漫画が現実を創る世界

 
暑い日が続きますね。今日は、祭りネタのエントリーです。

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1.漫画アニメが現実をドライブする

2011年7月9日、10日の両日に渡って、神奈川県箱根町の旧仙石原中学校で、「ヱヴァンゲリヲン×箱根町×TOYOTA 電力補完計画 節電推進Ver. in 第3新東京市立第壱中学校」なるものが開催された。

これは、元々、劇場アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』に登場する「特務機関NERV(ネルフ)」の公用車として「トヨタ プリウスPHV(プラグインハイブリッド)」が認定されたことを記念したもので、3月12、13日と19から21日の計5日間に渡って開催される予定だったところ、例の震災で中止。7月になって今度は「節電バージョン」となって復活した。

イベントは、作品の舞台となる箱根町の旧仙石原中学校を、碇シンジら登場キャラクターが通う「第3新東京市立第壱中学校」に見立て、さまざまな展示やイベントが催されたのだけれど、トヨタの「エスティマハイブリッド」の発電機能を使って、展示照明などの補助電力にも利用したそうだ。

トヨタは「NERV 公用車仕様プリウス」を用意して、箱根町に贈るというタイアップぶりで、トヨタマーケティングジャパン副社長の新井範彦氏によれば、「人気のあるエヴァンゲリオンの公用車に認定され、若者に興味を持ってもらい車離れを止めたい」と述べているから、ある意味、アニメ人気にあやかって、少しでも車離れを止めたいという思惑も働いているのだろう。



かわいいは正義」のエントリーで、アニメ「花咲くいろは」の影響でモデルとなった石川の温泉街の観光客が増えた話を紹介したけれど、今度は、作品中に登場する「架空の祭り」が現実に再現される企画が進んでいる。

これは、アニメ「花咲くいろは」で描かれている「ぼんぼり祭り」を湯涌温泉で再現するというもので、作品中では、神無月に出雲へ帰る女の子の道しるべとして、 ぼんぼりに願い事を書いた札を下げ、送り出す祭りとして登場する。

これを、再現しようと、湯涌稲荷神社を会場に、境内と参道に約30基のぼんぼりを設置して、また、願い事を書き込む「のぞみ札」を掛けるスタンドも設けるという。

7月23日には、ぼんぼりの点灯式と来場者ののぞみ札を奉納するというから、また観光客が増えるのではないかと思う。

もう、アニメはテレビの中だけの世界ではなくて、現実世界にも影響を及ぼし始めている。

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同じことは、マンガでも起こっていて、今年の8月12日から14日にかけて、東京ビッグサイトにて行なわれる、同人誌即売会「コミックマーケット80」、通称コミケに、倉敷市が地方自治体として初めて、ブースを構え、出展することになった。

これは、ワニブックス社と岡山県倉敷市観光課の共同出展のようで、ワニブックスの「月刊コミックガム」で連載中の作家の直筆サイン本の販売や、観光キャンペーンのPRやグッズを限定で配布する予定だそうだ。

なぜ、月刊コミックガムなのかというと、現在コミックガムで連載している作品の中に、倉敷市を舞台としたマンガ「めくりめくる」があるから。

「めくりめくる」は、倉敷市の観光ポスターにもなって話題となったマンガで、毎回主人公が変わるのだけれど、少年少女たちの思春期の微妙な心の動きを表現してゆく青春ストーリー作品。

オムニバス形式の作品の舞台には、倉敷そのままの情景が登場していて(筆者には倉敷駅前と美観地区しか分からなかったけれど)、地元の人には堪らないのではないか。

これなんかも、マンガやアニメが現実世界を引っ張っている例なのだけれど、いよいよ現実と虚構とが混在してしまいそうな製品が登場してきた。それが「萌え家電」。

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2.自分の家が魂を持つ日

「萌え家電」とは、「賢い家」ことスマートハウス技術の展開に向け、大和ハウスとソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)が共同で進めているプロジェクトで、大和ハウスが持つスマートハウス技術を、ソニーCSLが開発した「Kadecot System」というストーリーゲームと家電制御を組み合わせられるシステムを構築。人間とのインターフェース部をゲーム感覚あふれるものにしたというもの。

