民主党代表選と野田氏

 
8月17日、民主党の役員会で、菅首相の後継を選ぶ党の代表選挙について、今月28日から30日の間に行う方向で菅首相と岡田幹事長との間で調整を一任することを決めた。

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岡田幹事長は、国会の会期中に総理大臣指名選挙まで行えるようにしておきたいとの意向を示しているから、菅首相と調整がつけば、30日までに新代表選出、31日の会期末に国会での首班指名と、菅政権が8月を持って終わることになる。

まぁ、あれほど地位に執着していた菅首相のこと、またぞろ何か延命発言するとも限らない。だから、完全に辞めるまでは状況を見守りたい。

とはいえ、特例公債法案の早期成立の3党合意以降、菅首相の態度は変わり、それまで、ぶら下がり会見を行わず、記者団を無視するような態度は取らなくなっているというから、特例公債法案の3党合意が一つのターニングポイントになった可能性はある。

また、17日には、作家の石川好氏と首相官邸で懇談して、「1年半、やれることはやったつもりだけど、なかなかねぇ…」と振り返り、民主党代表選について「候補者が乱立しているのだからお前も出なよ。チャンスがあるかもよ」と軽口を叩いたそうだから、少しは吹っ切れたというか、流石に諦めたのか、ニュアンスの違いは感じないでもない。でも、8月末の退陣で、在任期間1年2ヶ月のところを1年半という辺り、やはり首相でいた期間の長さには未練はあるようだ。

それでも、このままいけば、9月には新首相が決まる。

今や、民主党内では、代表選をめぐって、熾烈な党内争いが繰り広げられているけれど、マスコミ報道では、野田財務省が有力だとされている。

玄葉国家戦略担当大臣は、「できるだけ早く代表を選出し、与野党の党首会談でしっかり協力関係を築くことが大事だ。そのうえで、新たな総理大臣を選ぶ方が日本にとって望ましい」と、後継首相は、後継の民主党代表は、野党側と信頼関係を築くことができる人が望ましいとしている。

だから、その意味では、早くから自公との大連立を表明し、民主党マニフェストについても「聖域なく見直すべき」と主張している野田氏はぴたりと当てはまる。

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自民党の石破政務調査会長は、「子ども手当や赤字国債発行法案を巡る協議で、民主・自民・公明の3党の信頼関係は深まっており、自民党から、この関係を捨て去ることはない」としているから、民主党が自公の主張を受け入れ、マニフェストの見直しを行うなら協力する旨を発言している。

だから、野田氏が民主党の代表に選出され、首班指名された場合は、仮に大連立出来なくても、自公にかなりべったりと寄り添った政策を取ってくる可能性は高いと見る。

ゆえに、野田氏が首相になって、主張どおりに、自公との協調路線を取るのなら、それは。はっきりと民主党が民主党であることを捨てることを意味するのだけれど、それで民主党全部や党員・サポーターが納得するかどうかは別の話。

元々、長年の自民党政治に対する拒否感や批判票を上手く取り込む形で風に乗って出来た政権交代。その大元の部分を否定してみせたら、風は吹かないどころか逆風になる。(今でも逆風ではあるけれど…)

それに、マスコミが野田氏を推せば推すほど、マスコミへの露出は増え、その主張が知られることになる。それが、マニフェスト見直しと復興増税では、よほど上手く説明しないと世論の支持を集めることは難しい。

そして、ここにきて、野田氏の失言めいた発言がぽろぽろ出てきているのも気になる。たとえば、14日のNHK番組で、「東日本大震災の復興需要をどう満たすかという観点からすると、まさに千載一遇のチャンスだ」と震災被害にあった方の感情を逆撫でするような発言をしている。まぁ、素直といえば素直なのかもしれないけれど、一国の宰相は、国民全ての生命と財産を守る責務を負う職務。たとえ、"千載一遇のチャンス"が本当であったとしても、首相という立場ともなれば、それは、咎められる発言の範疇に入ってくる。

その意味では、鳩山前首相も菅首相も、自らの不注意な発言で、国民感情を悪くした部分が少なからずあったのだけれど、閣僚としてそれを見て何とも思わなかったのか。

だから、マスコミがこのまま野田氏をヨイショし続ければ、更に野田氏が不適切発言をして、自爆させてしまう可能性だってある。



更に、世論もそうだけれど、民主党内を見渡す限り、野田氏はマスコミが言うほど有力であるとは限らない。それは勿論、民主党内で、野田グループは30~40人程の勢力しかないことと、やはり党内最大150人の勢力を持つ、小沢・鳩山グループの動向がカギを握るから。

これまで、小沢・鳩山グループはどの民主党代表候補を支持するか明確にしていないけれど、17日の夜に、鳩山グループは幹部会合を開き、そこで鳩山前首相が、民主党代表選で復興増税と大連立に反対する候補を支持する考えを表明している。

これはすなわち、増税と大連立に前向きな野田氏を推さないということを意味するし、鳩山グループに近い小沢グループもそれに同調する可能性は高いと思われるから、民主党議員票の半分近くを鳩山・小沢グループが持っていることを考えると、野田氏は鳩山・小沢グループ以外のほとんど全てのグループからの支持を取り付けなくちゃいけなくなってしまう。これは簡単なことじゃない。

