鬱陵島視察の議員を入国拒否

 
8月1日、韓国の鬱陵島視察のため、訪韓した自民党の新藤議員と稲田議員、佐藤議員の3人は、ソウル・金浦空港に到着したところで、韓国政府に入国を拒否され、強制帰国となった。

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新藤氏らは、韓国が竹島領有の活動拠点にしている鬱陵島の実情を視察する目的で訪韓したのだけれど、韓国側は、新藤議員らに、韓国の出入国管理法を適用し、入国不許可としたと伝えたようだ。

同行した佐藤議員のツイートによると、韓国の法務部の入国管理担当者は、新藤議員らの入国の理由も聞かず、適用法規の条文が我々になぜ適用するかの説明もなく、ただ韓国政府の決定とだけしか言わなかったようだ。

韓国の出入国管理法第11条第1項第3号には、「韓国の国益或は公共の安全を害する行動をとる恐れがあると認めるに足る相当の理由」により、入国禁止できるとあるけれど、新藤氏らが鬱陵島を視察することのどこ等あたりが、"韓国の国益或は公共の安全を害する行動"になるのか。

新藤議員らが、公共の安全を害する行動を取ることが心配なのであれば、警官なり何なりを一緒にはりつけておけばよいだけのことだし、そもそも本人達は「騒乱を起こしたり、領有権を主張したりしにいくのではない」とと訪韓前からコメントしている。それなのに、あろうことか、韓国政府は、入国禁止措置の理由の一つに、身体の安全確保困難をあげている。

そんな理由で入国を拒否しなければならない状況に韓国があるのであれば、日本からは誰も訪韓できなくなる。

新藤氏らの訪韓については、元々、領土問題に関する特命委員会として計画され、自民党の総裁、幹事長、政調会長の了解を得て進めてきたのだけれど、直前になって、石原幹事長から、特命委員会としては派遣せず、議員個人での視察に変更された。



これについて、経済評論家の渡邊哲也氏は、党としての派遣となると、外交と解釈され、ペルソナ・ノン・グラータの対象となる可能性があるので、それを口実に韓国側に入国拒否される懸念を前もって潰したのだ、と指摘している。

ペルソナ・ノン・グラータ (Persona non grata) とは、ラテン語で「好ましからざる人物」の意味で、外交官として、受入国に受け入れを認められないことをいう。

この受け入れ拒否はいつ何時でも一方的に発動でき、またその理由を提示する義務はなく、ペルソナ・ノン・グラータの通告を受けた者は、速やかに本国へ召還するか、外交官任務を終了しなければならない。

だから、石原幹事長の党としての視察中止ではなく、個人としての視察なら了解したということは、より視察できる可能性を広げたという意味において、新藤氏への援護射撃だったともいえる。

そこまでお膳立てしたにも関わらず、韓国は新藤氏らの入国を拒否した。これは、後々大きな外交問題となる。

議員とはいえ、個人として視察するだけの目的の人物を相応の理由の説明もなしで入国拒否したという前例を作ってしまえば、今度は日本側から同じく入国拒否されても文句はいえない。たとえば、竹島がらみか何かで、韓国の議員なり、政治団体なりが抗議に来日しようとしても、日本側から一方的にそれを断ることだって出来てしまう。

それに何より、今回の韓国の入国拒否という対応は、全世界に韓国は国際常識のない国であることをアピールすることになった。これは相当な痛手。

現在、韓国は、竹島が韓国領である根拠として、古地図に記されている、鬱陵島の隣にある于山島が竹島(=韓国名:独島)であるという説を唱えている。

以下に鬱陵島を記した、19世紀の「海東輿地図」と実際の鬱陵島の地図等を示す。

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左上の図が19世紀の「海東輿地図」なのだけれど、鬱陵島の右横に于山島という島が記されている。韓国はこの于山島が竹島(=独島)のことだと言っているのだけれど、下図で分かるとおり、鬱陵島と竹島は90kmくらい離れていて、すぐ隣という位置関係にはない。

右上の図が、実際の鬱陵島の地図なのだけれど、実はこの隣にカンウム島とチョクト島(=竹島=竹嶼)という小さな島があって、日本側は、于山島はこのチョクト島(=竹嶼)のことだと指摘している。

確かに、「海東輿地図」に記されている于山島は、位置関係的には、遠い竹島よりチョクト島(=竹嶼)だと捉えたほうが分かりやすいし、こちらの方が説得力がある。

ところが、このチョクト島(=竹嶼)の存在は、一般の韓国人にはあまり知られていないらしく、それを今回の新藤氏らの鬱陵島訪問で明らかにされてしまうと、韓国政府としては具合が悪いという事情があるのかもしれない。

