「私は全部開示してきた。これまでやってきたことはほとんど無駄だという思いだ」海江田経済産業相 於:7/27 衆院経済産業委員会
太平洋岸の火力発電所が相次ぎ復旧している。
福島県いわき市の常磐共同火力勿来発電所は、長期計画停止中だった6号機含めた全4基が被災したのだけれど、被害が大きかった7号機は年末の復旧見込みであるものの、6月30日に9号機(60万kW)が運転を再開、7月19日に8号機(60万kW)が運転を再開している。
また、茨城県鹿嶋市の鹿島共同火力発電所も、4月18日に1号機(35万kW)、6月7日に3号機(35万kW)、7月20日に4号機(35万kW)と、計画停止中の2号機(35万kW)以外の全ての設備が運転再開している。
更に、茨城県東海村にある東京電力の常陸那珂火力、福島県広野町の広野火力も運転再開し、震災で軒並み停止していた、太平洋岸の火力はかなり立ち上がってきている。
また、これら以外にも、自家発電余剰分の購入増や、揚水発電の積み増しによって、7月の電力供給力は5月13日の発表から160万kW引き上げ、5680万kWとしている。震災直後の4600万kWの供給力から比べると随分回復したもの。
これにより、夏の電力需給は、今の節電状況と合わせてギリギリ確保できる見込みで、どうやら夏の大規模停電といった最悪の事態は避けられそうだ。
逆に、電力供給が厳しくなってきているのが、関電で、最大電力需要の3138万kWに対して、8月の電力供給力は2931万kWと6%ほど不足する見通しだという。
これは、関電管内の原発全11基のうち、6基が稼働しているのだけれど、7月21日からは高浜原発4号機、22日には大飯原発4号機が定期点検に入って、稼働原発が4基に減ることに加えて、稼働に向けて調整運転中だった大飯原発1号機が7月16日に蓄圧タンクのトラブルで停止。さらに関電に70万kWを融通する予定だった、中国電力の三隅火力発電所がボイラーのトラブルで停止して、融通できなくなったことが原因。
それ以前に、西日本の各電力会社は、2011年6月までには原発が再稼働できる前提で、夏の電力需給を見込んでいた事情があり、それを菅首相の思いつき「脱原発」や「ストレステスト」発言でぶち壊された形。
政府は、関西電力管内の利用者に対して、7月25日~9月22日の平日午前9時から午後8時までの間、去年の夏と比べて10%以上電力使用を減らすよう求めているけれど、企業などに自主的な努力を求めるもので、電力使用制限令を出しているわけじゃないから、どこまで節電が進むのかはまだ分からない。
菅首相は、企業などが保有する自家発電の余剰電力を「埋蔵電力」として、どれくらいそこから供給できるか調査を指示していたのだけれど、発掘できそうなのは、全国でも約160万kW程度にとどまることが分かっている。
全国には、自家発電設備そのものは、計3141カ所、出力約5368万kWもあるのだけれど、自家発電設備は、いうまでもなく、まず自家使用されることに加え、設備が老朽化しているために休廃止していたり、そもそも自家発電設備が外部の送電線に繋がっていないという理由から、その多くが売電出来ない状態にある。
だから、見かけ上の自家発電設備の供給力があるように見えたとしても、実際使えるのはほんの僅か。
関電は、この夏、自家発電から電力を購入する手立てもしているのだけれど、積み増しできるのは、たった12万kW程度だし、九州電力でも、自家発電設備を保有する企業から電力を買い取る交渉をしているけれど、全量買い取っても、積み増しできる電力は約4万kWにしか過ぎないという。
だから、埋蔵電力なんて、実際は、雀の涙といったところ。
菅首相は、国民に節電を強いている時点で、非常時であることを認識しなくちゃいけない。電力不足のこのご時世にあって、発電機を持っている人はとっくに使っている。それでも使わない設備があるとするならば、使えないだけの理由があるはずで、そうしたところまできちんと目配りした上で、電力供給を考えなければいけない。
海江田経産相は、そうした事情も含めて、菅首相に埋蔵電力は160万kWしかない、と当然説明している筈だと思うのだけれど、何を思ったか、菅首相は、「経産省は都合のいいデータしか公表していないのではないか」と不満を漏らし、電力需給に関する重要情報をすべて開示するよう異例の文書による指示をした。
そんなに信用できないのであれば、現場に行って直接みればいいだけのこと。それもやらず、一方的に不満だけぶつけても、受けるほうは堪ったもんじゃない。度重なる横暴に"忍"の一字で耐えてくれるような心の友などもういない。
海江田大臣は、辞表を叩きつけていい。
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埋蔵電力、真夏の夜の夢 首相の思いつきに現場困惑 2011.7.23 16:44
「脱原発」をぶち上げる一方で、今夏や今冬の電力供給不足懸念には「ピーク時の節電あるいは自家発電の活用などで十分対応できる」と言い切った菅直人首相。企業などが保有する自家発電の余剰電力を「埋蔵電力」と位置づけ“発掘”を指示したが、現時点で約160万キロワットにとどまることが事前調査で判明した。経済産業省は首相の指示によって再調査に乗り出したが、本来の工場用電力に使っていたり、電力系統につながっていないなどで大幅な積み増しは困難だ。首相の“幻想”による現場の困惑は増すばかりだ。
