脱原発は遠い将来の希望

 
「私は、首相交代に必要な時間は、菅首相が居座ることによる壮大な時間の浪費に比べれば微々たるものと考えている」
西岡参院議長

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もう、これはなんといえばいいのか・・・・。

菅首相の「脱原発依存」記者会見から一夜あけた14日の記者会見で「首相は脱原発依存とは言っていない。原発への依存を段階的に減らす先の目標を示した」と、脱原発依存を真っ向から否定した。

確か菅首相は「原発に依存しない社会を目指す」と言っていたと記憶しているのだけれど、あれは、「遠い将来の希望」なんだそうだ。

今の現状をみれば、遠い将来の夢を語る前に、明日の電力を語るべきじゃないのか。翌日に否定されるのなら、一体何のための記者会見だったのか。

枝野官房長官の発言が正しいのであれば、菅首相の「脱原発依存」は公式には、中身の無いもの。これでは、あの記者会見は、菅首相が単に「脱原発したがっているよ」という印象だけを与えるパフォーマンスの舞台だったということになる。

つまり、人々の記憶には「脱原発」は刻まれるけれど、脱原発するという証拠は"公式には"何も残らない。

これはまるで、会議をしても議事録を残さないようなもので、その意味では民主党らしいといえば民主党らしいのかもしれないけれど、普通の社会常識からみれば通用しない。

まぁ、一部には、菅首相が政官財すべてを敵に回して、孤独な戦いをやっているのだ、という観測もあるのだけれど、今回のように、菅首相が、意味のない会見しか出来ないのなら、いや、混乱だけしか生まないのなら、彼の記者会見場には案山子でも並べておけばいい。

13日の菅首相の記者会見とて、具体策は何も提示されなかった。代替エネルギーを何にするのかさえの見通しもない。

1000万戸の太陽光パネルだろうが、自家発電だろうが、「遠い将来の夢」なんて条件がつけば、なんとでも好き勝手言える。たとえば、風車を街中にバンバン建てて「"山背(ヤマセ)"が吹けば、風力発電で、原発に依存しない社会を作れるんだ、これは遠い将来の夢なんだ」なんて言い張ることだって、なんだって出来てしまう。

時には、政治家が自分の「夢」を語るのも結構だけれども、その為の具体的な行動や方法が伴わなければ、ただのパフォーマンスで終わってしまう。

菅首相が会見して、翌日官房長官が撤回する、こんなことが続けば、結局、何をするのか全く分からないまま、ずるずると時間ばかりが過ぎていくことになる。

ただ、それでも、細野原発担当相は、まともなことを言っていて、14日の参院内閣委員会でも原発の再稼動について、「安全性を確保した上で再稼働は認めるべきだ。」と発言しているから、細野氏の意見が通るのであれば、最悪の事態を免れる可能性が残されている。

だけど、ここでもネックなのは、やはり菅首相その人。



14日付の日経新聞によれば、菅首相は13日の「脱原発」記者会見の前に、細野原発事故担当相に相談して、細野氏から「エネルギー安全保障も考えた方がいい」と意見されていたにも関わらず、結局、聞く耳を持たなかったそうだから、今後、細野氏が原発の再稼動をすべきだと進言したとしても、また無視されてしまうことだって十分に有り得る。

事ほど左様に菅首相は、日本のブレーキになっている。確かに、これでは、西岡参院議長のいうように、「首相交代に必要な時間は、菅首相が居座ることによる壮大な時間の浪費に比べれば微々たるものだ」と言わざるを得ない。

また、平野復興相は14日に読売新聞のインタビューで、復旧・復興について「首相が邪魔になるとしても進めないといけない」と答えているし、経済同友会の長谷川閑史代表幹事に至っては、菅首相は復興の障害になっているとまでコメントしている。

そんな菅首相に対する「菅降ろし」包囲網は少しずつではあるけれど、狭まっている。岡田幹事長は、安住国会対策委員長らと会談し、早ければ来月上旬にも、民主党党代表選挙を実施したい考えを伝えているし、民主党の「国益を守る会」に所属する11名が菅首相に対して、即時退任を求めている。なんでも15日に菅首相退任を求める会議を開催するようだ。

