「今の菅直人首相は政治家ではない。一市民運動家に戻ってしまった。元気いっぱいだ」与党幹部
1.演出される「戦うカンナオト」
8月4日、経済産業省の松永和夫事務次官、寺坂信昭原子力安全・保安院長、細野哲弘資源エネルギー庁長官の3氏が更迭されることが決まった。
更迭の理由は2007年8月に静岡県御前崎市で開かれた浜岡原発プルサーマル計画を巡るシンポジウムで、原子力安全・保安院から「やらせ質問」を要請されたと、中部電力が7月29日に明らかにしたこととしているけれど、これは、経産省が菅首相に人事で手を突っ込まれないために、先手を打って辞めることにした、という見方が有力。
というのは、ジャーナリストの長谷川幸洋氏によると、菅首相サイドは、改革派官僚として知られた古賀茂明官房付審議官に、事務次官更迭を前提にした経産省人事について相談していたとされ、相談したタイミングからみて、古賀氏自身の後任起用も考えていた節もあるという。
結局、後任には、経済産業省次官に安達健祐氏を、原子力安全・保安院長に深野弘行氏を、資源エネルギー庁長官に、高原一郎氏を起用する方針で、経産省関係者によると、順送りの順当な人事だそうで、結果として、経産省が官邸からの干渉を防いだ形となったのだけれど、話はそれだけにとどまらない。
実は、海江田経産相は、7月下旬に、今回更迭した3人から「先に辞めるから新しい体制を決めて下さい」と訴えられ、自らも辞任の意思を強めたといわれている。更迭方針については、8月2日に菅首相にその方針を伝え、僅か5分だけ。その時菅首相は「お願いします」といっただけだったという。
今回の更迭人事については、元々、12日に海江田大臣から発表する予定でいたところ、4日になって、一部マスコミが、更迭は「菅首相の意向」と報道していた。
これを聞いた海江田大臣は 「浜岡パターンだ。首相側のリークに違いない」と、浜岡原発停止について、事前に中部電力と折衝を重ね、経産省主導で浜岡原発停止を進める寸前に、菅首相に手柄を横取りされたケースを思い起こし、それを阻止するために、急遽4日の朝に、海江田大臣が記者会見を行い、人事権は私にある、と繰り返して、菅首相の意向ではない、と強調したと見られている。
海江田大臣は民主党の鳩山グループに所属していて、4日に更迭人事について、鳩山前首相に報告したそうなのだけれど、その際、一部マスコミの「菅首相の意向」報道について、「浜岡の時と一緒だ」と怒りをぶちまけたというから、やはり、今回は横取りなんてさせない、と記者会見をしたのだろう。
ただ、そういう海江田大臣も、自ら辞任の意向を表明しているから、近いうちに辞任することになるだろうけれど、菅首相が後任の大臣に誰を指名するのかは焦点になる。
冒頭に引用した、与党幹部のコメントにもあるように、今の、菅首相は、自分にとっての敵を次々と勝手に設定して、それを攻撃することで、自らの延命を図っている。
その菅首相が攻撃相手として設定しているものの一つに原発があることは、ほぼ間違いなく、そのために、ある意味経産省が攻撃目標にされてしまっているところがあるように思う。
以前「普通の人以下の宰相」で、菅首相は原発推進派もしくは東電や官僚を相手にして「戦うカンナオト」を演出する方向にいく、といったけれど、まさに今そのような状態にある。
2.海江田大臣がひとり辞任しても菅首相と差し違えることは出来ない
経産省に対して戦う市民運動家「カンナオト」。
だから、今回の後任人事について手柄を横取りできなかったとしても、経産省を敵認定している限り、今度は、海江田氏の辞任後の新経産大臣として、古賀茂明官房付審議官を起用する可能性だってある。
事実、みんなの党の渡辺善美代表は、現代ビジネスの7月6日の記事で、「菅氏は発送分離にも言及しており、東電や経産省の解体も検討していると伝えられる。だったら、なぜ古賀茂明のような筋金入り官僚を使わないのか。」と電力改革を本気でするためには古賀氏を抜擢せよと述べている。
だから、もしも、古賀氏を経産大臣として抜擢したら、世論向けには、「脱原発」をする気だというアピールになるし、一定程度の支持が集まるかもしれない。
だから、海江田氏ひとり辞任したとて、菅首相と差し違えるどころか、逆に利用されてしまう危険すらある。
ただ、もしも、古賀氏に新経産相に抜擢したいという打診が来たとしても、古賀氏がそれを引き受けるかどうかわからないし、仮に引き受けたとしても、他人の手柄を横取りして、自分の不始末は他人のせいにして逃げ回る菅首相の下でやっていけるかどうかも分からない。
