パチンコ不要論について

 
今日は、パチンコ不要論について考えてみたいと思います。

画像




1.パチンコ産業の電力消費は原発2基分

昨今の電力不足と節電の流れを受けて、パチンコも風当たりが強いようです。

確かに、ネオンの看板、所狭しと並ぶパチンコ台、大音量の店内音楽ともなれば、相当電気を使っているようにみえるのも無理ありません。

実際、どれくらい電力を使っているかといえば、全日本遊技事業協同組合連合会による2009年度調査(有効回答率82.1%)によると、全国では年間81億1204万7826kWh、東電管内では15億1550万7729kwhで、率としてはやはり東電管内が群を抜いて電気を使用しています。

有効回答数が8割程度なので、実際はもう少し使っているのでしょうけれども、東電管内の15億kwhと言えば、福島第一原発の2009年度の年間発電量(稼働率80%)が6基合計(出力1号機46万kw、2~5号機78.4万kw、6号機110万kw)で330億kwh程度ですから、その5%くらいは使っていることになります。1号機の年間発電量は概算で32億kwですから、原発半分くらいですね。全国だと1号機と2号機を足したくらいになりますから、結構バカにならない電気量です。

画像


今や、パチンコ店でも、ネオンや電光掲示板を消し、ホール内の照明も落として、エアコンの設定温度を調節したりして節電には勤めているようですけれども、消費電力の大半はエアコンが占めているようです。2009年度の調査でも、節電対策として何を行っているかの設問に対して、「空調設備のクリーニング」との回答が半数を占めていましたから、やはりそうなのでしょう。

一部には、パチンコ不要論なんかも出ているようですけれども、パチンコ産業は20兆円規模もあるのですから、それを全部潰したら大変です。

石原都知事などは、パチンコは電力の使わない深夜に営業すればよいなどと言っているようですけれども、そんなことをすれば、確実に客が減って、売り上げが落ちますね。

次の図は、公営ギャンブルの市場規模をしめしたものですけれども、競馬や競輪などの公営5競技を全部足して、ようやく5兆円規模です。ですから、パチンコ産業の20兆円というのが如何に突出した市場であるのかが分かります。だから、いきなり規制して全廃なんてやったら、大混乱になるでしょう。それこそ関連企業が次々と連鎖倒産していく可能性もあると思います。

画像


まぁ、個人的には、別にパチンコなど無くても構わないと思っていますし、不健全なパチンコなどない方がよいという意見もあると思いますけれども、そうはいっても、ギャンブルを完全にゼロにするのは現実問題として無理だと思います。

ですから、どうしてもパチンコをなんとかしたいのであれば、規制してどうこうというより、もっと別な方法を考えたほうがよいと思います。

その前に、まず、なぜパチンコが日本でそんなに流行っているのか。

もちろん、パチンコそのものが持っている「ギャンブル性」というものが第一にくることは間違いないことでしょうけれども、それ以外にも、アクセスのし易さがあるというのは、やはり否定できないと思いますね。

競馬場や競輪・競艇場は県にひとつあるかないかですけれども、パチンコは、だいたいどの駅前にも店がありますね。全国でパチンコ店の店舗数は、近年減少傾向にあるとはいえ、平成22年度現在で12479店あります。

12479店といえば、日本最大の店舗数を持つセブンイレブンの13233店(2011年03月時点)に匹敵します。つまりパチンコ店はセブンイレブンと同じくらいあるのですね。ですから、ここまで店舗が多いと、それこそ、コンビニに立ち寄る気軽さでパチンコをすることができてしまいます。

これだけ店舗数に差があると他の公営ギャンブルでは、まず勝負になりません。わざわざ遠くの競輪競馬場に行くよりは、駅前のパチンコのほうが手軽だからです。

だから、市場原理からみれば、パチンコ屋は相当なアドバンテージを持っていると思うのですね。まず店舗の数が全然違うし、競輪・競馬場なんかは、気軽に駅前に作るわけにはいかないですからね。

