宮城県エコタウン構想
宮城県でエコタウンの社会実験が始まっている。
これは、東松島市の仮設住宅周辺で、風力発電用のプロペラと太陽光パネルを導入し、更に、蓄電池を装備した発光ダイオード(LED)照明の街灯数基を設置するプロジェクトで、8月23日に、東松島市のひびき工業団地内の応急仮設住宅内に設置された。
事業主体は、「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」(略称:JASFA)で、JASFAは、被災地だけでなく社会共通の課題を見据えて、「持続可能」で「安心安全な社会」をめざし、「新エネルギー」の技術の発掘、評価、活用推進を目的に、去る7月7日に設立された社団法人。
JASFAには、宮城県内を中心に30社・団体が参加し、会長には、東北大名誉教授の井口泰孝氏、副会長に、内海康雄仙台高専副校長らが就任。本部を東京におき、活動拠点として仙台に支部を設けている。
設置された街灯というのは、仙台市に本社を構える馬渕工業所が開発した「ハイブリッド・スマートデバイス」と呼ばれる、自然エネルギー電源装置ハイブリッドポール。
これは、高さ6.5メートルの支柱に風力発電のプロペラと太陽光発電パネルをくっつけて、更に、支柱の下半分に、高性能蓄電池と発光ダイオード照明を取り付けたもの。
風力発電プロペラは1.2m/sの低風速で起動し、定格出力は1000W(12.5m/s時)、太陽光パネルは定格出力130W×2枚、LED照明は出力40W~50Wで蓄電池のバッテリー交換の目安は3年程度。
このハイブリッド・スマートデバイスは、他の電源系等との結線はなく、完全に独立して設置され、発電した電力は、勿論街灯だけではなくて、他の用途にも電源として使用できるそうだ。
この社会実験は東松島市のほか、会員企業が7月中に宮城県南三陸町の土木工事現場でも始め、ほかの被災地での利用も働き掛けているという。
宮城県では、震災復興計画として、その2次案に、太陽光やバイオマス、地熱の活用を掲げ、環境先進地域づくりを進めるエコタウン構想を打ち出している。
これは、復興住宅における太陽光発電の全戸整備など、クリーンエネルギーの発電設備を設けて、生み出した電気をスマートグリッドで域内に供給するというもの。宮城県では、東松島市を皮切りに、石巻市や名取市でも同様の社会実験を目指すとしているけれど、上手いけばひとつのモデルとなるかもしれない。
また、仙台市は、東日本大震災の被災農地に大規模太陽光発電所を建設し、その電力で2012年秋に国内最大級の野菜工場、食品加工の事業を始める検討に入った。
年内にも運営会社を設立する見通しで、事業費は約100億円で、日本政策金融公庫と日本政策投資銀行が融資する方向で進められている。また、仙台市は第3次補正予算の一部を充てることも希望している。
参加企業は日本IBM、シャープ、カゴメ、三井物産、伊藤忠商事、東北電力、セブンイレブン・ジャパン、ヨークベニマルや地元の農業生産法人など20社連合。
事業は、仙台市内の沿岸部で津波の被害を受けた農地約23ヘクタールで始められるのだけれど、海水に浸かった土地から塩分を抜くには多額の費用と時間がかかることから、野菜工場を導入することとなった。
野菜工場による生産については、カゴメがノウハウを提供し、床面積約10ヘクタールの野菜生産工場と1ヘクタールの加工工場を建設することで、野菜づくりから加工までを一貫して手掛ける予定。
工場では年間約2000トンの野菜を生産する見込みで、加工した野菜はセブンイレブンやヨークベニマルなどで販売する。
生産工場や加工工場は新たに建設する出力約4000キロワットのメガソーラーでつくる電気や、もみ殻をボイラーで燃やして生み出す熱などで稼働させ、日本IBMがITを使って各種エネルギーの効率を高める仕組みを提供するという。
3月25日のエントリー「電気と水と野菜の問題を全部解決する方法」で、福島原発の周囲に大規模野菜工場を作って、電気と水は海洋温度差発電プラントを建設したらどうかと述べたことがあるけれど、宮城県のエコタウン構想は、これともよく似ている。
このエコタウンの社会実験が上手くいけば、他の被災地域にも波及していくものと思われる。注目したい。
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(4)エコタウン/自然エネの活用推進
<東松島から開始>
電力の地産地消を目指すエコタウンの社会実験が8月中旬、被災地でスタートする。
舞台は東松島市の仮設住宅周辺で、風力発電用のプロペラと太陽光パネルを導入、蓄電池を装備した発光ダイオード(LED)照明の街灯数基を設置する。