この萌え家電については、大和ハウスショールームで「D-TEC PLAZA」で、デモが行われたのだけれど、家電にそれぞれ擬人化されたキャラクターが割り当てられており、キャラクターと会話したり、キャラクター同士で進展するストーリーを楽しんだりしながら、家電を制御することができるそうだ。

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「萌え家電」のコントローラは主にスマートフォン上で操作できるのだけれど、たとえば、画面上の「ジェットコースター」を選択すると、扇風機が「強」に、「メリーゴーランド」を選ぶと、「弱」になるという、簡単なんだか、難しいんだかよくわからない代物。

このプロジェクトの裏には、経済産業省があったようで、ソニーCSLが、新たに開発したストーリー型コンテンツ製作システム「Kadecot System」を自身のオープンハウスで展示していたところ、会場に来ていた経済産業省クールジャパン室の職員が目をつけたのが発端で、その職員が以前、スマートハウス関連の担当者だったことから、両者を結び付けることを提案したのが発端だという。

ただの遊びで終わるのか、それとも浸透していくのか分からないけれど、或いは、この萌家電というのは、人とロボットとの間のコミュニケーションをとるための一手段になるのかもしれない。

以前「コレクションされる都市鉱山」のエントリーで、"情が移る"部分、いわゆる疑似人格の部分をアタッチメント化することができればリサイクルも進むのではないかと述べたけれど、もしも、萌え家電という疑似人格に情が移るようなことがあるのであれば、同じように、疑似人格の部分をアタッチメント化してやって、家電を買い替えても、代々疑似人格部分を継承できるようにしておいたほうがよいのかもしれない。

トチローがアルカディア号の魂になったように、萌家電のキャラクターが、自分の家の魂になる日はくるのだろうか。




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画像エヴァ公用車、箱根町に配備-エヴァ×箱根×トヨタイベントで

 箱根町の旧仙石原中学校(箱根町仙石原)で行うイベント「ヱヴァンゲリヲン×箱根町×TOYOTA 電力補完計画 節電推進Ver.」に先立ち、「NERV 公用車仕様プリウス」が箱根町へ贈られた。

 贈呈式ではトヨタマーケティングジャパン(東京都文京区)副社長の新井範彦さんから、箱根町観光協会理事長の数馬勝さんへプリウスが贈られた。同車は観光協会へ配備される。

 新井さんは「人気のあるエヴァンゲリオンの公用車に認定され、若者に興味を持ってもらい車離れを止めたい。劇中の舞台となる箱根町は自然に囲まれエコの観点からも公用車として配備するにふさわしい」とあいさつした。数馬さんは「震災で中止となったが、もう一度イベントの要請をしてくれたことに感謝している」と応えた。

 会場となる体育館に「トヨタ プリウスPHV」を展示。中央にはエヴァンゲリオン初号機や綾波レイ、式波・アスカ・ラングレーのフィギュアを設置する。屋外には初号機と弐号機の外装を模した同イベントオリジナルプリウスも展示。ほかにも「節電推進Ver.」として、「トヨタ エスティマ ハイブリッド」4台の発電機能を利用し、体育館の展示照明などの電力に使用する。

 同イベントは7月9日・10日に開催する。開場時間は10時~17時。

URL:http://odawara-hakone.keizai.biz/headline/627/



画像「湯涌ぼんぼり祭り」の会場となる湯涌稲荷神社=金沢市湯涌温泉

「花咲くいろは」は南砺市のピーエーワークスが制作。主人公が働く温泉「湯乃鷺温泉」は湯涌温泉をモデルにしている。「ぼんぼり祭り」は劇中、神無月に出雲へ帰る女の子の道しるべとして、ぼんぼりに願い事を書いた札を下げ、送り出す祭りとして登場する。

「湯涌ぼんぼり祭り」は湯涌稲荷神社を会場に、境内と参道に約30基のぼんぼりを設置。願い事を書き込む「のぞみ札」を掛けるスタンドも設ける。
23日は点灯式と来場者ののぞみ札を奉納、本祭は10月9日の予定だ。

ぼんぼり祭りは、水害復興3周年記念イベント(北國新聞社特別協力)の一環で行われ、アニメの製作委員会「花いろ旅館組合」が協力する。同協会は「幅広い客層に楽しんでもらえるよう湯涌の新しい祭りとして育てていきたい」としている。

