
「本当に自分自身がその任(代表)にたえうるか、悩み抜いたが決意した。挙党一致でみんなが協力してこの国難を乗り越えていきたい。その先頭に立たせていただきたい」前原誠司
8月23日、再生エネルギー特別措置法案が、衆院本会議で可決された。参院の審議を経て、26日には成立の見通しとなった。公債発行特例法案の方は既に参院で審議中で24日の参院本会議で成立する予定。
従って、特に問題ない限り26日には菅首相退陣3条件が整うことはほぼ確実。
23日の閣僚懇談会で菅首相は、「3条件が整ったら辞任する。これまでお世話になりました。30日には新しい首相が決まるだろう」と延べ、30日に総辞職することになると発言したと、与謝野経済財政担当相が明かしているから、流石に今度という今度は辞任するものと思われる。
筆者は、菅首相が6月2日の民主党代議士会で"偽装"退陣表明を行った翌日にエントリーした「お情け宰相」の記事の中で、「これで事実上菅政権は詰んだ。あとは敗戦処理のイニングを残すのみで、8月くらいには退陣することになるのではないか」と予測していたのだけれど、なんとかその通りになりそうで、正直ほっとしている。
これで、ようやく名実共に民主党代表選に衆目が集まることになるのだけれど、代表選の日程も29日投開票で纏まった。
これまでも代表選の各候補は自分への支持を巡って、激しい駆け引きを行なっていたのだけれど、ここへきて遂に前原氏が代表選への出馬を表明した。
元々、前原氏は、今回の代表選には出馬する積もりはなく、次の次の代表選が大事だとして、周辺に「今回は静観する」と語っていた。
そのため、今回は野田氏を支援して、来年秋の代表選に出馬する腹積もりでいたらしい。確かに、野田氏に代表になってもらって、自公と大連立を組むことができれば、なんとか1年で、菅政権の後始末と震災復興の目処を立てることは出来たかもしれない。
だけど、肝心の野田氏の増税路線について党内の反対が強いことに加え、自公も大連立に乗り気でない状況をみると、次の政権も早々に退陣もしくは総選挙に追い込まれるという観測から、前原グループ内から前原氏の出馬を望む声が高まった事情があるようだ。
もしも、前原氏が正式出馬となると、少なくとも、主流派は勿論、中間派も前原氏に流れることも十分考えられる。前原氏以外の候補者となると、世論に対する知名度、人気どちらも前原氏に大きく差をつけられているから、代表選は前原氏が中心になる可能性が高い。
野田氏は前原氏の出馬に関わらず、自身は出馬するようだけれど、はっきり言って、前原氏が相手では苦しいだろう。
ということで、代表選は1回目の投票では誰も過半数を獲得できず、2回目以降の決選投票に持ち込まれ、結局は民主党主流派と非主流派の一騎打ちになるのではないかと思う。
主流派の候補はおそらく前原氏で、非主流派は誰になるか分からないけれど、順当にいけば、2位3位連合候補になるだろう。
前原氏が出馬となると、途端に苦しくなるのが中間派の候補。前原氏が相手では、まず勝てないだろうから、後のことを計算する候補だっているだろう。
負けを想定した場合は、勝ち馬に乗る方法を考えるし、一か八かで勝負に出るなら、なりふり構わず支持を集めに動かざるを得ない。
前者であれば、前原氏と、小沢氏が推す候補の勝つと思う方につくことになるし、後者であれば、やっぱり大票田の小沢グループの票をアテにして小沢詣でをすることになる。
23日になって、馬淵氏は、これまで小沢氏の党員資格停止処分の見直しを示唆した自身の発言について「無罪になればどうするか、ということだ」と軌道修正しているけれど、もしかしたら、馬渕氏は主流派候補(おそらく前原氏)が勝つと見た上での軌道修正かもしれない。
その一方、前原氏に出馬されると、ほぼ自分の勝ちの目が無くなる野田氏は、23日の閣議後の会見で「新しい体制ができた時に関係者の説明を聞いて、新しい体制で判断することだ」と、これまで「判決の結果を踏まえての判断」としていたところから、一歩見直し側に踏み込んだ発言をしている。これはもう小沢グループの支持を得たいが故の発言であることはみえみえではあるけれど、前原グループの支援が受けられないとなった以上、なりふり構わず票を取りにきたのだろう。
逆に言えば、各候補の立ち位置と、小沢氏に対する距離のとり方を見れば、今の候補の状況を考えがある程度見えるともいえ、分かり易いといえば分かり易い。
さて、出馬すれば、一躍主役に躍り出る前原氏とて首相になってしまった後は茨の道。菅政権の後始末から何からやらなければならないことが山積してる。これは「次期首相が背負う重荷」のエントリーで述べたとおり。
これまでの前原氏の閣僚としての実績を見ると、やり遂げたというよりは、途中で腰砕けになったという印象が強い。八ッ場ダム建設問題でも、尖閣沖衝突事件でも、最初は格好良かったけれど、後でどんどんトーンダウンしていった。
だから、もし代表選に勝利したとしても、唯でさえ大変なこの時期に首相の職責が務まるのかどうかは疑問が残る。
もし、前原首相でコケてしまったら、民主党はもう後がない。任期満了まで引っ張っても、次の総選挙に立てる顔がなくなってしまう。(小沢氏が選挙の顔になるかどうかは別の話。)
逆に小沢氏から見れば、わざと前原氏を推して首相に仕立て、"位打ち"的にコケさせれば、黙ってても首相の座が転がり込んでくるとも言えなくも無いけれど、ただその時には国民から総スカンを食らって、今以上に民主党はメタメタになっている可能性が高いから、ノーリスクではないと思われる。
あとは、ウルトラC的なことがあるとすれば、前原氏と小沢氏が手打ちをして、小沢氏が前原氏を推す代わりに、小沢氏の党員資格停止解除と小沢氏を幹事長にした上で、前原首相が誕生して、支持率が急回復したことを見て即座に解散総選挙に打って出るとか。
ただこれは、民主党の主流派である菅氏、仙谷氏を裏切って敵に回すも等しい行為だから、こんな芸当が前原氏に出来るのかどうか。万が一やったとしても、それは前原氏の見かけのイメージを大きく既存するリスクを伴う。
むしろ、前原氏にとっては、僅差で敗れてしまう結果となった方が、返って良いのかもしれない。だけど、来年秋の代表選までに小沢氏が党員資格を回復して復権してしまえば、小沢氏との対決は避けられない。
前原氏は親しいグループ幹部に「引くも地獄、進むも地獄だ」と漏らしたそうだけれど、全くそのとおり。泥沼の代表選になるかもしれない。


