「我々は日本と同じシステムを使っている。あのような事故はありえない」台湾新幹線・技術担当者 於:2011.7.25 運行システム説明会
今年7月23日に、中国・温州でおきた中国新幹線衝突事故の報告書発表が延期されたとの報道があった。
中国政府は事故の徹底究明を約束し、専門家調査チームを結成。当初は9月中旬に報告書が公表される予定だったのだけれど、検討会やヒアリングなど200回以上の会合を重ねても報告が延期された。今のところ、いつ発表されるのかの見通しすら明らかになっていない。
これまでの調査では、中国開発の信号システムの問題だったとされているのだけれど、報告書が出されていない以上、それ以上のことは分からない。
中国の高速鉄道計画は1990年代の初めから開始され、1997年、1998年、2000年、2001年、2004、2007年の合計6回にわたり、鉄道高速化が行われてきた。
とりわけ、2007年の第6次鉄道高速化では、海外技術による高速車両、いわゆる中国新幹線が導入され、大幅なスピードアップが図られた。
元々、中国新幹線は、日本の新幹線技術の導入に関心があると見られていたのだけれど、導入が計画されていた2003年当時の中国では、日本に対する厳しい反日世論が沸き起こっていたこともあり、結局、日本だけでなく、色んな国の技術を導入することとなった。
その結果、フランスのアルストム、ドイツのボンバルディア・トランスポーテーションと川崎重工業を中心とする日本の企業連合との契約が成立し、それぞれの高速鉄道車両が導入される。
各社の車両は次の通り。
1)CRH1型
ドイツのボンバルディア・トランスポーテーション社(カナダに本拠をおくボンバルディア・グループの鉄道部門)などと提携して導入された高速鉄道車両で、原形車はスウェーデン・SJ AB社のRegina C2008形。設計最高速度 250 km/h。
2)CRH2型
日本の川崎重工業車両カンパニーから購入した高速鉄道車両で、日本のE2系1000番台新幹線電車がベース。設計最高速度 315 km/h。
3)CRH3型/CRH380B型
ドイツのシーメンス社の技術供与によって中国の車両メーカー(中国北社)が製造した高速鉄道車両で、シーメンス社のヴェラロ(ICE3)がベース。設計最高速度は不明だけれど、ICE3の設計最高速度は 330 km/hであることから同等程度以上と推定される。
4)CRH380A型
日本のE2系1000番台新幹線電車をベースとしたCRH2C (CRH2-300) 型電車の発展形で、最高速度313km/h。
5)CRH5型
フランスのTGVを製造したアルストム社と提携して導入した高速鉄道車両で、旧フィアット社の「ペンドリーノ」ETR600電車をベースとした動力分散方式による高速電車車両。営業最高速度は 250 km/h。
とまぁ、設計上では最も速いCRH3型やそれに続くCRH2型でも300~330km/hなのだけれど、何を考えたのか、中国は、CRH2型でも、設計最高速度を大幅に超える350km/hを、あろうことか営業速度にして、それで運行しようとした。
新幹線のように、動力がついている車両(動力車)を分散させているタイプの車両編成では、動力車とそれに引っ張られる車両とがそれぞれ何両づつあるかを示す比率のことをMT比という。
Mは動力車でTが付随車のことなのだけれど、CRH2型は動力車4両、付随車4両の4M4Tと呼ばれる編成であったのを、M/T比を拡大し動力車6両、付随車2両の6M2Tにして、無理矢理スピードを上げて、2008年8月からCRH3型と共に営業速度350kmで運行を始めた。
ところが、その後、JR東日本と川崎重工が「350キロ運転は契約違反で、250キロまでしか保証していない」と抗議して、「責任は求めない」との念書を取ったたため、営業速度350kmの路線は全てCRH3型とし、CRH2型は営業速度250kmの他の路線に配置換えとなったという経緯がある。
今回の中国新幹線の脱線転落事故は、停止していたCRH1型にCRH2型が追突して、CRH2型が転落した。
CRH1がカナダ製、CRH2が日本製だから、中国は、同一路線で、異なる会社(システム)の車両を運行させたりしていることになるのだけれど、普通に考えれば、元々異なるシステムで運行されていた車両を同一システムとして運行するのは、大変な調整と慎重な運用が必要になると思うのだけれど、一体中国がそのあたりをどうしているのかよく分からない。
ただ、事故の影響を受けてか、中国の8月の旅客輸送量も前年同期比699万人減しているし、少なくとも、この事故で中国新幹線の海外売り込みは難しくなるだろうことは疑いない。
それでも、事故を起こしたとはいえ、日本製の車両そのものの信頼度は相変わらず高い。
