

今日は、フジテレビデモと花王不買運動について。
1.花王は圧倒的シェアを誇る業界No.1企業
先日のフジテレビに対するデモで呼びかけられているスポンサーへのデモや不買運動が行われている。特に主要スポンサーである花王やサントリーが主なターゲットになっていて、それらに対する不買運動が継続しているようだ。
まぁ、花王やサントリーのような、超大手企業に対して、不買運動というのがどこまで効果があるのかは、売上の変化が目に見える形で出てこないと分からないだろうけれど、ネットの一部には、ドラッグストア関係者が花王不買運動の対処法を記載したメールが流出したとの専らの噂。
何でも、9月16日の花王本社デモが予測を超えた規模であったことと、参加者の年代層も広く高いという事態を重く見、時間経過と共に売上が1割減になるのではないかとの予測が出始め、今後の対応如何では、経営に重大な影響が出る恐れがあることから、花王に回答を求めたところ、曖昧な返答に終始したことから販売対応を変更する、というもの。
真偽のほどは確かではないけれど、本当であれば、やはり、相当に影響が出ていると見ていいだろう。というのは、現在家庭用品において、花王製品の占めるシェアは圧倒的で、平成21年の売上高とシェアランキングでは、花王の売り上げ高は1兆円を超え、実に45%ものシェアを占めている。
花王は、今でこそ、業界で圧倒的なシェアと売上を上げているけれど、1975年くらいまでは、同業他社であるライオンと売上高は大差なかったのだけれど、その後、どんどん売上を伸ばし、今では、ライオンの3倍もの売上を上げるようになった。
その理由はいくつか挙げられているけれど、まず商品開発において、大人用紙おむつ市場といった高成長分野への新規参入に積極的に取り組んできたことや、ビオレ毛穴すっきりパック、健康エコナクッキングオイル、緑茶飲料のヘルシア緑茶などの新規市場創造に力を入れていることなどが指摘されている。
尤も、新しいチャレンジにはリスクが付き物なのは世の常。
たとえば、中性脂肪が付きにくい油を謳い文句にしてて販売された健康エコナオイルに、体内で発がん性物質に変わる懸念が指摘されているグリシドール脂肪酸エステルが高濃度で含まれることが、2009年に厚生労働省から報告された。
その後、消費者団体の主婦連合会が消費者庁、厚生労働省、花王に対し、エコナの特定保健用食品としての認可取消しや、一時的な販売停止を求める要望書の提出を行う動きがあり、それを受けて、花王は「エコナ」全商品の販売自粛と出荷停止を決定している。
また、2007年にカナダで、6ヶ月前から、ダイエット用として、カフェインを抜いた緑茶から抽出したカテキンのサプリメントを1日6カプセル(カテキン量で600mg相当)飲んでいた42歳の女性が、黄疸と腹部の痛みを訴え入院。中毒性肝炎と診断されるケースも報告されている。
花王のヘルシア緑茶は、350ml一本に、高濃度カテキンが540mg含まれているから、一部にはカテキン緑茶は肝臓によくないのでは、という指摘もある。
ただ、こうしたリスクも込みで新しい商品を開発しようという意欲が花王にはあり、それが同業他社との差を生んだというのも事実であろうと思われる。
2.健康被害と精神被害は同一には語れない
また、花王は、消費者の情報を得るために、他社とは異なる独自の仕組みがある。それは、花王製品を専門に扱う卸業子会社「花王販社」を持っていること。
通常、メーカーの製品は独立した卸を経由して小売店に流れるのだけれど、花王は直接子会社に卸を持つことで、ダイレクトに小売店での消費者動向を吸い上げる仕組みがある。花王はこうして吸い上げた意見を商品開発に生かしていて、花王は自社製品の改良品を良く出すという特徴がある。
たとえば、ライオンと比較した場合、1979 年から2000 年3月までの間に両社が販売した合成洗剤を見てみると、新製品という枠でみると、花王が31製品、ライオンが36製品とライオンの方が多いのだけれど、既存製品の改良品ではどうかとなると、花王が30製品、ライオンが8製品とライオンに対して4倍もの改良製品を発売している。
改良品を出すということは、全く新しく新商品を開発することに比べて、コストが安く済むことは勿論のこと、お客の声を製品にしっかり反映していることも意味するから、地味なようでいて、しっかりと顧客のニーズを掴んで、それを商品に生かす努力を重ねているといえる。
だけど、今回の花王デモは、これまでのお客の声とは、その質が違っていて、商品そのものの出来映え云々ではなく、偏向報道が問題視されているテレビ局へのスポンサーになっているという、企業姿勢そのものに抗議の声が向かっているということ。
商品による健康被害ではなくて、偏向報道という、いわば、"精神被害"に加担しているのではないかという抗議。
だから、これは、商品の質や販促とは別の次元の問題で捉えられるべき問題ということになる。もしも、今後、こうした動きが広く大衆に理解され、拡大・継続していくようであれば、いくら商品開発を頑張ったところで、もうどうしようもない。
