今日は、マスメディア問題について・・・
1.高岡蒼甫氏のツイッター騒動
俳優の高岡蒼甫氏が、フジテレビの韓流放送の批判をきっかけに事務所を退社したことが波紋を呼んでいる。
7月23日、高岡氏は、自身のツイッターで「正直、お世話になった事も多々あるけど8は今マジで見ない。 韓国のTV局かと思う事もしばしば。しーばしーば。うちら日本人は日本の伝統番組求めてますけど。 取り合えず韓国ネタ出て来たら消してます^^ ぐっばい。」と述べた。
このツイートが話題となりネットなどで騒然となったのだけれど、これをきっかけに、高岡氏は、所属している芸能事務所を退社することとなった。
本人は、自分から辞めたとしているけれど、これがまた、騒動に火をつけることになり、フジテレビに対する非難が高まっている。スポンサーへの抗議や、8月8日にはフジテレビを見ないようにしようという運動まで起こっているようだ。
これに対して、テレビ業界内部に詳しいと思われる人物から、「コストが安く、その割に視聴率をとる韓流ドラマを多く放映するのは、営利企業として当たり前の選択だ」という意見も上がっている。
このことについて考えるために、仮に、テレビなどの報道と視聴者の関係を、仮に、料理に例えてみると、次のような関係になるかと思われる。
取材での一次情報・・・料理の素材
記者 ・・・農家、漁師等
編集 ・・・厨房
番組編成 ・・・メニュー
テレビ ・・・店舗
スポンサー ・・・レストランのオーナー
視聴者 ・・・客
まず、各記者が農家や漁師となって、料理の素材となる肉や野菜、魚などを取ってくる。通常、この時点で食用に足る素材なのかどうかや、鮮度などのチェックを行なう。(裏を取る)
次に、各記者が持ち寄った料理の素材(一次情報)を、厨房(局内編集部)で吟味・選定された上で料理されるのだけれど、ここで、如何なる料理をつくるのかについては、厨房のシェフ(編集局員・デスク)に一任されている。同じ素材でも店によって、和食になったり洋食になったりするように、記者が取ってきた一次情報も、各報道機関によって、その味やメニューに違いが出てくることになる。
そうして出来上がった料理は、編成で、いつメニューに出すか決められ、視聴者というお客様に供されることになる。
この例えでいえば、今回の高岡蒼甫氏の批判は、「フジテレビのメニューは韓国料理ばかりだ。日本人は和食を食べたいと思っている。」というものであり、それに対して、件の業界人と思しき人物から「原価が安いから韓国料理になっているだけだ。店が利益を求めるのは当たり前だ」という反論が出ている構図になっている。
これをどう考えるべきか。
2.安全性と多様性で担保される公共性
ここで、このテレビ局というレストランが日本でいくつあるかというと、民放という枠では、いわゆる民放大手5社と呼ばれるように、たったの5つしかない。だけど、各家庭には大体1台以上テレビ受像機があるから、出張所というか、各家庭に店舗が設置されている。
つまり、各家庭に店舗を持つ巨大な系列レストランが5つあるというのが実情。視聴者は、この5つしかない系列レストランのどれかを選んで、ニュースという"作られた"料理を毎日食べている。
世間の料理店であれば、それこそゴマンと店があり、それぞれ独自の味と個性で凌ぎを削っているのに、こと報道となると、非常に寡占された状態にある。これがひとつのポイント。
そして、この寡占5系列レストランは、例えば、から揚げ専門店だとか、カレー専門店なんかのように何かに特化した報道をしているという訳ではなくて、和洋中と、何でもかんでも扱う、いわばファミレスなようなもの。
なぜ、そんなファミレスのようになってしまうかというと、公共性が求められるから。一般に遠く離れた話題や、政治経済などの詳しい出来事なんかをニュースで流すためには、時間も労力も費用も、そしてインフラも必要で、とても個人で賄えるものじゃない。
だから、ある程度、資本があるところでないとテレビ局はできないし、そもそも報道機関は不特定多数への情報提供を行うという事業目的があるが故に、「公共性」が求められる性質のもの。
