前政権とは打って変わって、野田首相の低姿勢、謙虚さが目立っている。
官邸に詰める総理番のツイートを見ても、政務官への訓示で「野党の声も国民の皆様の声」と話したとか、福島視察の前日にその意気込みを尋ねると、「しっかりお聞きして参ります」と話したとか謙虚さを強調するツイートが多い。
中でも、野田首相に原発事故の説明をするために細野担当相や松下経産副大臣らが来たときの様子について、出席者の1人が、ずいぶん前と違うね、じっくり話を聞いてくれるし、細かいことは任せてくれる、と高評価しているという。
総理番に対する外見えの顔と、官邸の中での内輪相手の顔のどちらも、じっくり話を聞く姿勢があるということは、本当に他人の意見に耳を傾ける首相ではあるのだろう。
これは、明らかに前首相であった"アレな方"とは真逆の姿勢だから、官邸に出入りする人の反応も真逆になると思われる。即ち、"アレな方"が最後には一人ぼっちになってしまったのとは逆に、頻繁に人が出入りする姿になるのではないかと思う。
尤も、野田政権は始まったばかりだから、まだどうこういうのは早いけれど、本格始動を始めた9月5日以降の首相動静をみるとそれなりの動きはしているようだ。
9/2首相動静
9/3首相動静
9/4首相動静
9/5首相動静
9/6首相動静
9/7首相動静
人の話を聞く。謙虚で低姿勢。党内融和最優先…。
はっきり言って、野田首相は、前首相とは"逆張り"の姿勢を取ることで、周りに好印象を持たれていることは間違いない。
去る8月25日、国民新党の亀井代表は、民主党の衆院当選1回の議員を中心とした勉強会に招かれ、民主党新代表の政権運営に関して「菅首相の政治手法、政策と逆のことをすればいい…挙党一致で新しく一歩を踏み出せるかどうか。それに失敗したら民主党はなくなる」とアドバイスしていた。
菅氏の政治手法は、「独裁で脱官僚、脱小沢」。政策は「思いつき」。だから、これの逆をやるということは、政治手法としては「人の意見をよく聞いて根回しと調整」。政策は「聞いた意見を足して2で割る」ということになる。
野田首相の今の態度は、正にこのアドバイスに沿ったもの。まぁ、政策についてはこれからなのだろうけれど、少なくとも、政治手法はもう正反対であることは明らか。
それ以前に、今の民主党で挙党一致をしようと思ったら、今回の組閣のように人事から配慮するほかなく、更には、閣僚や党の意見をよく聞かざるを得ない。
だから、仮に、野田首相に自分のやりたい政策があったとしても、民主党の党内事情から、それらは脇に置かれがちになってしまう可能性はかなり高い。
野田首相のホームページには、「8つの基本目標と30の政策提言」というページがあって、内容は、2000年総選挙の際の公約として発表したものだそうなのだけれど、これを見ると、野田首相が本来やりたいことが何であるかが垣間見える。その要旨は次のとおり。
01:「首相公選」を実現する。
02:自衛隊の存在を憲法に明確に位置づける
03:「環境権」「プライバシーの権利」「知る権利」など憲法に明記
04:道州制を導入。霞ヶ関を解体。分権連邦型社会に再編
05:すべての経済的規制を時限性とする
06:ベンチャー企業の資金調達方法、会社設立要件緩和など企業家支援をおこなう
07:情報インフラを早急に整備
08:従来型のバラマキ公共投資から、教育、福祉、情報関連分野への転換
09:「財政透明化法」を制定し、国の会計に企業会計的視点を導入
10:予算の一定割合を翌年度の政策予算を保留できる制度にする
11:特殊法人は「廃止」「民営化」または「独立行政法人化」のいずれかに区別
12:港湾、住宅、道路、公園など16本にもわたる公共事業関係長期計画を一本化
13:国のすべての事業を民間参入の可能性の観点から見直す
14:少子化に歯止めをかける対策を講じる。財源は課税最低限の引き下げ
15:基礎年金は全額税方式に改め、セイフティーネットを確立。財源は消費税の一部
16:国民医療費を抑制するために、医療供給側の高コスト体質にメスを入れる
17:学校や教師を自由に選べる教育の自由化を推進。学校法人の設立も自由