まぁ、若手11人の即時退任要求については、不信任案が可決するくらいの、即ち、80~90人くらい集めて、即時退任しなければ、我々が不信任案を提出するくらいのものを見せない限り、殆ど効果は期待できないだろうと思うのだけど、果たして彼らに、そこまでの力があるどうかは分からない。

その一方、後者の党代表選前倒し案については、代表選が実施されて、新しい代表が選出されれば、菅の顔での選挙が出来なくなると同時に、公認や選挙資金の配分など、菅首相が手を出せなくなるから、これまで散々脅しに使ってきた、解散総選挙をやるぞというカードの効力が弱くなる効果は期待できる。

だから、この代表選挙前倒し案は、菅首相に解散させないための牽制の一環であるとも言える。

その意味では、もしも、菅首相が「脱原発解散総選挙」を今だに狙っているのであれば、枝野官房長官の「脱原発ではない」発言は、脱原発を争点にさせないために釘を刺したとも解釈できるから、もしかしたら、これも解散させないための牽制の意味合いを含んでいるのかもしれない。

7月7日から10日に実施した時事通信による世論調査によると、菅内閣の支持率は12.5%と大きく下落している。また、菅首相が退陣時期を明らかにしていないことについては「納得できない」が68.7%、「納得できる」が18.6%となっていて、退陣時期をいつまでも明確にしない菅首相に対する批判がじわじわと高まっている。

ゆっくりとではあるけれど、着実に包囲網は狭まっている。素直に退陣するか、それとも解散権を振りかざして自爆解散するか。答えが出る日は近づいている。




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画像もう撤回? 枝野氏「脱原発依存と言っていない」 菅首相発言を弁明 2011.7.14 13:31

 枝野幸男官房長官は14日の記者会見で、菅直人首相が13日の記者会見で「脱原発依存」の社会実現を目指す考えを示したことについて「首相は脱原発依存とは言っていない。原発への依存を段階的に減らす先の目標を示した」と述べ、原発全廃の考えを示したとの見方を否定した。

 枝野氏は「原発への依存度を段階的に減らすことは従来方向性を示している」と強調。「原発に依存しない社会を目指す」と明言した首相の真意については「遠い将来の希望については、まさに首相の思いだ。国民的議論のスタートとして方向性を示した」と説明した。

 その上で、エネルギー政策をめぐる10日のNHKの討論番組の議論を例示した上で「当面、安全性を確保しながら原発の依存度を下げることについては、与野党を超えて一致している」と語った。

 退陣表明している首相が長期的目標を掲げたことへの批判については「いろいろな意見、批判があるのは当然だが、原発事故を体験した意識からすると、国民的議論を喚起するのが一つの責任だとするのは、その限りでは同感だ」と述べ、首相を擁護した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110714/plc11071413350016-n1.htm



画像原発担当相「再稼働認めるべき」 テストで安全性確保後

 細野豪志原発担当相は14日の参院内閣委員会で、定期検査で停止中の原子力発電所の運転再開について「安全性を確保した上で再稼働は認めるべきだ。54基すべての原発がいずれかの段階で止まることを想定していない」と述べ、ストレステストを経て原発を再稼働させるべきだとの認識を示した。

 民主党の植松恵美子氏の質問に対する答弁。細野氏は「安全性を前提に日本経済をどう動かしていくか、国民生活をどう守っていくかという視点はきわめて重要な要素だ」と述べ、原発停止は慎重な対応が必要との考えを明らかにした。

 また、福島第一原発の廃炉や使用済み核燃料の取り出し、放射性物質を帯びたがれき処理の費用負担について「政府として担当していかなければ解決できない」と述べ、国費投入も検討する考えを示した。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/0714/TKY201107140261.html



画像岡田幹事長 来月上旬にも代表選を 7月11日 23時27分

民主党の岡田幹事長は、安住国会対策委員長らと会談し、菅総理大臣が退陣の条件としている赤字国債発行法案などの成立を急ぎ、早ければ来月上旬に代表選挙を実施したいという考えを示しました。

