野田首相の初外遊と高いハードル

 
9月20日、野田首相は就任後発の外遊としてニューヨークへ出発した。

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国連総会での一般討論演説の他、日米、日韓の両首脳会談の他、ブラジルや欧州などの首脳との会談も予定されているという。

ただ、これまで野田首相は、海外で活躍したことがほとんどなかったこともあり、相手国首脳との信頼関係を構築することに重点を置きたいとのことで、あまり深く突っ込んだ話はしない模様で、日米首脳会談では、懸案の普天間問題でも、昨年5月の日米合意に基づいて辺野古への移設を目指すと述べるに留め、TPPについても自分からは触れない見通し。

また、日韓首脳会談で何が議題になるかについて、日本側からは、あまり伝えられていないけれど、韓国の外交通商省報道官は日韓首脳会談で日本の植民地時代に従軍慰安婦にされた韓国人女性の問題に言及する予定だと述べているようだ。

ただ、いくら野田首相が首脳会談を顔合わせ程度にとどめておいて、信頼関係を作ることを重視したいと思っていたとしても、顔見知りになったからといって、それだけで信頼を得られるとは限らない。

もちろん、電話だけで話しているよりは、直接会えば、その人となりがよく分かるということは、よくあることだから、面と向かって話すことで、人柄が伝わり、信頼"できそうだ"と思って貰える可能性はある。

だけどそれは、所詮、信頼できるかもしれないという"希望的観測"であって、それ以上じゃない。

本当に信頼を得るためには、信頼するに足る実績を示さなくちゃいけない。つまり、言ったこと、約束したことをちゃんとやってくるかどうか。信頼を得る秘訣は、この一点にかかっている。

だけど、それが対米関係となると、無茶苦茶重い。なぜなら、前政権、前々政権が言ったこと、約束したことの中に普天間問題があるから。

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今や、鳩山政権、菅政権が無茶苦茶にした普天間問題は、拗れに拗れてしまって、もう、ちょっと手が付けられない状態にある。

しかも、御丁寧なことに、野田首相に先だって、ワシントンを訪問中の仲井真沖縄県知事は、19日、自身の講演しで、普天間の移設先は、日本の別の地域を探した方が断然早いと述べ、辺野古移設を強行すれば、沖縄県民と米軍との関係が悪化するだろうとの見通しを示した。更には嘉手納との統合案についても、反対が強く、時間がかかると言っている。つまり、県内移設についてはかなり否定的。

ただ、今年5月に仲井真知事は定例記者会見で嘉手納統合案について検討の可能性示唆する発言をしているから、可能性がゼロというわけじゃない。

だけど、こんな講演を、日米首脳会談前にぶち上げられてしまったら、野田首相は、「オキナワはああいっているが、辺野古への移設は大丈夫なのか。日米合意を守れるのか」とオバマ大統領に聞かれるに決まっている。

結局のところ、普天間問題では、嘉手納統合案を除けば、もう選択の余地は殆どない。日米合意を守るという方針で会談に臨む以上、答えはYes以外にない。

だから、普天間問題はアメリカにとって、野田首相のリーダーとしての指導力を推し量る試金石であると同時に、信頼関係を構築するためのリトマス試験紙となってしまっている。

だから、もしも、野田首相がこれに見事に応え、辺野古移設を決めることができたなら、アメリカも野田首相を認めることになる。事によったら、野田政権の長期化さえ望む可能性だってある。

何せ、こちらの要求にきちんと応じる事が出来る首相がいるともなれば、彼が居るうちに、他の様々なことを決めてしまいたいと思う筈。

ただ、アメリカとて、今の日本の政治の現状を知らない筈はなく、党内支持基盤が万全ではない野田政権の指導力に疑問符で見ている部分はあるだろうし、現時点までの野田首相の動きを見る限り、早期に普天間移設でぴたりと纏められるようには見えない。

外国相手に足して2で割るなんて通用しない。それ以前に普天間問題は、双方で合意した"答え"なのだから、足すとか割るとかと"式"をこねくりまわせる余地なんか最初からない。

野田首相の外遊は、最初にして最大の難関を迎えることになる。


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画像野田首相が初外遊、NYへ…今回は「顔合わせ」

 野田首相は20日、米ニューヨークを訪問する初の外遊に出発する。

 21日午後(日本時間22日午前)にはオバマ米大統領と初の首脳会談、23日午後(同24日午前)には国連総会での一般討論演説を行う予定だ。一連の日程を通じ、東日本大震災からの復興と日本経済再生の決意を訴える。