従って、出すべき料理も偏ったものではなくて、和洋中と何でもあるファミレスのようになってしまうのは仕方がない面がある。
その公共性については、国内放送法第3条に次のように定められている。
第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
これらは、公共性を担保するために決められたものだと思うけれど、この決まりを同じく料理に例えると次のようになるかと思う。
1.薬物等を混入しないこと
2.特定の素材ばかり使わないこと
3.素材、産地、料理について偽装しないこと
4.色んな料理が可能な素材については、出来る限りいろんなメニューを用意すること
このように、料理に置き換えるとよりはっきり分かると思うけれど、放送法でいう「公共性」とは、大きく「安全性(1と3)」と「多様性(2と4)」の2つを守ることで実現しようとしているように思われる。
確かに、不特定多数の要求に応えるためには、様々なニーズに応えるだけの多様性が必要になるし、そもそも、その内容が間違っていたら、多くの人をミスリードすることになるから安全面・衛生面にも気をつけなくちゃいけない。
3.市場原理が働くネット言論
政府は、報道機関に対してこうした公共性を要求し、実現するために、放送を免許事業にしている。
また、平成22年の総務省のデータによると、電波利用料の歳入総額は年平均でおよそ680億円あるのだけれど、そのうちテレビ局の電波利用料は51億円で、1割にも満たない。残りの殆どは携帯電話会社が負担している。
テレビ局の電波利用料の51億円も、額だけみれば、結構大きい様にもみえるのだけれど、全国128テレビ局の事業収入は2兆9676億円もあり、電波使用料の占める割合はコンマ数%しかない。
これを、安いと見るか、高いとみるか、意見が分かれるところだと思うけれど、少なくとも、公共性を求められるテレビ局の電波使用料は、事業収入に対して極端に低い負担しかしていないという事実がある。
だけどもっと大切なことは、電波使用料そのものより、事業として求められる公共性をテレビ局が有しているかどうかということ。正に、この部分に対する疑義、とりわけ多様性がないじゃないかと指摘したのが、今回の高岡蒼甫氏の騒動だといっていいだろう。
さて、これら放送に対して、ネットの世界はどうなっているかというと、同じく料理に例えてみると次のようになるのではないかと思う。
一次情報提供ブログ・・・農地・漁場
評論サイト ・・・個人創作料理店。
ツイッター ・・・チラシ広告
ネット利用者 ・・・客、グルメ、料理評論家
ネットには、実に様々な人が存在する。何かの専門家から、市井の住人まで実に様々、無論、中には、テレビや新聞で取材を受けるような人もいて、その人が情報発信することで、生の一次情報が手に入れられる。
また、マスコミを含めた様々な情報から、独特の視点から優れた見解を発表する人も沢山いる。そうした優れた言論を行なうようなサイトなどは、さしずめ、ユニークで美味しい料理を創る、個人創作料理店といっていいだろう。
そして、最近登場してきたツイッターなどは、140文字制限があるものの、その拡散力を考えれば、ちょうど、「ここにいい店があるよ」とか、「ここにこんな素材が入荷しているよ」とか、「ここにこんな珍しい料理があるよ」とかいう具合に、広く宣伝するチラシ広告にあたると思う。その意味では、ツイッターでフォロアーが沢山いる人は、チラシを大量に撒く人だと言えなくもないし、時々見かける、何かのツイートの"拡散推奨"なんかも、チラシを撒くのを手伝って、というお願いだといえる。
そして、ネット利用者は、ネット情報を読む「客」であると同時に、自分でも物申すグルメ兼料理評論家でもあって、駄目な料理には、割りとはっきりダメ出しするし、気に入らなければ、その個人創作料理店には二度と立ち寄らなくなる。
