「怪しいお米セシウムさん」はどれくらい怪しいのか

 
今日は、米の汚染問題について…

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1.ヒヤリ・ハットが蔓延するテレビ局

「おはようございます。東海テレビから皆様にお詫びとご報告がございます。昨日の「ぴーかんテレビ」の放送で、岩手県産ひとめぼれのプレゼント当選者として「怪しいお米」「汚染されたお米」「セシウムさん」などの不適切な表現の字幕テロップを誤って放送いたしました。岩手県の農業、畜産業に携わる皆様や、福島県をはじめとした原子力発電所事故による被害を受けた皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。また、視聴者の皆様にも大変不快な思いを抱かせてしまったことを重ねてお詫び申し上げます。」
8/5 9:55東海テレビ 「お詫びとご報告」

8月4日、東海テレビの情報生番組「ぴーかんテレビ」で、視聴者プレゼントの岩手県産ひとめぼれ10キロの当選者として「怪しいお米セシウムさん」などの架空の名前をテロップ表示するトラブルについて、東海テレビが謝罪した。

当時、稲庭うどんのテレビ通販を行っていたのだけれど、画面に岩手県産ひとめぼれの当選者発表として、当選者3人の名前の欄に「怪しいお米セシウムさん」「汚染されたお米セシウムさん」などと書かれたテロップが放映されていた。

番組放送後、東海テレビには、電話とメールを合わせて450件以上の抗議が殺到し、JA岩手県中央会は「岩手県産米ファンに不安を与える重大事件。岩手の米農家を愚弄するものだ」と抗議。岩手県の達増知事も「復興に全力を挙げて取り組む本県を誹謗中傷するものだ」と抗議文を送る騒動となった。



東海テレビによると、くだんのリハーサル用仮テロップを担当者が「ふざけた気持ち」で作成してそれを操作ミスで放送してしまったとのことなのだけれど、一応、放送前日に、タイムキーパーが、テロップ制作者に「不謹慎な内容」の訂正を依頼したのだけれど、それがなされなかったようだ。

第一、「不謹慎な内容」の訂正を依頼する云々以前に、そもそもそんなテロップを「ふざけた気持ち」で作成するほうがおかしい。

以前、震災直後の菅首相の会見時にフジテレビが原発事故を笑えてきたなどと放送する事故があったけれど、それと同じで、モラルを疑う。

安全管理の世界で有名な法則のひとつに「ハインリッヒの法則」というのがある。これは、『1の重大災害の下には、29の軽症事故があり、その下には300の無傷事故がある』という法則で、5000件余りの労働災害の事例の統計を分析した結果、導き出されたもので、別名『1:29:300』という法則とも呼ばれる。

今回の「ふざけた気持ち」で作成されたテロップをこの法則に当てはめてみると、表沙汰になったのは、この1件だけだったとしても、その下には29の軽症事故があり、更にその下には300の無傷事故があることになる。

だから、フジテレビの放送事故といい、今回の東海テレビの放送事故といい、違うテレビ局で同種の事故が起こっているということは、テレビ業界、或いはマスコミ業界全体として、この種の表沙汰になっていない事故が隠されている可能性がある。

もしかしたら、テレビ業界全体の倫理が崩壊しているのではないかとさえ。

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2.放射性物質の降下量は1960年代と同じ

では、その「怪しいお米セシウムさん」は一体、どのくらい怪しいのか。

1960年代には、盛んに大気圏内核実験が行われていたけれど、当然、その間も普通に米作りは行なわれていた。その当時、米にどれだけの放射性物質が蓄積されたかの研究データがある。下記に引用する。

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右図は、日本産ビールと白米のセシウム137の含有量と月別の降下量を示したものなのだけれど、1963年にセシウム137の降下量はピーク値で、およそ0.56GBq/k㎡=560MBq/k㎡程度。そして、この年の白米1Kgあたりのセシウム137の含有量は4Bqくらい。

そして、今回の福島原発事故によるセシウムの降下量について、一番放出されていた時期にあたる、3月18日から4月16日までのセシウム137の積算降下量(単位Bq/㎡)は次のとおり。

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大体、数百Bq/㎡から数千Bq/㎡程度の量が、月間で降下していたことになるのだけれど、この値を平方キロあたりに換算すると、数百メガBq/㎡から数千メガBq/㎡、即ち、ギガベクレルオーダーで降下していたことになる。

このギガベクレルオーダーの降下量は、おおよそ、1963年代の大気圏内核実験が行われていた時期の降下量に匹敵、またはそれ以上の値になる。

従って、そこから類推すると、今回の事故後に作付された白米に含まれるセシウム137は数~数十ベクレルのオーダーに収まるのではないかと思われる。

これがどれくらい危ないのか。

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米もそうなのだけれど、野菜は肉などの食料品に含まれるセシウムの量は精製および調理によって、放射性物質の量が減ることが知られている。

たとえば、米についていえば、玄米から白米に精製するだけで、セシウム137は6割くらい除去されるし、放射性カリウム40なんかも、精白米を炊いて御飯にすると4分の1くらいに減ってしまう。

また、肉や野菜についても、煮たり、塩水(1%)に漬けたりすることで、セシウムを減らすことが調査の結果分かっている。

更に、小麦粉からつくられるスバゲティなんかだと、調理前と調理後では、セシウム137は4分の1から10分の1くらいまで減ってしまう。特に面白いのは、細いスパゲティ程、セシウム137の減りが多いこと。おそらくセシウムは水に溶けやすい分、細い麺の方が、より茹で汁にセシウムが溶け出すことができ、その結果、麺に残留する量が減っているのではないかと思う。