復興記念イベントではこのほか、県いけ花新進会によるいけ花オブジェの展示や御供田幸子さんによるチャリティーショーをはじめ、日本のアートアニメーションの大御所である久里洋二、ひこねのりお、古川タクの3氏による討論会などを計画している。

富山新聞

URL:http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20110702102.htm



画像<コミケ>地方自治体で初めて岡山県倉敷市が出展を決定 MANTANWEB 2011年7月1日(金)18時58分配信

 「コミケ」の愛称で親しまれる日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット80」(8月12~14日)に岡山県倉敷市が出展することが1日、明らかになった。出版社中堅のワニブックスとの共同出展。実行委員会によると、地方自治体がコミケにブースを構えるのは初めてという。

 ブース名は「月刊コミックガム 岡山県倉敷市観光課 共同出展」で、企業ブースのナンバーは323。倉敷市は、ワニブックスが発行する「月刊コミックガム」で連載中の拓さんのマンガ「めくりめくる」の舞台となっていることから、マンガのイラストを観光ポスターに採用している。地域の観光を広くアピールしたい倉敷市が、ワニブックスと相談し、高い集客力を持つコミケへの共同出展を決めた。ブースでは、観光キャンペーンのPRやグッズを限定で配布するほか、「月刊コミックガム」の創刊15周年記念企画や、「めくりめくる」などの連載マンガ作家の直筆サイン本の販売を予定している。

 地方自治体の出展は、10年3月に水戸市で開催された「コミケ」特別イベントの開催に先立ち、同市役所の若手職員らが有志として一般ブース扱いで参加したことはあるが、正式な自治体の参加は倉敷市が初となる。

 コミックマーケットは、75年から始まったマンガや小説、音楽、ゲームソフトなどの同人誌即売会で、現在は夏と冬の年2回開催されており、1日あたり15万?20万人を動員する日本最大級のイベントとして知られている。(毎日新聞デジタル)

URL:http://news.nicovideo.jp/watch/nw81850



画像「萌家電」大和ハウスとソニーCSLが共同プロジェクトを発表 by kentaro Jul 7th 2011 @ 6:00AM

これまでなかなか普及の糸口が見えてこなかった「賢い家」ことスマートハウス技術の展開に向け、大和ハウスがソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)と共同で「萌え」を投入してきました。7月8・9日には東京水道橋の大和ハウスショールームで公開実験も実施されます。事前予約制で、申し込みは萌え家電プロジェクトのサイトより。

大和ハウスが持つスマートハウス技術を、ソニーCSLが開発した「Kadecot System」というストーリーゲームと家電制御を組み合わせられるシステムに載せ、スマートハウスのインタフェースをゲーム感覚あふれるものに仕立てられるプラットフォームを構築しました、というのが発表の肝。今回公開されたデモでは、BRAVIA やブルーレイ再生機、果てはクーラーや扇風機といった家庭内の家電製品達にいかにもな萌えキャラクターを割り当て、それらと楽しくたわむれることで家電を動かしたり節電したりできる、といった生活スタイルが提案されています。

この共同プロジェクトは、経済産業省の「クールジャパン室」が仲介して両社を引き合わせたのが発端ということで、「萌え」と「家電」を武器に世界へ売り込もうという野心的なんだか破れかぶれなんだかわからないなりに意欲的な動きがあるようです。続きで詳しい発表内容を紹介します。

今回記者会見とデモが行われたのは、大和ハウスのショールーム「D-TEC PLAZA」。この実験住宅の中が萌え化されています。

「萌え家電」プロジェクトでは家電にそれぞれ擬人化キャラクターが割り当てられていて、キャラクターと会話したり、キャラクター同士で進展するストーリーを楽しんだりしながら、家電を制御することができる、というもの。意外にもキャラクターは全部が全部いわゆる萌えキャラではなく、上図のように親父っぽいキャラクターであったり非人間キャラクターも登場します。

「萌え家電」のコントローラは主にスマートフォン上で操作します。写真は玄関での「お帰りなさいご主人様!」な場面。プロの声優が吹き込んだフルボイスコンテンツです。

キャラクター達とのやりとりは、ストーリー仕立てのものもあります。デモでは時流に棹さした節電奨励コンテンツの紹介がありました。題して「空調機たちの夏」。アラサー女という設定の扇風機と、何故か親父キャラのエアコンとのラブストーリーです。上の写真がその扇風機とエアコン。扇風機の方はアラサーの設定に違わぬかなりの年代物。この扇風機のコントロール用画面は、普段はこんな感じ。

これだけでも十分アレですが、これにストーリー仕立ての「儀式」(大和ハウス担当者談)が加わるとこうなります。

ユーザーと二人で遊園地にやってきた、という設定。選択肢が二つ出ていますが、さきほどのリモコン画面と等価です。つまり...