だから、ネット言論というのは、有る意味では、実に市場原理に徹した"業界"ともいえるわけで、時間と共に淘汰され、結果として良質なものが多く残っていくのではないかと感じている。
ただ、人気のある良質なサイトといえども、やはり、個人創作料理店としての限界はあって、それは、サイト運営者が往々にして個人であるが故に、扱う情報の範囲が狭く、ある種の「専門店」になってしまうこと。これは個人で有る限り、如何ともし難い限界。
そこへいくと、テレビ局などは、必要に応じて、そうした専門家に取材できるという強みがある。経済とか、政治とか、よくナントカ評論家にコメントを貰って、それを放送したりなんかしているけれど、これは、丁度、扱う素材に応じて、専門の料理人を呼んで、単品料理を作って貰うことにあたるだろう。
それに、お客にしても、誰がつくったか分からない料理よりも、名の売れた有名シェフに料理して貰ったのを食べたほうが安心できるし、美味しいと思っている。
だけど、そこにはひとつ注意すべき点がある。それは、いくら有名シェフであっても、厨房を支配する編集局が要求する味付けには逆らえないということ。
たとえば、経済問題か何かで、編集局が「国は借金で破綻する」味の料理しか出さないと決めていれば、その味の料理を作れるシェフを呼んで、その通りに作らせる。まかり間違っても、「借金で破綻説はウソだ」味の料理を作る料理人、たとえば、三橋貴明氏のようなシェフは決して呼ばれることはない。
4.情報グルメの時代
こうしてみると、テレビとネットでは、元々の素材、即ち、一次情報が同じであっても、そこから如何なる料理が作り出されていくかについては、大きな違いがあることが分かる。
テレビは、和洋中と何でも扱う反面、その公共性を考えると、余りにもぶっとんだ料理は出しにくく、無難な料理に落ち着いていくのだけれど、ネットは逆に専門店だらけだから、その辺りは割りと自由である反面、店の種類も数も膨大な上に、当たり外れが大きくて、現時点では、情報に対する耐性というか、当たり外れも、ものともしないタフな人でないと中々扱い辛い部分も残っているのではないかと思う。
だけど、その無難で幅広い料理を出さなければならないはずのテレビ局が、それを担保するところの「安全性」と「多様性」を放り投げてしまったら、その役目を果たすことはできなくなってしまう。
ましてや、公共のフリをして、ある特定の素材が爆発的に売れているなどと偽装して私腹を肥やすなんてもってのほか。
お笑い芸人のふかわりょうが、今回の高岡氏の騒動について、ラジオ番組でこう述べている。
「・・・ある局がね、韓国から…政府のその…国を挙げてのエンターテインメントですから、お金をもらってたとするじゃないですか。で、これだけ渡すから、うちの国のアーティストよろしくな、ということが、これ分からないですよ、ホントか、で、たとえばそういうことだったり、その、楽曲の権利を、その局が持ってるから、そのK-POPのアーティストが売れれば売れるほど、局に入るという、システムがあるとするじゃないですか。だから、その局はK-POPをバンバン流すということをやっているのは、それは駄目なことかどうかってことなんですよ。
…法律はないんです。でも僕は駄目だと思うんですよね。つまり公共の電波を用いて、その影響力が凄いわけですから、その公共の電波を使って、ひとつの、その一企業というか、その私腹を肥やすようなやり方を推進するのは…僕は違反なことだと思うんですよね。じゃあ、例えばですけど、僕が、実際ね、曲を出しました。で、色んな局を流します。
だけど、ラブディスコに関しては毎週流してるわけじゃないですか、じゃあこれはどうなんだってことなんですよ。ラブディスコがかかればそれは宣伝ですよね。自分の曲だけ、他のはワンコーラスであがって、自分の曲はフルコーラスでかけやがって馬鹿野郎みたいなね、そういう風に思う人ももしかしたらいるかもしれない。そこの境界線は一体どこにあるかってことなんです。」
公共性を隠れ蓑にして、情報に偏りをつけた瞬間、その報道は公共ではなくなる。そして、公共性を守るかどうかは、テレビの編集部という厨房に任されている現実がある。