上述したように、流出したドラッグストア関係者と思われる花王不買運動の対処法が本当なのであれば、そうした"消費者の声"は当然、花王にも伝わっている筈。
特に、商品に瑕疵があるわけでもなく、今回のように、スポンサードに対する抗議を受けるということは、企業イメージ全体が傷つきかねないことを意味する。今後の対応が注目される。
今のところ、花王は特に目立った動きはしていないのだけれど、不買を受けている他の企業の中には、企業イメージの失墜を気にして何らかの手を打つところも出てくるかもしれない。
というのは、週刊ポスト(2011年9月16・23日号)にちょっと気になる記事があったから。
それは、「天皇陛下が『これはおいしい』と感嘆されたウイスキーは国産」というもので、昭和50年代に妃殿下が『カティサーク』の一番安ランクのものを召し上がられておられるので、侍従にその理由を尋ねると『殿下がウイスキーを辛いとおっしゃって』と。あまり好まれないので、あり合わせのものを飲まれていたことを聞き、日本人が開発した、世界に誇れるウイスキーを次回お持ちしますと申し上げ、サントリーの『ザ・ウイスキー』を持参したところ、『なるほど辛くない……』と結局、大きめのウイスキーグラスで2杯召し上がり、少し遅れて見えた妃殿下に『美智子、これはおいしいよ』とニッコリとされたという逸話。
気になったというのは、何故この時期に、わざわざ昭和50年代という30年も前の古い話を持ち出して記事にしたのかということ。それに、サントリーは、フジテレビの主要スポンサーであり、正に今、不買対象にもなっている企業。もしかしたら、企業イメージの毀損を嫌う余り、陛下の逸話を出して、その権威によって、不買運動に対するアンチプロパガンダを仕掛けたのではないかとさえ。
勿論、これは、穿った見方であることは重々承知しているけれど、こんな時期にタイミングを計ったようにこんな記事が出てくること自体不自然だと思うし、その記事の効果を考えると何らかの意図が働いているように思えてならない。
3.マスコミはネットを恐れだした
9月17日、フジテレビへのデモの後、参加者に朝日の記者が個人の立場で取材をしていて、その一部始終がネットにアップされているのだけれど、おおよそ彼は次のように主張している。
1)ネット情報に寄り添っているだけなら、いつか限界がくる
2)僕らはデモを右系の団体とは思っていないが、普通の人がネットで情報収集する際にはタコツボ化するという課題があって、だから、普通の人でも右系の人を信じてしまうことがある。
3)ネットで配信していることは事実だから正しい。だけど世の中には声の大きい・目立つ存在が必ずしも世界を反映しているとは限らない。僕らはプロの技術も訓練されていて、目に見えないことも話したり書いたりしている。
4)取材は基本的に個人から始めるもの。一々指示を受けて組織としてやってるんじゃない。元々新聞はずっとそれをしてきている。
5)世の中にはいろんな無限なものがあって、それのどれを取れってそれは限界がある。
6)偏向が酷いというのではなくて、偏向という言葉を使った時点でそれは価値観だ。僕らは皆が思っているほど意図的に取捨選択していない。
7)ネットの世界に事実があると訴える奴らがなぜ既存メディアにこれだけ期待するのか?それは反発だ
8)マスメディアがネットに対して圧倒的に力を持っているというのは過大評価だ。もしかしたらネットの方が力を持っているかもしれない。朝日が記事を書いても2~3000人の人はこない。
9)2~3000人も来たら、そこに煽りがあるかもしれない。だから、客観的に自分も反省しながら発信してほしい。
10)長年たまったものが何かの形でここに出てるんでしょ? メディア不信なのかもしれないけど、プラスして震災の後っていうタイミングも絶対ある。メディアに対して、相変わらずテレビでは酷いことやってんなとか。
11)デモの印象はみんな楽しそうだ。楽しそうというそれ以上の意味はないけど、楽しそうのレベルを超えた時にもしかしたらそれが社会運動になるかもしれないし、人を批判することの意味を考えないといけない
もちろん、これがマスコミを代表する意見だとは言わないけれど、このコメントの中からでも、マスコミのネットに対する特徴的な見方が垣間見える。
それは、マスコミは意外とネットを恐れているということ。この一部始終を紹介した動画についたコメントには、朝日が上から目線で馬鹿にしているとか、朝日の言っていることは意味不明だ、とかいうものが多いのだけれど、筆者がみるところ、この朝日記者は心理的に動揺しているように見える。
それは、何というか、今まで自分達が築いてきた、世論をリードしていると思っていた立場が、足場もろとも崩されて、引っくり返されるような恐怖感に似た感情。そして、その事実を認めたくないが故に、対象を無理やり"自分の理解できる範疇"に押し込めて、なんとかその不安を解消しようとしているように見える。心理学でいう防衛機制のひとつである「合理化」及び「補償」が働いているのではないかと思う。