「ジェットコースター」を選択すると、扇風機が「強」に、

「メリーゴーランド」を選ぶと、「弱」になります。キャラクター達とのこうした交流を繰り返すことで、好感度が変化するとかなんとか、そういった設定も可能だとか。

さて、扇風機とエアコンとのラブストーリーですが、背後にあるのは、エアコンと扇風機をあわせて使うことで効率的な冷却ができ、節電につながるということを居住者に伝えるという考え。そこで二つのキャラクターが絡むストーリーを提示することでそれに気づかせることを狙ったものです。

始めのうちはこんな二人ですが、少しづつストーリーが進展すると、二つを協調させて動かすことを促すイベントが発生。それを繰り返していくと...

と、二人の相性が上昇。やがて「扇風機とエアコンが結婚」というエンディングを迎えます。その後のリモコン画面には、下の写真のように新しいコマンドが追加されます。

こんなストーリーが他にもダウンロード販売や、ユーザー主導で作られたものをインストールすることで追加することができます。萌え家電のシステムは共通プラットフォームとしてAPIが公開されるため、他メーカーや個人でも対応アプリケーションやコンテンツを作成することができます。

≪中略≫

最後は「萌え家電大使」に任命された声優の水瀬いのりさんが、頭にディスクをあしらった「ブルーレイさん」のコスチュームで登場。

ソニーCSLでは以前にも「萌え木」プロジェクトなどで幾度か「萌え」への接近を試みていたのですが、今回の共同プロジェクトの経緯は、新たに開発したストーリー型コンテンツ製作システム「Kadecot System」をソニーCSLのオープンハウスで展示していたところ、会場に来ていた経済産業省クールジャパン室の職員が目をつけたということだそうです。たまたまその職員は以前スマートハウス関連のプロジェクトの担当者だったということで、大和ハウスとソニーCSLとを結びつけることを提案してきたとのこと。それまではちょっとした実験プロジェクトだったはずの Kadecot System が、スマートハウス技術を何とか広めたい大和ハウスの思惑と、「クールジャパン」をとにかく推していきたい経済産業省の野望によりオーバードライブしたというのが実情のようです。

URL:http://japanese.engadget.com/2011/07/07/moekaden/

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    平和な園への乱入

    産経新聞記者の阿比留氏の大変に疲れる著書
    「総理、あなたこそ復興の障害です」p.282の
    「戦う自民、どこへ行った」の項でまた腹が立つ.
    支持率が20%を越える自民党の総裁の支持率が
    10%も越えないと言うのは如何がなものか.
    谷垣氏のどこに見所があるのだろうか.
    この項は5/20初出だが, 現在でも何も変わらない.
    保身だけを考えて右往左往している嘘付党を眺め
    ていてもろくな状況判断派でないと思うのだが.
    党執行部は何を考えているのか, 或はいないのか.
    高市氏や佐藤氏のようなプロが仕事をしている
    のは分かるのだが.

    つい思わず. 失礼しました.
    2015年08月10日 15:27
  • 白なまず

    「全ての物には魂が宿る」と信じられてきた日本では、この擬人化する家電や家、車は当然の帰結に思えます。山や川、木、石にも何か神聖な物を観じるとご神体化するわけですから、最終的にはトチローの魂が宿るアルカディア号の様に存在感がある何らかのモニュメントに高度なITを取り込む方向で融合して行くとご神体になるように思えます。そして、思わず拝んで、願って、感謝して、語りかけるのです。日本人の性(心が生まれる)ですね。その極めつけが祭りでしょう。みんなでご神体をお祭りし共有する日本人の仕組みです。工業化が進み地域社会から都会型に書き換えられた現在に於いて原点回帰する事で日本人の仕組みが復活し元気を取り戻そうとしているのだと思いました。
    2015年08月10日 15:27

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