁船の姿に身を隠した、半民半軍の船が領有の既成事実を積み上げていくことが多い。
以前「タクティカル・ポリスシーパワー」のエントリーでも指摘したのだけれど、であるならば、日本も民間の海上警備会社を用意しておくべきで、それこそ、北朝鮮の超高速工作船のように、そこらの船では追いつけないくらいのスピードが出たり、なんなら、船体が攻撃を受けて沈められそうになったとしても、いざとなったら艦橋部分が分離してヘリコプターとして離脱できるようにしてみたりとか…。
まぁ、艦橋ヘリコプターは冗談だとしても、それに対する備えはやっぱり用意しておくべきで、与那国島に陸自を配備するというのも当然だけれど、海の備えもやっぱり必要。
なぜなら台湾海峡、宮古海峡といったところを押さえられたら、日本が干上がってしまうから。
「ホリエモンの「尖閣明け渡せばいい」発言について」のエントリーでも指摘したように、中国はこの海峡を支配権に置くだけで、日本を日干しにすることができるようになる。原発がこれからどんどん止まっていこうというこの時期に、日本に石油が一滴も入ってこないようにすれば、軍を動かさずに簡単に降参させることができてしまう。
その意味で、中国海軍が宮古島と沖縄本島を通過したというのは、実に嫌らしい。ここを封鎖されたらかなりヤバイ。
更にまずいことに、今の日本政府は、存在そのものが政治空白の菅政権。しかも、7月には代表選があると見られている。日本を攻めようとする国にとっては、こんな隙だらけの時は絶好のチャンス。見逃すわけがない。
昨年の尖閣諸島沖の衝突事件だって、民主党の代表選の最中に起こった。
今度の代表選にまた同じ様なことが起こらない保障は何もない。
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オバマも詐欺師に“三下り半”菅は無理…中国の方がマシ 2011.06.14
国内で総スカンの菅直人政権だが、米国政府もついに見切りをつけたようだ。オバマ米政権は、普天間問題に続いて菅首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の判断を先延ばししたことに猛反発している。東日本大震災における「トモダチ作戦」では日本国民に友情を示した米国だが、菅政権との信頼関係はもはや崩壊。菅首相の訪米も先送りされた。民主党内の「菅降ろし」に見苦しい抵抗を続ける菅首相だが、最大の同盟国に見放されたことは致命傷となりそうだ。
「喜ばしい決定ではない」(ホワイトハウス高官)
オバマ政権は複数の外交ルートを通じて、菅政権がTPP交渉参加の判断を当初の6月から先送りしたことに対し、強い不満を伝えたという。共同通信が特ダネとして配信した。
菅政権は5月17日、震災を受けた重点政策の組み直しに向けた「政策推進指針」を閣議決定。TPP交渉参加については「総合的に検討する」との表現にとどめ、TPP実現の鍵を握る農業改革の基本指針のとりまとめも6月以降に延期した。
関係筋によると、ホワイトハウス高官はこの先送り決定直後、日本政府関係者に「日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)や、日中韓自由貿易協定(FTA)は締結に向け議論が動いているのに、なぜTPPだけ動かないのか!」と不快感を表明。
訪米した政権与党の有力者に対しても、「日本がどうしたいのか、はっきりしたシグナルがきていない。困難な決断をする用意があるのか」と迫ったという。
菅首相は当初、TPPに前向きで、昨年11月のオバマ大統領との会談でも積極姿勢を表明した。オバマ政権としても、世界第3位の経済大国である日本の参加に期待していた。ところが、与野党から異論が噴出し、国内論議は足踏み状態に陥り、菅首相はまたもや結論を先送りした。
早期退陣論が強まる菅首相にTPP問題に力を割く余裕はなく、5月の日米首脳会談でオバマ大統領に約束した「早期の結論」も掛け声倒れに終わる可能性が濃厚。ここでも「ペテン師」と批判されかねない。
オバマ政権が、菅政権に不信感を強めた理由はTPPだけではない。
菅首相は当初、今年春の訪米を検討していたが、「衆参ねじれで、国会日程にメドが立たない」として、6月下旬に延期。その後、「震災対応のため」として、9月上旬に先送りされた。
外務省関係者は「表向きの理由はそうだが…」といい、こう続ける。
「昨年5月、日米両政府で合意した米軍普天間飛行場の辺野古移設について、菅政権が実行に移さなかったことが大きい。菅首相が『県内移設』で地元・沖縄を納得させられる見込みもない。米国は『菅政権に普天間移設は無理』と判断し、事実上、菅首相を受け入れないようだ」
そうした米側のメッセージを具体的に現す出来事が3月にあった。
国際エネルギー機関(IEA)の次期事務局長選挙で、現職の田中伸男事務局長が落選したのだ。田中氏は2007年、米国の支持を得て事務局長に初当選。再選を目指したが、米国の支持を得られなかった。
■アジア最重要パートナーは中国