事業主体は、研究者や中小企業でつくる「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」。副会長の内海康雄仙台高専副校長は「将来は住宅の電源を賄うことも可能。発電した電力を防災情報の発信に使えば、災害にも強いエコタウンになる」と意気込む。
福島第1原発事故後、脱原発の機運が高まり、自然エネルギーに追い風が吹く。宮城県震災復興計画2次案に明記されたエコタウン構想では太陽光やバイオマス、地熱の活用を掲げ、環境先進地域づくりを打ち出した。
<地域全体で導入>
構想のスケールは壮大だ。クリーンエネルギーの発電設備を設け、生み出した電気をスマートグリッド(次世代送電網)で域内に供給する。復興住宅での太陽光発電の全戸整備も明記した。
「自然エネルギーは次世代のインフラ。地域全体で導入することが重要となる」。東北大大学院環境科学研究科長の田路和幸教授(環境共生機能学)は、エコタウンを時代の必然とみる。
昨年整備した環境科学研究科の研究棟「エコハウス」で、電力の自給に取り組む。主に太陽光で発電し、リチウムイオン電池に蓄電、LED照明を使う。震災で大学が停電した際も蓄電機能が働き、自活を支えた。
発電量の不安定さが弱点だが、田路教授は「蓄電池の技術革新を進め、各家庭に配備するような施策が必要だ」と語る。
<企業の参画必要>
エコタウンに期待されるのは、エネルギーの有効活用だけではない。
「万単位の太陽光パネルやリチウム電池を10年間継続発注することになれば、工場誘致も可能で、雇用にもつながる」。6月の県震災復興会議で、委員を務める会社会長の神蔵孝之氏は、独自の見解を披露した。環境への投資は経済効果を生むとみる。
多くの関係者が企業の参画を重視するが、東北の金融機関幹部は「再生可能エネルギーを重視するという県の方針が企業に伝わっていない」と指摘。実現への工程表を示し、投資意欲を刺激すべきだと提案する。
復興計画は復旧にとどまらず、先進的な地域づくりをうたう。東松島市を皮切りに、石巻市や名取市でも同様の社会実験を目指す。
「現行法の規制が壁となり、このままでは前に進まない。特区などの環境整備を急ぐべきだ」。協議会の内海副会長は、復興の象徴となるエコタウン具現化に向けて、国の後押しに期待を掛ける。
(藤田和彦)
◇主な事業と実施年度
・新エネルギー設備導入支援事業(2011~15)
・住宅用太陽光発電促進事業(2011~15)
・ソーラーハウス促進事業(2014~20)
・分散型エネルギー設備導入促進事業(2014~20)
・ガスコージェネレーション(熱電供給)・バイオマス利活用推進事業(2014~20)
URL:http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1080/20110731_01.htm
この記事へのコメント
opera
>東松島市の仮設住宅周辺で、風力発電用のプロペラと太陽光パネルを導入し、…東松島市のひびき工業団地内の応急仮設住宅内に設置された。
これが異常な状態だということに気が付かなければいけません。その前にやるべきことがあるだろうということです。
仙台市も、国がやるべきことをやらないために苦しい状態にあることは分かりますが、以前の宮城県の高台にエコタウン構想と同じく、お花畑構想に傾注するのは頂けません。第3次補正予算は、本来の復興やより現実的で効果的な対策に当てるべきで、反原発利権に回すべき余裕はないはずです。
前回のエントリーの野田氏の評価にも関わることですが、人事や政局的な動きはどうでも良く、基本は政策です。
個人的には、以下の二点に着目しています。
第一に、第三次補正予算の内容・規模とその財源です。とくに財源は、(建設)国債を速やかに発行し、迅速に予算を成立されることができるかが重要です。
第二に、福島原発の事故原因調査・被害状況の調査を行なう特別な組織を作り、徹底的な調査後
国内法でA級戦犯を無罪にした日本
旧日本軍の元従軍慰安婦の賠償請求権をめぐり韓国政府が日本との交渉努力をしないのは違憲との判断を出したことを受け、
兼原信克駐韓公使を呼び、日本側の積極的な対応が必要との考えを伝えた。兼原公使は本国政府に報告すると答えた。
植民地時代の請求権をめぐっては、両国は1965年の協定で韓国が請求権を放棄、
日本が経済協力資金を支払う形で決着が図られた。日本側は個人の賠償請求権について決着済みとの立場だ。
これに対し、同省報道官は1日の記者会見で、「慰安婦問題は協定の対象に含まれず、
日本側が追加的な措置を取るべきだというのが韓国政府の一貫した立場だ」と述べた。
時事通信 9月1日(木)16時33分配信 元慰安婦請求権「積極対応を」=違憲判断受け日本に伝達―韓国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110901-00000078-jij-int