菅直人首相が退陣条件の一つとした再生エネルギー特別措置法案は23日午後の衆院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数により可決された。直ちに参院に送付され、委員会審議を経て26日に成立する見通しだ。3党は子ども手当を10月から半年間支給するための特別措置法案も可決を目指す方向だが、自民党には先送り論もある。
残る退陣条件の公債発行特例法案は24日の参院本会議で成立する運び。首相は退陣条件が26日にすべて整った後、退陣を正式表明する予定。
再生エネルギー法案は、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電力買い取りを電力会社に義務付ける制度の導入が柱。
(共同)
URL:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011082301000443.html

菅直人首相は23日午前の閣僚懇談会で、退陣条件に挙げた公債発行特例法案、再生エネルギー特別措置法案が近く成立することを踏まえ「3条件が整ったら辞任する。これまでお世話になりました。30日には新しい首相が決まるだろう」と述べた。
同時に「たぶん30日に内閣総辞職することになる。各閣僚は残務や引き継ぎに全力を挙げてほしい」と求めた。(共同)
[2011年8月23日10時21分]
URL:http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20110823-824114.html

前原誠司前外相(49)は23日夕、国会内で開かれた自らのグループの会合で民主党代表選への立候補を正式に表明した。
前原氏は「本当に自分自身がその任(代表)にたえうるか、悩み抜いたが決意した。挙党一致でみんなが協力してこの国難を乗り越えていきたい。その先頭に立たせていただきたい」と決意を述べた。
URL:http://news.nifty.com/cs/domestic/governmentdetail/yomiuri-20110823-00775/1.htm

民主党代表選への立候補を目指す馬淵澄夫前国土交通相(51)は23日朝、TBSの番組に出演し、小沢一郎元代表の党員資格停止処分の見直しを示唆した自身の発言について「(裁判で)無罪になればどうするか、ということだ」と軌道修正した。20日に「新たな事実が出れば、新代表はそれをもって判断してもいい」と前向きな考えを示していたが、小沢元代表の判決が確定するまで見直すべきではないとの姿勢に転じた。
これに対し、野田佳彦財務相(54)は23日午前の閣議後会見で「新しい体制ができた時に関係者の説明を聞いて、新しい体制で判断することだ」と述べ、見直しに柔軟な姿勢を示した。菅直人首相に近い江田五月法相は会見で「政党のルールに従って決めているので、代表の裁量であれこれ動かせるものではない」と見直しに否定的な考えを表明した。
現在の民主党執行部は政治資金規正法違反で強制起訴された小沢元代表に対し、判決が確定するまで党員資格を停止する処分を科している。無罪確定を待つなら処分を見直す必要はない。【高橋恵子】
毎日新聞 2011年8月23日 東京夕刊
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110823dde001010025000c.html
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