2011年9月1日に、中国鉄道部が公布した高速鉄道の故障に関する報告によると、7月に高速鉄道で発生した故障は168件、うち設計・製造に問題があったケースは6割にあたる106件。そのうちの42件がシーメンス社ベースの「CRH380BL」型で、8月11日には、この「CRH380BL」型車両54編成はリコールされている。
それに対して、日本のE2系ベースの新型車両CRH380Aは、直近1カ月にわたって故障がなく、安定期に入ったとの見方をされている。
このように車両そのものの信頼度において、ここまではっきりと差が出てしまうと、今後日本の新幹線の信頼度が高まることはあっても、下がることはないだろうと思われる。
冒頭で引用したように、車両から、自動列車制御装置(ATC)から日本製を導入した台湾新幹線が、日本と同じシステムを使っているから、あんな事故はありえないと自負するのも頷ける。
新幹線の話ではないけれど、昔、イギリスのBBCの人気自動車情報番組「トップギア」で、トヨタのハイラックスの耐久実験が行われたことがある。
この中で、13年前に生産されたハイラックスの中古車両を購入し、海水に車体を数時間沈めたり、解体用の鉄球で衝撃を与えたり、ビルの屋上に置いて、爆破解体工事を行うなどの方法で破壊して、車体をボロボロにしたのだけれど、基本的な工具だけで修理しただけで、動いてしまうという恐るべきタフネスを示したことがある。
筆者はこれを見て、非常に驚くと同時に感心したのだけれど、日本がこのモノづくりを続ける限り、日本製に対する世界の信頼は揺らぐことはないだろうと思っている。
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「うちは日本製ですから」台湾新幹線、安全性を強調
中国温州で起きた高速鉄道列車事故を受け、台湾高速鉄道(台湾新幹線)が25日、桃園駅近くの施設で一部メディアに対し、運行システムの説明会を開いた。
技術担当者は「中国の事故はまだ原因不明だ」と直接の論評を控える一方、「我々は日本と同じシステムを使っている。あのような事故はありえない」と自信をみせた。
台湾新幹線は2007年初めに開業。台北―左営(高雄)間345キロを最速96分で結ぶ。ピーク時は1時間に6本が走る。導入時に複雑な経緯をたどったため、独、仏製品が交じっているが、車両は700系新幹線をもとにした日本製、安全確保の中核となる自動列車制御装置(ATC)も日本製だ。
この日は訓練用の模擬運転装置を使い、追突を防ぐ仕組みを解説した。最高速度の時速300キロで運転中、前方に止まったままの列車があるとの想定。警報が鳴りATCが作動、ブレーキがかかり1キロ手前で完全停止するまでの様子が公開された。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY201107250623.html
<高速鉄道衝突>事故原因究明報告書の発表延期=調査チーム会合200回以上開催も見通し立たず―中国 Record China 9月25日(日)16時32分配信
2011年9月21日、英ロイター通信は温州高速鉄道衝突事故の報告書発表が延期されたと報じた。24日、環球時報が伝えた。
7月23日に起きた高速鉄道衝突事故は40人の死者を出す惨事となった。中国政府は徹底究明を約束。専門家調査チームが結成され、検討会やヒアリングなど200回以上の会合を重ねている。
当初予定では9月中旬に報告書が公表される予定だったが、現時点でまだいつ発行されるのか、見通しは明らかにされていない。当初、中国メディアは海外から導入した技術に批判的だったが、後に中国開発の信号システムの問題だったことが明らかになった。(翻訳・編集/KT
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110925-00000010-rcdc-cn
8月の中国鉄道投資は前月比1000億円も減少、旅客数も伸び悩む―高速鉄道事故響く
2011年9月15日、中国鉄道部によると、今年1-8月の鉄道関連の固定資産投資は前年同期比11.5%減の3577億2000万元(約4兆2900億円)にとどまった。16日付で21世紀経済報道が伝えた。
中国鉄道部統計センターが発表したところによると、1-8月の鉄道関連の固定資産投資は前年同期比466億8000万元(約5600億円)の減少だった。月別でみると、6月は581億元(約6900億円)、7月は443億元(約5300億円)、8月は353億元(約4200億円)。7月と比べて89億9900万元(約1080億円)の減少となった。
鉄道関連の固定資産投資は「飛躍的発展」のスローガンの下、2005年の1364億3100万元(約1兆6000億円)から2010年の8426億2500万元(約10兆1200億円)まで右肩上がりが続いていた。