◆たった160万キロワット
「九州にまで電力不足が及ぶとは想定していなかった。自家発でいかに自社生産を守るか。ただ、電力会社から要請があっても余力はない」。北九州市にある三菱化学黒崎事業所の幹部は頭を抱える。
同工場はナイロン原料の生産中止に合わせ、5月21日に予定通り自家発1基を止めた。本来なら廃棄工程に入っているが、中部電力浜岡原発の停止や九州電力の“やらせメール”で定期検査終了後の原発再稼働にめどが立たなくなったことなどで、廃棄作業は中断した。
東京・東北電力管内だけでなく、関西にある企業も関西電力と政府による節電要請への対応で手いっぱいで、自家発を保有していても売電の余裕は少ない。関西電力が今夏に自家発から購入する積み増し電力は12万キロワット。八木誠社長は「これ以上を見込むのは非常に厳しい」とする。管内に自家発設備が多い東京電力も、自社供給力の3%にあたる160万キロワットを買い取るが、「電力使用制限令で企業も自家発への依存を高めており、これ以上は難しい」(藤本孝副社長)とみている。
もともと首相が埋蔵電力に対して「魅力的な言葉」と応じたのは、今月6日の参院予算委員会。だが、その後の答弁書によると、経産省は今月4日時点の推計として上積みできる電力供給力を報告していた。それによると、1万キロワット以上の火力発電設備を持つ事業者177社への聞き取り調査の結果、自家発による電力供給の積み上げの推計は約160万キロワットだった。
◆大半は売電不可能
実は、沖縄を除く全国の自家発電設備は計3141カ所、出力にして約5368万キロワット(今年3月末現在)ある。ただ、電力会社への売電を事業としている卸供給設備を除けば約3440万キロワット。このうち約260万キロワットはすでに電力各社と売電契約を結んでいる。残る約3200万キロワットについては、本来の目的である自家使用に加え、設備を休廃止していたり送電線への系統接続がないなど、売電は事実上、不可能だ。
電力不足を受けて自家発設備の増強に動いている企業も多いが、設備新設には早くても半年程度かかるうえ、「売電するための送電系統に接続するコストは誰が負担するのか」(大手電機メーカー担当者)と憤る。
首相から再調査の指示を受けた経産省は、届け出義務のある1000キロワット以上の発電設備を持つ事業者にアンケートを実施しているが、作業は膨大なだけに「早くとりまとめたいが…」と疲れをにじませる。再調査により小規模の遊休設備が発掘される可能性はあるが、そうした設備を継続して動かすためには民間が自ら燃料調達や設備保守を行う必要があり、負担は大きい。
あるエネルギー大手首脳は「特別会計だって切り込んであれだけ。まして民間の電気など出るわけがない」とあきれ顔だ。埋蔵電力は、少なくとも今夏は“真夏の夜の夢”に終わりそうだ。(吉村英輝)
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110723/plc11072316500010-n1.htm
九電「埋蔵電力」発掘へ 4万キロワット 供給力は微増でも… 企業から買い取り交渉 2011年7月24日 06:00
九州電力が自家発電設備を保有する企業から電力を買い取る交渉に入ったことが23日、分かった。管内の企業が自前で使う分を除く余剰分の「埋蔵電力」を調達し、電力需給を少しでも和らげるのが目的。やらせメール問題などもあり、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機などの再稼働が遅れ、電力不足の長期化は避けられないと判断したようだ。ただ、全量買い取りが実現しても、埋蔵電力は約4万キロワットにすぎない。九電の供給力(1736万キロワット)は0・2%増える程度だが、わずかでもかき集める。
九電によると、九州には、製造業の工場などで使用する電力を賄うため、重油や石炭などを燃料とする火力を中心に計約540万キロワット分の自家発電設備がある。設備量は九電の原発分に相当する。
しかし、設備量の約4割は既に九電が買い取る契約になっており、残りは自家消費分が大半。燃料価格が高騰しているため、九電から電気を購入した方が安上がりになる場合もあり、稼働を中止したり、稼働を抑えたりしているケースもある。菅直人首相が今夏の電力不足対策の救世主として期待するほど埋蔵電力は多くないのが現実だ。
それでも、九電は、自家発電設備を持つ約500社をあらためて調査。休止中や稼働率が低い発電設備を利用することで計4万キロワット前後の買い取りが見込めることが分かった。九電は、高値で電力を買い取ることを条件に、稼働率を引き上げてもらい、電力不足を補おうとしているとみられる。今後、さらに1万キロワット程度を掘り起こし、それぞれの企業と具体的な買い取り交渉を急ぐ。
一方、企業側は電力不足への備えを強化中。三菱化学は黒崎事業所(北九州市)の発電設備2基のうち古い1基の廃棄を延期した。コカ・コーラウエストは、鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)の使用電力の半分以上を自家発電で賄っているが「まだ設備増強も可能」。
原油高で停止中の基山工場(同県基山町)の自家発電設備の再稼働も検討している。企業の自家発電設備強化により、埋蔵電力が増える余地も少しずつ広がっているのは確かだ。