自民党閣僚経験者は「IEA事務局長の落選は、民主党政権の1年数カ月で、日米関係が傷ついた具体的な実害。米国の『民主党政権は信用できない』というメッセージだ」と語る。
オバマ政権の不満が伝播したのか、外務省が米国で行った世論調査では、「アジアで最も重要なパートナー」として日本を抜いて中国が浮上。逆転は、この設問を始めた1975年以降初めてという。
調査はほぼ毎年実施され、今回は、米国人1200人を対象に2月19日~3月16日に行われた。
「最も重要なパートナー」でトップは中国の39%、日本は31%だった。昨年は日本、中国ともに44%だったため、この1年間で8ポイントもの差がついた。
経済発展を遂げる中国の影響力だけでなく、一昨年の政権交代以来、民主党政権が日米関係を傷つけたことも大きな理由とみられる。
外交・安保が専門の日本政策研究センター・濱口和久研究員は「オバマ政権の対応を分析すると、『もう菅首相とは話しをしない』という姿勢に見える。すでに、次期首相候補のデータを収集して、誰がなっても対応できる対日戦略を練っているはず。訪米先送りや強い不満の伝達は『早く新しい体制を整えてほしい=菅首相は早く辞めてほしい』という暗黙のメッセージではないか」と語っている。
URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110614/plt1106141609005-n1.htm
空母建設で中国のネット大興奮 名前は「周瑜」?「毛沢東」? 産経新聞 6月12日(日)18時40分配信
【矢板明夫の中国ネットウオッチ】
中国人民解放軍の陳炳徳総参謀長がこのほど香港メディアに対し、中国初の空母について「建造中だが、まだ完成していない」と述べた。中国の軍高官が空母建造を初めて認めたこの発言を受けて、国内の各軍事系サイトは大興奮。「列強にいじめられた時代はこれで完全に歴史となった」「頑張れ!世界の新覇者」といった書き込みが殺到した。新空母と米軍の現役空母との比較や、空母の名前についての提案などがインターネットにあふれており、中国人の多くが建設中の空母に高い期待を寄せていることがうかがえる。
保守系サイトの「軍事縦横」などに寄せられた書き込みの中に、「南シナ海や東シナ海の領土問題で周辺国との対立が高まっているなか、中国は漁民と海洋権益を守るために、空母が絶対に必要だ」と主張するものがある。昨年9月に沖縄尖閣諸島で起きた海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件を意識した書き込みとみられる。
また、「湾岸戦争もイラク戦争も空母からの攻撃で始まった。空母がなければ近代戦争に参加する資格すらない」として、空母建設の必要性を強調する意見もあった。「アメリカや日本は第二次世界大戦の時にすでに空母を持っていたのに中国は70年も遅れた」とし、「もっと早く建設すべきだった」との声もあった。
さらに、「中国の領海は広いので、南シナ海に二つ、東シナ海、黄海と渤海にそれぞれ一つ、最低でも合計5つの空母戦闘群が必要だ」と指摘して、今後さらに複数の空母を建設する必要性を強調する者もいる。
中国では現在、東北部の大連造船所でウクライナから購入した旧ソ連軍の空母「ワリャーグ」の改修工事が継続されており、今秋までにも完成し、訓練用艦として導入されるとみられる。一方、「ワリャーグ」の技術を参考にして上海造船所などで純国産の空母も建造中だとされている。陳総参謀長の発言はどの空母を指しているのかは文面だけでは判断できないが、インターネットではほとんどの人は純中国国産の方だと理解している。「独自の技術を生かして、欧米や日本が想像もできないような最先端空母を作ってほしい」と期待を膨らませている。
中国初の空母のため、その名前についてもネットで大きな話題となっている。台湾との統一がいまだに実現できていないことを理由に、清朝初期に台湾を奪還した水軍の将軍「施琅」の名前をつけようと意見が多かったが、「台湾を刺激して両岸関係にマイナスだ」との理由で反対も多い。三国時代の赤壁の戦いで魏の曹操の大軍を破った呉の将軍「周瑜」や、中国建国の父「毛沢東」の名前をつけるべきだとの主張も多い。尖閣諸島の中国名「釣魚島号」を空母の名前にして、「領土を守る決心を日本に示そう」とする意見も少なくない。
こうした勇ましい書き込みがあふれる中、「今までの30年、空母はなくても中国は経済発展ができたのではないか。軍備増強の必要性は考えられない」「空母建設よりも教育、福祉、環境など税金を投入しなければならない分野はたくさんあるのに」といった冷静な声もあるが、こうした意見は極めて少数で、その下に「非国民!」「オバマの手先に違いない」といった批判が多く寄せられる。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110612-00000533-san-int
この記事へのコメント
sdi
この問題については今までどおり、EPA締結による外交攻勢を強める方針でいくのが無難でしょう。