「過去に私は日本の新総理大臣の菅直人さんの「特別顧問」を務めた経験があります。日本の総理大臣をクラブにお招きするためにも、重要な働きができると確信しています。」ピオ・デミリア 於:日本外国特派員協会(FCCJ)会長選挙声明文
1.脱原発解散の条件は崩れていない
7月11日、自民党の石破政調会長はテレビ番組で、菅内閣に対する不信任決議案の再提出について、菅直人首相が退陣しなければ、8月下旬をめどに「出す」と明言し、民主党議員に対しても、菅首相に辞めろというのなら、行動で示せ、と同調を求めた。
これについては、既に「不信任案再提出への足固め」のエントリーで、民主党に対する同調工作があると述べていたから、特段の驚きはないのだけれど、公の番組で堂々と同調を求めるところまでするとは思わなかった。
ただ、よくよく考えてみれば、先の民主党の両院総会でも明らかなように、菅首相に対して辞めろといっても口ばかりで実行が伴わない、民主党議員の体たらくを見ているから、逆に、公に宣言してプレッシャーを与えることで、その矛盾を浮き彫りにし、正当性を失わせるという意味では、効果的な発言であったろうと思われる。
また、今の段階で不信任案を再提出すると宣言することで、解散されてはかなわんと、菅降ろしを更に加速させるという思惑もあるだろう。
そんな思惑を他所に、菅首相自身は続投に意欲満々。10月に中国訪問したいとかいったかと思えば、原発の再稼動の前にストレステストをやると言い出した。
原発再稼動については、7月11日に政府が再稼働について統一見解をまとめ、2段階の安全評価をする方針を打ち出しているけれど、何を評価したところで、再稼動に関する最終決定は首相と原子力担当大臣が下すことになっているから、菅首相が再稼動を認めなければ、いつまで経っても運転されることはない。
それに、7月12日の日経新聞によれば、菅首相は任期中に再稼働を認めない意向を固めているそうだから、少なくとも、菅首相を退陣させなければ、原発の再稼動はない。要するに、原発の再稼動、ひいては国民生活そのものが菅首相の人質になってしまったに等しい。
だから、口で何を言おうと、菅首相が原発反対の姿勢を崩さない限り、依然として「脱原発解散」の条件は揃ったまま。
2.脱原発へ急旋回
6月18日に海江田大臣が原発安全宣言をした時点では、菅首相はそれに同調していたのだけれど、それを覆して脱原発の姿勢を鮮明にしたのは、6月29日に料理店3軒をはしごした夜のことだと言われている。
この日の午後の首相動静を振り返ってみると次のとおり。
【午後】
1時03分、官邸。
1時27分、中井洽衆院予算委員長。
2時00分、松本復興相、峰久復興対策本部事務局長。福山官房副長官、平野内閣府副大臣、経産省の菅原産業技術環境局長同席。
2時28分、民主党の馬淵澄夫衆院議員。
2時58分、亀井首相補佐官。
3時18分、亀井氏出る。
4時25分、阿久津内閣府政務官。
5時45分、阿久津氏出る。
6時40分、民主党の寺田学衆院議員。
7時21分、東京・赤坂のすし店「赤坂 石」。同党の寺田衆院議員、秘書官らと食事。
9時16分、東京・六本木の焼き肉店「大同苑」。阿久津政務官、同党の加藤公一衆院議員、国家戦略室スタッフと食事。
10時16分、東京・六本木の六本木ヒルズ。イタリア料理店「ザ キッチン サルバトーレ クオモ六本木」で伸子夫人、同党の高邑勉衆院議員、福島県南相馬市の桜井勝延市長らと食事。
11時38分、公邸。asahi.com「首相動静―6月29日」より引用
7月10日の日経新聞によると、最後に食事したイタリア料理店で、脱原発派のイタリア人と会い、国民投票で脱原発を決めたイタリアの情勢を聞いたのだという。そこで、くだんのイタリア人から、「日本の技術力があれば、脱原発でも電力不足を跳ね返せる」と説かれたとされている。
そして、その会合の後、菅首相と戦略室スタッフが、自家発電による電力不足解消ができないか経産省に調査を指示したのだけれど、帰ってきた答えは、全国から届出のあった6000万kwのうち使えるのは180万kwしかない、というものだった。その答えに納得できなかった菅首相は、「調べなおせ」と、自家発電能力を報告に上がった松永経産次官と細野哲弘資源エネルギー庁長官を追い返したという。
経産次官の報告とて、ただ180万kwしかないというだけでなくて、何故ないのかの理由も含めて説明した筈であろうと思われるのだけれど、いちイタリア人の言うことを信じ、自国の官僚を一方的に追い返すやり方はどうかと思う。