■高値で買う制度必要 九州大の合田忠弘教授(電力系統工学)の話
停電の恐れもある中、たとえ少量でも、自家発電から電気供給される意義は小さくない。ただ、埋蔵といわれる設備は、燃料高で不採算に陥り、企業が稼働させていないものが多いはず。赤字では企業は発電ができない。埋蔵を本当に掘り起こすには、自家発電の電気の高値買い取り制度が必要だろう。
=2011/07/24付 西日本新聞朝刊=
URL:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/254972
経産省に不信感、不足電力を独自試算 菅内閣の戦略室
菅内閣の国家戦略室は26日、定期点検中の原発を再稼働せず国内の原発54基がすべて停止した場合、来夏のピーク時で最大約1656万キロワットが不足するとの試算を民主党政調の部門会議に示した。試算の前提とした需要は今夏以降の節電による抑制分を考慮しておらず、不足分は試算より大幅に減る可能性もある。
菅直人首相は、原発政策を推進する経済産業省について「経産省は都合のいいデータしか公表していないのではないか」といった不満を周囲に表明。このため、首相の意を受けた国家戦略室は最近、経産省に対し、電力需給に関する重要情報をすべて開示するよう異例の文書による指示をした。海江田万里経産相は23日、記者団に「なぜ文書(による指示)になったのかよくわからない。これまでも全部資料を持って行ってやってきた」と不快感を示した。
一方で戦略室は、各電力会社のデータを基に、政府として初めて来年夏の電力需給見通しを試算した。それによると、ストレステスト(耐性評価)の実施で来年5月に全原発が停止すると想定した場合、来夏の供給力を全国で1億6297万キロワットと試算。需要は節電効果を考慮せず、電力各社の見通しを積み上げた1億7954万キロワットとした。この差し引きで、不足分は需要全体の9.2%に当たる約1656万キロワットとした。関係者によると、予測した時期や、その後の天候の変化などで、こうした予測に若干の誤差が出る可能性があるという。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0726/TKY201107260789.html
海江田経産相が首相に不快感「やってきたことは無駄だった」産経新聞 7月27日(水)21時3分配信
菅直人首相が経済産業省に電力需給に関する情報をすべて開示するよう文書で指示したことを受け、海江田万里経済産業相は27日の衆院経済産業委員会で「私は全部開示してきた。これまでやってきたことはほとんど無駄だという思いだ」と強い不快感を表明した。
海江田氏は首相の指示文書の冒頭に「必要な情報をすべて開示すること」と明記されたことを明らかにした上で「こういう文章が最初にあるということは悔しい。信用されてないと思った」と述べ、首相の対応を批判。「私の行動に納得がいかなければ、そのときは首を切っていただくことになる」とも述べた。
首相は「脱原発依存」を推進するため、民間企業などの自家発電による「埋蔵電力」を需給計画に組み入れる意向を表明。経産省が自家発電の余剰分を160万キロワットと報告したことに不信感を募らせ、7月に入り再調査を指示した。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110727-00000608-san-pol
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
ヒトデナシや嘘付党に関する話を見た瞬間に
気分が沸騰する.
新聞では海江田が可哀想な様に報道しているが,
要はヒトデナシに何も言えない世間知らずに
過ぎない. 嘘付党にろくな人材はいないのに,
ヒトデナシと比較して良心的に装うメディア
マジック. このまま行けば, ヒトデナシを
辞めさせた者に支持が集まり, 結果的に嘘付党
への支持も回復する. 自民党支持者と異なり,
嘘付党支持者は思想的な偏向を持っているから,
何時でも簡単に嘘付党に戻る.
だから, 後はタイミングだ.
自民党は待っていれば政権が転がり込むと
思っているのだろうし, 谷垣氏も二年頑張れば
首相だと思っているのではないか. 世情とは
いとも簡単に移り変わるもの. しかも, 嘘付党
には朝日、毎日、読売、NHKが付いている.
問題をヒトデナシ首相に集約してしまうと
ドンデン返しがある.
後で悔やんでも遅いのだが.
石原幹事長の発言を聞くと, なんだかな~.
八目山人
彼はすばらしい案だと、テレビで言っている通りのことを熱く語りました。
私は「あんな物は、山崎なんとかという人が書いた本を立ち読みして、思いつきで言っているだけだ。高速道路を無料にするという事は国道にするという事だよ。国営化で国道が増え、国家公務員が増えるだけだよ。またそんな事をすれば、道路が混んでどうにもならないよ。」と言ってあげたのですが、最後まで彼には理解できないようでした。
菅は、高速道路無料化、TPP、脱原発etc、全て思い付きです。深く考えての発言なんて何にも有りません。それでももっているのはテレビがフォローしているからです。
そういえば孫は風力発電の会社(GPI)も買収したようですね。なんと分かり易いことか。