18:少年法を改正し、刑事罰適用年齢を引き下げる。〔既に改正されました〕
19:小学校から英語教育を必修化。受験英語から実用英語への転換
20:環境負荷の大きい公共事業は見直す。環境再生の為の復元的公共事業に力を注ぐ
21:新エネルギーの研究開発およびその普及を大々的におこなう
22:「環境税」を導入
23:「資源循環・廃棄物管理法」を整備
24:日米体制が基軸。朝鮮半島問題の軟着陸、中国の国際社会への融和、ロシアとの協調
25:核軍縮・不拡散と核廃絶のために、国連安保理の常任理事国をめざす
26:緊急事態に際し、自衛隊の活動が円滑におこなわれるように、有事法制の整備
27:「あっせん利得収賄罪」を法制化する。〔既に制定されました〕
28:議員の任期を一定限度に制限する「任期制限法」をつくる。首長の多選も禁止
29:インターネットを利用した選挙活動を可能にする。「電子投票制」を導入
30:「立会演説会」を復活野田よしひこ 「8つの基本目標と30の政策提言」より引用編集
とまぁ、増税志向なのは相変わらずなのだけれど、それなりにやりたい方向性は、2000年当時から明確になっていたと思われる。
尤も、今もそうなのかかどうかについては、所信表明前で、まだ具体的なビジョンも出ていないから何とも言えないところがあるのだけれど、もう既に色んな人が指摘しているように、野田首相が自分の主張をどこまで貫けるのかという大きな問題がある。
特に、現閣僚の面々、震災復興、菅前政権の後始末、党内融和といったマイナスからのスタートを考えると、かなり厳しい、というか殆ど無理ではないかと思われる。
事実、野田首相は、新しい副大臣を前にして、「自説を曲げてでも、泥をかぶらなければならないことがいっぱいある」と挨拶したそうだから、自分でも貫けないことを薄々感じているのではないか。
だから、泥から顔を出せれば、まだいい方で、昇り竜なんて少し高望みに過ぎるのではないかと思う。


国民新党の亀井静香代表は25日、菅直人首相の後継となる民主党新代表の政権運営に関し「菅首相の政治手法、政策と逆のことをすればいい」とアドバイスした。民主党の衆院当選1回の議員を中心とした勉強会で述べた。
菅首相が政権運営に行き詰まった理由として財務省主導の政治から脱却できなかったと指摘。民主党代表選については「挙党一致で新しく一歩を踏み出せるかどうか。それに失敗したら民主党はなくなる」と強調した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110825/stt11082523380019-n1.htm

「大変な気概を持ってやっているが、ドジョウのままでは日本は救えない。昇り龍にならないといかん」。国民新党の亀井静香代表は7日午後の記者会見で、自らをドジョウに例えた野田佳彦首相にこう注文を付けた。
亀井氏は「財務省の言いなり」との批判もある首相の増税路線に否定的で、「財務省という泥の中をぐじゅぐじゅ回っているだけじゃ日本が泥だらけになる」と指摘。「増税は一番手っ取り早い。財務省は思考停止になっていて、そういうバカでもやれる話しかできない」と断じた。 (2011/09/07-16:15)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011090700607
この記事へのコメント
じめじめ
自分の事しか考えない菅さんの後釜として、民主党の締めくくりとして、
野田さんですって。
http://www.birthday-energy.co.jp
こんな事を書かれちゃうくらいだから、やっぱり2000年当時とは
変わってしまっているのかな・・・。
かせっち
「じっくり話は聞く」ことはするものの、実際には「見守る」だけの人なのではないですか?
ちび・むぎ・みみ・はな
ヒトデナシで離れた階層が一気に戻ってくること.
騙されてバラ色の夢に浸りたい人が沢山いる.
その夢を作ったのはGHQの占領政策.
現実は厳しいのだがね.
あきつしま
仙石の傀儡になり果てているのではないでしょうか。