平成26年度に退役予定のヘリコプター搭載護衛艦「しらね」を代替となる護衛艦、22DDHの建造が来年度から開始される。(就役は2014年度)
22DDHは、全長248m、基準排水量19500トン(満載排水量は非公開)の空母型多目的艦。現在就役している16DDH護衛艦「ひゅうが」、18DDH「いせ」は全長197m、基準排水量13500トンだから、二回りほど大きい。
これは、旧帝国海軍空母「加賀」の全長254mに匹敵する大きさで、現代であれば、イタリアの新型多目的空母「カヴール」の全長244m、満載排水量27100t 、スペインの新型多目的空母「ファン・カルロス一世」の全長230.82m、満載排水量24660tと同クラス。
22DDHは、一応、ヘリコプター護衛艦に区分されているけれど、その機能・運用を見る限り、多目的空母と言っていいい。
因みにDDHとは、ヘリコプター護衛艦を意味する(Helicopter Destroyer)の略で、ヘリを搭載しない(唯の)汎用護衛艦だとDD、ミサイル護衛艦だとDDG(Guided Missile Destroyer)になる。Dが二つあるのは、艦種記号が略して一文字で終わる場合は同文字を重ねるアメリカ海軍方式と同じで、例えば爆撃機(B-なんちゃら)の"B"と、戦艦(Battleship)の"B"を混同しないように配慮されているから。
多目的空母は、最近、各国の海軍で建造されている"流行り"のタイプの艦で、軽空母としての基本能力に加え、輸送艦・揚陸艦・補給艦としての能力を兼ね備えている。
22DDHは、従来の護衛艦と比較しても輸送機能、補給機能、医療機能が高まっている。
たとえば、「ひゅうが」型では、船体の横から車両などが乗り入れるためのサイド・ランプ(舷側歩板[げんそくほばん])は、入口の大きさの制限からジープ程度の小型車両くらいしか入れないものだったのだけれど、22DDHには、右舷中央部に輸送艦「おおすみ」型が装備しているものと同等のサイド・ランプが装備され、これによって、陸自の73式大型トラックを約50両が搭載可能な他、空自のパトリオット部隊も輸送可能だといわれている。
また、国際援助や邦人救出の際の人員輸送も考慮され、およそ400名程度の人員が収容可能な居住設備や食堂などを備えているのに加え、自衛艦として最も高度な医療能力を持っていることで知られている「ましゅう」型補給艦と同じく、手術室、集中治療室、レントゲン室、歯科治療室と約35床の医療用ベッドを備えている。
そして、格納庫に陸自の野外手術システムを持つ車両を搭載すれば、更に医療機能を充実させることができることから、大規模災害時の病院船としての活用も想定される。22DDHが東日本大震災時に就役していれば、かなりの力になったものと思われる。
その一方で22DDHの兵装は簡略化されていて、最低限の自衛火器しか装備されておらず、ミサイルや対潜ロケット(アスロック:Anti Submarine ROCket )を垂直発射するシステム(VLS)や、魚雷発射管は搭載されていない。
これは、対潜その他の洋上戦闘には、「ひゅうが」型の全長197mくらいの大きさが限界だとされているためで、22DDHは、艦隊旗艦及び航空運用中枢艦としての運用を想定している。
そのため、22DDHは単艦で運用することはなく、イージス艦のような護衛を伴った艦隊として運用されることになる。したがって、艦体自体は大型化したものの、建造費は 「ひゅうが」の 1057億円、「いせ」の975億円に対して、1139億円と大体同程度に抑えられている。
さて、22DDHのヘリ空母としての機能については、発着艦スポットが「ひゅうが」型の4ヶ所から5ケ所に増え、後部エレベーターも「ひゅうが」型のインボード式からデッキサイド式に変更されている。
この後部エレベーターがデッキサイドに移動することで、エレベーター用として格納庫のスペースが割かれることがなくなり、結果、格納庫スペースが増加し、更に、エレベーターサイズより多少大きい機体でも昇降が可能になる。
実際22DDHは、艦体の拡大と後部エレベーターのデッキサイド式への変更によって、搭載機も「ひゅうが」型の10機程度から最大14機に増加している。
22DDHに関しては、中国も気にしているようで、「駆逐艦と称して完全な軽空母を建造している」だとか「艦載機としてF-35Bが配備される」とか言っているようだ。
だけど、艦載機型であるF-35Bは開発が遅れている上に、そもそも空自のFXが決まっていない状況で、そんなことを言われても、何とも答えようがない。
