粘土でセシウム除染

 
農林水産省は福島県と共同で、汚染された農地から放射性物質を取り除く技術の実証実験が進んでいる。

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実験は飯舘村で先行実施して、計画的避難区域と緊急時避難準備区域内の市町村に計3ヘクタールの実験用農地を確保して進めていて、一部についてぼつぼつ報告があがってきている。

農林水産省によると、除染の手法として大きく3つを想定していて、それは次のとおり。
1.表土剥離など物理的手法
2.吸着剤の使用など化学的手法
3.植物栽培など生物学的手法

1の物理的手法は、トラクターによる芝のはぎ取りや表土はく離、はぎ取りの際の表面固化剤使用など、放射性物質が付着・沈殿した土壌の土木的な処理を基本とするもの。ただし、剥離した大量の表土の処理をどうするかという課題が残されている。

2の化学的手法は、ゼオライト、バーミキュライト、プロシアンブルーなど放射性物質を吸着する鉱物・薬剤により除染を行うもので、放射性物質を含んだ土壌を洗浄したあと、排水路などに水ごと放射性物質を流し、排水路や溜池に放射性物質の吸着物質を沈めてそれらを取り除く方法。

3の生物学的手法は、ナタネ、ヒマワリ、アマランサスなどの放射性物質を吸収する植物を栽培するという、いわゆるファイトレメディエーションによる除染。勿論、放射性物質を吸収した植物自身が放射性植物になっているから、それらの処理が別途必要になる。

いずれの方法も、放射性物質を土壌や水から分離して取り出すやり方であって、別に、元素を核変換するといった、トンデモ系な方法ではない分、現実的ではあるのだけれど、分離した放射性物質の処理をどうするかはやっぱり考えないといけない。

それでも、土壌を除染することは必要だし、農作物の汚染を減らすためには、絶対やらなければならないこと。

その中でも、表土剥離をする方法については少しずつ効果が挙がっているようだ。



8月19日には、飯館村で水田に降った放射性セシウムを、表土ごと土壌固化剤で固めてから剥ぎ取る実証試験が行なわれた。

これは、セシウムが粘土粒子とよく結びつく性質を利用したもので、特に粘土中のイライトと呼ばれる雲母に似た鉱物がセシウムをよく取り込んで離さないと報告されていて、放射性セシウムは、ヨウ素131などと比べて、土壌中の浅い部分に溜まることも知られている。

水田は表土に粒子の細かい粘土などが多く、表層から数センチの範囲に多く集積しているとみられることから、表土を剥ぎやすいよう固化剤で固めてから除去する方法を試みている。

使用する固化剤はマグネシウム系の資材で、弱アルカリ性のため農地にまいても問題ないという。固化剤を水と混ぜ、ノズルで表土に吹き付ければ7~10日くらいで、"白いかさぶた”状に固まるので、固めたあと表土を剥がす。

実際の作業は、20日に固化剤散布して、30日に表土を剥がす予定なのだけれど、試験水田の深さ15センチまでの土壌のセシウム濃度は約1万2000ベクレル。ただし、深さ2.5センチまでの表土が6万5900ベクレルあるのに対して、2・5~5センチの土壌では1330ベクレルと大きく減ることから、表土を剥がすことで線量がぐっと減るのではないかと期待されている。

また、同時に今回の試験では、24日に隣接水田を水深10センチにまで調整て表層を浅く5センチほど代かきした後、その濁水を試験田内に設けた沈殿槽にポンプで送って、セシウムを除去、固形土壌は乾燥させて持ち出す実験も併せて行うという。

こちらの方法は、どちらかと土を剥ぎ取るというよりは、土を洗浄している面が強いと思うのだけれど、土を洗浄して除染する試みも実証実験が行われている。

たとえば、福島市は、放射能対策アドバイザーとして東北大学の石井慶造教授を迎え、8月4~5日に、福島市の渡利七社宮児童遊園で表土の洗浄実験が行なわれた。

これもやはり、セシウムが粘土に吸着しやすい性質を利用したもので、汚染土を水で洗ってかき混ぜると、セシウムを吸着した粘土を含んだ水が上澄みになり、それを取り出して放置すると今度は粘土が沈殿する。この粘土にはセシウムが含まれているので、これを取り出すことで、放射性物質とそれ以外を分離する仕組み。

