小沢詣でと貧乏籤

 
 「世界経済が大変な状況になっているのを分かって手を挙げているのか。それを乗り越える覚悟はあるのかなあ…」
小沢一郎

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候補乱立の様相を呈してきた民主党代表選。その中で、小沢氏の党員資格停止処分を解除するかどうかが論議を呼んでいる。

既に候補者の多くが、小沢氏の党員資格停止解除に前向きな姿勢を示している。ざっと次のとおり。
前原誠司前外相 現執行部の判断を尊重すべきだ。(21日、京都市内で記者団に)
樽床伸二元国対委員長 代表選の争点にすべきではない。みんなが力を合わせるにはどうするか、新体制の中で考えるべきだ。(20日、大阪市内で記者団に)
馬淵澄夫前国土交通相 新たな事実や新たな事象によって見直すのは一般論としてあってもいい。(21日、テレビ番組で)(2011/08/21-21:51)
海江田万里経済産業相 民主党のあらゆる力を結集すべきだ。(19日、記者会見で)
野田佳彦財務相 経緯などを踏まえながら対応したい。(18日、講演で)
鹿野道彦農林水産相 菅内閣の一員という立場だから(回答は)控える。(19日、記者会見で)
小沢鋭仁元環境相 処分はおかしい、厳し過ぎる。(21日、テレビ番組で)

出馬意思を示していない前原氏を含んだ7候補者の中で明確に小沢氏の党員資格停止処分の解除を言っているのは、前原氏くらいで、野田氏、鹿野氏は回答を保留、樽床氏、海江田氏は処分見直しを示唆、馬淵氏、小沢鋭仁氏は解除に前向きの発言をしている。

小沢氏にすり寄るかような発言をするのは、無論、120人とも言われる小沢グループの支援を得たいという思惑であるのは誰の目にも見え見えなのだけれど、代表選で勝つためには大票田の支援があるのとないのとでは大違い。ある意味当然の行動。

筆者はこれまで、民主党代表選では小沢鳩山グループの動向が鍵を握るといっていたけれど、候補者の小沢氏への擦り寄りは、それを証明しているともいえる。



小沢氏自身はというと、お盆辺りに、藤井元財務相に代表選への出馬を打診して断られていたことが分かった。藤井氏といえば、小沢自由党出身で元々小沢氏と近かったのだけど、民事合併後、次第に距離が離れていって、今では岡田幹事長や野田財務相などの民主党主流派の後見人。

その藤井氏を小沢氏が擁立すれば、主流派は音を立てて崩れていっただろう。だけどこれは無くなった。

そこで小沢氏は、複数の候補を支援して、代表選の1回目の投票で2位となった候補に3位以下の支援候補の票を集中させる、所謂「2、3位連合」で勝負を掛けるようだ。

なぜかというと、民主党主流派80名、非主流派160名、中間派50名、その他100名の議員勢力を見た場合、一回目の投票で、民主党主流派が過半数を獲得できる保証はなく、上位2人が争う決選投票が行われる可能性があるから。

もしも、民主党主流派が1回目の投票で、代表の座を射止めようとしたら、少なくとも、主流派の候補を一本化して、更に中間派はその他を取り込んでいかなければならないのだけど、ここにきて、主流派の候補者である野田氏の雲行きが俄かに怪しくなってきた。

というのも、野田氏は17日に都内で前原氏と会談して、代表選での支援を要請していたのだけれど、20日になって2人が再会談した際に、前原氏は、自身を支持するグループ議員に「前原氏の出馬」を求める声が強いことを理由にグループとして野田氏を支援するのは難しいと答えている。

元々、野田氏は自分のグループは20名しかおらず、菅グループの20名の支援を貰っても40人。そこへ頼みの綱の前原グループの40人の支援が受けられないとなると、相当苦しくなる。1回目の投票で決着がつく見込みは低くなる。

そこへいくと、小沢氏の「2、3位連合」戦略のほうはまだ余裕があって、主流派以外の候補をそれぞれ票を割り振る形で適当に支援して唾をつけておけば、主流派以外であれば誰が代表になっても影響力を誇示できる。

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むしろ、小沢氏にとっては、主流派が前原氏に一本化してくるほうが嫌ではないかと思う。共同通信が20、21両日に実施した全国電話世論調査では、後継首相となる次期民主党代表に「誰がふさわしいか」で、前原誠司氏は28.0%でダントツで一位となっているし、代表経験のある前原氏は他の候補と比べても、一段上の扱いになる。

ただ、今の時期に首相になることは、誰にとっても大変で、菅政権の後始末に、外交関係特に、日米関係の修復をしなければならない上に経済の立て直しと震災復興と課題は山積み。

