8月27日、民主党代表選が告示された。
事前には7人が立候補を名乗り出ていたけれど、小沢鋭仁氏、樽床氏が出馬を取りやめ、結局、前原氏、馬淵氏、海江田氏、野田氏、鹿野氏の5人が立候補することとなった。
党内最大勢力を誇る小沢グループがどの候補を推すのかが注目されていたけれど、小沢氏は26日の朝から鳩山氏と断続的に会談して、支持候補を調整、中には慎重論があったものの、結局は海江田氏支持で決まった。
26日の夜、小沢氏はグループ議員との会合を開き、海江田氏を伴って現れて、「同志が一致結束し、海江田総理を目指そう」と宣言し、海江田氏も、「今の自分があるのは小沢さんのおかげ…マニフェストがわらじのように、捨てられていることが許せない。未熟だが負けられない。小沢氏と一体となって戦う」と挨拶した。
勿論、小沢グループの中には、海江田氏支持は意外に思った議員もいたようなのだけれど、党員資格停止の小沢氏本人が立候補できない以上、小沢氏の理念を継いでくれる候補者を消去法選ぶと海江田氏しか残らなかったという事情も作用したようだ。中には、「小沢さんが海江田さんと言うなら」という声まで出たそうだ。
海江田氏が挨拶したときには、拍手はまばらで歓声もなかったそうなのだけれど、締めくくりの挨拶で、若手議員が 「今回は海江田首相を目指そう。来年は小沢首相を実現するぞ!」と宣言した途端、万雷の拍手がわき上がり、「ガンバロー」三唱が響いたというから、良くも悪くも、小沢グループは、まだまだ小沢氏のグループであるのだろう。
この"気の利いた"発言をした若手議員が誰なのか分からないけれど、この一言で、参加議員達の結束というか、迷いが吹っ切れたのではないか。
今回の代表選は一回では決まらず、決戦投票になるという見方が有力だけれど、もしも、一回目の投票で、海江田氏が一位になるようなことがあれば、余程「反・小沢」で凝り固まっているか、海江田氏の政策には全く支持できないといった確固たる考えを持つ議員でない限り、勝ち馬に乗りたい心理が働くかもしれず、下手をすれば、決選投票では中間派や、グループに所属しない議員の票が雪崩を打って海江田氏に流れる可能性だってある。
参議院議員の有田芳生氏は26日の深夜ツイッターで、「『小沢はアカンよ』と昨年の代表選挙で菅さんを推した議員が今度は『海江田の推薦人になってくれないか』と昨日、今日。『そんなおこがましい』とお断りした。『海江田?ダメですよ』と言っていた議員たちも今夕には小沢判断で支援にまわった。これが政治というよりも政局だ。勉強になりました!」と呟いているところを見ると、情勢によってフラフラ判断を変える議員が居ることは否定できない。
今回の120名とも言われる小沢グループの会合には94人の議員が集まっている。これは、前原氏が25日の決起集会での参加者が38人、続く26日決起集会では25人に激減していることを考えると大変なアドバンテージであることは間違いないし、前原氏を推す主流派はちょっと苦しくなってきたかもしれない。
というのは、やはり、当初、野田氏を支持していたものの、それでは勝てないとみた主流派が、前原氏を出してくるまでは良かったものの、主流派を前原氏で一本化できず、野田氏も出馬するのが大きく響いているから。
少なくとも、最初の投票では、主流派、中間派、非主流派と票が割れるのに、その主流派の中で、前原氏と野田氏とで票が割れる。今のところ両者とも固めている票は40~50票と言われているけれど、過半数200票には程遠い。両者を一本化して90~100票。これで漸く、小沢グループの推す海江田氏と互角になる数。
だから、決戦投票を考えると、やはり中間派とグループに属さない議員をどれだけ取り込めるかが勝敗を分けることになるのだけれど、各候補の主張の違いは大きく次のとおりだと思われる。
1.復興財源をどうするか。増税か復興債、国債か。
2.国会対策。大連立を目指すか目指さないか。
3.挙党体制を取るかとらないか。小沢氏の党員資格停止解除の可否。
これら3つの側面から各候補の主張をみると、1については、野田氏が増税。それ以外の候補は慎重。2については、前原氏が大連立志向。野田氏、鹿野氏が部分連合重視。海江田氏と馬淵氏が大連立否定派。そして3については、前原氏が小沢氏処分解除反対で、海江田氏が処分解除。
ということで、中間派と目される馬淵氏と鹿野氏の主張は、復興債・部分連合もしくは連立しない・処分解除には中立、とまぁ、どちらにも転べるスタンスではあるといえる。
だから、ただでさえ、中間派の政策がどちらにも転べるスタンスであることに加えて、有田芳生氏が呟いたように、政治ではなく政局で判断する議員がいるとなると、決戦投票のゆくえは、1回目の投票結果が影響してくる可能性がある。
かつて、菅首相は、支持率が落ち込んで菅降ろしの動きがあるたびに、解散総選挙をチラつかせて延命していたけれど、多くの民主党議員が、解散にビビッて引き摺り降ろせなかったことを考えると、政局で判断する議員は少なくないかもしれない。