一説には22DDHは将来的に艦載機も運用できるように設計されているという話もあるようなのだけれど、仮にそうだったとしても、軽空母クラスの大きさでは、スキージャンプ台やカタパルトが必要になるし、F-35BのようなSVTOLにしても、甲板をSVTOLの排気熱に対する耐熱強化等、相当な大規模改修が必要になる。
※尤も、「ひゅうが」の飛行甲板には、既にアメリカの空母や強襲揚陸艦と同じ耐熱の滑り止め剤MS-440Gが施されていて、排気熱の問題はないという噂がある。
だから、今のところは、22DDHは多目的ヘリ空母としての運用を想定しているものと思われる。それでも、中国が22DDHを気にしているのが本当であれば、日本が空母のような「護衛艦」を持つだけでも、政治的には意味あることだし、その運用および能力を考えると、今の日本には必要なものであることはいうまでもないだろう。


日本が大型のヘリコプター搭載護衛艦「22DDH」の建造を予定していることについて、外部では駆逐艦と称して実質的な軽空母を導入するものとの見方が出ている。多維新聞網が伝えた。
■自衛隊 - サーチナ・トピックス
環球網は15日、「近年、日本はヘリコプター搭載駆逐艦の建造に力を入れている」と報じた。2009年に就役した「ひゅうが型護衛艦」もヘリコプター最大積載機数11機、満載排水量1.9万トンと大型だが、その次級艦である「22DDH」は全長248メートル、艦載ヘリコプターの積載機数は14機、満載排水量は2.4万トンと、スペイン、イタリア、英国の軽空母の排水量をも上回る。
中国の著名軍事評論家である中国海軍の尹卓少将は、「22DDHの装備は日本の遠隔地への兵力投入能力が大きく向上する可能性を意味している。日本及び西側メディアの報道によれば、日米は現在、艦載機型ステルス戦闘機F-35Bの導入について協議しており、F-35Bは第一に22DDHに配備される可能性が高い」と分析。
さらに、「この護衛艦は、その形状と全通甲板を有していることから、F-35Bのような機が直接、垂直離着陸することが可能であり、完全に軽空母の一種と言える」と指摘した。
また、巨大な格納庫には複数機のF-35Bを格納することができ、エレベーターは20トン近くまで積載が可能である。F-35Bは本体の重量だけで十数トンあるため、一般には甲板上で燃料と弾薬を搭載する。
中国社会科学院日本研究所の高洪・副所長は、「日本国内ではこれまで憲法第9条による制約から、具体的な軍事配備計画が制限を受けるなか、日本の新旧保守政党および戦略派は一貫して(空母建造を)推進してきた」とし、ロシアの軍事圧力、中国のめざましい発展、米国からの規制の板ばさみとなっている日本が、防衛問題に風穴をあけるため、ぎりぎりのラインを狙って軽空母を建造しようとしているとの見方を示した。
尹卓少将は、「軽空母は兵力を海上輸送する際の防空問題を解決することが主な役割であり、本来は防御性の兵器に属する。しかし、防御性の兵器でも日本の兵力輸送能力を大幅に向上させることができる。防空能力を備えることで、南シナ海はおろかインド洋まで部隊を展開することが可能だ」と指摘。巨額の公的債務を抱えながらも「22DDH」建造に十数億ドルを投入する日本の軍事動向から目が離せないとしている。(編集担当:中岡秀雄)
URL:http://news.searchina.ne.jp/disp_android.cgi?y=2011&d=0919&f=politics_0919_008.shtml
この記事へのコメント
フジtv抗議デモは大政翼賛会復活を願う国賊行動であ
「広く視聴者ニーズにお応えできるような番組制作・編成を行っております。どのような番組を放送するかは、
総合的かつ客観的に判断し決めております」と説明。表彰式のカットについては「あくまでも放送時間および番組
構成上の理由であり、それ以上の意図はありません」。「韓日戦」の表記については「FIFA(国際サッカー連盟)の
公式ホームページに表記されている正式大会名称に則った番組タイトルとして、ホーム&アウェイの関係から開催国
(ホーム)を前に、対戦相手国(アウェイ)を後に表記するのを基本とした」と回答した。
また、ステルスマーケティングではという指摘に対しては、「番組やイベント内容に適した作品を使用しています。
制作の自主性を重んじ、より良い番組作りのために効果的な楽曲を使用するという基本方針を大事にしております」と回答し、
宣伝目的で 楽曲を使用していないという見解を示した。
これらフジテレビの回答に対して、インターネットユーザーからは「苦し紛れの言い
ちび・むぎ・みみ・はな
エレベータで格納できないので, 純粋に日本近海
での運用に限られているとか. 今後の台湾, ベトナム
や米国との連携を考えるなら, 大きな機体も格納
できて有時に迅速に対応できると良いと思う.
