9月20日、政府は、この日の朝の閣議で、先日の台風12号による被害について、紀伊半島を中心に、全国29の道府県に「激甚災害」の指定をする決定を行った。
これにより、復旧に伴う際の自治体への国からの補助率は80パーセントから90パーセントに引き上げられる。また、三重県熊野市と紀宝町、奈良県十津川村は「局地激甚災害」に指定することを決め、中小企業向け融資の保証枠の増設などが行われる予定。
激甚災害制度は、国民経済に著しい影響を及ぼす災害に対して、地方財政の負担の緩和や被災者に対する特別の助成が日必要だと認められる場合に指定するもので、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づいて定められる。
その基準はいろいろと細かい条件がついているのだけれど、無茶苦茶大雑把にいえば、公共施設の復旧であれば、災害地域のその年の標準税額の0.5%、農地であれば、その年の全国農業所得推定額の0.5%を超えると適用される。
たとえば、奈良県では、「激甚災害」の指定基準額に相当する265億円を上回ったようだし、農林水産分野でも、農水省の発表によれば、被害額は35都道府県で534億円にのぼるようだ。
まぁ全体でどれくらいの復旧費用が必要になるか分からないけれど、場合によっては1000億円以上になるかもしれない。臨時にもしものことがあった時に使われる一般会計の予備費は毎年大体3500億円は取っている。
だけど、東日本大震災を全く除外しても、台風12号ひとつで1000億くらいの被害になるのであれば、台風12号クラスが3~4個きたら、もうそれで予備費は無くなってしまう。
いくらなんでも、平成最悪とも言われる台風12号クラスのものが何個もくるわけないと、多寡を括る暇もなく、21日、台風15号が日本を襲った。
台風15号は21日午後2時に浜松市付近に上陸、東日本を縦断した。特に首都圏では、強風と大雨の影響で交通機関が大幅に乱れ、一部帰宅困難者も出た。
また、各地で避難指示や勧告が相次ぎ、愛知、三重両県を中心に約5400世帯、約1万5000人に避難指示。避難勧告を含めると、一時名古屋市で100万人、小田原市で10万人もの人々に勧告が出された。
台風15号の被害がどれくらいになるのかまだ分からないけれど、台風の強風で木が電線に接触してショートしたり、電線が切れたりして、広範囲に渡って停電が発生し、1都7県の合わせて31万8900世帯で停電したとか、新宮や三浦半島で瞬間最大風速31mを記録したとか報道されているところを見ると、相当な被害になると思われる。特に、台風12号によって、土砂ダムの決壊が懸念される紀伊半島の各地はひじょうに心配。
「台風12号の爪痕と鈍重内閣」でも述べたけれど、こうした状況ななのだから、今の臨時国会で、豪雨災害対策として2.5次補正を組んでもよいのではないかと思う。
なのに、国会は開店休業状態。
衆参両院の予算委員会に関して、民主、自民の両党は、衆院では26、27日の開催、参院は28、29日に予算委員会を開くことで合意したという。
ただし、自民党が衆参両院の各委員会での閣僚の所信表明と質疑を求めているのに対して、民主党は「新任閣僚の答弁に不安があり、委員会開催は避けたい」という思惑から応じない方針だという。
ちなみに、先の通常国会からの積み残し法案には次のものがある。
原子力事故調査委員会法案(野党議員立法)
二重ローン救済法案(野党議員立法)
私立学校復旧助成法案(野党議員立法)
郵政改革法案
国家公務員給与削減法案
内閣法改正案…閣僚を3人増員
このうち、野党が議員立法した、原子力事故調査委員会法案、二重ローン救済法案、私立学校復旧助成法案については、先の通常国会で与野党が「次期臨時国会で成案を得るようにする」ことで合意していた筈なのだけれど、これら3法案は次期国会に先送りすると見られている。
こんな逃げ腰の内閣で、災害対策のような緊急を要する事案にきちんと対応できるのか。どんなに現場が頑張ろうとも予算がなければ、やれることにも限界がある。その予算を決める国会を開店休業させるのは理解できない。
台風15号が上陸した21日には、茨城県日立市で震度5弱の地震があった。大型台風に大型地震。天災の日。
まるで、天が民主党にもう辞めろとでもいっているのではないかとさえ。
現実に対応する野田内閣の姿勢は周回遅れに見えて仕方がない。


30日まで会期が延長された臨時国会は今週、野田首相の訪米もあり、「開店休業」状態が続く見通しだ。
民主、自民両党は衆参両院の予算委員会に関し、衆院では26、27日の開催で合意。参院でも28、29日に予算委が開かれる見通しだ。自民党は衆参両院の各委員会での閣僚の所信表明と質疑も求めているが、民主党は「新任閣僚の答弁に不安があり、委員会開催は避けたい」(党幹部)という思惑もあり応じない方針だ。
また、通常国会で与野党が「次期臨時国会で成案を得るようにする」ことで合意した原子力事故調査委員会法案、東日本大震災事業者再生支援機構法案(二重ローン救済法案)、私立学校復旧助成法案の野党提出3法案などの処理も次期国会に先送りする構えだ。
自民党は、逢沢一郎国会対策委員長が20日の記者会見で「約束が果たされないことがあってはいけない」と批判。民主、公明両党との3党協議にも絡め、要求を受け入れるよう求める構えも見せており、駆け引きが続いている。
(2011年9月21日08時34分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110920-OYT1T01228.htm?from=main3
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
役立たずなのだが, 前任のヒトデナシ役立たず首相
と比較して財務省の支持が硬いと言う点が違う.
公明党の取り込みをどうするか, そこに増税首相
の精力が注ぎ込まれている筈.
愛信
早期解決を求める集いが21日、衆議院第2議員会館内で開かれ、約80人が参加しました。
早期解決を求めて運動してきた市民団体や個人がよびかけました。
韓国の憲法裁判所は8月30日、韓国政府に対し、「慰安婦」問題は1965年の
日韓請求権協定の対象外であり、韓国政府は日本政府と外交交渉すべきである、
との決定を下しました。
この決定を受け、戦時性的強制被害者問題解決促進法の成立などの野田新政権の
「慰安婦」問題早期解決への対応が注目されるなか、開いたもの。
女たちの戦争と平和資料館(wam)の池田恵理子館長が、高齢となり
次々と亡くなっている中国山西省の元「慰安婦」の現状を報告。
元日本軍衛生兵で、同省孟県で、集落の女性を「慰安婦」にした
松本栄好(まさよし)さん(89)が、加害体験を語りました。
日本共産党の紙智子参院議員が「日本政府が主体的立場で被害者に謝罪し、
早期解決するよう働きかけていく」とあいさつしたほか、民主、社民両党国会議員が
あいさつしました。
しんぶん赤
ポポイ