たとえば、朝日の記者コメントの中で、「長年溜まっていたものが何かの形で出ている」だとか「2~3000人も来たら、そこに煽りがあるかもしれないから、客観的に自分も反省しながら発信してほしい」だとか「僕らはプロの技術も訓練されていて、目に見えないことも話したり書いたりしている。」なんていうのがあるけれど、あれも、自分達の言論では、2~3000人もの人を動かすことなんて出来ない事を知っていて、それが出来るネットに対して、深層心理化で、ある種の嫉妬と恐怖を感じつつも、それを認めることができないがゆえに、ネット発のデモを"単なる鬱憤晴らしだ"と「合理化」し、自分達の劣等感の「補償」作用として、"自分達はプロの訓練を受けているんだ"とわざわざ話して、相手に同意を求めているようにさえ見える。
とりわけ、"人を批判することの意味を考えないといけない"なんてコメントは明らかに自分達が負けているという自覚の裏返しであり、相当に嫉妬と不安に怯えているのではないかと思う。
だけど、この朝日記者のいうように、ネットがタコツボ化するというのが本当であったとしても、タコツボが千人、万人単位でデモ参加者を集め、十万単位でネット配信を視聴させることはできない。
人はその人それぞれの立場や考えがある。人数が万の単位ともなれば、それこそ文字通り「千差万別」になる。だから、単一の情報、タコツボの情報だけで大勢が信じて煽られてしまうなんて考えるのは少し単純に過ぎる。
2009年の衆院選挙において、あれほどマスコミが政権交代を煽り立て、民主党を持ち上げ、政権交代以外の選択肢がないかのように、それこそ洗脳する気なのかと思えるくらい、政権交代一色の"タコツボ"報道をしたくせに、実際の投票数では民主党は
※6割は議席率の間違いでした。お詫びして訂正します。
だから、フジテレビや花王へのデモにしても、「長年溜まった反発だ」とかいって無理矢理、自分達の不安を誤魔化すのではなくて、なぜそれほど共感を集めるのか、ということを真剣に考えるべきだろう。
今回のデモ行動は、誰かが煽動したものではなく、一人の思いや行動が、共感を得、多くの者に伝播してゆく、「スタンド・アロン・コンプレックス」にも似た行動様式を示しつつあるように見えるのは非常に興味深い。

この記事へのコメント
日比野
>自分の記憶では、得票数(率)は 民主30%自民20% (35:25くらいかも?) くらいで、民主党も多くはなくしかも自民党との差は10%程度だったにも関わらず、小選挙区制のためにあれほどの大勝になった、
すみません。6割は議席率の間違いでした。得票率は42:26ですね。訂正します。本文の主旨はあんなにマスコミが煽っても、得票率は思ったほどではなかったということです。
ちび・むぎ・みみ・はな
日本人の水準より下がってしまった事がある.
既得権益が保障された分野は沈滞する.
テレビの電波割り当ての正当性を自ら
見直さない限りは大手テレビ局の明日はない.
メディア中でテレビだけは益より害が大きい.
特に, 成長過程の若い人にとってはそうだ.
人間の目は誤魔化され易い.
視ることによって得られるものはないのではないか.
テレビは無くなって欲しいと心から思う.
sdi
しかし、花王はいつのまにこんなに二位以下に差をつけていたんだか。
ななーし
ふむ?得票数が6割なら、全議席民主党だったと言っても過言では無いんじゃないすか?
自分の記憶では、得票数(率)は 民主30%自民20% (35:25くらいかも?) くらいで、民主党も多くはなくしかも自民党との差は10%程度だったにも関わらず、小選挙区制のためにあれほどの大勝になった、ていう記憶ですが。。。
白なまず
-------------------------------------------------------------------
【「テレパシー交信」を行なうには、共感覚を養う】
http://mihoh.seesaa.net/article/149731610.html
、、、これは、共感覚を養い、魂意識に共鳴させるための訓練で、スポーツ前のストレッチのようなものです。これを行ない続けることによって、「内なる声」が、しっかりと聴こえて来るように、霊的な感覚と、身体の機能を繋ぐ、チューニング調整を行なうことになります。
対米従属史観から必然的に受け入れるしかないでしょう
帝国ホテルで意見交換した。
米倉会長は、環太平洋経済連携協定(TPP)について、
「(21日に米国で行われる予定の)日米首脳会談から11月のアジア
太平洋経済協力会議(APEC)にかけてが、日本が参加表明する
ラストチャンスだ」と述べ、早期の参加表明を求めた。
これに対し枝野経産相は、「国民の合意形成がなされるよう努力したい」と応じた。
また、米倉会長は会合後、記者団に対し、高止まりが続く円相場について
「(円売り・ドル買いの)単独(市場)介入を含めた対策を講じてほしい」と述べ、
政府・日本銀行に対して一段の円高対策を求めた。
◎http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110920-OYT1T00467.htm