だけど、だからといって、個人として視察しに来た人を勝手に入国拒否できる謂れはない。そんなに見せたくないのかと逆に勘ぐられてしまう。

それどころか、韓国政府は、李大統領の訪日取りやめを検討および天皇陛下の韓国訪問についての話し合いを中断、そして対北朝鮮政策をめぐる韓日両国の協力レベルも引き下げる方針を固めたという。ちょっと過剰反応に見える。

一方、今回の入国拒否によって、日本は、今後、竹島および鬱陵島を訪問するぞとアプローチするだけで、韓国側の態度を硬化させることができる一種の外交カードを手にいれることになった。

このカードを、自民党が意識的に使うと、たとえば、韓国から太陽光パネルの大量輸入をするとか、菅政権が韓国に対して何らかの便宜を図ろうとしたときに、このカードをちらつかせてやれば、それを潰したり、揺さぶりをかけたり出来るという、日本版「指桑罵槐」カードとして使うこともできる。まぁ、そこまで阿漕なことをするかどうかわからないけれど、やろうと思えば可能。

韓国側としては、国内世論に配慮しての入国拒否なのかもしれないけれど、何やら、目先を取り繕うことに目がくらんで、もっと大きな国益を毀損してしまったような気がしてならない。


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画像自民議員、韓国で入国拒否!とんでも対応に非難ゴウゴウ 2011.08.01

 韓国・鬱陵島視察のため、訪韓した自民党の新藤義孝衆院議員と稲田朋美衆院議員、佐藤正久参院議員の3人が1日午前、ソウル・金浦空港に到着したが、韓国政府に入国を拒否された。新藤氏は同行記者団に「韓国政府から、出入国管理法を適用し、入国不許可とすると伝えられた」と説明した。日本の国会議員が入国拒否されるのは極めて異例。外交常識を逸した、韓国側の理不尽極まる対応に日本側の反発は必至だ。

 3人は、韓国が不法占拠している竹島関係の博物館などの視察を目的に鬱陵島を2、3日に訪れる予定だった。入国審査では「竹島の領有権主張のためではない」と説明、理解を求めたが、韓国側は出入国管理法の「公共の安全を害する行動を起こす恐れがある」との入国禁止規定を適用したとみられる。

 7月31日には、新藤氏らと合流を予定していた竹島問題に詳しい下条正男・拓殖大教授が仁川空港で入国不許可とされていた。

 新藤氏らは出発前、羽田空港で記者団に対し「行かなければどう喝に屈したことになる。韓国が入国させないなら日韓両国の友好に疑念が生じる」と述べ、枝野幸男官房長も1日午前の記者会見で、韓国政府が入国を許可しない方針を示していることに「そういう対応は受け入れられない」と述べていた。

 韓国の対応に、自民党内では「国会議員が『平穏に現地視察をしたい』というのに、『身辺の安全確保が難しい』として入国拒否するのは異常。脅しのようにも聞こえる。これでは一般人も落ち着いて観光できない。近代国家としての体をなしていない」などと、批判の声が強まっている。

URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110801/plt1108011545002-n1.htm



画像政府、自民議員の入国許可を要請 2011年8月1日(月)18時26分配信 共同通信

 【ソウル共同】日本政府は1日午後、竹島(韓国名・独島)北西の韓国・鬱陵島視察を目指す自民党議員3人がソウルの金浦空港で足止めされたことを受け、入国を許可するよう在ソウル大使館を通じて韓国政府に要請した。だが韓国側は出入国管理法に基づき不許可とする姿勢を崩さず、膠着状態が続いた。韓国側は空港で新藤義孝衆院議員ら3人に対して、入国禁止規定の適用を伝え、早期に帰国するよう説得した。

URL:http://news.nifty.com/cs/domestic/governmentdetail/kyodo-2011080101000761/1.htm