それに、今回の3党合意だって、執行部は党内を纏めることも碌にできず、独断に近い状態で纏めていった経緯があるから、表向きは、自公路線に寄り添っていくことが方針になっているけれど、党内の意見対立は依然として残されたまま。

次期民主党代表には、そうしたことも含めて、党内を纏める力が要求される。

次期首相が背負う重荷」のエントリーで述べたように、次期首相には、鳩山政権、菅政権の後始末という大きな重荷の背負ってのスタートになる。

はたして、野田氏にそれだけの力があるのかどうか。仏の顔も三度まで。馬鹿な野郎が首相でいられるほど、日本は小さな国じゃない。次の首相がコケたら、総選挙で民主党はどうなるか分からない。

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画像肩の荷下りた? 首相が作家の石川氏に代表選出馬をアドバイス 2011.8.17 17:02

 菅直人首相は17日、知人で作家の石川好氏と首相官邸で懇談した。首相は「1年半、やれることはやったつもりだけど、なかなかねぇ…」と振り返り、必ずしも思い通りに行かなかった政権運営に未練をにじませた。

 月内に退陣すれば在任期間は約1年2カ月だが、首相は在任期間を「1年半」と語った。単なる勘違いか、それとも気の置けない友人だけに、そこまで「延命」したかったという本音を漏らしたのか、真意は定かではない。

 一方、肩の荷が下りる気楽さもあったのか、民主党代表選について「候補者が乱立しているのだからお前も出なよ。チャンスがあるかもよ」と軽口をたたく場面もあった。

 石川氏が懇談後、記者団に首相とのやりとりを明らかにした。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110817/stt11081717030007-n1.htm



画像主導権狙う「小鳩」=代表選へ結束課題

 菅直人首相の後継を選ぶ民主党代表選で、小沢一郎元代表と鳩山由紀夫前首相が連携を探っている。小沢、鳩山両グループを合わせ約150人に上る「数の力」で勝利を決定付け、次期政権で主導権を握りたい考えだ。ただ、「ポスト菅」の人物をめぐり、両グループ内では意見の違いが目立っており、結束は容易でなさそうだ。
 「私は立場上、動けないが、一生懸命頑張りたい。できる範囲でお役に立てるよう努力していく」。小沢氏は17日、自身のパーティーで代表選についてこう言及。党員資格停止中の身で代表選では立候補も投票もできないものの、積極的に関与していく姿勢を鮮明にした。
 小沢グループ内には、6月の菅内閣不信任決議案の採決の際、いったん賛成を口にしながら直前になって否決に転じた鳩山氏に不満がある。だが、今月初旬、若手議員が「鳩山氏は甘い」とこぼすと、小沢氏は「そういうことを言ってはいけない」とたしなめた。代表選後の主導権争いもにらみ、味方をできるだけ増やしたい考えとみられる。
 一方、鳩山氏は6月末にグループ会長に復帰。これに合わせて、小沢氏にも近い議員をグループ幹部に据え、同氏に秋波を送った。
 もっとも、小沢氏が「勝ち馬」を見定めようと意中の人物を示さないこともあり、両グループ内では、ポスト菅についてさまざまな意見や動きが出ている。
 小沢グループでは、一部の中堅らが鹿野道彦農林水産相の擁立に向けて表立って行動。しかし、旧新進党時代に小沢氏と激しく党首選を争った鹿野氏を担ぐことへの抵抗感もあり、小沢氏側近の一人は「支援はない」と言い切る。野田佳彦財務相に関しては、公約見直しにつながる大連立を目指すと表明したことで「支援できない」との声が強まっているが、「勝ち馬戦略」を意識するグループ幹部は「そう単純ではない」と語る。
 鳩山グループでは、立候補を目指す小沢鋭仁元環境相が事実上分派。また、中山義活経済産業政務官らが鹿野氏擁立に動くが、鳩山氏は、自らに近い海江田万里経済産業相の出馬を期待しているとされる。「沈黙は金だ。まとまって行動できるようにすることが大事だ」。鳩山氏は17日夜のグループ幹部会でこう語った。(2011/08/17-22:08)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011081700822



画像復興増税と大連立反対…鳩山氏、野田氏推さず?

 民主党の鳩山前首相は17日夜、都内のイタリア料理店で開いた鳩山グループの幹部会合で、菅首相退陣後の民主党代表選では、復興増税と大連立に反対する候補を支持する考えを表明した。


 増税と大連立に前向きな野田財務相を推さない意向を示したものとみられる。

 鳩山氏は会合後、記者団に「国が輸血を必要としている時に、輸血の血を自分の血から採るような話で、元気になるわけがない。増税には反対で臨むべきだ。大連立は民主主義を破壊するので、基本的にはノーだ」と述べた。

 代表選出馬が取りざたされている同グループの海江田経済産業相については、「首相にならんとする人間としての決断力が問われる」と述べるにとどめた。

(2011年8月17日21時13分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110817-OYT1T00886.htm

この記事へのコメント

  • sdi

    民主党の有力者たちは「次の政権が1年もてば十分」という判断なのでは?
    1年後に何があるかは言うまでもないことです。誰がなったとしても、課せられた役割はタダひとつ「1年間持たせろ」だけです。
    2015年08月10日 15:27

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