信なき言葉は宙に消え
菅首相は9日午前の東日本大震災復興特別委員会で、早期退陣について、不信任案否決を取り上げ、8月中に生活地域からのがれき搬出が目標だ、と否定した。
だけど、少し前まで、原発の冷温停止が一定の目途だといっていたのが、ここにきて、8月という期限が出てきた。なんだかんだいって、じりじり追い込まれてる。内閣改造の夢は霧散した。
まぁ、「その後の2次、3次処理につなげていくことも含めて、私の大きな責任だ」と8月以降もやることを匂わせる発言をしているけれど、民主党内はポスト菅で動いているし、野党は様子見。
自民党の谷垣氏は、菅首相の"8月を目途"発言に対して「個人の延命のための延長が認められるはずもない…前任者から『ペテン師』と呼ばれることを、男子として政治家としてどう考えるのか。国辱だ」と痛烈に批判し、退陣を先延ばしする場合は22日に会期末を迎える今国会の会期延長に応じないと発言している。
新聞各社も早期退陣と、ポスト菅の話題ばかり。四面楚歌。なにやら、記者会見の度に「解散はいつか」と聞かれ続けた、麻生元総理の状況を思わせる。
それにしても、不信任案否決に際して侵したミスは大きかった。あれで、国民はおろか、党内議員ですら、菅首相に「ペテン師」のレッテルを貼ってしまった。だから、菅首相は何を話そうが誰も信じないし、動かない。
事実、今国会の会期についても、菅首相は、執行部に対して、年末まで大幅延長するよう指示していたのだけれど、輿石参院議員会長は党参院議員総会で「会期延長については12月までという話もあったが、改めてもう一度きちんと考え直さなければならない」と反対の姿勢、それを受けて党執行部も会期延長見送りの調整に入っている。
首相の指示を無視されている時点で、もう事実上、レイムダックになっている。だからいくら本人が続けたい、辞めないといっても、民主党の代表選は行われ、首相は引導を渡されることになる。
来週には、民主党の両院議員総会が開かれるという。そこで、菅首相の早期退陣を促し、場合によっては、執行部に対して解任動議がだされるかもしれない。
そういえば、ちょうど1年前の6月1日、鳩山前首相が辞任を促す小沢氏と輿石氏との会談で、辞任を拒み、会議後、記者団に対して、左手の親指を立てて見せた。それが党内の反発を呼び、結局、翌2日に辞任することとなった。決め手は、2日早朝の小沢氏の「両院議員総会で代表解任動議を出せば通ってしまうよ」との電話だったという。
菅首相もあの不信任決議でのペテン行為がなければ、ここまで退陣圧力が高まることはなかったと思う。
菅首相がとりわけライバル視しているといわれる小泉元総理は、その点違っていた。小泉総理の下で、自民党が歴史的大勝を収めた郵政選挙では、勝利後の会見でも小泉総理を始め、党幹部らに笑顔はなかった。それは、選挙のために党内に設置された「コミュニケーション戦略チーム」責任者の世耕議員が、笑顔を見せると反動がくるから、絶対笑わないように、と釘を刺していた。それだけ、国民の印象がどうなるかを知っていて、気を使っていた。そういうことをきちんと考えるスタッフがいた。
翻って、民主党はといえば、国民の印象なんてお構いなし、地方選挙でNOを突きつけられても、平気の平左。お話にならない。
その意味では、菅政権を支えている、閣僚や党執行部は共犯であり、国民からNOを突きつけられていることになるのだけれど、それすら気にしている様子もない。
小泉元総理は、郵政民営化法案が参院で否決されたことを持って、解散に打って出た。リーダーがやりたいことを貫くために解散して、国民に信を問うた。
それと比べると、菅首相の「めどがつくまでやらせてくれと」ペテンにかけてまで居座る姿は如何にもみっともない。
9日、自民党では、各派閥の会合が開かれて、菅首相退陣後の政権には、谷垣氏が総理に就くべきだとの意見があがっているという。
信なくば立たず。
言い古された言葉だけれど、今ほどこれが政治に必要なときはない。
信なき言葉は宙(そら)に消え 蒼穹のカルマ 我が身に及ぶ