3.ピオ・デミリア氏の過去
さて、菅首相に脱原発を勧めたとされる、イタリア人ジャーナリストとは誰か。公の報道では明らかになっていないけれど、ネット等ではもっぱら、イタリアの極左テロ組織「赤い旅団」の弁護士を務めたこともある、ジャーナリストのピオ・デミリア氏ではないかと言われている。
ピオ・デミリア氏は、イタリアの衛星テレビ局「Sky TG24」の極東特派員で、ローマ生まれの現在56才。
イタリア語はもちろん、日本語、英語、フランス語に精通し、日本語はペラペラ。本人曰く、スキー、パラグライディング、テニス、サッカーなどを嗜むスポーツマンだそうだ。
過去には氏の所属する日本外国特派員協会のサッカーチームを率いて、日本の国会議員サッカーチームと親善対抗戦を行った経験があるそうなのだけど、一番肝心なことは、冒頭で示したように菅首相の特別顧問を務めた経験があること。
それ程、デミリア氏が菅首相と関係が深いのであれば、官僚を信頼せず、何かと身内で全部事を進めたがる菅首相が会って会談したとしても少しも不思議ではないし、その可能性は高いとみていいだろう。
デミリア氏は、自分が12歳の頃、父に連れられて刑務所に行った体験があり、父に「なぜ、イタリアには死刑はないのか」と尋ね、父から「私たちは他の人を殺すいかなる権利も持っていないのだ、そして死刑は犯罪を犯した人自らが贖罪するために生きることを奪うものなんだ」と説明されたと告白している。デミリア氏が極左テロ組織「赤い旅団」の弁護士を務めたのも、或いは、この少年時代の体験が影響しているかもしれない。
また、デミリア氏は、イタリアの市民運動に端を発する中道政党と左派政党の連合である「オリーブの木」のメンバーでもあり、過去日本で死刑の執行があったとき、即日ローマの日本大使館に抗議行動を行ったこともある。
デミリア氏は、今回の東日本大震災においても、震災翌日にスタッフと秋田入りして、レンタカーで13に到着。連日、津波で壊滅した町々に入っては、家族を失った男性の捜索を手伝ったという。
また、福島第一原発のそばにも足を踏み入れ、立ち入りが規制された原発の周辺で多くの家畜が餓死していること、脱原発運動のうねりと、それを阻む政官業の癒着など、50本にも及ぶ数々のリポートをイタリアの新聞やラジオに送っている。
そんな経緯を持つデミリア氏だけに、市民運動家出身の菅首相とは、さぞかしウマが合うだろう。でなければ、気に入らないと直ぐに怒鳴り散らす菅首相の特別顧問など勤まるわけがない。
4.市民運動家と化した最高権力者
「普通の人以下の宰相」で紹介した島田晴雄・千葉商科大学学長のコメントのように、菅首相が、人から言われて直ぐウンといってしまう、普通の人以下の能力であるなら、デミリア氏が語ったとされる「日本の技術力があれば、脱原発でも電力不足を跳ね返せる」という言葉にも直ぐウンと言った可能性は十分ある。
だけど、だからといってそれだけのことで、エネルギーという国家の根幹に関わる政策をコロッと引っくり返されるなんて堪ったもんじゃない。
市民運動家が市民運動を出来るのも、彼が市民であるからであって、その市民が拠って立つところの国がなくなってしまったら、運動もへったくれもない。
国家は、国民の生命と財産を守る義務があり、首相はその最終責任を負う。だから、まず国民を安んじ、国を正しく導くことが先にあり、自分の味方だとか敵だとかは、二の次、三の次。
政党だって、選挙を通じて時に多数になったり少数になったりして、それで与党・野党に分かれるけれど、その根本は、国民の代表であり、国民意見の代弁者。
だから、野党とて国民の声を体現したものであるし、民主主義において、与党は彼らを尊重し、十分に議論して、汲むべき意見は汲んで、政府の政策に反映させなくちゃいけない。
野党だからといって、そして、意見が違うからといって、敵にしていい訳がない。与党野党の前に、同じ日本国民であることを忘れちゃいけない。
自民党の西田昌司議員によると、6月10日の予算委員会の前にこんなやりとりがあったそうだ。
菅 「西田さん、きびしいご指摘をいただいていますが、一度一緒に食事したいですね。」
西田「(はあ?と思いつつ)総理をお辞めになったら、したいですね。」
菅 「一度、女房と会わせてみたいんです。」
西田 「はあ?どういう意味なんですか?」
