「お盆までに首相が辞めなかったら動かないといけないな…」小沢一郎
民主党の小沢氏が、8月31日の会期末までに菅内閣に対する内閣不信任決議案を提出する意向を固めたとの報道があった。
自民、公明は、前回6月2日に不信任決議を提出したこともあり、今のところ、再提出に慎重姿勢であるのだけれど、とうとう、与党からの不信任提出という前代未聞の事態が起こる可能性が出てきた。
7月6日に、自民党の石破政調会長が内閣不信任決議案の再提出を示唆したことについて、民主党の安住国対委員長は「全く与しない」とした上で、菅首相の進退について党内でけじめをつける、と言っているから、或いはこの与党からの不信任提出はけじめといえばけじめになるのかもしれないけれど、菅首相を説得できず、与党からの不信任提出という手段になってしまうとすれば情けない限り。
それに、党執行部が小沢氏からの不信任案には難色を示す可能性もある。その時は小沢氏は新党を作って民主党を割る積りでいるとも伝えられている。
「思惑渦巻く与野党と菅首相」のエントリーでも指摘したけれど、小沢氏及び小沢グループは、菅首相から徹底的に脱・小沢で、排除されてきたお蔭で泥船民主党とは少しだけ違う立ち位置にある。これが今や有利に働き始めてる。
というのは、まず第一に、嘘つき居座り菅首相に対する最も強力な反対勢力であることと、今や政権交代時のマニフェストすらかなぐり捨てて延命を図る菅首相とは全く逆に、頑ななまでにマニフェストを守ると筋を通す姿勢を貫くことで、形なりとはいえ、反菅の大義名分を手に入れていること。
じっと、待って待って、それでも待って、自身に風が吹いてくるのを待ち続けた。それが今になって生きてきた。
これによって、前回の不信任決議の失敗で、崩壊したかに見られた小沢グループはまた勢いを盛り返して結束を固めている。それは、菅首相の即時退陣を求めて署名活動を続ける吉良、長島両議員らの「国益を考える会」の署名に、小沢グループがほとんど署名していないことがそれを物語っている。
そして、更には、鳩山グループとも関係を修復して、民主党内での最大勢力を維持している。これはすなわち、次期代表選で、小沢グループの支持を取り付けたものが代表になれることを意味してる。
だからこそ、小沢氏はこのタイミングで内閣不信任決議案を提出する意向を漏らしたのではないかとみる。
8月2日に、小沢氏は、赤坂のきのこ料理店に「一新会」の面々を集めて、 「菅直人首相を辞めさせないと代表選はないんだぞ。『ポスト菅』の連中がどれだけ真剣に『菅降ろし』をやるのか。俺はそれをジッと見ているんだ」と語ったという。
これは、とりもなおさず、真剣に菅降ろしをした人物を、次期代表として支持するという宣言に等しいのだけれど、その篩の一環として、「内閣不信任決議案を出す」と言ったのではないかと思う。
与党からの内閣不信任案に賛同するということは、明確に菅内閣に対する反逆になるから、小沢氏にしてみれば、「菅降ろし」の覚悟の程を測る絶好のリトマス試験紙だということ。
小沢グループの支持を得たければ、小沢氏の出す内閣不信任決議に賛成するしかない。それが嫌なら、提出される前に、菅首相を引きずり降ろさないといけない。小沢氏は、「与党から不信任を提出する」という一言で、こういう構図に持っていってしまった。
こうなると、焦るのは民主党執行部の面々。仮に菅首相が退陣して代表選になってしまった場合、小沢グループの支持を貰わないと、次期首相の目はない。かといって、菅首相を支える立場である以上、すんなりと、小沢氏の内閣不信任決議案に賛成もしにくい。
となると、不信任案を出させる前に、"執行部の力で"菅首相に退陣して貰わなくてはいけない。小沢氏はお盆までは静観するようなことを言っているから、タイムリミットまであと2週間足らず。
だから、彼らは、退陣3条件の残り2つ、すなわち「特例公債法案」と「再生エネルギー特別措置法案」を、なりふり構わず、何が何でも成立させにかかってくる。自民・公明両党に千切れるほど尻尾を振って、成立をお願いする。
事実、3日に民主党は、子ども手当の見直し、来年4月から子ども手当を廃止して児童手当を復活させることを文書で伝えている。