実際の実証実験では、地表約2センチの土をはぎ取り、土木用ミキサーでかき混ぜてやることで、セシウムを含んだ粘土とそれ以外の土と水に分離できた。

その結果、地上1センチの放射線量は3.0uSv/hから0.05uSv/hと、実に60分の1にまで線量が減ったそうだ。

粘土は当面、コンクリートの柱に詰め地中で保管する予定だけれど、残りの土は元の場所に戻すことができるので、表土を丸々剥がして、新しい土に入れ替える方式と比べて費用が安く済むため、福島市はこの方法を導入する方針のようだ。

今回の実験でも洗浄した土の半分以上が再利用できたというから、他の場所の除染にも大きな力を発揮するだろう。

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画像水田でセシウム除去実験 福島・飯舘村で農工研 2011.8.20 09:31

 水田の土に残った放射性セシウムを除去するため、独立行政法人「農業・食品産業技術総合研究機構」の農村工学研究所(農工研、茨城県つくば市)は20日、水田に土壌固化剤をまいて表土をはぎ取る実証実験を福島県飯舘村で始めた。

 農工研は、粘土質と結合すると水に溶けにくくなるセシウムの性質に着目。

 実証実験ではまず、土壌に悪影響のない固化剤を水に混ぜて散布する。約1週間で水分が蒸発すると、放射性セシウムを含む土が表面から数センチの厚さで白いかさぶたのように固まる。それを農機ではがすと、土壌の放射線濃度が下がる仕組み。

 計画的避難区域に指定されている飯舘村は、全域でコメの作付けが禁止されている。

URL:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110820/dst11082009320006-n1.htm



画像セシウム除去、粘土が効果

放射性物質を取り除く新手法の実証実験を行う関係者(4日) 福島市は5日、比較的高い放射線量が測定されている地区で、粘土に吸着する性質を利用して放射性セシウムを除去する実証実験を行った結果、地上1センチの放射線量が毎時3・0マイクロ・シーベルトから同0・05マイクロ・シーベルトに減少したことを明らかにした。

 重機を使って深さ5センチまでの土を入れ替える従来の方法と比べ費用が安いため、市は導入を検討する方針だ。

 実証実験は、新手法を開発した東北大の石井慶造教授(放射線工学)が、渡利(わたり)地区の公園で4、5日の両日実施した。

 公園内の草を刈り取り、深さ約2センチの土砂をスコップで採取。小石を取り除き土砂と水をミキサーでかき混ぜたところ、セシウムを含んだ粘土と、それ以外の土、水に分離できた。粘土は当面、コンクリートの柱に詰め地中で保管する。残りの土は元の場所に戻した。石井教授は「この方法は、街中の公園や自宅の庭などスペースが小さい場所に効果的だ」と話していた。

(2011年8月6日 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/eq2011/news/etc/20110806-OYT8T00608.htm?from=tw

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    土壌剥ぎとりなどは放射性物質が表面に留まって
    いる間に行なうのが本来. 嘘付党の党内抗争や
    ヒトデナシの延命作戦のトバッチリを受けている.

    これからだと, 秋台風の降雨や冬/春の降雪/融雪
    による希薄化の方が進むのではないかと思う.
    降水を全部貯める訳には行かないのだから.
    そうなると, 野菜などは問題があるかも知れないが,
    穀物だとセシウムの影響は出ないのではないか.
    作物毎に土壌放射能濃度との関連の研究が必要.
    多分, 既に始まっているだろうから, 来年くらい
    には恒久的な対策を考えることができると思う.
    だから, 今年度の農家への補償が重要になる.
    嘘付党は何もやっていないのではないか.

    本当にマルキストと言うのは困った連中だ.
    2015年08月10日 15:27

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