画像



2.市場を潰さずにパチンコを退場させる方法

とすると、パチンコの絶対優位は動かないかというと、そうでもない。要するに、パチンコ産業を、自由競争の中に置いてやればいいだけだと思います。

つまり、パチンコの優位が市場原理に基づくものであれば、同じく、市場原理によって淘汰してやればいいのです。それにはどうするか。

たとえば、パチンコと同じくらい駅前にあって、アクセスし易い娯楽にゲームセンターなどがあるかと思いますけれども、そこでは、たとえば、スロットゲームだとか、プッシャーゲームだとか、よく専用のメダルを使って遊ぶメダルゲームがありますね。あの専用メダルなんかをパチンコ玉と同じように換金できるようにすればいいと思います。

今のゲームセンターには、パチンコ店にあるような、パチンコ台やスロット台とほとんど同じものが、玉こそ出てきませんがありますし、今の3D技術であれば、それこそ、疑似3Dホログラムを駆使した競馬や競輪ゲームだって作れるはずですね。

ゲームセンターは、全国で8652店(2007年現在)ありますから、セブンイレブンまでとはいかないまでも、ローソンくらいはあるわけです。

ですから、ゲームセンターのメダルを換金できるようにするだけで、パチンコ狂の人は別として、ちょっとパチンコで遊ぼうか、という程度の人は、ゲームセンターにも流れていくと思いますね。

まぁ、風営法上、青少年にギャンブルは問題あるというのでしたから、換金にはタスポみたいに身分証明が要るとか何らかの対策をすればいいと思いますし、今は、カメラで顔を撮って年齢認証する技術もありますから十分可能です。

だから、ゲームセンターも換金できるようになれば、おそらく、パチンコや競輪競馬の代わりをするようになると思いますね。

画像


あとは、ゲームセンターにそんなに客を獲られたら、競輪競馬はどうなるんだ、という話もあるかもしれませんけれども、もう、今のゲームセンターには、野球ゲーム、サッカーゲームなど、リアルなものが沢山あるんですね。それでも、直にサッカーや野球を見にいく人がいるんですから、たとえ、ゲームセンターで換金できるようになっても、そうそう競輪競馬が廃るとは考えにくいですね。

また、電機メーカーにしてみれば、パチンコに製品を納めるのも、ゲームセンターに納めるのも、中身の製品は大して変わりませんから、パチンコ業界からゲーム業界に人が流れていっても特に困ることはありません。

こうしてやれば、パチンコ業界が持っていた20兆円を潰すことなく、その一部を別の業界にシフトさせることができるようになります。

最近、超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」が復興基金として、何やら仙台あたりにカジノを作るかなんとか言っているようですけれども、それをやるくらいなら、ゲームセンターの換金化のほうがよっぽど安上がりですし、カジノのルーレットとか、ブラックジャックとか、そんなのは、十分ゲームセンターで代替できますね。

ですから、パチンコなどを規制するのも結構ですけれども、それよりは自由競争を進めてやることで、潰れるべきは自然と潰れるようにする、自由競争の中で、平和裏にお引き取りいただくようにしたほうがよいと思いますね。

あれもこれも規制して経済を縮小させてしまうよりは、自由を確保しながら、より良いものが生き残ってゆく方向に持っていったほうが、まだ良いのではないかと思います。




画像 ←人気ブログランキングへ

この記事へのコメント

  • 日比野

    ぽんずさん、白なまずさん、あきつしまさん、operaさん、コメントありがとうございます。

    >「世界で断トツの日本のギャンブル産業を、少なくとも世界水準に下げる必要がある」

    確かにそうかもしれませんね。ただ急激な規制は反作用が激しいと思うので、徐々に減らせればいいですね。

    >つまり、他のゲームにも換金を認めるのではなく、もともと「違法性のある」パチンコの換金を全面的に禁止にしてしまえばいいのです。

    ここなんです。全面禁止にするのは当然かつ王道だと思うし、私もこれを考えたのですけれども、おそらくこれは、「淘汰」レベルではなくて、「壊滅」になってしまうと思うんですね。

    パチンコが換金禁止となると、パチンコとスロットしかないゲームセンターと変わらなくなってしまいますから、今のようにお客が入るとも思えず、バタバタと大量にパチンコが潰れると思います。20兆円産業のパチンコが3割売上が落ちるだけでも6兆円消えることなりますから、ちょっと反作用が大きすぎる。