自民は自民で、法案成立のハードルをどんどん釣り上げてやればいい。嫌なら、法案成立に協力しないと突き放してやれば、民主党執行部はますます尻尾を振り、追い込まれていくことになる。
自民党としては、小沢氏が本当に与党から不信任案を出してくれるなら、それに同調して可決してやればいいだけだし、まかり間違って、菅首相が解散なんぞしようものなら願ったり叶ったり。
最早、民主党執行部にとって、どう動いても、これという打開策はないように思われるのだけれど、或いは、小沢氏の内閣不信任決議案提出を認めず、小沢グループを離党に追いやって、親・菅派の民主党で政権運営を図るのかもしれない。だけど、それとて、小沢氏が80人くらい引き連れて党を割ってしまえば、民主党は衆院過半数を割ってしまうから、リスクがないわけじゃない。
小沢グループと野党と両方から挟撃されている民主党執行部。果たして、「前門の虎、後門の狼」にどう対峙するのか。
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堪忍袋の緒が切れた?小沢氏、内閣不信任案提出の意向 2011.8.3 10:08
民主党の小沢一郎元代表が、8月31日の会期末までに衆院に内閣不信任決議案を提出する意向を固めたことが2日分かった。複数の小沢氏周辺が明らかにした。同一国会に同一議案を再提出できない「一事不再議」の慣例があり、自民、公明両党が再提出に慎重なため、衆院会派「民主党・無所属クラブ」による提出を目指す。党執行部が発議に難色を示したならば、小沢氏は新党・新会派結成を視野に賛同者を募る構えだ。
周辺によると、小沢氏は8月中旬までは岡田克也幹事長ら党執行部による菅直人首相退陣を促す動きを見守る構え。それでも首相が退陣を拒めば、小沢氏自らが党執行部に不信任案提出を促す考えだという。
党執行部が提出に難色を示した場合、不信任案の発議に必要な50人以上の賛同者を集めて提出に踏み切る方針。衆院事務局は慣例を理由に会派代表の民主党幹事長の承認が得られなければ受理しない公算が大きいが、その場合は新党・新会派を結成して不信任案を提出する算段だとされる。
不信任案に関し、小沢氏は7月28日の記者会見で「不信任案は提出者と理由が違えば一事不再議に反するものではない。首相が辞めないのならば民主党議員全員が深刻に考え、決断すべきだ」と述べ、民主党・無所属クラブによる再提出に含みを残した。
首相は平成23年度第2次補正予算、特例公債法案、再生エネルギー特別措置法案の成立を「退陣3条件」に掲げながら辞任時期を明言しておらず、与野党には「3条件をクリアしても居座る腹づもりではないか」との不信感が強い。これが特例公債法案と再生エネルギー特措法案の成立の障害となっており、岡田氏らによる自発的な退陣を促す作戦は手詰まり感がある。
小沢氏は「首相を退陣させるには不信任案しかない」と周囲に説き続けており、会期内決着への決意は固いという。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110803/stt11080310100002-n1.htm
【新聞チェック】小沢氏が不信任案を再提出へ 「意向を固めた」と産経スクープ 2011年08月03日10時12分 BLOGOS編集部
「まさか!」と思わず叫んでしまう衝撃のニュースが飛び込んできた。民主党元代表の小沢一郎氏が、8月31日の会期末までに、衆院で内閣不信任案を再提出する意向を固めたというのだ。産経新聞が8月3日付けの朝刊で、一面トップ記事でスクープしている。
小沢氏は7月28日の会見でも、「不信任案は提出者と理由が違えば出せます。ですが、岡田幹事長、執行部、菅さんを支持している方々が、お盆前に辞める辞めると言っている。辞めると言っているので、当面は見守る。それも辞めないとなれば、民主党議員全員が深刻に考え、決断すべき」と話していた。
新党結成も視野に
この産経の記事では、「複数の小沢氏周辺が明らかにした」とした上で、以下のように書いている。