画像自民議員、強制帰国に=世論は入国拒否を当然視-韓国

 【ソウル時事】韓国政府は1日夜、入国を拒否した自民党の新藤義孝衆院議員ら衆参両院議員3人をソウル・金浦空港から日本に強制的に帰国させた。韓国内では、新藤氏らの訪韓に対し「日本の相次ぐ挑発」(聯合ニュース)などと非難する声が圧倒的で、入国拒否を当然視する雰囲気だ。
 新藤氏らは入管当局に対して納得できないと主張していたが、最終的に入国を断念。同氏は帰国便に搭乗する前、記者団に「要求は国家として引き取り、引き続き韓国に答えを求める」と政府間の対応に委ねる考えを示した。 
 韓国政府は当初、竹島(韓国名・独島)に近い鬱陵島を視察する新藤議員らの計画に対し、自制を求めつつ、状況を見守る冷静な対応に努めた。しかし、入国を認めれば、激しく反発する市民団体などとの物理的衝突も懸念され、かえって問題がエスカレートしかねないと判断した。
 与党ハンナラ党は同日、論評を出し、「独島を領土紛争の場に引きずり込もうという腹黒い内心をあらわにした」と議員らを非難するとともに、「政府も全般的な対日関係について再検討しなければならない」と強調した。
 今後、韓国内で日本への強い対応を求める声が高まる可能性があり、8月15日の解放記念日の演説で、李明博大統領が今回の問題を取り上げるとの観測も出ている。(2011/08/01-20:52)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011080100819

この記事へのコメント

  • sdi

    今回の件、韓国社会の反応は今まで通りというか予想範囲内。ただ、韓国政府が入国拒否に出るとは思いませんでした。「鬱陵島行きの船が日本国議員を乗船拒否」もしくは「独島記念館が入館拒否」あたりを予想していたのですがね。佐藤議員はじめ自民党・外務省あたりがそのあたりまで読んでこの手を打ったとすると憤懣やるかたない顔で記者会見しつつ内心「ニヤリ(ゲンドウ笑い)」していることになりますね。
    実のところ、今回の三議員の訪韓で韓国側が「どうぞ、どうぞ好きなだけ見ていってください。貴殿らがどこに行こうと『独島』が我々の領土である事実はゆるぎません」みたい対応されたらどうなったでしょうね。そのときは鬱陵島と竹嶼を視察してその結果を帰国して報告するくらいしたこちらの手はなかったりします。その場合、マスコミの扱いも国内輿論および国際社会へのアピール度も遥かに矮小されたものになっていたでしょう。つくづく斜め上な方々です。
    2015年08月10日 15:27
  • opera

    韓国社会の反応は別にして、今回の韓国政府の対応はかなりお粗末でしたね。入国拒否というのは最低の悪手。入国許可後の行動制限あたりが落としどころだったはずです。日本側としては、有力なカードを手に入れたのは間違いないでしょう。国際的にもそうで、さっそくBBCのコメンテーターは、「韓国政府は自覚と知能が足りない」と酷評したそうですし。
     ただ、今回の訪問は、国会開会中の国会議員の訪問であり、少なくとも議院の許可を貰っているはずですから、個人(私人)としての訪問というのはあり得ず、外交の一環としての公務扱い、立場も外交官に準じるのは当然で、ペルソナ・ノン・グラータ回避のために個人としての訪問を認めたというのは、理屈になりません。たぶん組織として派遣してしまうと、後で韓国が泣きを入れてきた時に、公式に受け取る窓口が無くなってしまう、というあたりが表面的な理由だと思います(まぁ、韓国だけならどうでもいいですが、背後にアメリカなどが絡んできたときの外交の柔軟性の確保ということでしょう)。
     今回は、ペルソナ・ノン・グラータを宣告しての入国拒否ならまだしも(ペルソナ・ノン・グラータの宣告自体も戦線布告
    2015年08月10日 15:27
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    庵主殿は自民党に切札を与えたとお考えのようだが,
    産経新聞の論調では自民党への落胆の方が強いようだ.
    そもそも韓国側では不利とも何とも思わないだろう.
    猪突猛進の相手に高等戦術は効かない.

    半島と日本の関係は国内政治よりは上のレベルの話.
    日本の政治としては, 日本のための不退転の心意気
    が示される方が重要. 渡辺氏は最大限自民党に配慮
    したのだろうが, そもそも野党の動きが外交と認知
    されるなら何でもありの世界なのであって, 到底,
    国と国の正常な関係は築けない.

    幹事長が言ったのは面倒はかけるなという, そのまま
    のことだろう.

    分からぬ真意はさておいて, 田母神氏に刺激された
    保守の気持ちは谷垣自民党には向かわないのは明白.

    三名の議員は不当拘留も覚悟の上で向かった筈だ.
    兵士の覚悟を活かせない大将を戴く限りは戦いには
    勝てないことは佐藤議員は良く分かっている.
    2015年08月10日 15:27

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