だから、編集の人がしっかりとモラルと公平感をもって、番組を作らなければならない。であるからこそ、国から放送免許を与えられていることを忘れちゃいけない。
それができなければ、放送免許を剥奪されても文句はいえない。
今や、ネットが普及して、お客さんがどんどん情報グルメになってきている。ファミレスの味だけでは満足できない人がどんどん増えている。だから、そうした時代の要請にテレビが応えられないのであれば、テレビ離れが起きるのも当然であるし、下手をすれば斜陽産業の仲間入りをすることになる。


本誌は総務省への情報公開請求によって、テレビ局が「公共の電波」を独占することでどれだけ荒稼ぎしているかを示す資料を入手した。
テレビ局は国(総務省)から電波の割り当て(放送免許)を受け、毎年、電波利用料を支払っている。下表はNHKや民放各社が国に支払っている「電波利用料」と売り上げを比較したものだ。
例えば、日本テレビが支払う電波利用料は年間わずか3億7600万円なのに対して、売上高はその738倍の2777億円。TBS、テレビ朝日、フジテレビなど他のキー局も電波を格安で仕入れ、その数百倍の収益をあげている。まさに「濡れ手で粟」の商売である。
【NHK】
電波利用料(A):14億8700万円
事業収入(B):6644億円
Bに占めるAの割合:0.22%
【日本テレビ】
電波利用料(A):3億7600万円
事業収入(B):2777億円
Bに占めるAの割合:0.14%
【テレビ朝日】
電波利用料(A):3億7000万円
事業収入(B):2209億円
Bに占めるAの割合:0.17%
【TBS】
電波利用料(A):3億8500万円
事業収入(B):2727億円
Bに占めるAの割合:0.14%
【テレビ東京】
電波利用料(A):3億6000万円
事業収入(B):1075億円
Bに占めるAの割合:0.33%
【フジテレビ】
電波利用料(A):3億5400万円
事業収入(B):1717億円
Bに占めるAの割合:0.21%
【その他、地方局計】
電波利用料(A):9億1251万円
事業収入(B):1兆2525億円
Bに占めるAの割合:0.07%
【全国128局計】
電波利用料(A):42億4641万円
事業収入(B):2兆9676億円
Bに占めるAの割合:0.14%
※週刊ポスト2010年11月12日号
URL:http://www.news-postseven.com/archives/20101102_4829.html
この記事へのコメント
とおる
「コストが安く、その割に視聴率をとる韓流ドラマ」が事実である数値は、どこにあるのでしょうか?
韓国タレント・ドラマの視聴率は高くないという話を聞きますが、高くなくても、CM料に旨みがあり収益がいいのでしょうか?
この件だけで無く、先日、自民党の国会議員3名が韓国の鬱陵島に行くために韓国に着いたら、入国拒否された事件の報道姿勢や、南北朝鮮に甘い民主党が総選挙に勝つために応援していたような報道姿勢と関連させてみると、多くのテレビ局・新聞社は、朝鮮と関係があると見られても不思議ではありません。
八目山人
笑っていいともで、20代、30代、40代、50代、60代のあらゆる女性に聞いたら、全ての年代で好きな鍋の1位がキムチ鍋だと放送していた。60代なんてキムチ鍋なんて食ったことが無い人のほうが多いだろう。
何故こんな嘘を流すのだろう。
たまたま此れを見ていたが、此れを仕組んだ人と佐々木希のみが口裏合わせをしてやったようだった。
佐々木のみが「1位はキムチだ」と言って譲らなかった、後はタモリも他の出演者も、全員が違うと言っていた。
シールがめくられてキムチが1位だった時の反応は、会場は「エーッ」という驚きの声があがり、タモリなどいつまでも変だなという顔をしていた。
時々お笑い芸人が「韓国ageするとテレビに呼んでもらえる」と冗談めかして言って、他の芸人が苦笑する場面がある。此れは本音なんだろう。