一回目の投票結果は、意外と重要な意味を持つような気がしている。


菅首相(民主党代表)が26日、退陣を正式に表明し、「ポスト菅」レースの号砲が鳴った。菅政権を支えてきた党内「主流派」「非主流派」「中間派」から5人が入り乱れ、本命不在の混戦模様だ。しかも、党員資格停止処分を受けて投票権がない小沢一郎元代表の意向が選挙戦を大きく左右する異例の展開となっている。
◆「来年は小沢首相」◆
26日夜、都内のホテル。元代表を支持するグループのメンバー約90人の前に、元代表と鳩山前首相が連れて現れたのは、海江田万里経済産業相だった。
「鳩山さんと相談した結果、海江田さんがリーダーとして一番ふさわしいと決めた」
元代表はこう話し、海江田氏を支持するようメンバーらに訴えた。ところが、拍手はまばら。歓声もなく、会場には冷たい空気が漂った。海江田氏があいさつで冗談を飛ばしても、笑い声すら起きなかった。
一番盛り上がったのは、ある若手議員の締めくくりのあいさつだった。
「今回は海江田首相を目指そう。来年は小沢首相を実現するぞ!」
その途端、会場から万雷の拍手がわき上がり、「ガンバロー」三唱が響いた。
元代表と鳩山氏は25日夜の会談で、菅政権で「脱・小沢路線」を主導してきた前原誠司前外相を支持せず、非主流派として対立候補を擁立する方針で一致。鳩山グループに所属する海江田氏と小沢鋭仁元環境相のほか鹿野道彦農相も含む非主流派の一本化や、新たな独自候補の擁立も模索した。
鳩山氏は26日、まず鹿野氏に一本化を打診。鹿野氏が「私は『中間』だから、一本化に協力するのは難しい」と断ると、海江田、小沢両氏を自らの事務所に呼んだ。両氏とも、鳩山グループや小沢グループの支援がなければ代表選を戦うことすら難しい。鳩山氏の一本化の打診に、2人は「身柄をお預けします」と応じざるを得なかった。
党内最大の小沢グループが支援することになったとはいえ、海江田氏が抜きんでて有利になったとは言えない。海江田氏は、原子力政策を巡って菅首相と対立して国会で涙を見せるなど、首相としての適格性を疑問視する声があるためだ。元代表らは、1回目の投票で誰も過半数を取れない場合を想定し、「何とか2位に入り、決選投票で2位・3位連合で勝つ戦略ではないか」との見方が出ている。
実は、一本化戦略は小沢元代表が陣頭指揮を取っていた。鳩山氏周辺は「鳩山氏はいろいろ言うが、元代表の決断を待っているだけだった」と明かす。
(2011年8月27日08時24分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110827-OYT1T00125.htm

民主党代表選は27日告示され、立候補を届け出た5人の候補者は支持拡大へ活動を本格化させた。基礎票では、党内最大勢力を持つ小沢一郎元代表らの支援を受けた海江田万里経済産業相(62)が一歩リードしているが、各陣営幹部などへの取材によると、態度未定の議員がなお160人程度に上る。どの候補も第1回投票で過半数を得られず、上位2人による決選投票に持ち込まれるとの見方が強まっている。
立候補したのは届け出順に、前原誠司前外相(49)、馬淵澄夫前国土交通相(51)、海江田氏、野田佳彦財務相(54)、鹿野道彦農林水産相(69)の5人。代表選は29日、党員資格停止中の9人を除く党所属国会議員398人(衆院292人、参院106人)の投票で争われる。過半数は200。
菅政権を支えた主流派のうち、前原氏の陣営は「グループを中心に約50人を固めた」と話す。同氏は27日の共同記者会見で、小沢氏の党員資格停止処分解除に反対を明言。「脱小沢」の姿勢を再び鮮明にした。ただ、外国人からの新たな献金が判明し、「中間派の取り込みにはマイナス」との見方が出ている。
また野田氏は自身のグループ(25人)と菅直人首相のグループの一部などで「40人を確保した」(陣営幹部)とし、若手への浸透を課題に挙げる。
これに対し、「挙党態勢の構築」を掲げる海江田氏は、小沢氏と鳩山由紀夫前首相の各グループを中心に100人程度を確保したとしている。しかし、海江田氏に対しては「優柔不断」との不満もあり、小沢氏系で約10人、鳩山氏系で約20人が他候補の支持に回ったとの見方も出ている。
中間派の鹿野氏は25人、馬淵氏は20人の推薦人を足場に、さらなる上積みを目指す。
候補者が乱立し本命不在の中、若手を中心に投票日ぎりぎりまで情勢を見極めようとする動きが目立つ。出馬に意欲を示しながら断念した樽床伸二元国対委員長のグループ(20人)のほか、旧民社党系(30人)、旧社会党系(20人)はいずれも態度未定で、28日中に投票行動を決めたい考えだ。羽田孜元首相のグループ(20人)は既に自主投票を決めている。(2011/08/27-22:50
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011082700358
この記事へのコメント
almanos
嵐注意報
くっくりさんより再度拡散要請です。