同一国会に同一議案を再提出できない「一事不再議」の慣例があり、自民、公明両党が再提出に慎重なため、衆院会派「民主党・無所属クラブ」による提出を目指す。党執行部が発議に難色を示したならば、小沢氏は新党・新会派結成を視野に賛同者を募る構えだ。
周辺によると、小沢氏は8月中旬までは岡田克也幹事長ら党執行部による菅直人首相退陣を促す動きを見守る構え。それでも首相が退陣を拒めば、小沢氏自らが党執行部に不信任案提出を促す考えだという。
菅首相は退陣の3条件として、第2次補正予算、特例公債法案、再生エネルギー特別措置法案を掲げているが、辞任するかどうかの明言を避けている。「条件をクリアしても続投する気ではないか?」という不信感が与野党には強いため、小沢氏が強硬手段に出る構えのようだ。
この産経のスクープが事実なのであれば、小沢氏は1993年に宮沢内閣の不信任案に賛成し、解散総選挙に追い込んだときのように、政界再編に向けた大博打を打つつもりなのかもしれない。
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/5756323/?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
小沢氏、「本気度」全開「誰が真剣に菅降ろしをやるのか」 仙谷氏加勢でなるか統一戦線 2011.8.3 11:26
「菅直人首相を辞めさせないと代表選はないんだぞ。『ポスト菅』の連中がどれだけ真剣に『菅降ろし』をやるのか。俺はそれをジッと見ているんだ」
民主党の小沢一郎元代表は1日に続いて2日も東京・赤坂のきのこ料理店に中核グループ「一新会」の面々を招集した。刺し身をつまみながら小沢氏はこうも漏らした。
「俺たちに菅降ろしをやらせておいて果実だけ取るのは駄目だ!」
「ポスト菅」候補は知名度アップに躍起だが、100人を超える小沢系の支持がなければ代表選を制することは難しい。これに目をつけた小沢氏は「ポスト菅」レースを「菅降ろし」レースに変えてしまおうと考えたようだ。
小沢氏は6月2日の内閣不信任決議案採決が失敗に終わったことを今も悔いている。「次は失敗は許されない」。そう考えるといつもは3合と決めている日本酒は4合、5合とかさを増した。「お盆までに首相が辞めなかったら動かないといけないな…」
× × ×
鳩山由紀夫前首相は2日昼、国会近くのそば屋で弟の鳩山邦夫元総務相(無所属)と向かい合った。
鳩山、小沢両氏は不信任案採決後、微妙な距離が生じたが、今はすっかり修復した。小沢氏は鳩山グループを「同盟軍」と呼ぶ。
「民主党と自民党の両執行部は菅、小沢、鳩山切りをしようとしているぞ」
邦夫氏がこう警告すると、由紀夫氏は何食わぬ顔でこう打ち明けた。
「次の首相には小沢さんと『反増税路線』の人物を担ぐつもりだよ」
その視線の先には民主、自民両党の反主流勢力の結集があるのか。邦夫氏はいろいろと水を向けたが、由紀夫氏はそれ以上は口をつぐんだ。
小沢氏らと距離を置く民主党中間派も「菅降ろし」の動きを加速させた。
首相の即時退陣を求める署名活動を続ける吉良州司、長島昭久両衆院議員ら「国益を考える会」は、お盆前に首相に退陣要求を突き付ける構えだ。集まった署名は約50人。目標の100人にはまだ遠いが、小沢系グループがほとんど署名していないことを考慮すると決して少なくない。
吉良氏は10日発売の月刊誌「Voice」に寄せた論文に悲壮な決意をにじませた。
「首相の政権運営には『国家の危機』を感じる。閣内統治できない人に国全体の統治などできるわけがない」「政党のしがらみを乗り越える覚悟も持っている。日本を復興させるためならばあらゆる選択肢を排除しない」-。
× × ×
吉良氏ら若手・中堅の熱意に触発されたのか。その後見人である仙谷由人官房副長官もいよいよ参戦する腹を固めたようにみえる。
2日昼、仙谷氏はあまり接点のなかった1年生議員6人を首相官邸に招き、ハンバーグを振る舞った。生臭い話は一切なく「相手への謝り方」など議員心得を切々と説いたというが、首相に当てこすったといえなくもない。