    なので、一旦、パチンコ客の一部をゲームセンターなどの他の業種にシフトさせた上で、徐々に減らしていって、ダメージ回避できないかと思って
    2015年08月10日 15:27
  • opera

    ちょっとだけ追加します。
     パチンコ20兆円産業などと言っても、その内訳のほとんどがパチンコ店で消費される金銭であるのなら、仮に半減してもそれほど問題はないように思います。パチンコで消費されなかったお金のほとんどは、他に回るだけでしょうから(パチンコで浪費するタイプの人が、貯金することは考えにくい)。
     また、もともとパチンコ店の栄枯盛衰は激しいので、パチンコ機器関連産業を除き、倒産や他業種への転換もほとんど問題にならないのではないでしょうか。
     ポイントは、パチンコの禁止とパチンコの換金禁止は意味がまったく違うということです。問題は、パチンコの換金は実質的に賭博罪に該当するにも関わらず、これが事実上黙認されてきたということにあります(実際のパチンコ店では換金は行なっておらず、特定の景品に交換し、それを裏通り等にある換金所に持っていくと現金に交換できることはご存じの通り。明らかな脱法行為です)。
     まぁ、これを可能にしてきた政治的背景についてはあえて触れませんが、公営ギャンブル構想や節電問題と切り離しても、そろそろ清算するべき時期だと思います。
    2015年08月10日 15:27
  • あきつしま

    日本も、台湾や韓国のようにパチンコを違法とし、普通の国になるべき時がきたと思います。

    ただ、管理人様の説かれる「自由に基づいた競争」には、大いに賛同致します。
    2015年08月10日 15:27
  • 白なまず

    博打は無くなる様です。悪の経済サイクルは必要ありません。

    ひふみ神示 第04巻   天つ巻 / (あ○つまき) 第二十帖
     、、、悪はどこにもかくれること出来ん様になるのぞ、ばくち、娼妓(しょうぎ)は無く致すぞ。、、、八月の七日、ひつ九のか三ふで。
    2015年08月10日 15:27
  • ぽんず

    全世界のカジノのスロットやパチンコ、パチスロなどギャンブルゲーム機の設置台数の約6割以上が日本にあることや、パチンコ、パチスロの市場規模は21兆650億円に達することを指摘。「世界で断トツの日本のギャンブル産業を、少なくとも世界水準に下げる必要がある」などと話した。
    http://mainichi.jp/area/kagawa/news/20110627ddlk37040355000c.html

    >換金にはタスポみたいに身分証明が要るとか何らかの対策をすればいいと思いますし、今は、カメラで顔を撮って年齢認証する技術もありますから十分可能です。
    ギャンブルは金融取引と似たようなものだから必要ですね。
    2015年08月10日 15:27
  • A級戦犯を許せた国民性

    東京電力の西沢俊夫社長と清水正孝前社長は30日、株主総会での社長交代や
    福島第1原発事故の現状報告のため、同原発周辺のいわき市など7市町村を訪れ、
    原発事故について謝罪した。これに対し、各首長らは事故の早期収束と的確な補償を強く求めた。

     この日はいわき市のほか、広野、楢葉、富岡、大熊、葛尾、川内の7市町村を訪れた。
    西沢社長は最初にいわき市役所を訪問、渡辺敬夫市長に謝罪した。

     渡辺市長は東電が5月4日に同市に役場機能を置く広野町に謝罪しながら、
    同市に来なかったことに触れ、「なぜいわき市に来ないのか。私の気持ちも整理できない。
    東電の対応は遺憾。憤りを感じている」と不快感をあらわにした。
    さらに、渡辺市長は原発災害の早期収束のほか、適正な補償の実施などを
    盛り込んだ申し入れ書を西沢社長に手渡した。

     また、郡山市のビッグパレットふくしまに災害対策本部を置く富岡町と川内村を
    訪れた際には、両首長が早期帰宅を実現するために土壌除染を行うよう求めた。
    http://www.minyu-net.com/news/news/0701/news5.html

    2015年08月10日 15:27

この記事へのトラックバック