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菅首相:「早期退陣」に否定的 改めて「震災対応めど」--衆院復興特委
菅直人首相は9日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、与野党から早期退陣要求が強まっていることについて「大震災に対する努力に『一定のめどがつくまで私が責任を持ってやらせてほしい』と言い、内閣不信任決議案が衆院本会議で否決された。私に『めどがつくまでしっかりやれ』と議決をいただいた」と述べ、早期退陣に改めて否定的な考えを示した。
自民党の谷公一氏が「復興基本法案の成立を機に辞めなければ末代までの名折れだ」と早期退陣を促したのに対し、首相は「仮設住宅に入った人が生活できるよう、またがれき処理、原発収束に一定のめどがつくまで、責任を持って仕事をさせてほしい」と力説。「8月中に(被災者の)生活地域からのがれき搬出が目標だ。その後の2次、3次処理につなげていくことも含めて、私の大きな責任だ」と述べた。
一方、政府は9日午前の持ち回り閣議で、復興基本法案の撤回を決定し、衆院に通知した。民主、自民、公明3党が合意した修正案が、議員立法で提案されることを受けた措置。【松尾良、佐藤丈一】
毎日新聞 2011年6月9日 東京夕刊
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110609dde001010018000c.html
民主:大幅延長見送りへ調整 首相の孤立感強まる
民主党は8日、22日に会期末を迎える今国会の大幅延長を見送る方向で調整に入った。輿石東参院議員会長は8日、会期の大幅延長に慎重な姿勢を表明。会期を延長するとしても短期間にとどめ、菅直人首相が意欲を示している11年度2次補正予算案の編成は新首相の下で行うべきだとの考えを示した。菅首相に早期退陣を迫るもので、党内で首相の孤立感が一層強まっている。
輿石氏は8日、国会内であった党参院議員総会で「会期延長については12月までという話もあったが、改めてもう一度きちんと考え直さなければならない」と表明した。菅首相は民主党執行部に対し、今国会を年末まで大幅延長するよう指示していた。
民主党内では11年度予算執行に不可欠な特例公債法案を巡り、首相の退陣と引き換えに、野党の協力を得て成立させる案も浮上した。
これに対し、枝野幸男官房長官は8日の記者会見で「法律を通すか通さないかが、首相の地位との取引になるような政治を国民が求めているとは思わない」と強く否定した。
一方、自民党の大島理森副総裁は8日、民主、自民、公明3党の中堅・若手議員の会合で、菅首相退陣後の与野党協力のあり方について「閣外協力、閣内協力、いろいろな形があるだろう」と述べ、大連立にこだわらない意向を示した。
たちあがれ日本の園田博之幹事長は8日の記者会見で、仙谷由人官房副長官から4日に電話があり、首相退陣後に大連立を含む協力を打診されたことを明らかにした。
園田氏は「民主党がどうなるか分からない。是非を議論する段階にない」と述べるにとどめた。【光田宗義、念佛明奈】
URL:http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/06/09/20110609k0000m010138000c.html
公債特例法など予算関連法案、賛成しがたい=谷垣自民党総裁 2011年 01月 21日 16:56
[東京 21日 ロイター] 自民党の谷垣禎一総裁は21日、ロイターのインタビューに応じ、民主党09年衆院選マニフェスト(政権公約)は破たんしているとし、11年度予算を組むために「ルーズなマニフェスト体系は一度清算する必要がある」と述べた。24日に召集される通常国会前半の争点である11年度予算案審議では、政府の予算案に「賛成する余地はほとんどない」とし、税法や公債特例法など予算関連法案も賛成しがたいとの認識を示した。