脱小沢路線の仕掛け人である仙谷氏と小沢氏の関係修復は難しい。とはいえ、岡田克也幹事長らが描く平和的な退陣シナリオに首相が応じる様子はなく8月末のタイムリミットは刻一刻と近づく。「菅降ろし」の一点だけで両者が手を組む可能性はあるのか。民主党は「合従連衡」の時代に入った。(坂井広志)
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110803/stt11080311280003-n1.htm
子ども手当廃止へ=民自公、4日にも合意
民主党は3日、子ども手当の見直しに関し、2011年度中は現行の「つなぎ法」の修正で対応し、来年4月から児童手当法の改正で現金給付を行う案を自民、公明両党に文書で打診した。自公両党は10月からの児童手当復活を求めていたが、合意形成を優先し、復活時期の先送りを大筋で受け入れる方針をそれぞれ固めた。
これにより、民主党政権の目玉政策である子ども手当は、11年度で廃止されることが確実となった。
ただ、自公両党は民主党との水面下の折衝で、つなぎ法の期限が切れる10月から半年間の制度の扱いについて、同法の延長は認められず、児童手当復活に向けた経過措置であることを鮮明にすべきだと主張。3日に開く方向で調整していた3党幹事長・政調会長による協議は延期された。民主党は4日午前に協議を再開し、正式に合意したい考えだ。
民主党は合意を踏まえ、特例公債法案の成立に向けて自公両党の協力を得たい考え。しかし、自民党は高校授業料無償化などの撤回も求めており、公債法案の行方はなお不透明だ。
民主党が3日に打診した案は、10月から半年間の支給額は、3歳未満と第3子以降の3歳~小学生が月1万5000円、3歳~小学生と中学生が1万円。所得制限の導入は12年度以降で、自公両党はこれらについては受け入れる方針。
所得制限の基準や対象世帯への支給額に関しては、なお調整が続いているが、民主党政調幹部は3日、「自民党も合意したいと言っている」とし、自民党幹部も「まとまると思う」と語った。(2011/08/03-22:28)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011080300684&j4
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
嘘付党の核心派が狙っているのは人権法案と
外国人地方参政権ではなかろうか.
日本経済活性化はやる気もないし, 能力もない.
参議院で根回しはどうなっているのか.
公明党はどうか, 自民党自身はどうか.
この時点での小沢の動きは関係あるのか.
sdi
「言うのはタダ」
「口約束は破っても無問題」
の傾向が彼ら、とくに鋼腕殿には強すぎるように思えますので。
「国益を考える会」のお二方のほうは必死でしょう。なにしろ、空き缶殿の首取りを文書で宣言してしまったのですから。小沢グループから「国益を考える会」に同調する議員は複数出てきたときは要注意かと。
ただ、鋼腕殿は空き缶殿の首を取った後のことを考えて動かねば「また途中で放り出すのか」と言われる立場にあります。首尾よく解散でなく総理辞任に追い込むことに成功したら「誰を次の代表にしたらいいんだ」と頭を悩ますことになります。
>『ポスト菅』の連中がどれだけ真剣に『菅降ろし』をやるのか。俺はそれをジッと見ているんだ
これは、有力な後任候補が存在しないとこの裏返しです。後釜に適当な人物がいれば、こんなことは言わないでしょう。
「ど」の字
先の内閣不信任案採決の際でもそうでしたが、民主党員には「逃げ」の意識が強すぎるように思います。
小沢氏は豪腕を気取っていますが、震災復旧復興から逃げ隠れする態度一つとっても、国会議員の器ではないことは明白です。さらに言うなら、先の菅内閣不信任案採決の際でも、小沢氏は人を置き去りにして採決を欠席し逃げ出しています。
民主党という党に所属する人間には、何一つ期待出来るものはありません。
彼らは、無能である自分を自覚することも、出処進退を明らかにすること出来ないでしょう。
このままで行くならば、菅内閣も与党民主党も、任期一杯まで日本を混乱させることは明らかです。
何としてもこの国賊を国政の場から追放するしかありません。