会談では、菅総理大臣の退陣の時期などを巡って意見が交わされ、岡田氏は、菅総理大臣が退陣の条件としている、今年度の第2次補正予算案や赤字国債発行法案などの成立を急ぎたいという考えを示しました。そのうえで、岡田氏は、早ければ来月上旬にも、次の民主党の代表を選ぶ代表選挙を実施したいという考えを示しました。このあと、安住氏は、党の役員会で、赤字国債発行法案などについて、来月の第1週までの成立を目指す考えを示しました。一方、鳩山前総理大臣は、10日、話し、前原氏から呼びかけられていた、党の代表経験者がそろって退陣を求めるべきだという考えについて、「同調できない」として、否定的な考えを伝えました。これに対し、前原氏は、赤字国債発行法案などが成立しても菅総理大臣が退陣しない場合は、党執行部や閣僚がそろって辞任し、退陣を迫る必要があるという考えを伝えて、協力を求め、鳩山氏も同様の認識を示しました。

URL:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110711/t10014141221000.html

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    異人阿礼(ヒトデナシのアレ)の包囲網なんて
    考えても無意味だろう. 何故なら, 嘘付党の
    誰もが自らの失敗の結果の責任から逃れること
    に精いっぱいなのだから. 一致団結してアレを
    辞めさせたとして, その瞬間に全ての責任は
    辞めさせた彼らに付く. だから, 彼らは責任
    そのものを消滅させようとしているのだ.
    「責任=悪霊」だとすれば, 確かに除霊として
    は正しいのだろうが, 平安朝か!

    二年の経緯を眺めれば, 日本を再興するに当たり,
    嘘付党の内部事情など何の意味もない.

    この混乱の最大の原因は自民党の役立たず
    谷垣総裁にあると言うのが正しい.
    政治を法律の問題, 論理の問題, 数の問題に
    落し込んだ執行部のどうしようもなさが国民の
    無力感を煽っている.

    解決の鍵が自民党の正常化にあると言う認識
    こそが日本を救う. 嘘付も駄目だが金権も,
    というメディアのめくらましに乗ってはいけない.
    良かろうと悪かろうと, 日本を救う鍵は
    自民党にしかない.

    全学連政権にはない.
    2015年08月10日 15:27
  • 白なまず

    ひふみ神示 第02巻  下つ巻(四百つまき) 第十三帖
     逆立ちして歩くこと、なかなか上手になりたれど、そんなこと長う続かんぞ。あたま下で手で歩くのは苦しかろうがな、上にゐては足も苦しからうがな、上下逆様と申してあるが、これでよく分るであろう、足はやはり下の方が気楽ぞ、あたま上でないと逆さに見えて苦しくて逆様ばかりうつるぞ、この道理分りたか。岩戸開くとは元の姿に返すことぞ、神の姿に返すことぞ。三(みち)の役員は別として、あとの役員のおん役は手、足、目、鼻、口、耳などぞ。人の姿見て役員よく神の心悟れよ、もの動かすのは人のやうな組織でないと出来ぬぞ。この道の役員はおのれが自分でおのづからなるのぞ、それが神の心ぞ。人の心と行ひと神の心に融けたら、それが神の国のまことの御用の役員ぞ、この道理分りたか。この道は神の道ざから、神心になると直ぐ分るぞ、金銀要らぬ世となるぞ。御用うれしくなりたら神の心に近づいたぞ、手は手の役、うれしかろうがな、足は足の役、うれしかろうがな、足はいつまでも足ぞ、手はいつまでも手ぞ、それがまことの姿ぞ、逆立して手が足の代りしてゐたから よく分りたであろうがな。いよいよ世の
    2015年08月10日 15:27
  • yutakarlson

    首相 原発に依存しない社会を―【私の論評】時間軸を発表しないこのような声明は何の意味も持たない!!
    ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」
    http://goo.gl/VNr9K
    こんにちは。菅首相が、原発に依存しない社会を目指すという声明を発表しましたが、残念ながら、井戸端会議、床屋政談の域を出ていない低水準なものでした。なぜ、低水準かといえば、時間軸に関して何も述べられいないからです。時間軸をはっきりさせた声明としては、10年以内に人類を月に送り込むというケネディー大統領ものや、10年以内に国民の所得を倍増させるという池田勇人総理大臣のものが有名です。時間軸を述べるためには、「すでに起こった未来」を見出す能力や、「未来を自ら作り出す」能力が必要不可欠であり、これらの能力の基となるものは、統合的な思考方法です。このような、能力や思考方法が身についていないというのなら、最初から政治家を目指すべきではないと思います。これはら、政治家になる前にみにつけていなければならない事柄であり、政治家の本分は行動することです。詳細は、是非私のブログを御覧になってく
    2015年08月10日 15:27

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