菅首相は、7月31日、長野県茅野市の会合で、経済産業省原子力安全・保安院の「やらせ」問題に言及して、「厚相時代に体験した薬害エイズの構造とそっくりだ」と指摘したと言われている。だけど、構造そのものはそうだったとしても、薬害エイズについての決定的資料の捜索や官僚を動かしたのは、当時の菅氏ではなくて、前任者の森井忠良厚生大臣だったという指摘がある。曰く、菅氏は前任者の手柄を横取りしただけだ、と。
これは、浜岡といい、今回の更迭人事といい、菅首相が他人の手柄を横取りする下劣なやり方を見るにつけ、非常に信憑性が高いと思われる。
薬害エイズも、菅首相が手柄を横取りしただけだったのが真相なのであれば、その功績は前任者のものであるし、それはおそらく、前任者の「真摯さ」を持ってようやくで成し遂げたもの。
だから、脱原発という大きな課題に対して、真摯さの欠片もない御仁に何ができるのか非常に疑問。
今の菅首相は、自分勝手な発言を繰り返して、閣僚や現場を混乱させるばかり。菅首相にできることは、ただ、「政治空白」を作り出すことのみ。
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経産省事務次官ら3首脳更迭へ 首相、経産相と最終調整
菅直人首相は3日、経済産業省の松永和夫事務次官(59)、寺坂信昭同省原子力安全・保安院長(58)、細野哲弘同省資源エネルギー庁長官(58)の3首脳を更迭する方向で、海江田万里経産相と最終調整に入った。東京電力福島第一原発事故の一連の対応や、国主催の原子力関連シンポジウムを巡る「やらせ」問題の責任を問う目的だ。海江田氏も3首脳を更迭後、速やかに辞任する考えだ。
首相は、電力会社と一体となって原発政策全般を推進してきた経産省への不信感を強めている。今回の3首脳の更迭をテコに、経産省から保安院を分離し、環境省に新設する「原子力安全庁」に規制部門を担わせるなどの組織再編を進める考えだ。さらに、太陽光など再生可能エネルギーの拡大や電力会社による地域独占の見直しに道筋をつけたい意向だ。
ただ、辞任表明した首相の求心力は著しく下がっている。経産省や与党内から反発が出るなどして更迭人事が混乱すれば、政権運営が一層厳しくなるのは必至。逆に首相の早期退陣につながる可能性もある。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0804/TKY201108030752.html
「首相は政治家ではない」 市民運動家が国政を仕切る愚 2011.8.7 07:00
「今の菅直人首相は政治家ではない。一市民運動家に戻ってしまった。元気いっぱいだ」
過日、とある与党幹部は、親しい国会議員にこのところの首相の動静を尋ねられ、こう言い切ったそうだ。間髪入れず、首相の心象風景についても推し量り、政権の座に就いている間に、これまで誰もがなしえなかった政策課題を少しでも前に進め、歴史に名を残したいはずだと喝破した。
そして、話の最後になって断定的に、こんな見立てを披露したという。
「しばらくは辞めないよ」
この与党幹部の指摘を待つまでもなく、経済産業省の事務次官をはじめとする3首脳の更迭人事やら、太陽光など再生可能エネルギーの活用やら、首相が原子力発電にまつわる問題に関し、輝かしい何らかの成果を出したがっているのは明々白々である。
平成23年度第2次補正予算の成立といった「退陣3条件」は、首相とすれば、取って付けたようないかにも軽い条件である。それだから、条件が整ったとしても、へ理屈をこねて、なかったかのように振る舞うのは目に見えている。
そういう恥じらいのないタイプの政治家であることは、これまでの言動を目の当たりにしてきた多くの国民が、さもありなん、と深くうなずくのではあるまいか。
それにしても、気になるのは、「一市民運動家に戻ってしまった」という与党幹部の下りである。というのも、このところの政治の閉塞状況を見ていて思うに、首相の延命にかける不埒な思考と市民運動家としての性癖が奇妙な具合にうまく合致してしまい、「反菅」勢力にとって、「首相は難攻不落」という窮状を招いている気がしてならないのである。
言うまでもなく、市民運動家出身の首相は、「国家の背骨」たる憲法や外交・安全保障に関し、長い政治活動の積み重ねの中で熟成させた信念なり理念なりを持ち合わせていない。