菅 「家庭内野党と本当の野党を会わせると、どうなるか見てみたい。」
このやりとりを見る限り、どうも菅首相は、野党というのを単に自分を攻撃する存在、自分に意見する存在としか捉えていないような気がして仕方がない。
もしも、本当にその程度の認識しかないのであれば、議論など成り立つはずもなく、ましてや自分が間違っているのではないかと反省したり、自分の意見を訂正したりすることもなく、ただただ、自分のやりたいことだけをやるに違いない。
事実、菅首相は、かつて雑誌インタビューで「市民派は自分たちが好きなことはやるけれども嫌いなことはやらない」と答えている。
もしも、菅首相が「脱原発」が自分が好きなことの範疇に入っているのであれば、それこそ、市民運動ばりに、自分に反対するものは、みんな敵と見做して、逆に闘志を燃やしている可能性だってある。
先の、島田晴雄・千葉商科大学学長のコメントのように、菅首相が「自分が居なきゃ国が駄目だってくらい信じ切っちゃってる」とするならば、今の菅首相の心境は、もしかしたら、次のようなものかもしれない。
「みんな俺を敵視して引きずり降ろそうとしている。負けてたまるか。絶対「脱原発」してやる。脱原発すれば、日本は救われるし、世界も変わる。歴史に名を残すことができる。こんなことが出来るのは俺しかいない。利権に雁字搦めの他の奴なんかには絶対できない。俺は辞めない・・・。」
・・・まったく迷惑そのものであるとしか言い様が無い。
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自民・石破氏 不信任再提出は8月下旬に 民主党内の同調促す 2011.7.11 19:49
自民党の石破茂政調会長は11日、TBSテレビの番組に出演し、菅内閣不信任決議案の再提出について、平成23年度第2次補正予算案や再生エネルギー特別措置法案などが成立しても菅直人首相が退陣しなければ、8月下旬をめどに「出す」と明言した。
同時に「出すとなったら、今度は民主党の人たちが問われる。とっとと辞めろとか言っているのなら行動で示してくれ」と、民主党議員らの同調を求めた。
内閣不信任案を再提出することについては「今までとまったく違う事態が起きたら出すこともある。論理の世界としてあり得る」との考えを重ねて示した。
首相が「脱原発」を争点に衆院の解散・総選挙を断行するとの見方が広がっていることには「脅かしだろうが、あり得ないことではない。自民党はきちんと受けて立つ態勢を作る」と述べた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110711/stt11071119510002-n1.htm
2011年07月10日 エネルギー政策翻弄 首相自ら政争の具に 10日朝刊1面 迷走原発再稼働(下)
原発の再稼働は認めない。敵は経済産業省だ――。菅直人首相が本格的に動き始めたのは6月29日、料理店3軒をはしごした夜のことだ。夜10時半すぎ、東京・六本木ヒルズのイタリア料理店で「日本の技術力があれば、脱原発でも電力不足を跳ね返せる」と首相に説いたのは、脱原発派のイタリア人。国民投票で脱原発を決めたイタリアの情勢を聞くため、首相と民間ブレーンが計画した会合だった。これに先立つ1時間前には、六本木の焼肉店で、側近の阿久津幸彦内閣府政務官、加藤公一前首相補佐官、国家戦略室スタッフと「埋蔵電力」の話で盛り上がった。企業が非常時に備えて保有する自家発電設備をフル稼働すれば、電力不足は補えるとの理屈だ。2つの会合で、首相は「脱原発路線」に意を強くし、原発再稼働を簡単には認めない意向を固める。だが同じ日、海江田万里経産相は佐賀県で古川康知事に「安全なところは政治が動かす」と九州電力玄海原発の再稼働にゴーサインを出していた。つい10日前に首相は「経産相と思いは同じだ」と発言した。佐賀県へ行った翌日の6月30日、海江田氏が一連の経緯を報告すると、首相は「納得できない。佐賀県には行かない」と答えた。首相自らの心変わりが、閣内混乱の導火線となった。親しい議員や部下たちも「首相は共産党や社民党に親近感を抱いているようだ」「政治家ではなく、市民運動家に戻った」といぶかるほどの「脱原発路線」への前のめり。3軒をはしごした6月29日は閣僚の入れ替えなど小型人事をした2日後にあたる。原発再稼働を認めないことを次なる政権延命の材料にしたとの見方を、周辺でさえ示す。