後付け電磁カタパルトなんて開発できないものか.
日本には研究用のでかい電磁ガンがあるのだから,
技術はあるのだろう. 後は電源か. 研究所の電磁ガン
は電気を食うのでは皆の迷惑だと聞く.
日比野
スキージャンプの無い全通甲板だとやはり、ハリアーのようなVTOLになりますよね。となるとF35Bとなってしまうのですけれども、現時点では望み薄。
ただ、22DDHが将来の軽空母建造を見据えたものなのであれば、そちらの就役後に大規模改修の可能性はあるかもしれませんね。ただ、やはり、予算が・・・。
腰抜け外務省さん。コメントありがとうございます。
拙ブログには、軍事に詳しい方(ミリオタ?)も訪れていただいているようで、その方々のコメントは私にとっても非常に勉強になります。
>さて、待望の22DDHですが、個人的には正直期待外れ、「器用貧乏」の感を否めません。
なるほど、そうですか。確かに兵装の弱さは護衛任せを前提としても、肝心のその護衛艦が護衛に回せるだけないと本末転倒ですね。
もしかしたら、将来の正規空母とはいかないまでも正式な軽空母建造まで睨んでいるのかもしれません。艦名が何になるかで、ある程度見えてくるのかもしれませんね。
愛信
福島県二本松市の旧小浜町のコメから国の暫定基準値と同じ1キログラム当たり
500ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
福島県は、二本松市を「本検査」での重点区域に指定し、出荷できるかどうかを
判断することにしています。
政府が求めているコメの放射性物質の検査は、収穫前に一部を刈り取って
放射性セシウムによる汚染の傾向を把握するための「予備検査」と、
収穫したあとの「本検査」の2段階で行われています。
福島県によりますと、県の「予備検査」で、二本松市の旧小浜町で採取されたコメから、
1キログラム当たり500ベクレルの放射性セシウムが検出されました。これは国の
暫定基準値と同じ値で、国が求めたコメの放射性物質の検査で検出された値としては、
これまでで最も高いものです。
福島県は、二本松市全体を「本検査」での重点区域に指定し、検査地点を計画していた
38地点からおよそ300地点に増やして、収穫されたコメを出荷できるかどうか
判断することにしています。
◎http://www3.
白なまず
「Battle of Midway - Nagumo Task Force (1/3)」
http://www.youtube.com/user/AllureCisse#p/u/10/xmBM5LA5kaQ
「Battle of Midway 2 - Sun Goes Down (2/3)」
http://www.youtube.com/user/AllureCisse#p/u/9/T--Ygev54ZA
「Battle of Midway 3 - Gone to Earth (3/3) 」
http://www.youtube.com/user/AllureCisse#p/u/8/JgA8ZZ7DVC4
日々の訓練が大事ですね。
「Practice」
http://www.youtube.com/user/AllureCisse#p/u/0/fVcdx3BAzWA
腰抜け外務省
初めてコメントさせて頂きます。いつも拝読させて頂いております。御亭主様の博識と見識の高さにはいつも驚かされます。
さて、待望の22DDHですが、個人的には正直期待外れ、「器用貧乏」の感を否めません。確かに航空機搭載多用途艦なのですが、それでは主用途は何なの?航空機搭載数も船体のでかさの割には少ないですし、対潜作戦が主任務なのか、洋上航空戦力の展開が主任務なのか、揚陸艦としての機能はLCAC等は搭載できず中途半端。
これだけの大きさ(船体長)の船を造るのであれば、もう少しトン数を増やして、それぞれの機能を充実するか、或いは主任務を絞り込んでその機能を充実させるか、いずれかにした方が良かったような気がします。個人的には航空能力を充実させ、30機前後の航空機を運用できる本格的な軽空母にした方が良かったのでは、と思っています。
また、装備面ですが、アメリカの空母にしても、各国の多用途艦にしても、個艦防衛用の短距離SAMは必ず搭載しています。20mmCIWSとSEARAMでは少し心もとないような気が・・・・
確かに艦隊旗艦として運用されますので、艦隊の防空能力に任せ
黒騎士
ワスプ級はスキージャンプの無い全通甲板で、ハリアーを運用してます。
なのでぶっちゃけ、22DDHを耐熱甲板にすれば軽空母の代わりになります。
見たところ設計自体が、将来の軽空母建造を見据えたものになっているようです。