更に、来年秋までに、小沢氏が無罪判決を勝ち取って、党員資格が復活すれば、来年秋の代表選に小沢氏自身が出馬しないとも限らない。

その時に小沢氏に勝てるのかどうか。

もし、来年秋に小沢氏が代表戦に出馬した場合、それに勝つためには、先に上げた、菅政権の後始末を始めとする目の前の課題を解決して目にもの見せないといけない。それも来年秋までの1年の間に。

もし、次期首相が、菅政権のように、何ひとつまともなことが出来なかったとしたら、今度こそ小沢首相の声が高まることはほぼ確実。

だから、1年で今の問題解決できるだけの政治手腕がない限り、やはり来年秋の代表選までの「中継ぎ的」首相になる可能性は極めて高い。

8月12日の時点で、前原氏は周囲に「首相と閣僚では仕事の大変さが違う。私には能力も覚悟もない」と話したとされているけれど、確かに、今の時期に首相を引き受けるのは、その仕事の大変さも要求される能力も覚悟も桁違いのものになると思われる。

鳩山・菅と2代続けて失政を続けた手前、国民の目線もより一層厳しくなっている。仏の顔も3度まで。国民の我慢は3度もあるか分からない。

次の首相が引くのは"当たりくじ"なのか、それとも"貧乏くじ"なのか。

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画像猫もしゃくしも小沢詣で 党員資格停止処分解除まで飛び出す 2011.8.19 23:34

 民主党代表選への立候補予定者の多くが小沢一郎元代表を持ち上げ、党員資格停止処分の解除まで口にする異様な事態が起きている。狙いは100人以上の勢力を誇る小沢グループの票だ。勝敗のカギを握るため今や猫もしゃくしも「小沢詣で」に躍起になっている。(坂井広志)

 19日午前の記者会見で出馬の意向を表明した海江田万里経済産業相は同日午後、衆院議員会館の小沢氏の事務所を訪れた。

 「代表選に立候補するのでよろしくお願いします」

 海江田氏は緊張した面持ちで小沢氏に頭を下げた。会談後もこわばった表情を緩めることはなかった。会見では小沢氏の党員資格停止処分の解除について問われると「民主党の持っているあらゆる力を結集すべきだ」と見直しを示唆した。

 小沢事務所には同じく立候補に意欲を示す小沢鋭仁元環境相も訪れたが、小沢一郎氏はどちらにも「頑張りなさい」と言うだけで、支援の言質を与えることはしなかった。出馬に前向きになってきた鹿野道彦農水相も小沢氏との面会を要請し、週明けにも会談することになった。馬淵澄夫前国土交通相も記者団に挙党態勢の必要性を訴えた。

 これまで小沢氏と距離を置いてきた野田佳彦財務相も小沢氏への配慮という意味では例外ではない。

 「小沢先生は依然として政局の中心にいる。希有(けう)な存在であり、政治力量のすごい方だ」

 野田氏は18日の千葉市内での講演で小沢氏を持ち上げた。党員資格停止の解除も示唆した。最近はしきりと自民、公明両党との大連立を主張する野田氏だが、19日の会見では「与野党が向き合うときに与党がしっかりまとまるのは必須条件だ」と述べた。最近は大連立に慎重姿勢を示している小沢氏に配慮したようだ。

 菅政権中枢にいた主流派には小沢氏への警戒感は強く残る。それでも候補らが小沢氏にすり寄ろうとするのは、6月2日の内閣不信任案採決の前日、71人もの衆院議員を集めた小沢氏の「数の力」を見せつけられたことが大きい。

 小沢氏は候補者がどれだけ頭(こうべ)を垂れるかを競わせることで、代表選後の幹事長人事などで主導権を握ろうとしているものとみられる。もっとも、乱立気味でどの候補も決め手を欠き、もの足りないとも映っているようだ。19日には周囲にこうもらした。

 「世界経済が大変な状況になっているのを分かって手を挙げているのか。それを乗り越える覚悟はあるのかなあ…」

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110819/stt11081923350012-n1.htm



画像民主党代表選:小沢元代表「2、3位連合」画策 藤井裕久氏擁立失敗、奇策断たれ転換

 菅直人首相の後継を選ぶ民主党代表選へ向け、小沢一郎元代表が今月中旬、藤井裕久元財務相(79)に出馬を打診し固辞されていたことが分かった。藤井氏は小沢元代表と長く行動をともにしてきたが、今は疎遠な関係にあり、自前候補を持たない小沢元代表の苦衷もにじむ。小沢元代表は独自候補の擁立を断念。複数の候補を支援し、代表選の1回目の投票で2位となった候補に3位以下の支援候補の票を集中させる「2、3位連合」を模索する方針を固めた。【須藤孝、朝日弘行】