「調べ直せ!」。7月4日、松永和夫経産次官と細野哲弘資源エネルギー庁長官を追い返した。首相と戦略室スタッフは六本木での会合後、電力不足を乗り切る切り札として自家発電に期待し、経産省に調査を指示した。その答えとして持ってきた数字が、期待とはほど遠かったからだ。首相は経産省を敵に見立てる手法をとる。中部電力浜岡原発への停止要請以降、首相が「体制擁護派の経産省と、改革派との戦いだ」「経産省というのは、すさまじい組織だ」と語るのを聞いた関係者は多い。15年前、薬害エイズ問題で厚生省と対決して名をあげた自らの姿が成功体験だ。2005年、郵政民営化を掲げて衆院解散・総選挙を断行した小泉純一郎元首相の例も意識する。
日経にしては珍しく、政治を深堀した特集を組んでいます。
これを読むと、菅首相の一連の言動について全部辻褄が合いますね。
つまり、この御仁は「見えない敵」と独り戦っているんですよ。
なぜそんなアホなことをやっているのか、常人には到底理解不能ですが、本人としては「抵抗勢力」と戦っているオレの姿を国民がきっと支持してくれる、菅ガンバレという熱い応援が必ず貰える、と妄想してるからだと思います。
おそらく彼の脳内では、小泉首相を強くイメージしているんでしょうが、あれだけ罵倒していた小泉氏に対して実は凄く憧れていたわけで、世間でいうところの「ツンデレ」ってやつですか。
しかし、現実ってのは悲しいですね。
「小泉氏は20年来の持論を政権担当以来、4年半にわたって政府・与党内の手続きにかけてきた。わずか10日での首相の心変わりは、閣内の議論さえ経ていない」、と記事にもあるように、菅氏の思いつきは小泉流のバッタもんにすぎないというわけです。
中国の偽ディズニーランドのように、本人は似せているつもりでも誰が見ても全然違うものになっている、アレを観ている感覚です。
それを大の大人が、しかも日本国の首相がやっているのは一体何であるのか、それは現実逃避以外に考えようがないのです。
先日もオツムのネジが吹っ飛んだ人と書きましたが、わが首相はアッチの世界に行ってしまったと見ると、なるほどこういう言動もするのかと胸に落ちてきます。
もとから素地はありましたが、3.11のプレッシャーで精神が崩壊したんじゃないか。
ところが、こうした首相を解任できる規定がどこにもないわけで、我々は明るさや希望を何処に見つければ良いのかという話です。
URL:http://deisui-nikkei.seesaa.net/article/214150118.html
この記事へのコメント
sdi
すみません。余計なお世話でしたね。
almanos
以前も書きましたが頭から空き缶のフタが飛び出した空き管の画を文字通り空き缶に貼り付けたのをゴミ箱に入れたのを首相官邸が埋まる程おくって「これが民意だ」とやったら少しは答えるか
ちび・むぎ・みみ・はな
しかし, 自民党の決断は遅い.
8月は電力事情最悪の時期を過ぎてなるようになった後.
フットワークが軽くないなら野党になった意味がない.
谷垣氏は何やっているのか?
だから自民党の支持率が中々上昇しない.
日比野
sdiさん、こちらこそ分かりにくい題名で失礼しました。m(__)m
題名のつけ方は難しいものですね。
白なまず
神様も一応は聞いてくださるようですが、出来ない物もあるので心すべき事です。
その事に合点がいけば自らの岩戸を開く日も近いでしょう。獣のままでは火星か土星か冥王星(冥界刑務所)行きです。
ひふみ神示 五十黙示録 第07巻 五葉の巻 第八帖
出し切って了ふと味がなくなるぞ、自分の力がかくせぬようでは大仕事は出来んぞ。取り越し苦労、過ぎ越し苦労はやめて下され、地球と言ふ大船に乗って一連託生ぢゃ、現在の仕事が御神業と心得よ、不満をもってはならん、そなたが招いた仕事でないか。この道理判らねば迷信の迷路に入るぞ。
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何によらず不足ありたら、神の前に来て不足申して、心からりと晴らされよ、どんな事でも聞くだけは聞いてやるぞ、不足あると曇り出るぞ、曇り出ると、ミタマ曇るからミタマ苦しくなりて天地曇るから遠慮いらん、この方に不足申せよ、この方 親であるから、不足一応は聞いてやるぞ。気晴らしてカラリとなって天地に働けよ、心の不二晴れるぞ、はじめの岩戸開けるぞ。早のみ込み大怪我の