もし、そうだとすれば、「怪しいお米セシウムさん」を炊くときでも、一晩水につけておいて、それを捨ててから米を研いで炊くようにすれば、御飯中に含まれるセシウムの量が減るのかもしれない。

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3.団塊の世代は少年時代に内部被曝していた

6月30日、福島県内の保護者らでつくる市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が、福島市内の6~16歳の男女10人の尿を検査した結果、全員から微量の放射性物質が検出されたと発表した。

検出したのは、放射性セシウム134と137で、セシウム134の最大値は8歳の女児で尿1リットル中1.13Bq、セシウム137の最大値は7歳男児で1.3Bq/Lだったという。

実は、この尿中のセシウム137について、1960年代に当時の中学生を対象に調査した結果がある。以下に引用する。

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これによると、1964年の4.5Bq/Lをピークとして、その前も大体1~2Bq/Lは尿中にセシウム137が含まれていた。この値は、今回検出された子供達の尿中セシウムと大体同じ水準だから、先程のセシウム137の降下量と同じく、今回の福島原発事故による、セシウムによる汚染及び内部被曝の程度は、1960年代とほぼ同等、もしくは収束の遅れ具合を加味しても、若干上回る程度になるのではないかと思う。

要するに、1960年当時中学生で今の50代、60代の所謂団塊の世代と呼ばれる人が少年時代に被曝したと同程度のことが今起こっていることになるのだけれど、団塊の世代の人たちの殆どが今も元気でいることを考えると、そんなに深刻になる必要はないのかもしれない。

勿論、一刻も早く原発事故は収束しなければならないし、無駄に被曝する必要もないから、食事の際には、なるべく内部被曝を避けるような調理の仕方なり、食材を選ぶ工夫をするに越したことはない。

あとは、今年の新米に含まれるセシウムをきちんと測って、怪しいのか怪しくないのか、そうした、正確な情報公開が必要だろう。




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画像「セシウムさん」「怪しいお米」…ふざけ心で作成 東海テレビ、3分間謝罪 2011.8.5 11:42

 東海テレビ放送(名古屋市)は4日に放送した情報番組「ぴーかんテレビ」で不適切なテロップを表示したことを受け5日、同番組を休止、約3分間の特別枠を設定し、同番組のアナウンサーが「担当者がふざけ心で作成した。深く反省している」とあらためて謝罪した。同枠ではアニメを放送。来週以降の放送については「これから検討したい」としている。

 東海テレビによると、視聴者プレゼントの「岩手県産ひとめぼれ」の当選者として「怪しいお米セシウムさん」などと表示。リハーサル用の仮テロップが操作ミスで放送されたが、作成した外部スタッフの男性が「ふざけ心でやってしまった」と説明したという。

 アナウンサーは「ふざけ心では済まされない。風評被害を食い止めるべく、細心の注意を払わなければならない私たちが、誤解を招きかねない放送をした。重く受け止めている」と語った。

 当初、番組内で謝罪する予定だったが、批判の高まりを受け休止を決定。放送予定時間の午前9時55分から特別枠を設定、その後は別番組に差し替えた。4日だけで528件の苦情や問い合わせがあった。

URL:http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110805/ent11080511440009-n1.htm



画像尿から微量の放射性物質 福島市の子供10人から 仏研究所「内部被曝の可能性」 2011.6.30 12:21

 福島県内の保護者らでつくる市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などは30日、福島第1原発事故の影響調査のため福島市内の6~16歳の男女10人の尿を検査した結果、全員から微量の放射性物質が検出されたと発表した。

 放射性セシウム134の最大値は8歳の女児で尿1リットル中1・13ベクレル、セシウム137の最大値は7歳男児で同1・30ベクレルだった。

 尿は5月下旬に採取し、チェルノブイリ原発事故で周辺の子供の被ばく量を調査した経験がある、フランスの放射線測定機関「アクロ研究所」に検査を依頼した。

 アクロのデービッド・ボアイエ理事長は記者会見で「福島市周辺の子供らに極めて高い確度で内部被ばくの可能性がある。事故前の数値はゼロだったと考えられる」と話した。


URL:http://sankei.jp.msn.com/life/news/110630/bdy11063012220001-n1.htm

この記事へのコメント

  • さな

    戦後癌が増えた原因の一因は原水爆の実験にあるのかもしれないですね。
    平常運転時でも原発周辺は癌による死亡率が他の地区よりは高いですからね。
    2015年08月10日 15:27
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    テレビ局のモラルが崩壊しているのは間違いない.
    NHKの中に支那国営放送局の支局がある時点で
    放送の独立性という一番重要な部分を準国営放送局
    が放棄していると言う重大なモラルの欠損がある.
    NHK FMでも, ニュース報道の不偏性が守られていない.
    教科書・沖縄問題では一方的な情報のみを流していた.
    だから最近はTVは勿論のことラジオも利用しない.

    そもそも, 学生のTV視聴時間と学業成績に有意な負の
    相関があることは米国の幾多の調査で証明済み.
    つまり, TVを見るほど「バカ」になることが証明済み.
    自立的な思考能力が阻害されるらしい.
    韓流オバチャン達のTV視聴時間と韓流度の相関をとって
    みると面白かろう.

    丁度アナログTVも終ったことだし, TVはやめよう.
    2015年08月10日 15:27

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