 「自前候補がいない以上、『敵』だけ決めておけば(支援候補は)だれでもいい。藤井先生に望みを残していたが、もう2、3位連合にかじを切った」

 こう話す元代表周辺によると、藤井氏に出馬を打診したのはお盆前後。元代表自ら電話で出馬を求めた。

 藤井氏は93年に元代表とともに自民党を離党した元側近だが、民主党と自由党の合併後、次第に疎遠となり、今は岡田克也幹事長や野田佳彦財務相ら主流派の後見人役を務める。そんな藤井氏の擁立に動いた元代表の狙いは、岡田氏ら主流派からの権力奪還だ。

 今回の代表選で岡田氏は野田氏を支援する構え。主流派内には前原誠司前外相を推す動きもあるが、いずれが出ても元代表にとっては「敵」となる。藤井氏擁立の奇策によって主流派の結束を崩し、次期政権の主導権を握ろうと狙ったようだ。

 元代表が17日に「経験と知識がある人がいい」と語った念頭には藤井氏への期待もあったとみられる。「藤井氏の経済理論は第1が景気、第2が財政健全化。マニフェスト重視でも小沢先生と一致する。隠し玉だった」(周辺)が、藤井氏は誘いに乗らなかった。

 独自候補の擁立断念により、元代表に残された戦法が2、3位連合だ。小沢グループと鳩山由紀夫前首相のグループを合わせれば100人を大きく上回る。主流派の候補が最初の投票で1位になっても当選に必要な過半数の確保は微妙。上位2人が争う決選投票で小鳩陣営の票を一方に集中させる作戦だ。

 小沢元代表が最初から特定の候補を支援すれば、「非小沢」対「親小沢」の対立構図を嫌う中間派の票が離れるジレンマもある。鹿野道彦農相の擁立を目指す議員は「小鳩の100票は喉から手が出るほど欲しい。でも今、こちらに乗られると、色がついて広がりがなくなる」と元代表との距離感に悩む。

 2、3位連合なら、支援候補を絞らずにすむうえに「推薦人をばらまくことで『敵』以外の候補には小沢先生に対する恩義ができる仕組み」(周辺)にもなる。露骨な「勝ち馬戦術」の効果はすでに表れている。小鳩陣営の支援を期待する海江田万里経済産業相、馬淵澄夫前国土交通相、小沢鋭仁元環境相らが相次いで元代表の党員資格停止処分の見直しに言及した。

 候補が乱立するほど小鳩側に有利な構図だ。出馬を固辞した藤井氏は20日、TBSの「時事放談」の収録で「自民党(政権)の最後の時に(総裁選に)5人出たことを『お祭り騒ぎなんかやる時じゃない』と民主党は批判した。与党は絶対にこういうことはやってはいけない」とけん制した。

 一方、野田氏は20日、国会内で鳩山氏と会談し、東日本大震災の復興増税について「経済状況やタイミングをみて判断したい」と来年度からの実施にこだわらない考えを伝えた。「増税路線」の批判を払拭(ふっしょく)しようと躍起だ。それでも主流派内には、野田氏では中間派の支持を得られないとの危機感が広がり、出馬に慎重だった前原氏への待望論も高まる。

 同日、仙谷由人代表代行が前原、岡田両氏とそれぞれ会談するなど主流派内の調整も加速。これに対し鳩山氏は小沢元代表と会談して連携を確認し、双方が臨戦態勢に入った。

毎日新聞 2011年8月21日 東京朝刊

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110821ddm001010135000c.html



画像「グループでの支持できない」 前原氏、野田氏に支援断る 2011.8.21 21:11

 民主党代表選で、前原誠司前外相が、既に出馬の意向を固めている野田佳彦財務相に対し、前原グループとしてまとまって野田氏を支持するのは困難と伝えていたことが21日、分かった。

 野田氏は17日に都内で前原氏と会談し、代表選での支援を要請した。20日に2人が再会談した際、前原氏は、自身を支持するグループ議員に「前原氏の出馬」を求める声が強いことを説明し、グループとしてまとまって野田氏を支援するのが難しいと説明したという

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110821/stt11082121120008-n1.htm



画像次期首相は「前原氏」トップ 共同通信が世論調査 2011.8.21 17:37

 共同通信が20、21両日に実施した全国電話世論調査で、後継首相となる次期民主党代表に「誰がふさわしいか」で、前原誠司前外相が28.0%でトップとなった。

 2位の枝野幸男官房長官11.0%、3位の岡田克也幹事長10.9%を大きく引き離した。

 菅内閣の支持率は15.8%で、7月の前回調査17.1%をさらに下回り、発足以来最低を更新した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110821/stt11082117390006-n1.htm

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 世界経済が大変な状況になっているのを分かって
    > 手を挙げているのか。それを乗り越える覚悟は
    > あるのかなあ…」

    と言われてもねー.
    貴方は何もしなかったじゃないかねー.
    御体からして口ばかり.

    ところで, 前原, 出馬の理由を問われて,
    野田氏の増税路線は人気がない.

    嘘付党でも現実を前に目が醒めてきたことは
    慶びとしたい.
    2015年08月10日 15:27

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