与野党の全面対決で暫定予算も必至とみられるが、国民生活への影響が生じれば野党にも批判が及びかねない。しかし、財務大臣も務めた谷垣総裁は「混乱だ混乱だといって乱暴な立法を続けることが果たしてよいのか」と述べ、民主党マニフェストの「より大きな政府をより小さな財政で賄うという論理矛盾」を質すことが優先されるとした。
さらに谷垣総裁は「来年度予算を組むためにはもう1回国民に信を問わなければならない」とも語り、予算案審議を通じ衆院解散に追い込む考えを示した。
一方、菅政権が呼びかける「税・社会保障の一体改革」の与野党協議では、「(政府・民主党が)成案を示すこと」が大前提になるとし、成案には消費税の引き上げ幅や時期を明記すべきとした。消費税改革ではリスクを負わない菅政権への批判を繰り返すとともに「人気取りのバラマキは自分たちでやって、そのツケは一緒に考えようという馬鹿な話はない」とも指摘。「税・社会保障一体改革」の成案の前にマニフェストの見直し・撤回があるべき順番だと語った。
URL:http://jp.reuters.com/article/economicPolicies/idJPnTK051200820110121
自民各派 谷垣総裁を首相に 6月9日 15時58分
自民党の各派閥の会合が開かれ、菅総理大臣が退陣したあとの政権について、民主党政権自体に問題がある以上、野党第一党の自民党の谷垣総裁が総理大臣に就任し、震災からの復旧・復興に集中的に取り組める態勢を構築すべきだという意見が出されました。
このうち、古賀元幹事長は「大連立とか閣外・閣内協力だとか、いろいろ考えがあるが、こういうときは憲政の王道にかえって、野党の比較第一党に政権を任せるべきだ。谷垣総裁に復旧・復興の責任を負っていただくという覚悟で政権をつくることを考える必要がある」と述べました。また、高村元外務大臣は「民主党出身の総理大臣が2代続けて政権を投げ出す事態になった以上、自民党から次の総理大臣を出すのが当然だ。谷垣総裁が、復旧・復興にめどがつくまで衆議院の解散・総選挙をしないと約束すればいい」と述べました。一方、伊吹元幹事長は「大連立というのは、民主党がこの人を代表にすると決めてからの話だ。ただ、谷垣総裁は『菅総理大臣が辞めれば協力する』と言っているのだから、菅総理大臣が辞めれば、閣内か閣外かは別だが協力することになる」と述べました。これに対し、町村元官房長官は「菅総理大臣が替わればよいというのではなく、民主党政権だから今日の惨めな姿があり、大連立はありえない。民主党は、マニフェストを変えるというなら国民に信を問うのが筋であり、一刻も早く民主党政権を倒すことに力を合わせていきたい」と述べました。
URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110609/k10013421731000.html
菅首相:期限付き大連立反対「解散約束してはいけない」
菅直人首相は8日夜、東京都内の中華料理店で民主党の若手議員と会食した。首相は民主、自民両党による大連立構想について「やるのはともかく、衆院解散を約束しての大連立は絶対に駄目だ」と述べ、早期の衆院解散・総選挙を前提にした期限付き大連立に否定的な見解を示した。後継首相については「2年間しっかりやってもらい、(13年夏に)衆参同日選をやってもらいたい」と述べた。
菅首相は具体的な退陣時期を明言しなかったものの、「官邸に入れば1年でも長く(首相を)やっていたいと思うかもしれないが、決してそういうことではない。いつでも(重圧から)解放されたいと思うのが普通の人間の気持ちだ」と語った。出席者が首相の発言を明らかにした。【高橋恵子】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110609k0000m010121000c.html
この記事へのコメント
とおる
勿論、法的拘束力の無いものですが。
「ペテン師」発言の鳩山前首相や信任してしまった民主党議員は、どう対応するのやら。
almanos