それでも、付け焼き刃ながら、懸命に化粧直しをして、それなりの体を装ってきた。今年1月には、通常国会の召集前であるのに異例の外交演説をしたり、税制と社会保障の一体改革では、「政治生命をかける」と大見えを切ったりしたものの、どれもこれも中ぶらりんのままである。
いつとはなしに、内閣不信任決議案の提出など「菅降ろし」の嵐がふきすさぶ中、退陣表明をするに至るも、のらりくらりとかわし、気がつけば、延命の有効打として、市民運動家にとってこのうえなく手触りのよさそうな原発問題が、実に都合よく横たわっていたのではあるまいか。
市民運動とはもともと、消費者運動、反戦運動、反公害運動などワンテーマについて、既得権益に切り込んでいく取り組みであって、その論で言えば、首相が国民的人気を博するに至った薬害エイズ事件などは、旧厚生省と製薬会社との癒着体質に風穴をあけた意味で、願ったりかなったりのテーマだった。首相にとって、原発問題もそうした角度で入り込める最たるものなのだろう。
してみると、首相が7月31日に開かれた長野県茅野市の会合で、経済産業省原子力安全・保安院の「やらせ」問題に言及し、「厚相時代に体験した薬害エイズの構造とそっくりだ」と指摘したのも、うなずける。
つまるところ、これぞとにらんだテーマの勘どころを鋭くザクッとつかみ、もって「一点突破、全面展開」を志向して流れを形作る-。これこそが、市民運動家として培われた首相の政治手法である。こういう手法しかとれないようでは、宰相としての限界をさらしたも同然であるのだが、皮肉にも、延命策にはうってつけの一策になっている。
「今の首相は政治家ではない」と見抜いた与党幹部の言葉がむなしく心に響き、いわく言い難い絶望感にさいなまれてしまうのである。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110807/plc11080707000001-n1.htm
海江田氏 辞任引き延ばしのワケ したたかに「代表選考えたことありません…」 2011.8.6 18:00
「ポスト菅」の有力候補として取り沙汰され、辞任時期が注目されている海江田万里経済産業相。国会審議に臨むにあたり左の手のひらに「忍」の一文字を書き、時には泣いてみせるなど話題に事欠かない。海江田氏は盆明けに辞任する考えだが、7月7日に辞意表明をしてからはや1カ月。ここまで引き延ばした狙いはどこにあるのか-。
朝日新聞の8月4日付朝刊。そこには経産省の松永和夫事務次官ら経産省首脳3人の更迭が報じられていた。しかも、見出しにはわざわざ「首相意向」の4文字。海江田氏は4日未明の真夜中に、そのことを知り、唖然(あぜん)とする。
「自分が決めたのに、なぜ首相の意向になっているんだ…」
首相サイドが「首相の手柄」にするためリークしたと感じた海江田氏は先手を打つ。4日午前9時半に急遽、記者会見を開き、事実関係を発表する。
「およそ一月ぐらい前から考えていたことであります」
枝野幸男官房長官も午前11時からの記者会見で「海江田大臣からの申し出を踏まえての対応です」と明言。報道陣が「首相が事前に意向を海江田氏に示したことはなかったのか」と食い下がっても「ないと思う」と首相の意向ではないことを重ねて強調した。
昨年9月の代表選で小沢一郎元代表の陣営についた海江田氏と、菅陣営についた枝野氏。そして、政府・民主党内で四面楚歌になっている首相。海江田、枝野氏は「敵の敵は味方」といわんばかりに連係プレーを演じた。
海江田氏が必死になって首相の手柄にすることを阻止しようとしたのはなぜか。
同じ東京都連に所属し、野党時代から犬猿の仲にあることや、原子力行政をめぐりことごとく対立していることが背景にあるのは間違いないが、同時に「ポスト菅」候補として取り沙汰されていることと無関係ではあるまい。
更迭とそれに伴う省内人事を通じ、経産省の立て直しをアピールし、代表選に向け自らの「実績」にしたい。そんな思惑もちらつく。
実績といえば、海江田氏は12日から3日間の日程でインドネシアを訪問し、東南アジア諸国連合(ASEAN)経済閣僚会合に出席する。そこで、首相の思いつきによる「脱原発依存」宣言で行き詰まりを見せる日本の原発輸出政策に理解を求める方針だ。
帰国後は速やかに辞任する意向だ。部下を更迭するだけでなく、自らも東京電力福島第1原発事故の責任をとる形で辞任し、居座り続ける首相との差し違えを狙う。