 首相は現地で、李明博(イミョンバク)韓国大統領とも会談する。潘基文(パンギムン)国連事務総長や他の首脳との会談も調整中だ。

 日米間では、9月に予定されていた菅前首相の公式訪米は退陣で見送られ、昨年の日米安保条約改定50周年を機に策定することになっている新たな「日米共同宣言」も宙に浮いたままだ。首相は所信表明演説で日米同盟を「外交・安全保障の基軸」と言明し、関係強化に意欲を示している。

 ただ、国連総会の演説などの日程と並行して行われる今回の会談は短時間で終わり、「顔合わせの色合いが濃い」(外務省幹部)ものとなる見通しだ。同盟深化の目標は確認するが、米軍普天間飛行場移設や環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加などの個別のテーマでは、突っ込んだ議論にはならないとみられる。

(2011年9月19日04時00分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110919-OYT1T00024.htm



画像普天間「県外移設が現実的」=辺野古案強行、安保に悪影響-沖縄知事

 【ワシントン時事】米首都ワシントンを訪問中の仲井真弘多沖縄県知事は19日、市内で講演し、沖縄に米軍基地が集中している現状を訴え、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の「移設先は日本の別の地域を探した方が断然早い」と述べ、県外移設が現実的だと強調した。普天間の辺野古(同県名護市)移設計画を進める日米両政府をけん制した。
 仲井真知事は「日米安全保障条約は日米にとって大変重要な条約だ」との認識を示しつつ、在日米軍基地の約74%が沖縄に集中する実情を説明。ニューヨーク市内中心部に基地があるようなものだと述べた。
 鳩山政権が「最低でも県外移設」と打ち上げ、県民の期待感をあおった揚げ句、自民党政権時代の移設案に逆戻りした経緯も指摘し、「沖縄県民のほとんどの人が裏切られた」とも語った。
 さらに沖縄県内全41市町村が県内移設に反対や異論を表明したことを挙げ、「大勢の人が反対している中で、辺野古移設を強行する強い姿勢が出れば、日米安保体制に悪影響が出ると心配している。沖縄県民と米軍との関係が悪化するだろうと予想している」とくぎを刺した。知事は「辺野古移設は完全に見直す必要がある」と述べた。 
 レビン上院軍事委員長らが提示している、普天間飛行場の嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合案については、「(騒音問題が深刻化している)嘉手納基地の中に別の基地を持ってくるのは反対が強く、実現するのは非常に時間がかかる」と述べた。(2011/09/20-11:54

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011092000131

この記事へのコメント

  • これが世襲利権自民党が作った談合という国税横領工事

    東日本大震災で発生した大量のがれきの処理をめぐり、宮城県などに談合情報が寄せられている問題で、同県は21日、
    県内2番目となる亘(わた)理(り)名取地区の業者の選定結果を公表した。4つの処理区のうち一部は談合情報通りの業者だった。

     それぞれ選定されたのは、亘理処理区は大林組東北支店を代表とする共同企業体(JV)で、参考業務価格(税別)646億7684万円
    ▽山元処理区はフジタ東北支店を代表とするJVで同393億8282万円▽岩沼処理区は間組東北支店を代表とするJVで同283億460万円
    ▽名取処理区は西松建設東北支店を代表とするJVで同192億8651万円。

     県は8月下旬に業者を公募し、名取と岩沼にはそれぞれ2JVが、亘理、山元はそれぞれ4JVが応募していた。

     県は10月上旬に仮契約を交わしたうえで、県議会9月定例会に追加提案したいとしている。石巻地区は既に契約が成立している。

     今年7月、建設業者を名乗る人物から「亘理名取地区のがれき処理は大林組に決まっている」という内容が宮城県などに届いていた。

    産経新聞 9月21日(水)21時14分配信
    http
    2015年08月10日 15:26
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    初外遊?

    まだ初国会は開催中ではなかったのか.
    国内災害の予算手当には非常に重要な国会.
    それより, 主席や半島大統領と宜しくやって,
    TPP大統領とは増税の根回しでもやるのかね?
    増税首相と増税大統領, 共に国内事情不安定.

    首相が国連出席したって何も解決されない.
    単に国会から逃げたと言うのが正しいのだろう.

    それにしても,
    半島の大使館前の石碑建設はどうするのか?
    近代国家へ脱皮するための資本投資を散々に
    サービスした挙げ句にこれだ.
    もっとも, 責任の半分くらいは自民党にある
    と思うが.
    2015年08月10日 15:26

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