8月の旅客輸送量も前年同期比699万人減。7月に浙江省温州で起きた高速鉄道の追突・脱線事故が利用者の増加にブレーキをかけた形となった。(翻訳・編集/NN)
URL:http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54405
北京・上海間高速鉄道、直近1カ月は故障ゼロ=日本・新幹線系への全車両切り替えが奏功―中国 Record China 9月20日(火)9時41分配信
鉄道車両製造メーカー・中国南車集団は北京・上海間高速鉄道を走る新型車両CRH380Aが1カ月にわたり故障がないことから、安定期に入ったとの見方を示している。写真は北京市。北京・上海間高速鉄道用の車庫。
2011年9月、鉄道車両製造メーカー・中国南車集団は北京・上海間高速鉄道を走る新型車両CRH380Aが1カ月にわたり故障がないことから、安定期に入ったとの見方を示している。19日、南方日報が伝えた。
6月30日に鳴り物入りで開業した北京・上海間高速鉄道だが、その後、停電と臨時停車というトラブルが相次いだ。7月だけで168件ものトラブルがあったという。故障のほとんどは中国北車が製造した独シーメンス系の新型車両CRH380Bに集中していた。
8月16日、CRH380Bのリコールが決まった。以後、北京・上海間高速鉄道の車両66編成はすべて、中国南車が製造した日本新幹線系の技術が使われているCRH380Aが担っている。この1カ月というもの、1件の故障も報告されていない。同車両は上海・寧波間高速鉄道、武漢・広州間高速鉄道などにも投入され、安全運営距離は累計2000万キロに達した。(翻訳・編集/KT)
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110920-00000007-rcdc-cn
高速鉄道の故障、7月だけで168件も=6割が設計・製造に問題―中国
2011年9月1日、中国鉄道部が公布した高速鉄道の故障に関する報告によると、7月だけで168件の故障が起きていたことが分かった。21世紀経済報道が伝えた。
中国鉄道部が全国の鉄道局や車両メーカーに公布した報告によると、7月に高速鉄道で発生した故障は168件、うち設計・製造に問題があったケースは6割にあたる106件に上った。大手車両メーカー「中国北車」の子会社が製造したものがそのうちの86件を占めた。
さらにそのうちの42件は、北京-上海間の高速鉄道「京滬高速鉄道」で運行していた新型車両「CRH380BL」型だった。同型の車両は6月30日の開業以来、パンタグラフや車軸の温度センサーの誤作動など故障が相次ぎ、先月11日、54編成のリコールを同社が発表している。
また、浙江省温州市で7月23日に起きた追突・脱線事故の4日後にあたる同27日にも、事故発生地点に近い場所で大手車両メーカー「中国南車」の子会社とボンバルディアの合弁会社であるBSP社製の「CRH1-071A」が信号トラブルで緊急停車し、立ち往生する事故があったことも報告された。(翻訳・編集/NN) 2011-09-02 22:05:42 配信
URL:http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54035
この記事へのコメント
愛信
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/03/14/kiji/K20110314000427970.html
防衛省の折木良一統合幕僚長は14日、大津波で水没した航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)の被害状況を視察した。同基地ではF2戦闘機(1機約120億円)18機をはじめ、航空機計28機が水没。すべて使用できない場合は総額2千億円以上の被害となる。
松島基地ではF2戦闘機1機の機首が滑走路横の建物に突っ込み、T4練習機2機も土砂ごと建物近くへ押し流されていた。「海水に漬かってしまった航空機は、おそらくすべて使えない」(防衛省幹部)とされ、折木氏らは状況を確認し、今後の対応を検討する。
防衛省は年内に次期主力戦闘機(FX)を選定し、2015年度までに12機の調達を予定。しかし1個飛行隊分の戦闘機が丸ごと使用不能となれば防空態勢に穴が開くのは避けられず、計画の見直しを迫られそうだ。
秘書が罪を被ることで小沢の無罪が決まったのも保守が押してきた世襲利権自民党の負の遺産でしたね。
ちび・むぎ・みみ・はな
根本的に何かが間違っているとしか思えない.
支那の宇宙開発の裏では死者累々との話しを聞く.
科学技術とは思想なのだろう.
秀才学者を輩出しても科学技術で遅れをとる国.