海江田氏は今回の外遊について周囲に「国益のために行く」と漏らしており、「外交の海江田」という印象を与えることができれば、「引責辞任」の印象は薄れ、次期代表選に出やすくなる。
海江田氏の頭の中には辞任に向けたシナリオがすでに出来上がっているのではないだろうか。
盆明けには小沢一郎元代表が「菅降ろし」に向け、再び腰を上げる構えを見せている。党内には、首相に反感を抱く閣僚が一斉に辞表を提出するというシナリオもささやかれている。盆明けからは何が起きてもおかしくない状況なのだ。
海江田氏が所属する鳩山由紀夫前首相が率いるグループには「更迭と同時に海江田氏も辞表をたたきつければ次期代表選の有力候補になれた。辞任はすでに遅すぎるぐらいだ。失望した」(中堅)との厳しい声は少ないない。
だが、海江田氏周辺からはこんな解説が聞こえてくる。
「海江田氏が早々と辞任しても、首相は淡々と後任を決めるだけだ。盆明けに党内が気持ちを一つにして『菅降ろし』を仕掛けるなら、そのときにあわせて辞任したほうが、相乗効果で首相を退陣させる可能性は高まる」
海江田氏が代表選に出馬するなら、国際社会で存在をアピールした後、時間を置かずに代表選に突入したほうが勢いづきやすいという効果もある。
代表選についていまだに「考えたこともありません」と言い続けているが、その言葉とは裏腹に、どことなくしたたかさが伺える。(坂井広志)
◇…先週の永田町語録…◇ (1日)
▽夢のある復興を
菅直人首相 若い人が地域で元気よく社会活動を営む社会に復興していくことが重要だ。子どもたちの将来を考えた、夢のある復興にしなければならない。(参院東日本大震災復興特別委員会での答弁)
▽何を言ってるのか
逢沢一郎自民党国対委員長 公債特例法が通る通らないと菅さんが辞めることはリンクしない、関係しない。何を言っているのかよく分からない。(菅首相の続投示唆発言について記者団に)
(2日)
▽わが家は女性が優秀
菅直人首相 わが家は私より能力の高い女性が1人いる。政治や行政では男女共同参画の仕組みがなかなかできない。(男女共同参画6・11シンポジウム実行委員会との面談で)
▽国民が泣いている
渡辺喜美みんなの党代表 菅首相の奥様、伸子夫人が海江田万里経済産業相が国会で泣いたのを見て「あなたが泣いたら別れる」と(首相に)言ったそうだが、今の政治に泣いているのは国民のほうだ。(党役員会で)
(3日)
▽忘れたらいい
藤井裕久首相補佐官 歴史的にみて大事な問題と大した話ではないことがある。大した話でないのはすぐ忘れたらいい。今の政局もその一つだ。(民主党会合で)
▽弾圧法
福島瑞穂社民党党首 再生可能エネルギー特別措置法案に民主、自民、公明3党の修正で買い取り価格の上限を決めることが盛り込まれかねない。これでは自然エネルギー弾圧法になる。そういう修正は許さない。(党会合で)
(4日)
▽耳傾ける課題
輿石東民主党参院議員会長 所得制限を導入し(財源を)東日本大震災復興に回そうという話は謙虚に耳を傾ける課題だ。絶対に譲らないのでは話し合いも交渉もできない。(子ども手当の所得制限に関し記者会見で)
▽首のためでない
町村信孝元外相 僕らは菅直人首相の首を取るために政治をやっているのではない。民主党政権を倒し、しっかりとわれらの政権を運営するために一生懸命やっている。(派閥会合で)
(5日)
▽顔見れば分かる
安住淳民主党国対委員長 自民党の逢沢一郎、公明党の漆原良夫両国対委員長とは長い付き合いだ。顔を見れば(考えは)分かる。(郵政改革法案の扱いをめぐる会談後に記者会見で)
▽自公民やめよ
福島瑞穂社民党党首 自民、公明、民主3党で決着をつけるのはやめてほしい。「自公民」で決めて説明に来るのはおかしい。必要な時に思い出して頼みに来ないでほしい。(子ども手当見直しに関し記者会見で)
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110806/plc11080618010013-n1.htm
この記事へのコメント
でか・ひえ・くち・まゆ
ちび・むぎ・みみ・はな
ヒトデナシ市民運動家一人を放逐できない.
ヒトデナシが孤立無援に見えて, 実際には,
嘘付党の右像無像には何の力もないのだろう.
反日勢力がヒトデナシ中心に集まってくるだろう.
異常な市民運動家を国会から追放できないは
自民党も同様.
それは, 自民党執行部が国民と向き合っていないから.